【ブレトランドの遊興産業】

 約2年前の侵攻でアントリア領となった旧トランガーヌ子爵領の北部(モラード地方)には、独自の遊興産業(温泉、ゴルフ、競馬、蟹料理、ウイスキー、紅茶、etc.)が根付いていることで知られている。現在、この地を治めているのは、侵攻作戦で功績を挙げたアントリアの老将ジン・アクエリアスと、彼の部下の六人の若き騎士達であった。
 そんな彼等の契約魔法師を務めるのは、「裏虹色魔法師」の異名を持つカルディナ・カーバイトの六人の直弟子達である。彼女は「この地に遊びに行きたい」という私欲を満たすために彼等をこの地に派遣し、事あるごとに「表敬訪問」の名目でこの地を訪れ、放蕩三昧の生活を送っていた。
 この物語は、そんな彼女の気まぐれに振り回される弟子達と、彼等の契約相手となった若き領主達、そしてこの地で暮らす様々な人々が織りなす、ほんの些細な日々の生活の記録である。

第1話「温泉郷の怪異」
フェリーニ
・ロード/アーチャー
・18歳
・男性
・ビルト村の領主
・フィオナ姫のことしか考えてない
ゲルハルト・カーバイト
・メイジ/プロフェット(夜藍)
・24歳
・男性
・ビルト村の領主の契約魔法師
・仕事のことしか考えてない
サラ
・アーティスト/ライカンスロープ
・15歳
・女性
・ビルト村の(自称)自警団長
・楽しく生きることしか考えてない
メャニア・ターガ
・プロジェクション/妖精(リャナンシー)
・22歳
・女性
・ビルト村の温泉宿の女中
・男を惑わすことしか考えてない
 ブレトランドでは数少ない「温泉」の発生地として有名なビルト村の近くで、混沌災害の発生率が高まりつつあった。この地の領主フェリーニは政治に興味がなく、日頃は契約魔法師のゲルハルトに仕事を押し付けてばかりだが、まもなく彼が思いを寄せるフィオナ姫(ジン将軍の孫娘)が、ゲルハルトの師匠カルディナと共に村を訪れると知り、彼女を歓迎する準備を整えるため、混沌災害の発生源の追求と、温泉街を盛り上げる新施設の整備に意欲を見せる。
 村の(自称)自警団長の少女サラや、温泉宿の女中を務める謎の痴女メャニアの協力を得た上で、フェリーニとゲルハルトは村に出没した魔物を退治しつつ、村を訪れた行商人アストリッドがこの村に住む博物学者エルミナに送った「異界の書」を参考に、「卓球」「麻雀」「浴衣」「温泉卵」などの異界の文化を「村の新名物」として次々に採用していくが、混沌災害の根本的な原因は突き止められないまま、やがてフィオナとカルディナが村を訪れることになる。
 そんな中、ゲルハルトに密かに想いを寄せていたエルミナは、彼が師匠と親しくしている様子を見て心を乱した結果、その身に流れる投影体の血が覚醒し、その血に呼応した魔物達を無意識のうちに呼び寄せてしまう。どうにか魔物を撃退したフェリーニ達は、エルミナの恋心に気付かぬゲルハルトに呆れつつ、彼女の罪は問わないまま温泉街の再建へと乗り出すのであった。
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第2話「白球と翼」
ジェローム・ヒュポクリシス
・ロード/パラディン
・16歳
・男性
・ウリクル村の領主
・商家出身だが、貴族家で育てられた
ヴェルディ・カーバイト
・メイジ/サイキック(山吹)
・11歳
・女性
・ウリクル村の領主の契約魔法師
・パンドラに預けられたが、脱走した
クロー・クロー
・アーティスト/レイヤードラゴン
・25歳
・男性
・ウリクル村の傭兵隊長
・孤児だったが、ドラゴンに育てられた
ベーナ
・プロジェクション/オルガノン
・年齢不詳
・女性
・ウリクル村の政務官の侍従
・異界出身だが、記憶力がなかった
 ウリクル村のゴルフ場のオーナーであるドミナスは、新コースの杮落としのゲストとして、領主ジェロームの乳兄弟であるマリベル姫、ジェロームの契約魔法師ヴェルディの師匠カルディナ、そして村の傭兵隊長クローと旧交のある行商人アストリッドの三名を招くことになった。試合形式は三者がそれぞれの縁者と組む形での「ペアマッチ」となり、ドミナスは自身の侍従であるオルガノンの少女ベーナと組んで、「接待役」として彼等を盛り上げるために参加することになる。
 だが、そのゴルフ大会の開催日の直前になって、村の周囲で投影体の出現率が高まっていた。ジェローム達がその討伐に乗り出した結果、どうやらそれは村の奥地における「鴉型の投影体」の急激な増殖が原因であることが分かる。そんな中、パンドラのエージェントと思しき者がドミナスと接触していることを知ったヴェルディは、ドミナスに対して激しい猜疑心を抱く。
