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#スネ夫サイド

ドクロッグの攻撃を受け、無様にも捕えられた僕はギンガ団のアジトに連行されていた。
相変わらず、腹部が焼けるように痛い。
そのせいか、この先どうなるかなんて考えもしなかった。
「ほら、さっさと来い」
下っ端に先導され、僕は乱暴に奥の部屋へと連れて行かれた。

「コイツか……我々の邪魔をしたのは」
奥の部屋に居たのは、ギンガ団ボスのアカギだった。
僕は痛む腹部を押さえながら、アカギを見据える。
「……なるほど、バッジを六つも持っているのか」
いつの間にか僕のバッジはアカギの手のひらの上に置かれていた。
僕は眉を顰めてそれを見る。

「……少年……スネ夫と言ったか」
アカギはバッジを机に置き、腕を組んで言った。
僕は少し虚ろになった目で相手の表情を伺う。
すると、アカギは唐突に切り出した。
「……少年、君にはギンガ団に入ってもらおう」



「え……」
いくらなんでも唐突すぎるだろ……常識的に考えて。
大体僕がギンガ団なんかに入るわけないじゃないか。
そんな僕の心中を知ってか知らずか、アカギは続けた。

「君はギンガ団にとって必要な人材だ。恐らく幹部クラスの実力だろうからね」
僕が幹部クラスか……。
少し嬉しいような気もするが、ギンガ団には入りたくなかった。
「嫌だと言ったら?」
とりあえず聞いておく。
「もし君が断ったら……君達の仲間は潰させてもらう。
ギンガ団の戦闘員の数を持ってすれば容易いことだ」
アカギはそっけなく言い放つ。
僕が反応する前に次の言葉が耳に入った。
「……だが……もし、君が私とバトルをして勝つことが出来れば、見逃してやろう」

その言葉を聞いた僕は、心の中でガッツポーズを決めた。
「今の言葉、後悔しないでね」
僕は無言でその場を後にするアカギに着いて行った。



少し歩いて着いたのは、何も無い閑散とした部屋だった。
「……バトルには最適な部屋だろう?」
そう言うなり、アカギは僕の反対側の方向へと移動する。
僕は一つのモンスターボールを取り出し、ギュッと握り締めた。

「……では始めよう。いけ、マニューラ」
「出て来い、クロバット!」
アカギのポケモンはマニューラ。
かなり部が悪い。
けど、クロバットのスピードなら一撃は与えれる筈……。
「クロバット、怪しい光だ!」
「マニューラ、冷凍パンチ」
だが、僕の予想は見事に外れてしまう。
クロバットが怪しい光を放つ前に、マニューラの拳がクロバットを捕えたのだ。

「レベルの差があるようだな……」
嘲笑混じりにアカギは言う。
僕はそれを無視し、次のボールを放った。
「いけ、ゴウカザル!」
出来れば、ゴウカザルは切り札として最後まで取っておきたかった。
だけど、今は出し惜しみ出来るような状況じゃない。
それは今しがた相手の力量を知った僕が一番良く分かっていた。



「ゴウカザル、マッハパンチ!」
刹那、ゴウカザルの拳がマニューラの顔面にヒットする。
それを受けたマニューラは虚しく倒れた。
「なるほど、先制技を使って一撃で仕留めるとはな……」
今のところ失っているポケモンは両方一体。
なのに、アカギは完全なる余裕を見せつけていた。

「次は……コイツだ!いけ、ギャラドス」
咆哮を上げながら現れたのはギャラドス。
この広い部屋の中でも、その威圧感はひしひしと伝わってきた。
動揺する僕を見て、アカギは言い放つ。
「もう……君に勝ち目は無いよ」

それから程無くして、僕はバトルに負けた。
僕は結局あのギャラドスを倒せなかったのだ。
何とも言えない無力感が僕を襲う。
「今のバトルで君の力量が把握出来たよ。
君の実力は間違い無く幹部クラスだ。
後で歓迎会をしよう……それまで休んでいてくれ」
アカギはそう言うと、俯く僕を他所に去っていった。



「なんか変わり映えしないね」
そう漏らす僕の前には、三人の幹部が居た。
今はいわゆる歓迎会の途中なのだ。
「ボス、何でこんな奴を幹部に?
こんな奴にギンガ団の素晴らしさは分からないわよ」
憎々しげな顔をしてそう吐くのは、ギンガ団幹部のジュピター。
以前、僕に負けた事をまだ根に持っているようだった。

