蓮塔
D・S:
チッ……塔の中にも魔物どもが
入り込んでいやがる
アビゲイル:
すでに結界の役割を果たさなくなって
きているようですね
カル:
ヨーコの精神的な抵抗力が落ちてきて
いる証拠だ。D・Sの贋者が、彼女に
凄まじい攻勢をかけているらしい
アビゲイル:
残された時間はわずかしかありません。
それと……厄介な魔物が召喚されて
いる気配がしますね
ネイ:
急ぎましょう、ダーシュ
ガラ:
あれっ? オメエおじょーちゃんの
コトキライなんじゃねーの?
ネイ:
恋敵だしね……でも、それとこれとは
別よ! 私、ダーシュの悲しむところ
なんか見たくないもの。それに――
あの娘ってイイ子なのよね……
ガラ:
おーエライえらい。せーちょーしたな
ネイ:
何よ! 年下がエラそーに!
D・S:
駆け昇るぜ! 持ちこたえてくれよ、
ヨーコさん!!
塔の吹き抜けから、途轍もない邪気が
吹き寄せてくる。地獄の底に隠れ棲む
根源の闇――同族すら震え上がらせる
獰悪な高位魔族が、番人としてここに
放たれていた。
D・S:
足止めのつもりかよ!
アビゲイル:
先刻の気配の正体はこの者どもだった
のですか! いけませんよD・S!
カル:
迅速に倒さないと間に合わなくなる!
ヨーコが虚神王の手に落ちてしまうぞ!
QUESTION:
この場を仲間に任せますか?
はい
いいえ
QUESTION:
誰に任せますか?
ヴァイ:
D・S! ここは俺に任せて先に行け!
D・S:
ヴァイ、テメエ……
ヴァイ:
勘違いすんなよな。アンタにヨーコを
譲るとか、そーゆーんじゃないかんな!
D・S:
おーよ。物質界に戻ったら、ヨーコ
さんと俺の積み上げた愛の歴史で、
正々堂々諦めさせてやるぜ
ヴァイ:
へへ……武者震いがしてきやがった。
いいな、D・S! 必ずヨーコを
助け出せよ! いっくぜええっ!!
ヨシュア:
D・S……あなたを信じるぞ
D・S:
ヨシュア?
ヨシュア:
悪魔どもは俺が食い止める。
先を急いでくれ!
カイ:
オレも残る
ヨシュア:
カイ? ダメだ! 危険すぎる!
カイ:
いいさ。ヨシュア、オマエと一緒なら
……さあ、早く行け、D・S!
時間を無駄にするな!
ヨシュア:
ヨーコを頼む!
ヨルグ:
皆に、借りを返す時が来たな――
D・S:
ヨルグ?
ヨルグ:
彼女の――ヨーコのもとに一刻も早く!
このものどもの相手は俺が引き受ける!
シェン:
兄者のぶんまで、こいつらの面倒は
オレがみてやる。先を急げ――
シェン:
闇に生まれた異形どもの相手は、
忌まわしい殺人剣にこそ相応しい……
ここは任せて先に行け!
ジオン:
ならば俺も、残るとしよう
シェン:
兄者――しかし……
ジオン:
俺たちの運命を狂わせた影流が役に
立つ時がきたんだ……ひとつ派手に
狂い咲かせてやろうじゃないか
シェン:
……おう。やろうぜ、兄者!
シェン:
兄者の行為を無駄にせぬためにも、
ここはオレが引き受ける! 行け!
アンガス:
……
D・S:
アンガス!? オメーはこの精神世界で
のみ実体で――本物でいられるんだぜ?
無茶な真似は――
アンガス:
……(にいっ)
D・S:
……そうかよ……じゃあよ、絶対に
死ぬんじゃねーぞ! いつまでも俺様
の世界で生き続けるんだぜ! いいな?
