【ブレトランドの英霊】

 四百年前にブレトランドの混沌を浄化し、この地を切り開いた英雄王エルムンド。その偉業を支えたのは「七人の騎士」と「名を伝えられていない一人の魔法師」であったという。しかし、七人の騎士達はその戦いの過程で巨大な混沌核に触れてしまったことで「変わり果てた姿」となり、ブレトランドの各地に封印されることになった。
 この物語は、そんな過去の英霊達と出会ってしまった、今を生きる英雄達の群像劇である。

第1話「白き森の深淵」
ティファニア・ルース
・ロード/ルーラー
・15歳
・女性
・メガエラの領主
・父の急死により爵位継承
ヴェルノーム・D・ヴォルドルフ
・メイジ/エレメンタラー
・23歳
・男性
・ティファニアの契約魔法師
・恋人はアントリアの次席魔法師
ターリャ・カーリン
・アーティスト/アンデッド
・20歳
・女性
・メガエラの警備隊長
・兄はヴァレフールの騎士隊長
クローディア・シュトライテン
・アーティスト/シャドウ
・16歳?
・女性
・ティファニアの侍従
・本来はトランガーヌ子爵の侍従
+ 人物相関図
 旧トランガーヌ子爵領の南部に位置するメガエラは、伝染病の特効薬となる稀少な薬草「ヴィット」を特産物とする中立村である。そのヴィットを生み出す森の奥地に、何らかの巨大な混沌の力が潜んでいるという噂が広がり、アントリアとヴァレフールが、その調査のための介入を画策してきた。アントリアはヴェルノームの恋人である次席魔法師クリスを、ヴァレフールはターリャの兄である騎士隊長ファルクを通じて、この機に調査協力の名目でメガエラそのものを保護下に置くことを目指すが、ティファニアはあくまで独力でこの問題を解決する道を選ぶ。
 そんな中、聖印教会の過激派による森の焼き討ち計画が発覚する。彼等の背後にいるのは、かつてクローディアが仕えていた先代トランガーヌ子爵であったが、クローディアは「今の主」であるティファニアへの忠義を選び、かつての同胞達を、ティファニア達と共に撃退する。
 そして、森の奥地へと足を踏み入れたティファニア達は、地割れした大地の奥に眠る巨大亀(その正体は、エルムンドの七騎士の一人、フェルマータ)と出会う。ヴィットを生み出していたのは、地中に眠る彼の身体から溢れ出る混沌の力であることを確認した彼女は、「我が力を解放し、我と共にこの小大陸に覇を唱えよ」という巨大亀の要求を断り、地割れを埋め立て、これまで通りの「人々を助ける薬草を生み出す平和な村」を維持する道を選ぶのであった。
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第2話「聖女の末裔」
レイン・J・ウィンストン
・ロード/セイバー
・20歳
・女性
・白狼騎士団の軍楽隊の指揮官
・LOVE&PEACEの伝道者
ラーテン・ストラトス
・メイジ/サイキック
・20歳
・男性
・アントリア預かりの未契約魔法師
・最初の契約相手は騎士を廃業
アマル
・アーティスト/ライカンスロープ
・20歳
・男性
・アントリアの治安部隊の指揮官
・闇魔法師の手による人造邪紋使い
メア
・アーティスト/シャドウ
・16歳
・女性
・現アントリア子爵の侍従
・仕官前の記憶は喪失
+ 人物相関図
 アントリア北部の廃村マージャ付近にて、旧子爵家の残党による、この地に眠る「武神像」の力を用いた反逆計画が進行しつつあった。これに対して同国の筆頭魔法師ローガンは、白狼騎士団のレイン、次席魔法師クリスの実弟ラーテン、マージャ村出身のアマル、現アントリア子爵ダン・ディオードの侍従のメアの四人を指揮官とした混成部隊を現地へと派遣する。
 その途上、旧子爵家の末裔のミリアと遭遇したメアは、自分の正体がミリアの妹であると知り、かつて自分がダン・ディオードを殺そうとしていた時の記憶を思い出す。更にミリアの陣営に、ラーテンの以前の契約相手だった元騎士サイロットと、アマルの恩人であるパンドラの闇魔法師シアンが加わっていることが判明し、調査隊はその方針を巡って混乱状態に陥る。
