優しく微笑む黒服の男にのび太は言った。

「ヒョウタさんはクロガネシティを元に戻してみせるって…
そう言ってたんだ!!
なんで燃やした…なんで…」

「無論、我々の計画のため、魂の救済のため。
それにはこの町を消す必要があったんだよ。
でも良かったろう?
この町は一度死んだ。
もう蘇ることなんてできない。
ヒョウタ君は愛する町と共になることを選んだ。
彼も本望だろう?」

「もう一度復興できないなんてなぜ分かる!!
可能性なんていくらでもあったはずだ!
お前らの都合のいいように誤魔化しただけじゃないか
ビ-ダル、リザードンにみずでっぽうだ!」



「この俺と戦うつもりか。
力のない正義とは愚かなものだな。」

「お前らはただ言葉を濁して自分達を正当化してるだけじゃないか!!
クロガネシティだって復興するかもしれない!
そう思わなかったのか!」

男は鼻で笑った。
虫を見るような目でのび太を見下す。

「残念ながら思わないね。
ヒョウタ君のような若者1人で何が出来る。
おっと、もうこんな時間か。
俺には仕事があるのでね。
そろそろ帰らせてもらう。」

その時、微かな声が男を呼び止めた。

「もう帰るの…?
わたしと遊ぼうよ…」




「ヒカリ?」

ヒカリは男を見ると小さく、しかし綺麗に通る声で歌い始めた。
彼女の目は今までのヒカリとは全く違い、ずっと未来を見透かしているかのような目だ
った。


わたしは選ばれた
神の御髪を
梳かすために


「まさかとは思ったがこの少女はヒカリ…!」


一緒に遊びましょう
怖がることはないわ


ヒカリの手からモンスターボールが投げられる。




ボールから飛び出したのはポッチャマとリーフィア。
2匹ともヒカリと同じく目の色が違う。

「まさかヒカリに会うとは…
これも運命か。
だが俺はここで立ち止まるわけにはいかない。
いけサンダース!」

サンダースとリザードンが戦いに応じ、前に進み出た。

「よーしビーダル。
僕たちも行くぞ!」

しかしビーダルはそこを一歩も動こうとはしない。

「どうしたんだビーダル!
僕たちも戦うんだ!」

ビーダルはガタガタと震えながら言った。

「む…無理だ…
レベルが違いすぎる。
そして何よりも…あの歌は恐ろしい」



海と空から


「さっさとケリをつける!
リザードン、大文字だ!」

リザードンの口から大の字に形作られた炎がリーフィアを襲う。
だがその炎は瞬く間にかき消され、代わりに水の塊がリザードンに直撃した。

「な…これはハイドロポンプ。
まさかポッチャマがリザードンよりも速いとでも言うのか!」


ゆっくりと墜ちた


「仕方がない。
リスクはでかいがこの場を一瞬にして燃やし尽くしてやる。
リザードン、ブラストバーンだ!」




灼熱の炎がリザードンの周りを彷徨う。

「どうだ!
これが俺のリザードンの最強の技、ブラストバーン。
全てを灰にしてやる!」


天使達はわたしを


目の前で激しいぶつかりあいが起きた。
リザードンのブラストバーン。
そして逆方向からは一矢の水。

「ハイドロカノン…だと。」
リザードンの炎は燻り、消えた。
そしてポッチャマのハイドロカノンがリザードンの体を優しく包み込んだ。
それと同時に緑色の刃の様な光がサンダースを襲う。

「リーフィアのソーラービーム…
ヒカリは何も指示をしていない。
なのに何故こんなにも完璧なコンビネーションを取れるんだ!?」




呼び覚ます


男は焦っていた。
今の手持ちはリザードンとサンダースのみ。
それに対してヒカリの手持ちは不明であり、無傷のポッチャマとリーフィア。
こっちはほぼ瀕死状態のリザードンに先ほどの技に弱っているサンダース。
到底勝ち目はない。

「ふふっ…仕方ないな。
サンダース。
トレーナーに、ヒカリにでんじはだ!」

「なんだって!?
トレーナーへの直接的ダメージはどんなに危険なことか分かっているのか!?」

のび太の注意も空しくサンダースの鋭い毛から蓄積された電撃はヒカリの首筋に
直撃した。

「ヒカリ!ヒカリ!」

ヒカリは倒れ、ポッチャマとリーフィアも動きを止めた。



「俺の名は煉獄。
ギンガ団副団長の1人だ。
今回は引いといてやる。
だがまた邪魔するようであるのなら次はベストメンバーで叩き潰す!」

「待てよ!
お前自分が何したのか分かってるのか!」

もはやのび太には理性はない。
憎しみと悲しみがのび太の心を支配している。

「黙れ。
お前のような雑魚が俺に意見するな。」

そう言い残すとリザードンに乗り、クロガネシティの炎と煙の中へ消えて行った

「煉獄…
いつか必ずヒカリの苦しみをお前にも味合わせてやる!」