投稿日:2010/07/10(土) 02:56:24
「あーあ、なんで赤くないんだろ」
何を突然。そう思って、律の方を見てみれば自分のタイをいじっている。
桜高は緑・青・赤と指定の色が決まっていて、たまたま私たちは青。
桜高は緑・青・赤と指定の色が決まっていて、たまたま私たちは青。
「なんだ?梓と同級生にでもなりたいのか?」
律に留年願望があるとは知らなかった。
「ちっがーう!」
律は、両手をあげ大きな声で否定した。うるさい。近所迷惑。
「じゃあ、なんだって言うんだよ」
「え、あー。それは……」
「え、あー。それは……」
律は俯き、視線を泳がせ、顔を赤らめる。
いやいや、今の話でそういう風になる要素ないよな?
タイで何をどうしたらそういう反応になるんだ。
いやいや、今の話でそういう風になる要素ないよな?
タイで何をどうしたらそういう反応になるんだ。
「それは?」
そのまま中々答えない律に痺れを切らし、続きを促す。
「……わ、笑うなよ?」
「場合による」
「なっ!……そこは嘘でも『笑わないよ』って答えるとこだ!」
「そんな事言ったって……」
「場合による」
「なっ!……そこは嘘でも『笑わないよ』って答えるとこだ!」
「そんな事言ったって……」
だって、只でさえ律が何時もはしないような反応をしてるんだ。
笑わない自信がない。そう思いつつ律の方を眺めていると、急にタイを解きだした。
そして、何を思ったのか私のタイにまで手をかける。
笑わない自信がない。そう思いつつ律の方を眺めていると、急にタイを解きだした。
そして、何を思ったのか私のタイにまで手をかける。
「ちょ、ちょっとまて!……なんだよ急に」
ちょっと前まで、恥ずかしがってたヤツが。
無言で、しかもこんな道端で。人のタイを解きにかかるとか、おかしーだろ!
無言で、しかもこんな道端で。人のタイを解きにかかるとか、おかしーだろ!
「いーから、いーから」
「良くない!」
「良くない!」
抗議をしようにも、律は聞く耳持たず。取り付く島も無し。
あっさりと私のタイは律の手の中へと収まった。
あっさりと私のタイは律の手の中へと収まった。
「……それで?」
人のタイまで奪っておきながら、理由を言わないってのは無しだぞ。
さぁ言え、今すぐ言え。そしてタイを返せ。
さぁ言え、今すぐ言え。そしてタイを返せ。
「これを~こうして」
私のタイと律のタイを結びつけ、更にその片方を律の右手の小指につけていた。
そして、訳がわからないって顔をしてるであろう私の左手の小指にもう片方を括りつける。
そして、訳がわからないって顔をしてるであろう私の左手の小指にもう片方を括りつける。
「出来上がり」
「……これって」
「……これって」
所謂『赤い糸』というやつ。……いや、青いけど。
「これが、理由?」
「そ」
「……そっか」
「そ」
「……そっか」
俯いてしまった律をそのままに、何を言うでもなく歩を進めた。
すると、律は私の少し後ろを着いてきた。
糸に引っ張られて仕方なく、ではなく。糸が解けてしまわないようにと、少し慌てて。
なんだか、それがとても嬉しい。
すると、律は私の少し後ろを着いてきた。
糸に引っ張られて仕方なく、ではなく。糸が解けてしまわないようにと、少し慌てて。
なんだか、それがとても嬉しい。
「青くても、良いんじゃないか」
「え?」
「え?」
俯きながら歩いていた律が顔をあげる。
「律と繋がってるなら、何色でも良いよ」
「っ!……はずかしーやつ!」
「っ!……はずかしーやつ!」
顔を赤らめ、目を泳がせる律。
「こんなことする律にだけは、言われたくないな」
「う、うるせー!」
「う、うるせー!」
赤い糸は、ないみたいだけど。
私と律の間には、青い糸がゆらゆらと揺れている。
私と律の間には、青い糸がゆらゆらと揺れている。
おわる。