邪気眼を持たぬものには分からぬ話 まとめ @ ウィキ 容疑者Ⅱ

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「あぁぁぁ……萌葱、無事でいてくれひぇぇぇぇ………」

「………………」


目の前で頭をかかえてぶるんぶるん震えている、このどうにも憎めなそうな男。
三島 健吾はこれからその萌葱ちゃんに殺害される予定である。
何をどうしてこいつに殺意を抱いたと言うのか、本当に疑問でならない。
とりあえず警部とは話が通じないので、やはり本人に注意を促しておくとして。


「…婚約者の心配も良いけど、自分の身辺の心配もしておいた方がいいと思うな」

「…ああ、君は探偵だっけ…うん、其れは解ってるよ。でもほら、警察の人たちも居てくれるし……
 特に及川さん、佐々木さん、志波さんの三人は、前から良く知っているから」

「あの人たちと面識が有るの?」

「うん、及川さんは父の友人でね。ほら、こういう家だからたまに物騒な犯行予告みたいなこともあってさ
 佐々木さんと志波さんと一緒に、よくお世話になってたんだ」


よく警察のお世話になってたというのは前科者の言う言葉じゃないかな。
それともマジで前科もちだったりするのかなこの成金一家。


「…それに、佐々木さんは実はその……ここだけの話、可憐と良い感じなんだよね」


可憐とは…ああ、この家のメイドの、眼鏡に三つ編みでビシとした方か。
ついでにわりと巨乳だから、竜胆先生がたまらなそうな感じの。
佐々木のやつ、体育会系で純情そうな感じしていつのまにそんな肉食系男児になっていたんだ。
草食系とかマジ勘弁なのか?


「椿ちゃんが少しあおったりしてるんだけどね…進展はわりとゆっくりみたいなんだ」


椿と言うとあの貧乳ボブカットほんわかややロリメイドのほうか。
あれがカップル成立させようとして動いたところで、確かに空回りしそうな気しかしない。
今も思いっきり紅茶をこぼしているが、当主の三島 典之は笑顔で気持ちよく許してやっていた。
孝行爺というよりも好色自慰といった感じの笑顔を浮かべていたのが気になるが、やっぱり抱かれているのか。
奥さん死んでるみたいだし。

もう一人のエロ爺、仙堂 秋水。すなわち萌葱の父親は動じている様子は無い。
……いや、薄眼を開けてるぞこいつ。紅茶で透けたスカートを透視しようとしている。貴様もロリコンか。
なんてことだ。誘拐より殺人よりまず先にロリコンを逮捕すべきだ。
とりあえずアシュリーを近付けてはならない。僕もまだロリの範疇だから気をつけるべきだ。
被害者(予定)1人、警察3人、メイド2人、ロリコン2人か。
なんつー家だよここは。

……あ、もう一人いたな、そういえば。


「どう、探偵さん?何か推理は進展したかしら?」


ウザいウザい。付きまとうなこのロリが。
こいつがさっきからちょこちょこ後ろをついてくるので、やりづらくてしょうがない。
こそっと抜け出して何か殺人用の罠が仕掛けられていないか探しにも行けやしない。
こいつに関しても少し調べてみるべきなのだが…なんというか、苦手なタイプなのだ、こいつは。
見透かしたような目をしている。クドリャフカと同じだ。


「探偵さんはどう?結局お姉さまは本当にさらわれたんだと思う?」

「………さあね。その口ぶりだと君は萌葱さんそのものを疑っているみたいだけど……」

「さっきも健吾さんに言ったんだけど、やっぱりこの誘拐はおかしいと思うの。居なくなってから二週間も経って手紙が
 届いているうえに、身代金かそれに値する物の要求も無く、この件をマスコミに公表しろだなんて、ナンセンスだわ。」


警察で無くこの小娘がここまでの考えに至っている事実に、僕は頭を抱えざるを得ない。
この調子で、全てが狂言であり、真の狙いは殺人である事実にまで推理が至ってくれれば助かるのかもしれないが
中途半端に推理を進行されるのは、僕の首を絞めかねない。


「……あまり深く考えない方がいいよ。無駄な推測は真相を隠してしまうから」

「でも、それが探偵のお仕事なんでしょう?真実と推測を一つに束ねる事が」

「そんなに崇高な言い方をされるのは心外かもね。探偵は人の秘密を暴いて悦に浸る知的強姦者に過ぎないよ」

「心を犯すのが専門なのね、素敵だわ!」


どんな感性してるんだこいつ。
ミステリ小説なら解りやすくアブナイ奴すぎて、真っ先に容疑者から外れてしまうタイプだ。

とりあえずこれでこの部屋に集められた人物に関しては全員か。館の全ての人間や、張り込んでいる警察。
そして表を取り囲むマスコミにまで注意を払うのはさすがに無理だ。
窓の外にちらつくカメラの影を感じながら、僕は溜息をつく。
……………ん?


「………………んなっ」


見ちゃいけないものが表を通って行った。


「……………ミルチャ…………」