「……黙れ。私に逆らう事は許さん」
啜っていた紅茶を置き、一喝するアカギ。
ジュピターはしぶしぶ黙りこくった。
次に喋ったのは、もう一人の女幹部……マーズだった。
「……あなた、本当に強いのかしら?ギンガ団の幹部クラスの実力があるの?」
そう言って、キッと僕を睨む。
僕も負けじと言い返した。
「……じゃあやってみるかい?僕が勝つだろうけどね」
「何ですって……?」

「いい加減にしろ、お前達」
僕達の煽り合いは、またもアカギの一言によって収まった。
「スネ夫は以前にジュピターを倒している……実力は確かだ。お前達はもう戻って良いぞ」
アカギが言い終えると、ジュピターを先頭に三人の幹部が部屋を後にした。
それを見送ったアカギは僕の方を一瞥する。
「最初は慣れないだろうが……じきに慣れてくる筈だ。
これからはギンガ団の為に働いてくれ」
そう言って、部屋を出るアカギ。
僕は傍にあった椅子に座ると、ヤレヤレとばかりに溜息をついた。



#のび太サイド

「何だって?出木杉の奴が裏切りやがったのか……」
ポケモンセンター内にジャイアンの声が響く。
今、僕達はポケモンセンター内で話をしていたのである。
勿論、スネ夫と出木杉は居ない。
「……スネ夫さんと出木杉さん、二人がギンガ団側についたのね」
静香ちゃんが不安そうな表情をする。

そして、しばしの沈黙。
重い空気をぶち破ったのはジャイアンだった。
「とにかく!この後、俺達はアジトに乗り込む筈なんだ。今からでも行かないか?」
今からって……いくら何でも早すぎやしないか?
僕が反論しようとしたが、先に口を開いたのはドラえもんだった。
「待ってよ!僕達は誰一人としてここのジムバッジを持っていない。
それに……この状態で行くのは無謀すぎる!もっと戦力をアップさせないとダメだ!」
その言葉に頷く僕。
ジャイアンは机を叩きつけ、言い返す。
「こうしている内にもスネ夫は何されてるか分からない!そんな悠長な事言ってられっかよ!
スネ夫は……俺のせいでギンガ団に捕まっちまったんだ……。
だから!この俺が一刻も早く助けに行かなくちゃならねぇんだよ!」



ドラえもんも負けじと弁論する。
「戦力の足りない今乗り込んでも、返り討ちにされるのがオチだ!
十分な戦力を蓄えてから乗り込むのが最良の選択なんだよ!」
その言葉に、ジャイアンは遂にキレた。
「うるせえ!もしそれが手遅れだったらどうすんだよ?
そうなったらそれこそ終わりだ!」
もう見ていられない。
絶えない口喧嘩を止めさせるべく立ち上がったのは、他でもない……僕だった。

「ドラえもんもジャイアンも落ち着いてよ!
スネ夫がギンガ団に連れ去られたって事は、多分何かに利用する為なんだ。
だとしたら殺される事は無いよ。殺すならあの場でやる筈だし……。
だから、僕はドラえもんの意見に賛成だ。
今は戦力を十分に蓄えてから……満を辞して乗り込むべきだと思うよ」

たちまち辺りが静まった。
「そうだな……確かにのび太の言う通りだ。そうするぜ」
ジャイアンはそう言うと、ポケモンセンターを出ていった。
おそらくジム戦でもやりにいったのだろう。
時計を見ると、丁度九時五十分だった。
幸いまだ寝る時間じゃない。
「じゃあ、僕も行ってくるよ……」
そう言い残して、僕はポケモンセンターを出た。



僕がジムに着いた頃、丁度ジャイアンがジムから出てきた。
ラムパルドの力押しで余裕だったそうだ。
僕は「行ってくるね」と一言言うと、肌寒い夜風に吹かれながらジムの中へ入っていった。

ジムの中は外とは違って明るい。
けれど、寒いのは変わらなかった。
「え?またチャレンジャーなの?」
奥に居るジムリーダーの女の子が草臥れた様子で言う。
よく見るとミニスカだった。うほっ。

