【ブレトランド八犬伝】

 アントリア中東部の半島の先に位置する小さな漁村ラピス。この地では昔から、自らの姿を消す能力を持つ「透明妖精(インビジブル・フェアリーズ)」と呼ばれる投影体が出現し、人々に害を与えていたが、その度に「シリウス」という名の巨大な犬型の怪物が現れて、村の人々をその魔手から救い続けた。村人達はシリウスのことを「犬神様」と呼び、歴代の領主とシリウスは常に盟友関係にあった。
 ところが、そのシリウスが、突如現れた「妖刀の魔人」と、彼をこの世界に呼び出した女闇魔法師アンザによって倒されてしまう。彼女達は透明妖精達を従えて村を制圧し、領主ラザール・ゼレンを殺してその支配者の座を手に入れ、この地の住人達を従えて恐ろしい陰謀を実行しようとしていた。
 この物語は、混沌の手に落ちたラピスを解放するため、大陸中に散らばった「シリウスの力」を引き継ぐ者達を探す宿命を背負うことになった、ラザールの息子ルーク・ゼレンと、その仲間達の冒険の記録である。

第1話「孝〜断ち切れぬ縁〜」
ルーク・ゼレン
・ロード/アーチャー
・21歳
・男性
・ラピスの領主ラザールの長男
・特殊な力を秘めた聖印の持ち主
マライア・グランデ
・メイジ/ヒーラー
・19歳
・女性
・ラピスの領主ラザールの元契約魔法師
・闇魔法師アンザの義妹
キヨ
・プロジェクション/オルガノン
・300歳?
・女性
・流浪の日本刀(の擬人化体)
・「妖刀の魔人」は地球時代の宿敵
ラスティ・ザンシック
・アーティスト/レイヤードラゴン
・28歳
・男性
・オーキッドの領主イノケンティスの長男
・シリウスの「孝」の邪紋の継承者
 闇魔法師アンザと妖刀の魔人の襲撃を受け、契約相手であるラピスの領主ラザールを失ったマライアは、村の近くの森の中で、村の守り神であったシリウスの「残留思念」に遭遇する。彼から、「シリウスの力を受け継ぐ八人の邪紋使い」の存在を知らされたマライアは、その森で遭遇した(妖刀の魔人と深い因縁を持つ)日本刀の擬人化体のキヨと共に、その八人の邪紋使いと、(この地の浄化に必要な聖印を持つ)ラザールの息子のルークを探すため、まずはルークが養子に入ったザンシック家が治めているヴァレフール南部の港町オーキッドへと向かう。
 その頃、オーキッドの領主イノケンティスは、養子のルークと実子のラスティ(その正体は「孝」の邪紋の継承者)に、自身の町を訪れた要人達の接待を命じていた。だが、その日の宴席の料理に毒が仕込まれるという事件が発生し、イノケンティス自身もその毒に倒れてしまう。しかし、ルークとラスティが(要人達と同時にこの町に到着していた)マライアやキヨと協力し、その毒の浄化に必要な薬草の採取に成功したことで、イノケンティス達はどうにか一命をとりとめる。
 そしてマライアから、ラピスの浄化のためにルークとラスティが必要だと聞かされたイノケンティスは、彼等をラピスの混沌討伐のために派遣することを快諾するのであった。
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第2話「義〜守るべき志〜」
フリック
・アーティスト/アンデッド
・22歳
・男性
・カナハの自警団の副団長
・シリウスの「義」の邪紋の継承者
 第二の邪紋使いを探してカナハの村を訪れたルーク達は、困窮に苦しむ村人達から強引に税を取り立てているこの村の自警団と遭遇する。その自警団の副団長フリックが「シリウスの邪紋(義)の継承者」であることをマライアが感知し、ルークは彼にラピスへの同行を申し出るが、彼はこの村の領主ユイリィと、その妹である自警団長マイリィへの恩義故に、この村を離れる訳にはいかないと言って、その申し出を断る。
 彼に翻意を促そうと考えたルーク達は、ユイリィの契約魔法師のダニエルとマライアが旧知の関係であることを利用して、ユイリィとの晩餐会に出席することになるが、ユイリィはその際、「行方不明になったマイリィを探してほしい」という旨の手紙を密かにルークに託す。フリックの協力を得た上で、村外れの森の廃屋の地下でマイリィを発見したルーク達は、彼女がダニエルによって監禁され、ユイリィはマイリィを人質とされたことで、彼の傀儡となっていたことを知る。
 ルーク達はフリック、マイリィと力を合わせてダニエルを倒し、その陰謀を阻止した。そしてユイリィとマイリィはフリックに、村を救ってくれたルーク達の恩義に報いるため、彼と共にラピスへと向かうよう促す。こうして、ルーク達は「二人目の邪紋使い」を手に入れたのであった。
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第3話「忠〜捧げ続ける誠〜」
ロディアス
・アーティスト/シューター
・13歳
・男性
・ケイの弓術師範ハンスの侍従
・シリウスの「忠」の邪紋の継承者