 レインが両陣営の和解を模索する中、ミリアはダン・ディオードと戦うために独断で武神像(その正体は、エルムンドの七騎士の一人、ブレーヴェ)の封印を解くが、メアは「ダン・ディオードを守りたい」という「今の心」を捨てることが出来ない。旧子爵家への忠義を信条とする武神像は、姉妹の方針の対立を察し、彼女達の心が一つになるまで、再び自らの存在を封印する。その後、レインはマージャの領主となり、アマル、メアと共に村を再建させつつ、ミリア達との対話を続ける道を選び、ラーテンは彼女達の想いを理解した上で、報告書を届けるのであった。
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第3話「長城線(ロングウォール)の三兄弟」
ロートス・ケリガン
・ロード/アーチャー
・22歳
・男性
・オディールの領主の長男
・契約魔法師の名はオデット
オルガ・ダンチヒ
・メイジ/プロフェット
・23歳
・女性
・オディールの領主の新任契約魔法師
・ロートスの契約魔法師は妹弟子
セリム・ガイゼル
・アーティスト/レイヤードラゴン
・23歳
・男性
・オディールの武官
・ロートスの異母弟ゲンドルフの親友
エリザベス
・アーティスト/アンデッド
・?歳
・女性
・オディールの武官
・ロートスの異母弟リューベンの恋人
+ 人物相関図
 アントリアとの国境線に位置する「長城線(ロングウォール)」の中核に位置する城塞都市オディールの領主、ジュマール・ケリガン男爵が暗殺された。長男ロートスは、異母弟達から疑惑の目を向けられながらも、父の契約魔法師となる筈だったオルガ、長弟ゲンドルフの親友セリム、末弟リューベンの恋人エリザベスと共に、犯人の手掛かりを探す。
 そして様々な経緯の末、ロートス達はこの事件が、ロートスによる男爵位継承を切望する彼の契約魔法師オデット(実はロートスの異父妹)と、ケリガン家に伝わる「三本の黄金槍」の中に封印された「三つ首の黄金龍(その正体は、エルムンドの七騎士の一人、トライアード)」の復活を望むパンドラの闇魔法師シアンによる陰謀であったことを知る。シアンは、間もなくこの地にアントリア軍が迫りつつあることを告げ、黄金龍の力でそれを迎撃することを提言するが、ロートスはそれを拒否し、最終的には異母弟達とも協力した上で、アントリア軍の撃退に成功する。
 戦後、異母弟達からも男爵位と領主の座の継承を認められたロートスは、自分のために大罪を犯したオデットに対して、(対外的にはその罪状を伏せた上で)自分の首席契約魔法師の地位から解任し(その後任にはオルガを据えて)、この戦いで被害を被った人々を支援するための「生活相談所」の責任者という形での「贖罪の道」を与えたのであった。
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第4話「帰らざる翼」
マーシャル・ジェミナイ
・ロード/ルーラー
・15歳
・男性
・アントリア騎士団の下級指揮官
・騎士団長バルバロッサの養子(甥)
ヴェルナ・クアドラント
・メイジ/プロフェット
・18歳
・女性
・エーラム魔法学院の学生
・入門以前の記憶は抹消済み
シドウ・イースラー
・アーティスト/アンデッド
・17歳
・男性
・パルテノの警備隊長
・コートウェルズの貴族家出身
ウィルバート・ファーネス
・アーティスト/レイヤードラゴン
・15歳
・男性
・傭兵団「暁の牙」の一員
・両親はコートウェルズで戦死
+ 人物相関図
 コートウェルズ島から海を越えてアントリアへと飛来する龍の数が、一ヶ月程前から急増しつつあった。アントリア子爵ダン・ディオードは、この問題を解決するために、「鉄仮面の騎士」ホルスを総責任者とした上で、アントリア騎士団の下級指揮官マーシャル、北岸の地パルテノの武官シドウ、エーラムの魔法師ヴェルナ、「暁の牙」の傭兵ウィルバートという、四人の若者を部隊長とした、異種混合体の「調査兵団」をコートウェルズ北部のゼビア地方に派兵する。