「私、ジムリーダーのスズナ。早速始めましょ!」
さっきの草臥れ様が嘘のようにハイテンションになるジムリーダー、スズナ。
繰り出されたのはユキカブリだった。
「氷タイプ……ならギャロップだ!」
僕が選んだのは炎タイプのギャロップ。
必殺の大文字でユキカブリを焼き尽くす。

「やっぱりユキカブリじゃ無理ね……」
瀕死のユキカブリをボールに戻すスズナ。
そのまま次のボールを取り出す。
「じゃあ次は……この子よ!」
スズナの二番手、チャーレムが現れた。



「ギャロップ、大文字!」
大の字の形をした炎がチャーレムにヒットする。
「チャーレム、反撃の飛び膝蹴り!」
今度はチャーレムの反撃。
ヨガパワーを備えたチャーレムの攻撃を受け、ギャロップは倒れてしまった。
やはりジムリーダーだけあって強い。

「次はドラピオンだ!」
ついさっき進化したドラピオンを出す。
「まずは毒びしを撒け!」
チャーレムの周囲に毒びしが撒かれる。
それを見たスズナはチッと舌打ちをした。
「早めに決めるわ。飛び膝蹴りをお見舞いしなさい!」
勢い良く仕掛けるチャーレム。
だが、堅い装甲を持つ僕のドラピオンには大して効いていない。

「今だドラピオン、燕返し!」
ドラピオンの尾が、チャーレム目掛け振り下ろされる。
「チャーレム、見切り!」
ギリギリの所で攻撃を避けるチャーレム。
だが、僕の考えはもう固まっていた。
「ドラピオン、剣の舞だ!」



一度舞ったドラピオンの攻撃力は凄まじい。
見切りを失敗したチャーレムを、燕返しで一撃の下に仕留めた。
「やった!」
ガッツポーズを取って喜ぶ僕を見て、スズナは薄ら笑いを浮かべた。
「これが最後のポケモン……でも負けないわ。出番よ、ユキノオー!」
現れたのは巨大なモリゾー。
ユキカブリの進化系らしき姿をしている。

「相手は毒状態……一気に畳み掛ける!燕返しだ!」
ドラピオンの燕返しで相手のユキノオーは中々のダメージを負った。
その後反撃の吹雪が放たれるも、ドラピオンはギリギリ持ち応えている。
「よし、僕の勝ちだ!トドメの……え?」
最後の指示を出そうとした僕だったが、言葉が詰まってしまった。
ドラピオンは既に倒れていたのだ。

「氷のつぶて……先制技よ」
瀕死のドラピオンを眺めながら、スズナは言う。
そういや、確かそんな技があったっけ。
僕はドラピオンを戻し、次のポケモン……ライチュウを出した。



「ふうー、やっと勝てたよ」
ジムから出た僕は誰ともなしに呟いた。
結局、敵の切り札ユキノオーは最後に出したライチュウの一撃で沈んだ。
何と言うか、終わってみればあっけない。
僕は一刻も早くこの寒気から逃れる為に、ダッシュでポケモンセンターへ戻っていった。

ポケモンセンターに戻ると、皆はもう寝ていた。
いつの間にかかなりの時間が過ぎていたらしい。
「僕も……寝ようか」
枕を置き、布団の中に入る。
センター内に皆が居るからか、どこか暖かい感じがする。
そう言えば、ここに来るまではずっと一人だったっけ。
道理で妙に安心してしまうわけだ。

今日は、久々に心地良く眠れそうだな……。

皆の手持ち
のび太   ライチュウLv43、ヨルノズクLv41、ギャロップLv42、ドラピオンLv40
ドラえもん ムクホークLv44、ムウマージLv43、ヌオーLv41
静香    エンペルトLv46、ミミロップLv43、ロズレイドLv44、パチリスLv40
ジャイアン ラムパルドLv45、マスキッパLv43



#スネ夫サイド

ギンガ団に入って一日目の夜が過ぎた。
空はまだ少し夜の面影があり、淡い紫と薄いオレンジとで綺麗に彩られている。
こんな空を見るのは初めてだろうか。

だが、これだけ綺麗な空を見ても僕の気分は晴れなかった。
一つはアカギに負け、ギンガ団に入ってしまった事。
そして、もう一つは……昨日の就寝前に遡る。

昨日の就寝前――
「お、お前は……!」
僕は寝る前に、アカギにある人物と対面させられた。
それも、僕の良く知っている人物。
ソイツの顔は以前と全く変わっていなかったが、どこか違う雰囲気を醸し出していた。
「やあ。まさか君が来るとはね……骨川君」
僕の目の前に居る人物……出木杉が言った。
想像だに出来ない光景に、僕は絶句する。
状況が状況なので、中々考えが纏まらない。
ただ一つ分かる事は、出木杉がギンガ団に加担しているという事――