 第三の邪紋使いを探してケイの街へと向かっていたルーク達は、街の近くの湖畔にて、ケイの弓術師範(ルークにとっても弓の師匠)である元レレイスホトの領主ハンスの侍従ロディアスと出会う。彼にハンスの暗殺容疑がかけられているのを知ったルーク達は、彼の弁護をしようとした結果、ルーク達自身も共犯の容疑者として、街の衛兵隊によって拘留されてしまった。
 この時、仲間と引き離されて「武器庫」に収納されることになったキヨは、そこで自分以外にも「四人のオルガノン」がいることに気付く。彼等(弓、鎧、一足のブーツ)はいずれもケイの新兵達の武具であり、しかもその形状はルークの持つ武具に酷似していた。彼等が犯人なのではないかと考えたルーク達は、マライアの説得によってひとまず「仮釈放」された上で、衛兵達と共に彼等の行方を捜索した結果、彼等の正体が「未来の世界でルークを守れなかった無念からヴェリア界へと辿り着き、この時代に投影されたオルガノン」であることを知らされる。
 彼等は「ルークが死ぬ未来」を変えるためにハンスを殺し、そしてこの街の領主ガスコインをも手にかけようとしていたが、その企みはルーク達によって阻止され、彼等は消滅する。そしてロディアスは、「師匠を殺した武具の持ち主」であるルークに対して複雑な想いを抱きながらも、最終的には気持ちを切り替えて、彼等と共にラピスへと旅立つことを決意するのであった。
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第4話「信〜繋がり合う魂〜」
エルバ
・アーティスト/アームズ
・28歳
・女性
・ティスホーンの牧場の調教師
・シリウスの「信」の邪紋の継承者
 急病にかかったマライアを救うため、薬の調合師を探してティスホーンへと向かったルーク達は、その途上で、馬泥棒を追っていた調教師のエルバと遭遇する。ルーク達は彼女の要請により、彼女が手塩にかけて育てた馬達を「馬使いの荒い君主」に渡さぬために、共にこの地で開催される「五人一組の武術大会」に出場することになった(優勝商品は五頭の馬)。
 ルーク、エルバ、ラスティ、フリック、そして病気から回復したマライアが、状況に応じてキヨを「帯刀」して出場するという作戦を立てた上で、「シリウスの鋭爪」という名義で出場した彼等は、一回戦で「ロザン一座」、二回戦で「夜ノ魔法少女」、三回戦では「ティスホーン軍特選隊」を撃破し、準決勝へと出場する。だが、ここでマライアの身体に再び異変が起きていることが発覚した。どうやら彼女は、病気の治療の際に、(謎の闇魔法師によって)病原菌の除去と引き換えに「異界の神」を自身の身体の中に埋め込まれた状態になっていたらしい。
 再治療のためにマライアを欠いたルーク達であったが、準決勝での「暁の牙」との戦いにも勝利し、決勝へと駒を進める。しかし、もう一つの準決勝の最中に、マライアと同種の「異界の神」の力を得た者達が暴走し、大会は混乱。最終的には彼等を殲滅した後、決勝戦は開催されないままルーク達が暫定王者となり、エルバは彼等について行くことを決意するのであった。
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第5話「悌〜崩れない絆〜」
レピア・S・エトワール
・アーティスト/シャドウ
・29歳
・男性
・ティスホーンの領主の元契約魔法師ガブリエラの秘書官
・シリウスの「悌」の邪紋の継承者
 五人目の邪紋使いの所在地が、聖印教会(の中でも特に過激派の日輪宣教団)が支配する神聖トランガーヌ枢機卿領内であることが分かったルーク、マライア、キヨの三人は、邪紋使い達(ラスティ、フリック、ロディ、エルバ)を連れて同領内に足を踏み入れるのは危険と判断し、ひとまず彼等とはアントリア北西部の港町クラトーマで再会することを約束しつつ別行動を選択した上で、自分達は密かに商隊に紛れて神聖トランガーヌ領内の湖岸都市タレイアへと潜入する。
 この街の領主であるジニュアールは、神聖トランガーヌに降る以前の契約魔法師であったガブリエラを、表面上「行方不明」と公表した上で密かに匿っていたが、彼女の中にはジニュアールとの間に授かった命が宿っていた。このままタレイアに残っていても危険と判断したジニュアールは、ルーク達と、そしてガブリエラの元秘書官にして義弟のレピア(「悌」の邪紋の継承者)に、彼女をアントリア北部の「事実上の中立村」であるマージャへと亡命させることを依頼する。
 密かにガブリエラを商隊の馬車に乗せた彼等は、そのままダーンダルク、ユーパンドラ、クラトーマを経由して(その途上、アントリアの敗残兵や海上の魔物と遭遇しつつもこれらを撃退し)、無事にマージャへと彼女を送り届けることに成功する。そして、義姉の安全を無事に確保したレピアは、彼女の意思に従い、ラピス解放までルーク達に協力することを決意するのであった。
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第6話「仁〜慈しむ心〜」
ティリィ・アステッド
・アーティスト/レイヤーヒロイック
・15歳
・女性
・白狼騎士団軍楽隊員/マージャ孤児院の院長
・シリウスの「仁」の邪紋の継承者