 様々な経緯の末、調査兵団の面々は、この異変の発端が、ゼビア地方を守っていた紅蓮の翼竜(その正体は、エルムンドの七騎士の一人、トレブル・クレフ)の力の喪失にあり、その復活のためには、彼と「魂の契約」を結ぶ君主が必要であることを知る。マーシャルとホルスのどちらかとの契約を願う紅蓮の翼竜に対して、マーシャルがホルスにその座を譲ると、ホルスはその提案を了承した上で、マーシャル達に衝撃的な事実を告げる。鉄仮面の下に隠された彼の正体はアントリア子爵ダン・ディオードであり、マーシャル達四人は、いずれも彼の私生児であるという。
 ダン・ディオードは紅蓮の翼竜と共にコートウェルズ全土を浄化すると宣言し、彼が不在の間の「名代」をマーシャルに委ねる。マーシャルは「身勝手な実父」に内心激しく反発しつつも、「祖国アントリア」を守るため、その任に就くことを承諾するのであった。
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第5話「禁じられた唄」
エディ・ルマンド
・ロード/キャヴァリアー
・21歳
・男性
・トーキーの領主
・ケイの男爵令息セシルの従兄
スュクル・トランスポーター
・メイジ/プロフェット
・30歳
・男性
・クワイエットの領主ファルコンの契約魔法師
・ルーンフォークの投影体の末裔
SFC
・プロジェクション/オルガノン
・23歳
・女性
・ケイ男爵令息セシルの親衛隊長
・正体は1990年代の地球の玩具
ミレーユ・メランダ
・アーティスト/ライカンスロープ
・16歳
・女性
・ロザン一座の歌姫
・双子の妹はアイレナ
+ 人物相関図
 中央山脈の南東部に位置する旧トランガーヌ領のマーチ村は、7年前に巨大な混沌災害で領主を失い、彼と主従契約を結んでいた巨大蛾の幼虫(その正体は、エルムンドの七騎士の一人、バス・クレフ)は、暴走状態となる直前に、口から吐く糸で投影体と村人達を「混沌繭」に封じ込め、自らも巨大な混沌繭の中で休眠状態となった上で、「新たな君主」の出現を待ち続けていた。
 研究目的からその巨大蛾の「成虫の姿」を見たいと願うパンドラの闇魔法師シアンは、マーチの領主家の血を引く旧トランガーヌ領トーキー(現在は中立村)の領主エディと、ヴァレフール領ケイの領主令息セシル、そして巨大蛾の羽化を可能とする「唄」を歌う能力を持つ双子の歌姫ミレーユとアイレナを、マーチ村の跡地へと誘い出す。しかし、この過程で、セシルの側近のSFC、アントリア領クワイエットの魔法師スュクル、グリース領アトロポスの斥候コーネリアスなどの介入を招いた結果、巨大蛾を巡る状況は混乱し、最終的には巨大蛾の幼虫はセシルと契約を結ぶことによって再び目覚めたものの、成虫への羽化は(原因不明のまま)失敗に終わる。
 その後、混沌繭の中から蘇ったマーチの人々は、村の守護神である巨大蛾の幼虫と契約を結んだセシルを新たな領主に迎えることでヴァレフール領の村として再建の道を歩む一方で、トーキーは複雑な外交交渉の末に、暫定的にグリースの統治下に置かれることになるのであった。
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第6話「炎のさだめ」
ユーフィー・リルクロート
・ロード/セイバー
・19歳
・女性
・テイタニアの領主
・先代領主の次女(第4子)
インディゴ・クレセント
・メイジ/サイキック
・37歳
・男性
・ユーフィーの契約魔法師
・トイバルに殺された魔法師の義弟
アレス
・アーティスト/シャドウ
・28歳
・男性
・テイタニアの武官
・ワトホートに滅ぼされた村の生き残り
ハーミア
・プロジェクション/地球人
