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トクサネシティの宿に戻り、体を休めるのび太達。
ジムリーダー達は町の修復作業を手伝っているので、今は居ない。
「はぁ……」
ため息をつくのび太。
他の3人は何も話そうとせず、神妙な顔をしている。

トントン。
突如として部屋の扉が叩かれ、4人は顔をあげる。
「いいですよ」
のび太が言うと、扉がギィーと音を立てて開く。
「はじめまして。僕はダイゴ。突然押しかけてすまない」
そう、部屋に入ってきたのはダイゴ。
「ダイゴさん?」
口をポカンと開け、ふぬけた声をあげるのび太。
「おや、君は以前会ったね。……で、僕の用件は君達に事件の真相を伝えることなんだ」
今回の襲撃事件の真相。
それをダイゴは知っているという。
「知ってるんですか?なら、是非とも教えてください」
スネ夫が言い、ダイゴが頷く。
「単刀直入にいう。今回の事件の根源となる組織……それはデボンコーポレーションだ」
「デボンコーポレーション?」



「ああ。名前ぐらいは知っているだろう」
同時に発言する4人にダイゴが返答する。
「デボンって……あのホウエン最大の大手会社ですよね?」
スネ夫が確認すると、ダイゴは小さく頷いた。

デボンコーポレーション。
カナズミシティに建物を構えるホウエン最大の大手会社だ。
社員達の技術はかなり高く、常にホウエン地方を支えている。

「でも……何故デボンが?」
よくわからないという表情をしているしずか。
「それは……今から順を追って説明していこう」
ダイゴは紅茶を入れ、咳払いをしてから話し始めた。
「まず、事の発端はある一人の少女の言葉からだった。少女はデボンの社長……つまり
 僕の父に何かを促し、それによって父はあんな事をしてしまうようになったんだ。
 僕は少女と父の話を聞き、鳥肌が立つような危機感を感じた。だから、父と少女の行動 を常に監視できるようにチャンピオンを辞退した。そして、君達の仲間でありルネを破 壊したあの少年……デキスギに後を任せたというわけだ」
ここまで話すと、ダイゴは紅茶を啜って一息ついた。



「なるほど。にしても、何で出木杉が?」
スネ夫が言った。
確かに、もっともな質問だ。
「うーん……。僕が彼にトレーナーとしての素質を感じたから、かな?限界の見えそうな
 四天王達よりは、無限の可能性が秘められている少年の方が有望だからね。それと、僕
 がチャンピオンを辞退したのにはもう一つの理由がある」
「もう一つの理由?」
暫く黙っていたのび太が聞いた。
この時には、あのジャイアンまでもがダイゴの話に聞き入っていた。
「ああ。僕がチャンピオンを辞退したもう一つの理由……それは、僕自身がこのホウエン 地方を守りきれるか不安だったからだ。僕もまた、自分の限界に気付いていたからね」
ダイゴは悔しそうに外を見つめながら、更に続ける。
「……でも、今になって自分の判断が甘かったと気付いた。
 僕がこの世界を託した彼……
 デキスギは、何故か知らないが父の手駒になってしまった。今考えると、僕の見る目が間違っていたのかも知れないな……」
その目にやり場のない無念感を宿しているダイゴ。
無理もないだろう。
自分のしたことがホウエン地方破壊への手助けとなってしまっているのだから。



うつむけた顔をあげるダイゴ。
「さて、ここからが本題だ。僕がさっき話した内容を踏まえて、
君達にデボンを倒してほしい」
「デボンを倒す、ですって?」
驚いた表情で言うしずか。
「ああ。君達も、デキスギを取り戻したいんだろう?……それと、
君達の仲間と思われる青い狸も囚われの身となっている」
ダイゴのいう青い狸。
のび太はドラえもんのことが気になって仕方が無かった。
「ドラえもんが?」
「ドラエモンというのか……。ともかく、用件はこれで終わりだ。
明日の朝、僕と共に向かおう」
「はい!」
4人の快い返事を聞いたダイゴは、右手を挙げながら部屋を後にした。
残されたのはのび太、しずか、スネ夫、ジャイアンの4人。
皆は黙りこくったまま、やはり話そうとしない。
そんな時だった。
「ちょっと行ってくるよ!」
のび太は部屋を飛び出した。



