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「リザードン、堪えるだ!」
翼を納め、耐え忍ぶように伏せるリザードン。
(馬鹿め、貴様など狙っていない!)
緑の球体を作り出していく、ミュウツー。
「そこまでは上手く行かないね」
のび太が諦めたように手を広げる。
だが動作とは裏腹に、のび太の顔には余裕が垣間見える。
「ラグラージ、ストーンエッジだ!」
技を指示して腕を振り上げて飛び掛るラグラージ。
飛び掛る方向は、リザードンの居る場所だ。
(仲間を狙うとは、頭が狂ったか!)
リザードンに腕を振り下ろしラグラージはDの前に戻る。
完成した緑の球体が迫る。
攻撃を受けて、ラグラージは崩れ落ちた。

(残りは先程の謎の攻撃でほとんど瀕死のリザードン一体。私の勝ちだ!)
声を上げたミュウツーにDは笑い声を上げる。
(な、何がおかしい!)
「何で僕がそんな無駄な事をしなければいけないんだよ。意味があるに決まってるじゃないか」
Dの言葉が終わり、リザードンが光に包まれていく。
(な、何だこの光は!?)
言葉にDが髪をかきあげて笑う。
ミュウツーの問いに、答えたのは眼鏡をかけた少年だった。
「これはヤタピの実の効果で特攻があがる光!
 攻撃させた意味はこれを発動させる為。
 そして、猛火の特性を発動させる為だ!」
リザードンに最後の指示を出す。
2の島で身につけた、最強の切り札奥義を。
「リザードン! ブラストバーンだあああああああああ!!!」



炎が巻き上がりミュウツーを上に吹き飛ばす。
吹き飛び、地面に叩きつけられるミュウツー。
二人は息を飲んで状況を見守った。
「……動かないね」
ミュウツーを指差してのび太は安堵したようだ。
胸に手を撫で下ろし、笑う。

その時だった。
ミュウツーが起き上がったのだ。

(私は……まだ負けておらぬ! まだ!)
半狂乱になりサイコキネシスを周りに乱射する。
その様子を見て、一人近づいていく男。
Dだ。
「ミュウツー。君はもう休め、頭を冷やしてまた話そう」
近づいて紫色のボールを直接当てる。
ミュウツーは回収された。

ガラスが割れるような音が鳴り響く。
上の穴から水が落ちてきた。
「……上に行こう。そこで真実を話してあげるよ」
水に髪を濡らしながら少年は呟く。
のび太は静かに首を縦に動かした。

リザードンに乗って二人が上に上がってくる。
出迎えたのは青い機械。
その名はドラえもん。
降りてきた二人をドラえもんは暖かく迎えた。



「二人とも、大丈夫だった?」
「まあね」
ズボンのポケットから二つタオルを出してDは笑う。
二つのうちの一つはのび太に向かって投げた。
「皆は!?」
タオルで頭を拭きながらのび太は尋ねる。
「しずかちゃんはハルさんと、スネオはヒョウさんと、
 ジャイアンはカイさんと、出木杉君はソラちゃんと一緒に飛び立ったよ。
 僕とのび太君以外ナナシマリーグに出場できないレベルと判断されたんだ」

「……で、真実って何?」
沈黙を破り口を開けるのび太。
「……話す時が来たんだね」
ドラえもんは溜息をついてのび太を見る。
「試験に合格した奴に何言ってるんだよ。
 さっさと言えよ、オリジナル」
髪をかきあげて、Dは笑う。
それを見て、ドラえもんはDを指差した。

「こいつはD。
 僕が人間になったらこんな感じかなって思って僕が作ったんだ」
のび太は驚いて彼の顔を見つめる。
ドラえもんと見比べて彼は俯いた。
「……自意識過剰すぎるだろ」
「不愉快だけど事実さ。
 そして、僕はこの世界のキングの一人でもある」
のび太は聞き慣れない言葉に途惑う。
「……キミは何も知らなかったんだったな。
 わかった、最初から説明するよ。
 僕が生まれた日から」



「僕が生まれたのは未来犯罪者が入ってるのがわかってから。
 設定的におかしいのをオリジナルが気付いた時だ。
 確か……お月見山で学習装置がもらえた時だよね?」
無言で言葉に頷くドラえもん。
その様子を満足そうに見て、Dは話を続ける。
「オリジナルは不安に感じてどこでもドアを使用してマサラタウンに戻った。
 その時……オリジナルの負の思念が集まって生み出された物があった。
 それが僕だ。身体はその時オリジナルが作った物」
自分自身を指差す。