 そしてゴルフ大会の当日、巨大な鴉型の投影体の大群が出現し、ジェローム達はそれらを撃退しようとするが、そんな中、村のはずれでドミナスが「聖印」の力を用いて投影体を浄化している姿をジェロームは発見する。君主としての力があることを隠して一般人として生きるドミナスに対して、ジェロームは不信感を抱きながらも、彼が私財を追求することは結果的に村の経済発展にも繋がると判断したジェロームは、ひとまず彼の所業について不問に伏すことにしたのであった。
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第3話「競馬場に潜む影」
エリック・レディング
・ロード/キャヴァリアー
・22歳
・男性
・ポーター村の領主
・アントリアの馬術師範の息子
エレミー・カーバイト
・メイジ/サモナー(浅葱)
・18歳
・女性
・ポーター村の領主の契約魔法師
・ペリュトンに乗った少女
レギリア
・アーティスト/アームズ
・20歳
・男性
・ポーター村の警備隊長
・盾を「武器」として用いる武術の使い手
シルヴァ
・プロジェクション/妖精
・年齢不詳
・女性
・ポーター村のブルボン牧場の調教師
・掌サイズの元女将軍
 障害物競馬場で有名なポーター村の領主エリックは、アントリア騎士団の中でも指折りの馬術の名手として知られていたが、先日の公営競馬で初の敗北を喫した。村人の間では八百長説も流れる中、実力で負けたと自認していたエリックは自信喪失気味になっていたが、村の警備隊長のレギリアの調査の結果、彼の愛馬アレックスに「微量の薬物」が盛られていたことが判明する。
 一方、村はずれの牧場の近辺では暴走猪が大量に発生していた。ジェロームの契約魔法師のエレミーや、牧場の調教師であるシルヴァの活躍もあって、無事に彼等は猪を討伐するが、エレミーはその猪達の体に「邪紋」が刻まれていることに気付く。そして、おそらくそれはシルヴァをこの世界に召喚した闇魔法師シアンの仕業ではないか、という仮説に到達した(くしくも村の中では、闇金融業者が返済不可能となった負債者を闇魔法師に売っているという噂が流れていた)。
 そんな中、先代領主のアークが次の公営競馬に参戦する意思を表明していたが、競馬観戦と新馬購入のために村を訪れていた師匠カルディナの助言に基づいて、エレミーが念入りにアークの馬を調査した結果、その馬体にも「邪紋」が刻まれていることが発覚し、最終的に暴走状態に陥ったその馬はエリックによって倒される。そして、エリックはその日の公営競馬でも無事に勝利を収めたことで、再びポーターの領主としての名声を取り戻すことに成功するのであった。
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第4話「蟹座にまつわる諸事万事(エトセトラ)」
レヴィア・ルーフィリア
・ロード/メサイア
・20歳
・女性
・スパルタ村の領主
・男装の麗人
フレイヤ・カーバイト
・メイジ/エレメンタラー(朽葉)
・15歳
・女性
・スパルタ村の領主の契約魔法師
・体育会系魔法少女
ボニファーツ・ヴェッセルス
・アーティスト/レイヤーヒロイック
・27歳
・男性
・スパルタ村の沿岸警備隊長
・飲んだくれ親父
カニミソ
・プロジェクション/オルガノン
・75年前に廃棄
・女性
・スパルタ村の大衆食堂「蟹座」の店員
・お酒のおつまみ
 蟹の名産地として有名なスパルタ村で、海賊達による密漁行為が発生していた。しかも、その海賊を率いているのが、先代領主のヴィンスであるという噂もある。領主のレヴィアは、契約魔法師のフレイヤ、沿岸警備隊長のボニファーツと共に、海賊討伐のための部隊編成を進める。
 一方、村内の有名蟹料理店の一つである大衆食堂「蟹座」では、看板娘のアカリが何者かに誘拐されるという事件が勃発する。犯人は、アカリを返す代わりに、もう一人の看板娘であるカニミソ(蟹味噌のオルガノン)の身柄を要求してきた。レヴィアはアカリとカニミソを救うため、討伐作戦を一時中止し、フレイヤ、ボニファーツと共にアカリの引き渡し場所へと向かう。
 レヴィア達の突入作戦は成功し、海賊達は追い詰められるが、ここで旧トランガーヌ子爵家の令嬢エレナが介入し、戦闘は中断される。彼女の仲介によって、ヴィンス率いる海賊達が、スパルタ近海に出現した巨大蟹の怪物から村を守るため、やむなく巨大蟹の要求に従い、蟹やカニミソを確保して巨大蟹に引き渡そうとしていた、という事実をレヴィア達は知ることになる。
