双雪山(左)
山と山とを繋ぐ巨大な氷の橋も、
それの威容の前では小さな吊り橋の
ように見える。
眼前に、氷獄塔が聳えていた。橋に
支えられる形で、遥か高空までそそり
立つ雄大な氷の柱――それは青空を
背景に、輝く光の塔のように煌めいて
いた。恐らくはこの塔自体が地下遺跡
からエネルギーを受け取り、巨大な
プリズムとして魔のオーロラを発生
させていたのだろう。
D・S:
いよいよカルの本拠地かよ
マカパイン:
塔では他の魔戦将軍が待ち構えている
だろう。ここからが正念場だぞ。特に
イングヴェイは手強い――
ラン:
できるなら戦いたくはない相手だな
シェラ:
イングヴェイ……目を覚ましてくれ
氷の橋上に、ひとりの男が佇んでいた。
D・S:
マカパインか――
マカパイン:
……遂にここまで来てしまったか。
貴様と再び戦うことなど、あって
欲しくはなかったが――
マカパイン:
私は魔戦将軍、その責務は果たさねば
ならぬ。最後の勝負だ、D・S
ヨルグ:
マカパイン!
D・S:
よせ、ヨルグ。あいつも考え抜いての
ことだ。受けて立つぜ!
マカパイン:
それでこそD・S! 私の好敵手に
相応しき男! ゆくぞ!
マカパイン:
カル様がため……その大義をもって
しても勝てぬか――フフ、主が傀儡で
あれば、大義もまた魂なき操り人形の
如し……
ヨシュア:
マカパインよ。本当の大義とは、その
主に正気を取り戻させることであろう?
今一度、我々に力を貸してくれ
マカパイン:
辛いことを言う……私は侍とは違うが、
恥というものは知っているつもりだぞ
ヨシュア:
恥じ入るのは、己が正しいと思う道に
踏み出せなかった時にこそだ。正しき
大義――正義に身を置く限り、貴様は
決して恥知らずなどではない!
マカパイン:
……侍大将の説法に心を動かされると
はなあ、魔戦将軍マカパインもやきが
回ったものだ。D・S、恥を捨てて
頼もう。ともに、カル様のもとへ――
最終更新:2020年10月31日 21:23