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新月島の奥――そこに奴は居た。
漆黒の体、無機質な蒼い瞳……ダークライ。
もう邪魔をする人間も居ない、あとはこいつを捕獲することで任務は完了する。
リュックからマスターボールを取り出し、宙に放り投げる。
ダークライは、そのボールにゆっくりと収納された。

収納されたボールを拾うと、俺の手の中で消滅する。
そうか、俺の手持ちは六体居るから、七体目のポケモンは転送されるのか。
父さんはそこまで考えて、ファイヤーとフリーザーを預けたのか。
もうここに用は無い。俺の任務は完了したんだ、とっととトバリビルに――

『待ちなさい!』

狭いこの島で、再び声が木霊する。
その声の主は……現シンオウリーグチャンピオン、シロナ。
「スネオ君にあんなことして……許さないわよ」
『黙れっ!!』
今の俺の手持ちなら……伝説のポケモン二体なら勝てる。
「ここでぶっ倒してやる、行け、ファイヤー!」



再びその場に姿を現すファイヤー。
「伝説のポケモン……アカギめ、こんなポケモンを……」
「さぁ! 早くポケモンを出せ!」
どんなポケモンが来ようと、今の俺なら撃破することができる。
「出来れば使いたくなかったけど……仕方が無いわね、行け――」
シロナの投げたボールから出てきたのは、雷の猛獣、ライコウ。
まずい……ライコウのタイプは電気、ファイヤーとの相性は悪い。
「く、くそ…ファイヤー、火炎放射だ!」
「ライコウ、雷!」
火炎放射を撃つ前に、ファイヤーが雷に貫かれる。
その攻撃を、ファイヤーは耐えることができなかった。

まずい……ファイヤーが一撃で……
次に出せばいいのはどっちだ、ラグラージ?フリーザー?
相性的に考えたらラグラージだが、電気タイプの技を封じたところで別の技にやられるだけ。
それならフリーザーを出して、ライコウより早く攻撃すれば……
伝説のポケモンだ……相性なんて覆せるはず。
「行け! フリーザー、冷凍ビ――」
出てきたばかりのフリーザーに、激しい閃光が走り轟音と共に沈む。
その光景を俺はただ見てることしかできなかった。



「あ……あ……い、行け! ラグラ――」
『ライコウ!』
シロナの掛け声で、ライコウは俺の元へと駆け込み、俺を押したおす。
「ついに自分のポケモンすら信用できなくなってしまったのね……」
な……なんのことだ?
「本当はこんなことしたくないけど……
 あなたがギンガ団幹部である以上見逃すわけにはいかないわ」
鋭い爪と牙を俺に向ける。
やばい……この攻撃を食らったら瀕死じゃ済まない……死ぬ。

あぁ……もう駄目だな。

「………さようなら」

ライコウの爪が、俺目掛けて振り下ろされた。



『十万ボルトだ!』
突如、ライコウを強大な電撃が襲う。
その攻撃を、ライコウは紙一重で回避した。
「……まさか…」
起き上がった俺の目に飛び込んできたのは、伝説のポケモン、サンダー。
そしてその背に乗っているのは、ギンガ団総裁である父親、アカギ。

「そこまでだ。現シンオウリーグチャンピオン、シロナ」
「あら、久しぶりね。また私にやられたいのかしら?」
流し目で父さんをみつめるシロナ。それに対し薄ら笑いを浮かべる父さん。
「やられる? それはそっちの話だ。お前のポケモンは二、三体ほど失っているだろう
 それに対しこちらは手持ちがフルに残ってる。この時点で貴様に勝ち目はないのだ」
そう指摘され、シロナは父さんをキッと睨む。指摘されたことは間違いでは無いようだ。

「次は……覚えていなさい」
シロナは悔しそうにこちらを睨む。
「帰るぞ、ナナシ……」
手を差し伸べられる。
俺はその手に掴み、ゆっくりと立ち上がった。



【資産家逮捕 ハクタイの森で強盗殺人】
××日午前0時32分頃、ヨスガシティ付近に在住の、資産家、ウラヤマ容疑者(54)を
強盗殺人の疑いで緊急逮捕した。

調べによると、ウラヤマ容疑者は4年前、友人である資産家××××さん(当時50歳)と
××××さんの娘の××ちゃん(当時6歳)を殺害し、金目の物を奪った疑い。

ウラヤマ容疑者は前日の午後10時40分ごろ、犯罪組織ギンガ団に襲われ
その時に容疑が暴かれる。
その後シンオウリーグチャンピオンによってギンガ団は撃退され、ウラヤマ容疑者は連行された。