のび太は全速力で階段を下り、廊下を駆ける。
『追いつけばいいんだけど……』
勢い良く宿の扉を開け、外に出る。
「ダイゴさーん!」
ダイゴは、既にエアームドを出して空を飛ぶ準備をしていた。
「ん?なんだい、ノビタ」
のび太は荒い息をつきながら言う。
「あの……ちょっとお願いがあるんですけど」
「何だい?」
どこか決意が現れているような、のび太の表情。
「僕とバトルしてください。お願いします!」
「バトル?どういうことだい?」
驚くダイゴに、のび太は答える。
「僕の力じゃ、ドラえもんや出木杉を助けれるか不安なんです。お願いします!」
のび太の必死の願いを聞いて、ダイゴも仕方なく頷く。
「じゃあ、前戦ったときと同じ……あの砂浜でやろう」



トクサネシティ砂浜。
強い北風が吹き、二人はボールに手をかける。
「いきますよ、ダイゴさん……。いけ、ハリテヤマ!」
「ボスゴドラ!」
砂浜に現れた二体の巨大なポケモン。
先に動いたのはハリテヤマだった。
「ハリテヤマ、かわらわりだ!」
「ボスゴドラ、守る!」
ボスゴドラに振り落とされるハリテヤマの手刀。
しかし、それは青い防御壁によって阻まれる。
「ボスゴドラ、燕返し!」
効果抜群。ハリテヤマは瀕死ギリギリのダメージを受けた。
『この一撃で決めないと、次の一撃でやられる……』
のび太はそう判断し、ハリテヤマに指示を出す。
「これで決めろ!ハリテヤマ、起死回生!」
ハリテヤマはありったけの力をボスゴドラに叩きつける。
そして、その一撃はボスゴドラを沈めた。
「やるじゃないか、ノビタ!……ならば、僕も最高のポケモンで相手をしよう」
ダイゴは空高くボールを放った。



ダイゴの放ったボールが光り、中からポケモンが出てくる。
そのポケモンこそ、チャンピオンとして名を馳せたダイゴのエース、メタグロスだ。
「これが僕の切り札。そう簡単には倒せないよ!」
「こっちも全力でいきますよ!ハリテヤマ、地震だ!」
効果抜群の攻撃がメタグロスを襲うも、大したダメージはない。
「そんなものかい?メタグロス、サイコキネシス!」
「ハリテヤマ!」
ハリテヤマは一撃でやられ、無残にも倒れてしまう。
「まだまだ……いけ、アブソル!」

それから戦いは続き、辺りが暗くなってきた頃に決着はついた。
「残念だったね、ノビタ。でも、君は確実に強くなっているよ」
「ありがとうございます、ダイゴさん」
結局のび太はメタグロスを倒せず、
他のポケモン達もいい所を見せる事なく倒れてしまったのだ。
「それじゃあ、僕はこれで……」
ダイゴはそう言うと、エアームドに乗って飛び去っていった。
「やっぱ、僕はまだ弱いなあ。もっと強くならなくちゃ!」
のび太は強い決意を胸に宿し、皆の居る宿へと戻った。



トクサネシティの宿。
既に辺りは真っ暗で、部屋の明かりは消えている。
しかし、そんな中唯一起動している部屋があった。

のび太の部屋。
目を開けたまま天井を見つめ、のび太は今までのことを思い出す。
『ホウエン各地が襲撃されて、ルネに出木杉が現れて……』
ダイゴの話でそれらの事件の詳細はわかったが、のび太にはまだ一つ疑問があった。
『ドラえもんと会って、ミュウツーを初めて見たあの日……』
そう、あの不可解な事件。
おそらく、ドラえもんが囚われの身になっている事と関係があるのだろう。
『まぁいいか。今は明日に備えて寝るのが先だ』
のび太は心の中で呟き、ゆっくりと目を閉じた――

同時刻、トクサネシティ砂浜。
一人海を見ながら座っているダイゴ。
心安らぐ波の音を聞きながら、ふと呟く。
「頑張ってくれよ、ノビタ達……。この世界を救えるのは君達しかいないんだ」
ダイゴは緩やかな風を感じながら、遠い目で水平線を見つめていた。



翌朝。
のび太達は決戦の朝を迎え、宿を出た。
全員準備は万端。
今日の決戦に備え、昨日から用意していたものだ。

トクサネシティ砂浜。
「やあ、君達……。じゃあ、早速行こう」
のび太達の顔を見るやいなや、ホエルコに乗るダイゴ。
「僕が案内しよう。ついてきてくれ」
のび太、しずか、スネ夫、ジャイアン、ダイゴの5人は海へ飛び込んだ。