アンガス:
……あり、が、とう、D・S――
シーン:
D・S! ここはわたしの呪符で
食い止めるわ!
D・S:
シーン! オマエ……
シーン:
名前で呼んでくれたね……さあ、早く
行ってあの人を――ヨーコを救って
あげて!
シーン:
その代わり約束よ! もとの世界に
戻ったら、わたしと一日デートする
こと! ヨーコに叱られても、絶対よ!
ラン:
シーン……
シーン:
心配しないで! もう兄さんに守って
もらうだけのわたしじゃないわ。
自分の力で戦っていける……だから
兄さんは自分の道を進んで!
ラン:
……成長したんだな。頑張れよ!
シーン:
任せて!
カイ:
先に行け、D・S!
異形どもはオレが引きつける!
ヨシュア:
カイ! 俺も手伝うぞ!
カイ:
! ヨシュア……
ヨシュア:
もう、離れるものか。イヤだと
言われても俺はカイ――お前を守る!
カイ:
……うん。そっちこそ、覚悟しろよ!
オレは楽な女じゃないぞ!
ヨシュア:
承知してるさ
カイ:
フフ……D・S! ヨーコを頼んだぞ!
ダイ:
何と美しい悪魔ども……私の身体に
流れる闇の血が、うずうず疼いて
きましたよぉ! パワフリャアァァ!
ダイ:
真に強く美しいのはどちらなのか、
ハッキリさせようじゃありませんか!
他の皆さんは手出し無用ですよ!
D・S:
あっそう。じゃ、ココは任せたぜ
ネイ:
頑張るのよ、ダイ
ダイ:
あれれ? って、あの、置いてけぼり?
イングヴェイ:
カル様……お側を離れる身勝手を
お許し下さい
カル:
イングヴェイ――卿は……
イングヴェイ:
ここは私が引き受け、先を急いで
頂くのが得策かと……どうか、
ヨーコ殿をお救い下さい!
カル:
……頼んだぞ
イングヴェイ:
はっ。もとの世界に戻った暁には、
真に平和な王道楽土の建設を――
カル:
うむ。必ず――
マカパイン:
フ……妖縛士の失地回復に相応しい
相手だな。D・S、ここは私が
引き受ける
D・S:
マカパイン――
マカパイン:
借りを作ったままではな。ガラよ、
後のことはオマエに任せたぞ
ガラ:
おうよ。オメーこそ無理すんなよ。
こっちの世界を抜け出したら、まぁた
一緒に旅でもしよーや
マカパイン:
オマエとはこりごりだ――だが、それ
も面白いかも知れんな。さあ、行け!
ボル:
行かれよ! D・S! こやつらは
それがしが引き受けたでござる!
D・S:
ボル? オメエ――
ボル:
それがしは信じたのでござる。貴公の
人智を超えた器の大きさを――
ボル:
さあ、虚ろな神の走狗ども!
操影術の秘技、とくと味わうがいい!
D・S:
どうした、ロス!?
ロス:
先に行ってちょうだい。アタシも
ここらで見せ場を作っとかないとね
ロス:
せっかく重力剣も完璧になったんだか
ら、活躍したいワケよ。だからそっち
も、間に合わなかったなんて間抜けな
真似しちゃダメよ!
ロス:
それじゃ、いっくわよー! 着装!!
剣化鋼着装甲・重力剣!!
ラン:
俺が残ろう。愛する者を救え、D・S
――
ネイ:
ラン――お前……
ラン:
俺にはネイ様より拝領したフライング
Vがあります。あのような化け物ども
に怯んでは、かつての鬼道衆の名折れ
――
シーン:
兄さん!
ラン:
シーン……もうお前は守られなくても
大丈夫だ。この先、D・Sのサポート
を頼む
シーン:
……うん!
ラン:
――さあ、忌まわしき悪魔どもよ。
この太刀に抉られたい者から、
かかってくるがいい!