その後、出木杉はアカギに何かを告げてアジトを出ていった。
聞く所によると、ある任務らしい。
僕は暫くの間壁にもたれかかっていたが、いつの間にか眠っていた。
そして今に至る。



僕が部屋を出たのは、空が完全に明るくなった頃。
向かうは、組織の食堂。
表向きは普通のビルだが、やはり大きな組織のアジトだけあって設備が凄い。
僕は恐る恐る食堂の扉を開けた。

「ようこそ!幹部様!」
僕が入った瞬間、下っ端達が立ち上がって僕に敬礼する。
「あ、あぁ……」
突然のことで戸惑う僕。
幹部ってこんなに待遇受けるモンなのか?
疑問に思って見ると、他の幹部達もそれなりの待遇を受けていた。
出木杉とアカギは居ない。

「では、皆一緒にいただきます!」
下っ端の一人が大声で言い、各自食べ始める。
今日の朝食はギンガパン、ギンガ汁、ギンガ牛乳らしい。
……とはいっても、一見するとただのパンと味噌汁と牛乳。
何でもギンガつければいいってもんじゃねーぞ!
心の中で悪態をつきながらも、僕はギンガパンを手に取った。



「ふう、食った食った」
先程悪態をついた事などすっかり忘れ、満足げに呟く僕。
味は意外にも悪くなかった。
「よし……戻るか」
僕がそう言った時、急に一人の下っ端が僕の方へ駆けつけて来た。
「幹部様……ボスがお呼びです」
「ボスだって?」
こんな朝っぱらから何の用だろう。
僕はとりあえずアカギの部屋へと向かった。

「来たな……スネ夫」
暗い部屋のデスクに座っているアカギが僕を見据える。
「朝っぱらから何の用?」
僕が聞くと、アカギは懐から黒い手帳を取り出した。
そしてアカギは言う。
「ボスである私に対して敬語を使わないとは頂けないな。
……まぁそれはともかく、今からお前に任務を言い渡す」
「任務……だって?」
捕えられて次の日から早速任務なのか?
心の中で狼狽する僕を他所に、アカギは話を続ける。
「これを見てみろ」
アカギが懐から手帳を出し、開く。
手帳にはギンガ団ブラックリストと記述されていた。



「これは……静香ちゃんじゃないか!」
アカギが指さす所には、静香ちゃんの写真と情報が書かれていた。
「今回の任務は、この女を捕える事だ。
今までの数々の任務の障害になっているからな。
……ただ、データによるとかなりの実力者らしい。
幹部のお前が直々に出向く他無いのだ」

僕が静香ちゃんを捕える……だって?
そんな事出来るわけが無い。
でも、もう僕はギンガ団の一員になってしまったんだ。
断ればジャイアン達の命も危うい。
僕はアカギを見据え、言った。
「分かりました、ボス」



キッサキシティに居る下っ端からの情報によると、静香ちゃんは雪原でトレーニング中。
それも単独行動をしているらしい。
任務を遂行する上で最適な条件だ。
「……行くか」
クロバットに乗り、朝の日差しを受けて飛び立つ。
向かう先はキッサキシティ付近の雪原。
そこで静香ちゃんと戦う事になる筈だ――

「よし……ここら辺かな」
クロバットを戻し、雪原に降り立つ僕。
視界は良くなかったが、何とかやれる状況だった。
僕は耳を澄まし、人の気配を探る。

「……あそこか!」
やがて、僕は前方に静香ちゃんとエンペルトを見つけた。
トレーニングの真っ最中なのだろうか。
……とにかく、もう後戻りは出来ない。
僕は意を決して、雪原の中を進んでいく。

この先どうなるかなんて、考えていなかった。
気がつくと、静香ちゃんの目の前に立っている僕が居た――

皆の手持ち
スネ夫 ゴウカザルLv44、クロバットLv43、ビークインLv43
静香  エンペルトLv47 他不明
出木杉 不明