けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

百合色の未来

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mioritsu

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7月。
今年も、下半期。
下半期に入ると同時に、我がHTTでは恒例行事が執り行なわれる。

放課後ティータイムのブレインである琴吹紬の、誕生会だ。

皆でムギにプレゼントあげたり。
主賓のムギ自ら皆にお茶を振舞ったり。
良い意味で「いつも通り」なやりとりが繰り広げられた。

唯がケーキの苺をを独り占めしようとしたり。
梓がソレを阻止したり。
律が盛大にシャンパンを開けたり。
私はソレをグラスに注いであげたり。
ムギはいつもの笑顔で、眺めていて。

こんな何気無い「いつも通り」なやりとりが、お嬢様育ちのムギにとってはこの上無い原動力になっていて。
バンドに還元してくれる。

私達の何てコトない事柄を拾っては、想像も付かない曲にして披露したり。
気付かない所で気を回しては、いつの間にか私達を一つにしてくれたり。

居て、当たり前。
居なくちゃ、成り立たない。
居ないと、成り立たない。

不思議な存在だった。

そんな不思議なムギ。
私と律だったり、唯と梓だったり。
所謂「仲の良い二人組」のやりとりに関しては特に、敏感だった。
嗅覚鋭く反応しては、その優しく柔らかい笑顔で幸せそうな暖かく見守る。
そんな「しあわせ」を存在感でまんま表されると、見守られた二人組は赤面しつつ照れつつ。
すごすごと離れていくしかなかった。

ムギは、照れるそんな二人組を。相変わらず屈託の無さ過ぎる笑顔で見守るのだった。

賑やかな誕生会もお開き。
「みんな、今日は本当にありがとう!!」
ムギはいつもの、満面の笑顔をくれた。
ムギの笑顔から言葉以上の気持ちを受け取り、私達は解散した。



私と律は同じ部屋で、隣り合いながら。
それぞれ雑誌を読んでいた。
「ムギ、嬉しそうだったなー」
「喜んでもらえて、何よりだったな!」
雑誌を読みつつ、会話を交わす私と律。
「‥澪ー」
「んー?」
「誕生日プレゼント。何がいい?」
律が唐突に聞いてきた。
「まだまだ先じゃん」
「そうだけど、さ」
律は雑誌を置いて
「ん?」

ぐいっ

不思議がる私を抱き寄せた。
「値が張るモノだったら、今から節約しなきゃいけないじゃん?」
「んー‥」
律の言葉に、私は少し黙って
「‥予告する物でもないだろ?」
冷静に突っ込んだ。
「まぁ、なー」
律は気にも留めず。ゴロン、と寝転んだ。
「…指輪欲しいなー、とか。言っとけばイイの?」
「あ、指輪欲しい?」
「欲しいけど…」
「けど?」
「…普通の指輪じゃ、ないし‥」
「そりゃそうだろ」


律は私の頭を撫でると
「…そろそろ、婚約指輪。だしな」
何気に爆弾発言をした。
「こっ…こんやくっ、てっ…」
私が思いっ切り狼狽えると、律はなんだよー、とまた私の頭を撫で
「普通の指輪じゃ、ないんだろ?」
聞いてきた。
「そうだけど‥」
「…まったく」
律は、口篭る私を抱き寄せた。
「次にはめるのがエンゲージリングで、そん次が、ブライダルリング。な?」
「……」
私は、律の胸に顔を埋めて赤面して。頷くだけで精一杯だった。

確かに、婚約したら婚約指輪。結婚となれば結婚指輪。
当たり前な事柄……だけど。実際、恋人から言われると、照れに照れた。

「…」
私は律の胸の中で律の部屋着をギュッ、と握った。
照れ隠し‥のつもり。

「…みーおー」
律は私の左手を解いた。

「‥?」
私は不思議顔で左手を律に委ねた。

「…」
律は、左手で手際良く私の左手首を掴み

「…ほら」
右手の親指と人差指で、私の左手の薬指に指輪を作った。

「…」
私は、無言で指輪を見つめた。

「ココに、欲しいんだよな?」
キュッ、と。指輪を締めて。律は聞いてきた。

「………うん」
私は、小さく頷いた。

「これから、ヘソクリ貯めなきゃなー」
律はおどけた。
私はおどける律の指輪を傾け

………ちゅっ

くちづけを、した。

「…」
律は、無言の笑顔で。左手で私の頭を撫でた。

私は指輪から唇を放し
「‥指輪」
「‥ん?」
「かわいいのが、いいな…」
ぺろっ、と。指輪を舐めた。

「…楽しみに、してな」
律は、右手で。私の左手を握った。

「‥‥‥うん」
私はちいさく頷き

…………。


指輪に、くちづけた。

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