ウラヤマ容疑者はこの事実を認め、死体の遺棄場所を供述し、
供述通りその場所から二人の死体が発見された。

警察はこの事実を踏まえ、ウラヤマ容疑者にさらなる事実を要求している。



………これが五日前の新聞の記事、あれからもうこんなに経ったのだ。
殺人事件を起こしたウラヤマ氏は記事どおり逮捕され、今も取調べを受けている。
殺害された二人の死体は、ハクタイの森の洋館の地中から発見されたそうだ。
執事も多少の取調べは受けたみたいだが、とくに罪には問われなかったらしい。
この事件の影響は大きく、ウラヤマ氏が経営していたポケモン触れ合い広場は当然閉鎖。
他にもいくつもの団体や組織に影響があったようだ。

この情報は、全てギンガ団の諜報部員が教えてくれた。
……スネオは無事だろうか?
諜報部員に尋ねてみたが、調査することが難しいらしい。
ポケモンリーグが隠蔽工作をしており、下手したら命を落としかねないそうだ。

俺はあの後、二体の鳥ポケモンを回収され、一言こう言われた。

『力に溺れるな』

力に溺れる……なんとなく意味は分かる気がする。
ちょうどあの時、フリーザーかラグラージ、どちらを出すか悩んだ時
伝説というだけでフリーザーを出し、結果はあれだ。

なんというか……酷い無気力感に襲われた。



いつまでも踏みとどまっていてはいけない。そう思い、俺はウラヤマさんの屋敷へと足を運んだ。
屋敷内は立ち入り禁止となっており、外から見るくらいしか出来ないが……
数日前までは人がたくさん居たようだが、今は全く居ない。
たくさん居たメイドさんも、執事のお爺さんも、主人のウラヤマ氏も姿は無い。
こんなところを訪れてもしょうがない。そのはずだった。

俺が帰ろう、そう思ったときにポケモンの鳴き声が聞こえた。

鳴き声の聞こえた茂みを探してみると、白い体毛のイーブイが居た。
こいつは、ウラヤマさんの自慢のペットだったイーブイだ。
飼い主が逮捕されて、もう世話をする人間が居ないのか……
「俺と一緒に来るか?」
手を伸ばす俺。
その手に前足を伸ばし、白いイーブイは高い声で鳴いた。



その後、なんとなく森の洋館に訪れた。
人は居ると思ったのだが、ウラヤマ氏の屋敷周辺と同じく人は居ない。
呪い…が怖いのか?

……もうここには呪いなんて存在しない。
開放されたんだ、ここの主人も、ウラヤマさんも……

俺はリュックの中から、かつてナタネに貰った羊羹二つと、紙皿を取り出す。
それを屋敷の門の前に備え、黙祷した。

……黙祷し終わり、ゆっくりと立ち上がる。
そして、そのまま洋館に背を向けた。

これで…全て終わったんだ―――


ナナシ
ルカリオLv47、クロバットLv45、ロトムLv44、
ラグラージLv46、イーブイLv40



『ハ…ハ……ハクションッ!』
俺は次のジムのある町、キッサキシティに行くため、217番道路を歩いている。
だがこの道路……足元にも雪が絡み付いて、動くのにかなり労力を使う。
ったく……なんでこんな不便なところにジムがあるんだ。

突然寒気が俺を襲う。悪寒と言った方が適切だろうか?
……嫌な予感がするな。もしかしたらあいつらに―――

「やぁ、久しぶりだね」

まさか、とは思ったがタイミング悪すぎだろ……
恐る恐る振り返ると、優等生面の少年、出木杉の姿があった。



「で、出木杉!?」
まずい……既に俺がギンガ団員だというのは周知のこと。
こんなところで仲間を呼ばれたら……
「そんなに驚いて……なにかあったのかい?」
……まさかとは思うが、ひょっとして知らないのか?
「いや…突然後ろから声かけられたからさ……」
大丈夫だ…誤魔化せてるはずだ。

「お前はもうグレイシャバッジを手に入れたのか?」
「まだなんだ…これから僕も行くところだよ
 それよりナナシ君、ジム戦の前に勝負をしてみないかい?」
勝負の申し込み、環境が悪かろうと売られた喧嘩は買うしかない。



俺の先鋒はルカリオ、相手はエレブーだ。
「炎のパンチだ、エレブー!」
拳に炎を宿し、ルカリオ目掛け突進してくる。
「電光石火で回避しろ!」
単調な攻撃は簡単に回避でk……
エレブーの右手はルカリオを捕らえ、炎が襲った。
しまった。足場が雪のせいで、素早く動くことができないのか……
だが相手も同じ条件だ。ここは単調な攻撃でも通る。