 ラスティ達と合流するためにマージャに逗留を続けていたルーク達は、この地で孤児院の院長を務める白狼騎士団のティリィが、「仁」の邪紋の継承者であることを知る。だが、彼女は「孤児達の保護者としての責務」と「自分と関わった者達が戦場で命を落とし続けた過去」を理由に、ラピス解放のための戦いに協力することを断ってしまう。
 そんな中、孤児院の少女ニコラから「森で出会った異界の小人や小動物達とはぐれてしまった」という悩みを打ち明けられたルーク達は、ティリィと共に村の各地を捜索し、次々とその小動物達を発見する。そして彼等の証言から、まもなく開催される音楽祭に出場予定の者達の一部が、何者かの手によって村のはずれに位置する「魔境」へと連行されていると聞かされたルーク達は、自らその魔境へと乗り込み、歌い手達を誘拐していた魔族倒して、彼等の救出に成功する。
 その後、無事に音楽祭は開催され、各出場者がそれぞれの持ち味を発揮する中、最終的にはニコラを中心とする「マージャ少年音楽隊」が見事に優勝を果たすことになる。そして、ルーク達と一緒ならば自分の「不幸を招き寄せる力」を撥ね退けることも出来る、と確信したティリィは、自分の留守の間の孤児院の管理を(音楽祭に参加するためにテイタニアから来訪していた)ハーミアに任せた上で、ルーク達と共にラピスへと同行する決意を固めるのであった。
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第7話「智〜導き照らす光〜」
フィアールカ
・アーティスト/エーテル
・16歳
・女性
・パルテノの文官(地下アトリエの住人)
・シリウスの「智」の邪紋の継承者
 ラスティ達と合流したルーク達は、ルークの父の従弟エルネストに招待される形で、彼の治める北の港町パルテノに到着する。だが、この町は既に、ラピスを陥落させた透明妖精達の侵入を許していた。シリウスの力を受け継ぐ邪紋使い達が彼等の存在を摘発しようとするが、逆にルークが彼等の襲撃を受け、更にその捜査の過程でラスティが行方不明となってしまう。
 その後、この地でエルネストに「文官」の名目で雇われていた若手芸術家達の一人であるフィアールカという少女が「智」の邪紋の継承者であることを知ったルーク達は、彼女に協力を仰ぎつつ、同時並行でラスティの行方を捜索した結果、ラスティは「パンドラ楽園派」の一員である「Tower of the Sun」という名の建物のオルガノンによって幽閉されていることを知る(そして、フィアールカの友人である地球人の画家パブロも、その組織に加わっていた)。
 「Tower of the Sun」は、ラピスを現在占領している女魔法師アンザの盟友であり、彼女を手助けするために、シリウスの後継者を自身の中に幽閉しようと考えていたのだが、フィアールカと力を合わせたルーク達によって倒され、ラスティは無事に救出される。フィアールカは、友人であるパブロがパンドラへと去って行くのを見守りつつ、ルーク達の「物語」を最後まで見届けるために、彼等と共にラピスへと旅立つことを決意するのであった。 
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第8話「礼〜貫き通す筋〜」
プロキオン
・アーティスト/ライカンスロープ
・18歳
・男性
・ウィンザレア遠征軍部隊長
・シリウスの「礼」の邪紋の継承者
 「最後の一人」が大陸にいると知ったルーク達は、女海賊アクシアの船に乗って、ブレトランドの対岸に位置するランフォード地方のウィンザレア男爵領へと向かう。上陸直後の海岸で、アントリアから派遣されたウィンザレア駐留軍の部隊長プロキオン(「礼」の邪紋の継承者)と出会った彼等は、ウィンザレアを征服しようとする連合の船を撃退した上で、彼を仲間に加える。
 その後、ブレトランドへと帰還し、ラピスを奪還するために海路から突入した彼等は、村の中心部にて、村を占領した首謀者のアンザと対峙する。そこでルーク達は、彼女の正体が「アンザが装着していたサークレットのオルガノン」であり、彼女の目的が「妖精界で死んだアンザの魂の再臨」であることを聞かされたが、そのために混沌災害を引き起こし、多くの村人達が犠牲になっている現状を見過ごすことは出来ないと判断した彼等は、一致団結して彼女と、彼女に協力する妖刀の魔人と、そして透明妖精達と戦い、激戦の末、見事に勝利を収めることになる。
 ルークはラピスの領主に就任し、マライアは彼の契約魔法師となり、ラスティ、ロディアス、エルバの三人はラピスに残って彼等を支える道を選ぶ一方で、フリック、レピア、ティリィ、プロキオンはそれぞれの「居場所」へと帰還し、キヨとフィアールカは新天地へと旅立つ。いつか再び出会える日が来る予感を胸に秘めながら、彼等はそれぞれの未来へと歩み始めていくのであった。
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最終更新:2016年01月02日 09:18