海底。
「ここだ。ここからダイビングであがってくれ」
ホエルコを操り上へ出るダイゴ。
それに続き、のび太達も上がっていく――
「ここは……どこだ?」
ジャイアンが呟き、のび太達も辺りを見回す。
そして、その様子を察したダイゴが説明した。
「周囲と上に多くの岩があって外からは見えないけど、ここがデボンの本拠地なんだ」



デボンの本拠地。
海の中にあるとは思えないほど、中は綺麗に整っていた。
辺りには沢山の機械が置かれていて、研究レポートらしきものも見られる。
「さあ、行こう!」
ダイゴがのび太達を先導して中へ入っていく――
だが、そこで予期せぬ事態が起こった。

ビー!ビー!ビー!ビー!
非常事態を表す警告ランプが点滅し、アジト内に電子音が響き渡る。
「シンニュウシャハッケン!シンニュウシャハッケン!タダチニトラエヨ!」
すると、のび太達はすぐさま社員の男に囲まれた。
「随分と手荒い歓迎だな……まさか、予測していたのか?」
ダイゴが社員に聞くと、社員は驚いた様子も無く答える。
「社長は前からあなたの事をお疑いになっておりました。あなたはここで始末します」
社員はボールを構え、そのまま放り投げる。
「いけ、ミュウツー達よ!」
出てくるのは、以前にも嫌ほど見たミュウツー。
――のハズなのだが、出てきたのは赤い色をした鯉。
「な、何故だ!何故コイキングとすりかわっている?」
目の前の状況が信じられず、口をポカンを開ける社員達。
そして、それを嘲笑うかのようにダイゴが言い放つ。
「この僕がなんの対策もしないと思うのかい?」
見事にダイゴの術中に嵌った社員達。
のび太達はそれを撃破し、次の部屋に向かった。



次の部屋に辿り着いたのび太達。
だが、そこには驚くべき光景があった。
「これは……ミュウツー?」
ジャイアンが円柱に類似した機械を指さす。
その機械の中では、ミュウツーのと思われる遺伝子が繋ぎ合わされていた。
「これが奴等のミュウツーの元だ」
ダイゴが説明すると、またもや敵の刺客がやってきた。
「裏切り者め……今ここで、倒してやる!」
敵は三人。だが、ダイゴは焦っていた。
「シズカ、スネオ、タケシ!君達3人でコイツ等を止めてくれ!」
ダイゴが叫ぶと、ジャイアンは不満そうな顔をする。
「なんでだ?こんな奴等、一人で十分だ」
「コイツ等はさっきの雑魚じゃない!実力は君達と互角の幹部なんだ!」
ダイゴに一喝され、ジャイアンは真剣な顔つきになる。
「わかったぜ!ここは俺達がやるから、のび太とダイゴさんは先にいってくれ!」
のび太とダイゴは頷き、次の部屋へ向かう。だが……
「行かせはしないぜ!」
一人の幹部が行く手を阻む。
――と、その時だ。
「まずは眼前の敵を見るべきじゃないの?ミロカロス、ハイドロポンプ!」
幹部はしずかのミロカロスの攻撃を受け、壁まで吹っ飛んだ。
「しずかちゃん、ありがとう!」
のび太とダイゴは、足を休めることなく再び走り出した。



長い廊下を走り終え、何もない部屋についたのび太とダイゴ。
「来るぞ、ノビタ」
「はい、わかってます」
二人が背を合わせ、敵からの攻撃に備える。
そして……
「やはりあなたでしたか、ダイゴさん」
現れたのは十数人の男。
ダイゴはそれを見て身震いした。
「どうします?ダイゴさん」
「ここは僕がやる。コイツ等はデボン屈指の戦闘員だ……。
僕でも勝てるかどうかわからない」
ダイゴはそう言うと、メタグロスを繰り出した。
「メタグロス、破壊光線!……今のうちに走れ、ノビタ!」
ダイゴの迫力に押され、走り出すのび太。
「後は任せて下さい、ダイゴさん!」
のび太は強い決意を胸に、部屋を出ていった。