・17歳
・女性
・テイタニアの政務補佐官
・ヴェラの夫イアンの元恋人
+ 人物相関図
 ボルフヴァルド大森林に面するテイタニアの街の領主ユーフィーは、夢の中に現れた謎の女性から、街の南岸のカーレル川の氾濫の予言を聞かされる。同時期に彼女の契約魔法師のインディゴも謎の魔法少女から同様の忠告を受けたこともあり、臣下のアレス、ハーミアと共に川沿いの堤防を強化した結果、実際に大水害は起きたものの、その被害は最小限に食い止められた。
 この水害の原因は、水源であるパルトークの湖底火山の噴火に伴う火山島の出現であった。ヴァレフール伯爵ブラギスは、その火山島の奥に大毒龍ヴァレフスが眠っていると断言し、そのヴァレフスを討ち取った者を後継者にすると宣言したため、長男ワトホートの継承を望む一派と、次男トイバルの戴冠を願う一派がそれぞれに討伐隊を率いて火山島へと進軍することになる。
 しかし、その火山から現れた巨大な黒蜥蜴の怪物(その正体は、エルムンドの七騎士の一人、マルカート)はあまりに強力で、トイバルは戦死し、テイタニアは危機に陥るが、最終的にはハーミアの旧知のジェームスと(上述の)謎の魔法少女の助力を得た上で、ユーフィーの妹のサーシャが怪物と魂を同化させたまま休眠状態に入ることで、その怪物を実質的に封印する。一方、この一連の戦いの間にブラギスが、アレスの旧友アルフリードの手で暗殺され、ワトホートが後継者となるものの、旧トイバル派の諸侯はそれを認めず、ヴァレフールは内紛状態へと陥るのであった。
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最終話「受け継がれる魂」
ハインリヒ
・ロード/パラディン
・21歳
・男性
・エーラムの魔法師フェルガナの護衛隊長
・現グリース子爵ゲオルグの兄
カナン・エステリア
・メイジ/エレメンタラー
・23歳
・女性
・エーラムの魔法師フェルガナの弟子
・前アントリア子爵ロレインの妹
ルナ・エステリア
・メイジ/アルケミスト
・17歳
・女性
・エーラムの魔法師フェルガナの弟子
・現ヴァレフール伯爵ワトホートの長女
ユニス・エステリア
・メイジ/ヒーラー(常磐)
・13歳
・女性
・エーラムの魔法師フェルガナの弟子
・現トランガーヌ枢機卿ヘンリーの長女
+ 人物相関図
 グリース北部に位置する「紅の山」の近辺の火山灰帯は、混沌濃度が高い危険な地域と言われており、通常は人々が足を踏み入れることは少ない。しかし、最近になって、旅人達がその地に現れた「美しいエルフ」に心を惑わされて行方不明になる、という事件が多発している。調査に向かったエーラムの高等教員ノギロまでもが音信不通となったことで、彼の盟友フェルガナは、自身の護衛隊長ハインリヒと、カナン、ルナ、ユニスという三人の弟子を現地に派遣することを決意する。
 紅の山に到着した彼等は、諸々の経緯の末、紅の山の地下に眠る英雄王エルムンドの霊廟へと到達し、そこで「真実」を知ることになる。エルムンドには三人の妻がいたこと。その妻の中の一人の消滅が「大毒龍ヴァレフス」出現の引金になったということ。エルムンドが実はまだ死んではいない(「休眠」状態である)こと。そして、この火山灰帯の混沌濃度が高いのは、ヴァレフスの毒に侵されたエルムンドの身体がここに安置されているのが原因だということ。
 全てを知った上で、ハインリヒは、昨今の事件の元凶となったエルフ(その正体は、彼の初恋の相手であるディードリット)の消滅を見届けた上で、その後に出現した巨大なゴリラの投影体を、自身の中に眠っていた光の巨人(その正体は、エルムンドの七騎士の一人、パウザ・ディ・ネラ)の力を解放することで撃退し、事件は無事に解決したのであった。
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最終更新:2016年04月06日 04:34