この後、ルカリオとエレブーの激しい技の応酬が続いたが
最初に受けた炎のパンチのダメージが大きく、先にルカリオが力尽きた。
俺は新たにラグラージを出し、冷凍パンチでエレブーを沈めた。



「やるね……ナナシ君」
「そっちもな。さぁ次のポケモンを出せ」
余裕を見せてはいるものの、切り札のルカリオを失った今、かなり不利な状況に立たされている。
相手のエレブーは、おそらく切り札でも何でも無いはず。
「行け、シャワーズ!」
イーブイの進化系シャワーズ、おそらく彼の切り札だ。
「シャワーズ、波乗りだ!」
波如く大量の水がラグラージに襲い掛かる。
「れ、冷凍パンチだ!」
波に拳を当て、凍結させる。
しかし、全てを凍結させることはできずに波はラグラージを呑みこんだ。

『ハ…ハ……ハクションッッ!!』
波はラグラージだけではなく、俺にも命中し
服を濡らされてしまった。
「ご、ごめん、大丈夫かい?」
「なんとかな……」
こんな寒い中で服を濡らすはめになるとは……
「くそっ……瓦割りだ!」
腕を振り上げ、シャワーズに襲い掛かる。
しかし、その動きはどこかぎこちない。
その理由は足場の悪さ。
体重の重いラグラージは、素早く動き回ることはできないのだ。



「シャワーズ、オーロラビームだ!」
七色の光線がラグラージを貫く。
その光線でラグラージは、白い大地に倒れこんだ。

「僕のシャワーズを甘く見ないでもらいたいね」
このシャワーズ……強い。
勝負している環境も作用しておるが、シャワーズ自身もかなり育てこまれている。
こうなったら……
「行け! クロバット」
翼を羽ばたかせ、空中を駆け巡るクロバット。
こいつなら地面の影響を受けることは無い。その素早さを存分に生かせる。
「クロスポイズン!」
クロバットは旋回しながら、シャワーズ目掛け突進する。
「オーロラビームだ!」
シャワーズは上を向き、オーロラビームを放とうとする。
しかしその攻撃は、突然中断された。
そして、隙の生まれたシャワーズに、クロスポイズンが打ち込まれた。
この攻撃と今まで蓄積されたダメージで、シャワーズは戦闘不能となった。
「どうしたんだシャワーズ!?」
「上を見れば分かるさ」
「なに……まぶしっ……そうか」
シャワーズは上を向いたとき、陽光が目に入り、攻撃を中断してしまったのだ。



段々と風が強くなっていく、濡れた服のせいで寒い。
「シャワーズを倒されるとはね……でもまだだ! 行けムクホーク!」

鋭い眼光をクロバットに向ける。一瞬俺まで怯えてしまった。
「捨て身タックルだ!」
いきなりの奇襲、風を切裂く音が俺の耳にも入ってくる。
「応戦しろ! ブレイブバードだ」
クロバットも羽を折りたたみ、ムクホークに突撃する。
お互いがぶつかり合い、衝撃波が飛び散る。
数秒ぶつかり合い、やがてクロバットが押し負けた。
なんて攻撃力なんだ……
「まだだ! 応戦しろクロバット」
何度もぶつかり合うムクホークとクロバット。
しかし、負けるのはクロバットだ。
いくらムクホークの攻撃力が高いからって、この結果はおかしすぎる。
他の要素が……しまった。
ムクホークの特性『威嚇』を忘れてた。
これが原因で、クロバットの攻撃力が下がっていたのか。

「一旦離れろ! 今の状態じゃ――」
「もう遅いよ、とどめの電光石火!」
流星のようなスピードで、ムクホークはクロバットに一撃を加える。
この攻撃でクロバットは地に落ちた。



「くそ……行け、ロト……うわっ」
吹雪がフィールドを襲う。
『大丈夫かーい!?』
出木杉の声が聞こえる。そっちは大丈夫なようだ。
「もう勝負は無理みたいだね……とりあえず引き分けという形でいいよね?」
こっちが三体失っていて、相手は二体失っている。
はっきり言えば負けているのは俺……だが相手がそう言っているのならばいいか。

「分かった、またいつか勝負できる機会があればいいな」
「そうだね……じゃあ!」
この場所からどうやって離脱するんだ?
そう考えていると、ムクホークが出木杉を乗せてキッサキ方面に飛び立っていった。
よし、俺もクロバットに乗って……
クロバットは、さっきの戦闘で瀕死になっていたんだ……
ここから……どうやってキッサキシティにつけばいいんだ?


ナナシ
ルカリオLv47、クロバットLv45、ロトムLv44、
ラグラージLv46、イーブイLv40
出木杉
シャワーズLv52、ムクホークLv47、エレブーLv46、残りの手持ち不明