けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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mioritsu

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梓と澪は仲が良い。
話も合うみたいで梓は澪に懐いてるし、澪もそんな梓を可愛がってる。
最近は特に二人の距離が近くなったような感じ。
別にいいんだけどさ。
私がそれにわざわざ口を出す必要はないし、口出しするような関係でもない。
それに人見知りする澪に心を許せる相手が出来たことを、幼なじみの私は喜ぶべきじゃないのか。

「澪先輩、この曲聞いたことあります?」
「ああ、あるよ。サビの盛り上がりがいいんだよなー」
「ですよね!特にここのギターとか――」

ああ、そこは私の場所だったのに。
そんなことを考えてる自分が気持ち悪い。
梓に嫉妬してるのかな?してるとしたら、何に対して?
…これ以上考えちゃダメだ。
この先にある答えを言葉にしてしまったら、幼なじみという関係が壊れてしまう。
多分、今の関係が最良なんだ。
「どうした?律。ボーっとして」
「そんなことないぞ!ちょっと寝不足なだけだー」
「それが原因だろうが!どうせ夜中にDVDでも見てたんだろ?」
「ありゃ、澪しゃんにはバレてましたか」
「律のことだからな、何年の付き合いだと思ってんだ」
こんな他愛もないやりとりに安心する。
でも違うよ澪。寝不足なのはライブDVDのせいじゃないんだ。
目を閉じても眠れないんだよ。
澪のことを考えてしまうし、ずっと考えてると最後にはどうしようもない自己嫌悪に陥ってしまう。
あーもう!馬鹿か私は!

部活が終わり、帰り支度をしていると梓と澪が何やら話していた。
「律先輩も行きますよね?」
突然すぎて何のことだかわからない。
「今から梓と一緒にCDショップに行くんだ。律も行くだろ?」
「そのショップ、律先輩の好きそうなCDもいっぱいあったんですよ!」
梓はいい子だ。私はそんな梓を可愛いと思うのに、同時に嫉妬なんかしてる。
「ごめんなー、今日は寝不足だしまっすぐ帰ってゆっくりするわ!二人で行ってきなよ」
なんだか罪悪感を覚えて、梓の頭をワシャワシャとかき回した。
「もう、やめてくださいよー」
梓がくすぐったそうに笑う。
「夜更かしはほどほどにしろよ。残念だけど今回は二人で行くか」
「律先輩も今度は一緒に行きましょうね」


梓と澪とは校門で別れて一人歩いて帰った。
帰ったらすぐに寝てしまおう。
眠ってる間は胸を締め付けられるようなこんな苦しい思いしなくてすむ。
家に着くと部屋に直行してカバンとブレザーをその辺に投げ捨てた。
制服姿のままベッドに潜り込むと頭まで布団を被って体を小さく丸めるようにする。
「…っはぁぁ~」
大きくため息を吐いてみたものの胸の苦しさが一緒に吐き出されることはなかった。
…こんな調子じゃこれからの部活動にも支障がでるぞ。

澪が好きだ。
澪が好き澪が好き澪が好き。
心の中で何度も唱えてみる。
いっそ正直に言ってしまおうか。
この気持ちを伝えても、澪は今まで通りに接してくれるかな。
「って無理だよなあ~…」
どう考えてもそんな都合のいいことあるわけない。
しばらく悶々と考えをめぐらせていたら、ふいに聞き慣れた足音がした。
ガチャリとドアが開く音がして人の気配が近づいてくる。
「律」
私は返事をしない。
私が寝てるとなれば澪も帰るだろう。澪には悪いけど寝たフリをしたままやりすごすことにした。
「寝てるのか…?たくっ、制服床にほっぽってるし」
どうやらブレザーをハンガーに掛けてくれてるらしい。
「起きないのかー?おまえの好きそうなCDがあったから買ってきたぞー」
澪が私を布団の上から軽く揺する。
私は起きる素振りを見せない。いや、本当は起きてるんだけど。
「ふふ、どんだけ眠かったんだ。‥‥‥」
「…さっきさ、律へのCD買ってるとき、澪先輩は本当に律先輩のことが好きなんですね、なんて梓に言われたよ」
ふふ、と澪の笑う声がする。
私が眠ってると思い込んでる澪は一人で話し続ける。
「律はさ、私に好きだなんて言われたら困よな?律は私のことただの幼なじみとしか思ってないもんな…」
消え入るような声で、「こんなに好きなのに…。」と聞こえた。


これはどういう状況なんだろう…。
その言葉にどんな意味が含まれてるのか、理解したいのに思考が追い付かない。
心臓がうるさい。
どんなに正しく理解しようとしても、自分の頭には都合のいい答えしか浮かばなかった。

「澪…」
意を決してベッドから起き上がる。ずっと布団を被ってたせいか、顔が熱い。
「りっ律!起きたのか!?」
「起きたって言うか、ずっと起きてた」
ホントは寝たフリを通すつもりだったんだけどね。
「は?え!?そ、それって…、それじゃあ、…さっきの聞いた?」
「…うん。」
私が頷くと、澪は一瞬泣きそうな表情になり俯いてしまった。
髪の間から覗く耳が真っ赤に染まっている。
「ねえ、さっきのってどういう意味?」
澪に尋ねる。言いながら自分でも卑怯な聞き方だと思った。
「ねえ、澪」
「……そのまんまの意味だよ」
澪はそう言ったっきり黙ってしまった。
気まずい沈黙が流れる。
気の聞いた返事が浮かばなかったから、私は素直に澪の言葉に答えることにした。
「困らないよ」
「…え?」
「だから、澪に好きだって言われても困らないって言ったの」

もう、言うしかないみたいだ。

「私は、澪が好きだ。恋愛対象として、澪のこと好きなんだ…」
言っちまった。なんか最後のほうは声が震えてカッコ悪い。
澪はというと心底驚いたような顔をして私を見ている。
「な、なんでおまえがそんなこと言うんだ…。律は、私のこと幼なじみとしか思ってなかったんじゃないのか?」
「違うよ。ねえ、澪。澪の気持ち聞かせてよ」
「私は…。私も、律とおんなじだよ‥‥好きだよ」
心臓が口から飛び出すかと思った。
ずっと煩かった心臓が、さっきよりさらに早いビートを刻んでいる。
思わず澪を抱き締めた。
「ちょっと、りっ律!」
腕を回してぎゅうと強く抱き締めると澪の鼓動が感じられた。
私と変わらないくらい早いビートだ。
「律…。苦しいよ。」
澪の言葉で体を離す。
顔を見合せると、急に恥ずかしさが込み上げてきた。
お互い真っ赤になって向かい合っている。今までの長い付き合いの中でこんな状況あったかな?
「澪があんなこというから、びっくりした」
「だって、寝てると思ったし。起きてたら言えるわけないよ…」
こんなことなら自分からさっさと言ってしまえばよかった。
梓に嫉妬なんかして、本当に私は馬鹿だな。
ずっと胸につっかえてあった苦しさは、今は心地よい切なさに変わった気がする。
「へへっ、澪!大好きだぞ!」


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