邪気眼を持たぬものには分からぬ話 まとめ @ ウィキ 『吸血鬼伝説』

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およそ1600年ほど前、ヨーロッパ付近で爆発的に悪性吸血鬼の数が増し、その後ほとんどが退治されるという事件が起こりました。
これが有名な、現代にまで伝えられる「吸血鬼戦争」のことです。

これをご覧の皆様は、吸血鬼に悪性と善性がいることをご存知でしょうか?
悪性の吸血鬼は他者の血を吸うことで仲間を増やし、残忍な性格をしていることが多く、怪力を持っております。
善性の吸血鬼は他者に自分の血を与えることで仲間を増やし、温厚な性格をしていることが多く、生きるために少量の血液を必要とします。
これら以外にも吸血鬼と呼ばれる生物は多くおりますが、ここでは便宜的に、吸血鬼といえば上の二つのことを指すことにいたします。

さて、1600年前――およそ4世紀ごろに起こった吸血鬼戦争。
これは悪性の吸血鬼が、善性の吸血鬼を廃そうとしたのが原因で起こりました。
元々吸血鬼は善性であり、悪性の吸血鬼は何らかの要因で善性に"なりそこなった"と考えられていたのですが……。
悪性の吸血鬼でも特に力の強かった「クル=スーニーク」はこう考えました。

「我らは進化したのだ。もはや、善の吸血鬼も人間もいらぬ。
 血液を必要としない我々こそが最も優れた生物なのだ!」

吸血鬼には、真祖と呼ばれる6人の善性吸血鬼がいました。
クル=スーニークは、この6人を罠にかけてとある洞窟に封印したのです。
真祖は最も長く生き、最も力の強い吸血鬼。悪性で一番強いクル=スーニークでも、傷付けることすら出来ないのですから。

そして真祖を封じ込めた悪性吸血鬼たちは善性の吸血鬼たちと人間に宣戦布告。
手当たり次第に街や集落を襲い始めました。

人間たちは仰天しました。
今まで空想の物と思われていた吸血鬼が、いきなり戦争を仕掛けてきたのです。
それでも人間は眼や魔術を駆使して吸血鬼と戦いました。この時に活躍したのが「四英雄」と呼ばれる勇者たちです。

体を霧に変化させるジャコブ=ネスプロ。
狼に変身して戦うオルフ=ルンベック。
蝙蝠を操るマイシカ=ムニス。
魔眼を持つオクタビア=バルケロ。

この四人の活躍によって、悪性の吸血鬼は徐々に追い詰められていきました。
街を失い、城を失い、拠点を失い……次々と仲間も戦死していきます。



そして開戦から1年が経った時。
悪性吸血鬼は、ヨーロッパのほとんどを支配していました。

あれほどの負けを喫したのに、何故逆転できたのか?
実は、開戦から半年経った時、クル=スーニークは四英雄の力を自力で習得してしまったのです。
ただでさえ怪力を持つ悪性吸血鬼に霧、狼、蝙蝠、魔眼の力を使われ、人間はみるみるうちに逆転されてしまいました。
さらにはクル=スーニークが血を吸い仲間にした悪性吸血鬼も、四英雄の力を有していたのです。

このままでは人間が絶滅してしまう。
あの気の良い隣人を、助けなくては。

今まで山奥などに隠れ住み、動物の血を啜って生きていた善性の吸血鬼が、ここで立ち上がりました。
しかし悪性吸血鬼の軍勢はとても強大で、善性吸血鬼と人間が全て協力したとしても打ち破れるとは思えません。
そこで善性吸血鬼は、己の全てを投げ打って真祖救出に動いたのです。

クル=スーニークにとっても真祖の存在は重要です。
戦況が苦しくなった時でも、主力と同じほどの戦力を洞窟の警備に回していました。
戦いなど経験したことの無い善性吸血鬼はこの警備を掻い潜る技術や作戦は持っていません。


だから、全員で洞窟へ突撃したのです。


己の命も仲間も顧みず、ただひたすら洞窟の中を目指す善性吸血鬼たち。
強固な防備を敷いていた悪性吸血鬼も、この愚直な突進作戦をいつまでも支えることは出来ません。
大地が血で染まり、はらわたの山が築かれた時、ついに善性吸血鬼の一人が洞窟の中で封印を外すことに成功しました。
真祖の六人は封印を外してくれた吸血鬼から事情を聞き、怒り狂いました。

銀を操るカミラ。
流水を司るストルゴ。
太陽光を支配するワーラカ。
大蒜を触媒として古代魔法を使うピピストラ。
白樹の加護を受けるジャムス。
そして、十字架を武器とするブラド。

この六人の前では、英雄の力を身につけたクル=スーニークも歯が立ちません。
真祖が復活してからたった三日。
たった三日で、クル=スーニークは戦死。悪性吸血鬼のほとんども打ち滅ぼされました。
しかし、善性吸血鬼も真祖を助けた時の戦いでほとんどが死んでしまったのです。

こうして吸血鬼戦争は終わりました。
真祖の六人はこの悲劇を繰り返さないために、生き残った吸血鬼たちに仲間を作ることを禁じました。
魔物を作って人間と戦った者。人間と夫婦となり、子供を残した者。一人誰とも関わらずに動物と生きた者。
真祖以外は皆死に、思い思いの人生を送った吸血鬼たちですが、仲間を作ることだけは絶対にしなかったそうな。