ジオン:
こいつらの相手は俺がする。あいつに
――シェンに笑われないだけの闘いを
してみせなきゃな。行け――
ジオン:
オマエらは先に行け!
シェン:
兄者!
ジオン:
案ずるな。この人間を舐めた悪魔ども
に、魔剣士ってのがどれだけ手強いか
教えてやる――さあ、オマエはD・S
と一緒に行け!
シェン:
兄者……もとの世界に戻ったら……
ジオン:
ああ。昔のようにやろう――ガキの頃
のように……
バ・ソリー:
俺様の中の蟲たちが暴れたがっとるわ。
ここは不死身のバ・ソリー様に任せて、
先にゆけい!
カル:
気をつけろ、バ・ソリー。卿の蟲たち
のためにもな――
バ・ソリー:
ははっ! 有り難きお言葉! この
バ・ソリー、必ずやお役に立って
みせまするぅ!
イダ:
何と醜き悪魔たち……召喚士の名に
かけても、私が地獄の底に送還して
差し上げましょう。D・S、カル様、
先をお急ぎ下さい
サイクス:
私の次元跳躍能力も回復したようだ。
行け、D・S! この汚らわしき人類
の敵対者どもは、私が次元の狭間に
案内してみせよう
D・S:
危険だぜ、サイクス――
サイクス:
あの猟犬に追われたことと比べれば
何ほどでもないさ。さあ、急ぐがいい!
ブラド:
今こそ騎士道精神の見せどころよ!
D・S:
ブラド!
ブラド:
手遅れになってはならんのだろう?
ならばここは効率を追い、先に進む
道を選べい! ワシはこの奴原に、
目にもの見せてくれるわぁ!
ブラド:
さあ来い、化け物ども! 魔戦将軍一
の破壊力がどれほどのものか、
その眼に焼き付けて死ねい!
ザック:
こいつらは俺に任せとけ!
D・S:
おい、小僧が無理すんな!
ザック:
ガキ扱いすんな! 窮地に立つほど
俺は燃えてくるんだよ! いいから
D・S、早くあの妲ちゃんを助けて
やんな!
ザック:
うおおお――っ! 燃えてきたぜぇ!
さあ、きやがれクソ野郎ども!
シェラ:
カル様、ここは私が食い止めます。
どうかお急ぎ下さい
カル:
シェラ――しかし卿は女の身で……
シェラ:
カル様のお側にお仕えした時から、
私は女であることを捨てたのです。
でも……この地より帰還したその時は、
女の姿に戻ることをお許し下さい
カル:
――うむ。私は女は好きではないが、
シェラ・イー・リーはその例に当て
嵌まらぬ
シェラ:
カル様……私はこの時を生涯忘れま
せぬ……。さあ、猛々しき者ども――
自然の破壊者よ! 我が指が奏でる
調べにて永遠の眠りに就くがいい!
邪悪な気配が再び、一行を阻むべく
接近しつつあった。
D・S:
まだいやがるのか!?
背後から追いすがるように、闇を
纏った者たちがまたも出現した。
D・S:
畜生! きりがねえ!
塔の最上層にも、それらは待ち構えて
いた。
D・S:
これだけの高位魔族を一度に操って
やがるのか……虚神王ってのは、
今までの奴らとはケタが違うようだぜ
この時、D・Sの肉体に封じ込んだ
太古の鬼神三体が、最後の呪的抵抗を
止めて完全に屈服した。これにより、
D・Sは虜にした三匹の高位鬼神を
“唱える者”としてその身に召喚し、
多重詠唱からなる強大な呪文を操る
ことが可能となった。
D・S:
鬼神どもめ、いいタイミングで身体に
馴染んでくれたぜ。この塔に巣喰う
奴らなんざ、この呪文で片っ端から
分解してやらあ――
D・S:
ヨーコさんはこの塔の上だ!
戻ってるヒマはねえぜ!
最終更新:2020年10月31日 21:29