「未来犯罪者? 負の思念? 意味わかんないよ!」
のび太の言葉にDは笑った。
「わからなくてもいい。一応順序をつけて説明してるだけだから。
 とりあえずわかって欲しいのは僕はドラえもん。
 でも僕は未来犯罪者では無いと言う事。
 これがどういう意味かわかる?」
突然の問いかけにのび太は戸惑う。
でも、無い頭でも彼が言いたい事はわかった。
「つまり……本当の未来犯罪者は別に居るって事だね」
答えに満足したように二人は頷く。
「その通り。
 飲み込みが速くて助かるよ」
自嘲気味に彼は笑う。
ズボンのポケットから何かを取り出す少年。
それはのび太も見たことがある秘密道具。
「食事でもしながらゆっくり話そうか。丁度雨も上がったしね」



「オリジナルは気付いたけどまだキミ達には言えなかった。
 何故ならその時オリジナルは全員を監視出来てなかったから。
 キミ達の中に裏切り者が居るかもしれない。
 その考えを持った僕とオリジナルは監視を出来るだけ多くする為に動いた。
 ロケット団戦での上手い理由を作った全員行動だよ」
パンを齧り、ハーブティをすする。
のび太は食事が手につかなくなっていた。
親友がずっと監視する為に動いていたなんて。
「オリジナルはまずキミと接触した。
 キミの事を最も信用していたからね。
 その結果……キミはほとんど白になった。
 普通に考えるなら一人でしか動けるはずが無かったから。
 皆で行きたがったキミは違う…そう判断した。
 そうして四次元ポケットの中で連絡を受けた僕は爆音を起こした。
 全員の反応を見る為にね」
のび太には思い当たる伏があった。
ドラえもんはずっとあの時四次元ポケットに手を入れていた。
それは彼と連絡を取る為だったなら納得いく。

「あの幹部達は?」
先程会った紫色の髪の少女等の事だ。
「彼等は僕が作ったデータ。
 現実世界の人を利用して作ったんだ。
 多分何かしら名残はあるよ、ほとんど引用したから。
 名前も現実世界での名前をわかりにくくしただけだし。
 ……さて、話を元に戻そうか」



ポケットにグルメテーブルかけを戻してDは口をタオルで拭く。
「僕は出木杉英才とジャイアンを監視。
 ロケット団は骨川スネ夫と源静香を監視。
 ドラえもんはキミを監視と上手く分けて行動した。
 まあ、シルフで全員を試して裏切り者が今現在居ない事がわかったんだけどね」
肩を竦めてDは息をつく。
「どう言う事?」
僕の知る限りでは何もおかしい所は無かった。
強いて言うならばドラえもんと彼のやり取りぐらいか。
「あそこで心拍数をカイが確認していたんだ。
 僕をドラえもんの知り合いと思わせたら裏切り者は異様に動揺するはず。
 結果……皆、普通だった。
 だからあの時…君たちの中に裏切り者は居なかった。
 ……これからの半年はわからないけどね」

Dはポケットからおいしい水を取り出し、飲む。
口をつけてから少し立った後、ペットボトルを置いた。
「これからは……皆を疑えって事?」
「少なくとも僕とオリジナル以外を相手は引き込むことが出来る。
 キングには手を出せないけど、ソルジャーには手を出せるからね。
 それに洗脳する事も可能だよ。だから意思なんて関係なく相手は攻めてくる可能性もある。
 まあ……少ないと思うけど。
 ナナシマリーグで決着をつけるように話し合ったからね、一日前に」
一日前? それって確かドラえもんがポケモンセンターに遅れて来た時じゃなかったっけ。

のび太の顔を見てドラえもんが頷く。
「そうだよ。あの時、僕はDと一緒に相手と話し合いをしてたんだ。
 遅れた理由を説明するわけには行かなかったから僕は嘘をついたけど」
ドラえもんはそう言った後、顔を俯かせた。



ドラえもんがポケットから復元光線を取り出す。
「僕は部屋を直してくるよ。
 Dが滅茶苦茶に壊しまくったからね」
トゲキッスを出して下に向かうドラえもん。
嫌味をDにぶつけてその場を後にする。

「結局……この長い旅の意味は何だったの?」
眼鏡をかけなおしてのび太が呟く。
「僕達の自己紹介とキミ達のテストだよ。
 キミ達の本当の旅はこれからさ」
Dは笑いながら答える。
のび太は言葉を聞いたとき尻餅をついて声を上げた。
「そ、そんなぁ」

それから30分程で全てのルールを言い終わりDが溜息をつく。
「もう話す事も終わったね。さて……僕はオリジナルの手伝いをしてくるか」
タケコプターを頭につけてDは下に飛び立った。

「よし! 僕も自分を鍛えるぞ! ナナシマリーグに行こう!」

崖の上からリザードンで飛び立つ眼鏡の少年を見て、緑髪の男が髪を横に払う。
「……あいつは利用できるかも知れないな」
ボールから赤い翼を持つ青き龍を出して、男は飛び乗る。
「行くぞ…僕は母さんを…復活させる…」

新カントー物語完。