荒い息をつきながら、部屋の扉を開けるのび太。
その足には、相当な負担がかかっていた。
「さあ、どこからでもかかってこい!」
のび太は部屋に入るなり叫んだが、部屋の中では物音一つしない。
『どういうことだ?』
のび太が疑問を抱いていると、暗闇の中から一人の少年が現れた。
「また会ったね、野比君」
そう、それは紛れも無く出木杉英才だ。
「出木杉!……お前、なんでこんな……」
拳を握り締めながら言うのび太。
それに対して、出木杉は冷たく返答した。
「前にも言ったろう?これが僕の望みだからさ。
僕を止めたければ、僕を倒すしかないね」
それと同時に、出木杉は懐のボールに手をかける。
「やるしかないんだね……出木杉」
苦い表情でボールを掴むのび太。
「いけっ!」
二人同時にボールを放ち、青白い光と共にそれぞれのポケモンが姿を現す。
のび太と出木杉。宿命の戦いがついに始まった。



デボンのアジト内部。
「いけ、ペリッパー!」
「レックウザ!」
のび太はペリッパー、出木杉はレックウザだ。
「ペリッパー、冷凍ビームだ!」
「一撃で終わらせろ……十万ボルト」
二人は同時に指示を出したが、スピードに勝るレックウザが先に技を繰り出す。
そして、当然の如くペリッパーは沈む。

――それからバトルは続き、出木杉優勢のままバトルは後半を迎えた。
出木杉は未だにポケモンを倒されていない。
対して、のび太は残り2匹。
レックウザの圧倒的な力の前には、生半可な攻撃は無力なのだ。
「君が頼りだ!ダーテング!」
のび太が次に繰り出したのはダーテング。
旅の最初から連れていた、のび太のエースポケモンである。
「じんつうりきだ!」
強力な念力を放つダーテング。
しかし、レックウザはまだピンピンしている。
「どうしたんだい、野比君」
嘲笑うかのような冷たい目をする出木杉。
だが、のび太の目には一筋の希望があった。
「出木杉……どうやら君は重大なことを見逃していたようだね」
自信満々に言い放つのび太を余所に、出木杉はまだ平然としていた。
しかし、次の瞬間、彼の余裕は驚愕と焦りに変わる。
のび太は顔をニヤつかせ、言った。
「ダーテング、大爆発だ!」



のび太の声と共に、辺りを爆発音が支配する。
そして、煙が晴れ、バトルの勝敗が明らかになった。
「レ、レックウザ!」
焦りを隠せない出木杉。
そう、レックウザはダーテングと共に倒れていた。

「くそ!戻れレックウザ!そして……いけ、サーナイト!」
出木杉のポケモンを確認し、のび太も最後のポケモンを出す。
「君が最後だ。出ろ、メタグロス!」
くるくると回転するボールから出てきたのは、堅い装甲で覆われた蟹、メタグロス。
ダイゴから貰ったダンバルを進化させたものだ。
「メタグロス……厄介なポケモンだな。サーナイト、催眠術!」
サーナイトの催眠術は見事に命中するが、のび太は全く動じない。
「メタグロス!」
のび太が叫ぶと、メタグロスの眠気は次第に消えていった。
「ラムの実を持たせていたのさ。そして、今度はこっちからだ!
メタグロス、コメットパンチ!」
繰り出される強力な豪腕。
その驚異的な破壊力を前に、サーナイトは成す術もなく倒れた。



「やった、メタグロス!」
メタグロスの傍らで喜んでいるのび太。
そんなのび太を見て、出木杉は拳を強く握り締めていた。
「戻れサーナイト……。これで終わりにしてやる、リザードン!」
出木杉のボールから出てきたのは赤い竜。
力の限りに両翼を羽ばたかせ、それによって発生した風はのび太の所にまで届いている。
「野比君……。君がここまで僕を追い詰めたことは誉めてやる。
だが、次の一撃で僕の勝ちは決まる」
既に勝ったかのような表情をしている出木杉。
そして、次の瞬間には技の指示が出ていた。
「僕を勝利へと導け、リザードン!オーバーヒートだ!」
リザードンの口から発せられる強力な炎。
メタグロスは炎の洗礼を受け、力尽きた。

「残念ながら僕の勝ちだね、野比君」
のび太は力なくメタグロスをボールに戻し、顔をうつむけた。
「さて、野比君。仲間だったという事で未練はあるけど、デボンに逆らった罪は……」
出木杉がそこまで言った時だ。
凄まじい威力の光線と共に、部屋の扉が吹っ飛ばされた。
「誰だ!」
扉のあった方向を見つめ、何者かを確認しようとしている出木杉。
すると、一人の人間と一匹のポケモンの影がうっすらと見えた。
渦巻く爆風と共に現れたその正体は――
「遅くなってすまないな、ノビタ。後は僕に任せてくれ」
傷を負ったメタグロスを従えた元リーグチャンピオン・ダイゴだった。