 この事態を解決するため、レヴィア達は改めて巨大蟹討伐隊を編成し、見事にこれを撃破することに成功する。巨大蟹の脚と鋏の半分は、混沌核(蟹味噌)の消滅前に本体から切り離した結果、戦利品として村へと持ち帰られ、村の蟹不足問題もひとまず無事に解決したのであった。
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第5話「禁断の魔酒」
ベアトリス・バランカ
・ロード/パニッシャー
・21歳
・女性
・エルマ村の領主
・アントリア子爵家の分家筋
エステル・カーバイト
・メイジ/アルケミスト(菖蒲)
・22歳
・女性
・エルマ村の領主の契約魔法師
・ミステリーハンター
サカロス(ローレント・シーヴェル)
・アーティスト/レイヤーヒロイック
・35歳
・男性
・エルマ村の自警団長
・自称「酒幸神」
リッカ(白神陸華)
・プロジェクション/地球人
・26歳
・女性
・エルマ村の酒蔵の番人
・元辻斬り
 世界的に有名なウイスキーの産地であるエルマ村にて、エストへの輸送人を装った一団による大量のウイスキー窃盗事件が勃発する。領主のベアトリス、その契約相手のエステル、酒場の用心棒・サカロス、酒蔵の番人・リッカの四人は、それぞれの部下を率いて追撃し、その窃盗団から酒を奪い返すことに成功するが、首領の魔法師は取り逃してしまう。
 だが、彼女達はその魔法師の逃げた経路から、伝説の「背徳の魔法師キャメロデオ」が残した「漂流図書館」への入口を発見する。エステルの師匠のカルディナ曰く、その図書館には「究極のウイスキー」の製法が書かれた本があるらしい。カルディナの手で再び開けられたその入口を通って図書館へと足を踏み入れた彼女達は、その管理を務める悪魔ディオ・コッキーに要請された「書庫の掃除(ケシの怪物の除去)」を成し遂げたことで、無事にその書物を手に入れる。
 ただし、そのウイスキーには「あまりにも美味すぎて、一度飲んだら二度と他の酒が飲めなくなる」という副作用があり、三百年前にエルマの酒産業は、それが原因で一度滅びかけたこともあった。その事実を知らぬカルディナは、サカロスにそのウイスキーの醸造を依頼する。醸造が完了するのは三年後。果たしてその時、再び同じ悲劇が繰り返されることになるのだろうか。
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第6話「代行閣下のお茶会」
デイモン・アクエリアス
・ロード/マローダー
・20歳
・男性
・ソリュート村の領主
・老将ジンの養子
ハルナ・カーバイト
・メイジ/ヒーラー(常盤)
・15歳
・女性
・ソリュート村の領主の契約魔法師
・酔いどれ仮面ライダー
シーナ・アスター
・アーティスト/ポイゾナス
・15歳
・女性
・ソリュート村の駐在武官
・子爵代行マーシャルの側近
シュニャイダー
・プロジェクション/妖精
・36歳
・男性
・ソリュート村の茶畑の管理人
・アメリカンショートヘア
 紅茶の産地として有名なソリュート村を、アントリア子爵代行マーシャルが訪問することになり、老将ジンは彼を歓迎するための茶会の開催を、自身の養子であるソリュート村の領主デイモンに命じる。だが、それと同時にジンは、村の先代領主であるルビール率いる神聖トランガーヌの特殊部隊が、マーシャルを暗殺すべく村の近くに潜伏しているらしい(しかも、それを手引きしているのがデイモンではないかという疑惑をもたれている)、という情報を伝え、警戒を促す。
 更に、村の近くでの巨大混沌核の出現疑惑、聖印教会の過激派による茶畑襲撃計画、倉庫の茶葉の窃盗事件、村の司祭マリアンヌの内通疑惑、といった案件に直面したデイモンは、契約魔法師のハルナ、駐在武官のシーナ、茶畑の管理人シュニャイダー、といった仲間達と共にこれらを一つずつ調査していく過程において、自分が神聖トランガーヌ枢機卿ヘンリーの「御落胤」であり、ルビール達は自分をヘンリーの後継者として擁立しようとしているという事実を知ることになる。
 だが、デイモンは「実の父との縁」よりも、「育ての父への恩」を優先し、アントリア騎士として生きることを決意した上で、ハルナの潜入捜査を通じてルビール達の隠れ家を発見すると、完膚なきまでに彼等を殲滅する。こうして、村の茶畑とマーシャルの命を守ることに成功したデイモン達は、無事にマーシャルやカルディナ達を招いた茶会を開催することに成功したのであった。
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最終更新:2016年11月01日 02:42