ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

携帯獣 その3

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『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第一章 ♯第七話 「贈り物」

六人がトルマタウンに着いたころにはもう日が暮れかかっていた。
「とりあえず、今日はここの宿で泊まりましょ。そうねえ……あの民宿なら安そうね」
オリーの視線の先には少し古そうな民宿があった。たしかに安そうだが、スネ夫のセンスとはかけ離れていた。
「嫌だよ、あんなボロっちい民宿なんて、他にも、もっといいホテルとかあるじゃないか」
「駄目、これから先もいくつか町に立ち寄るし、それに、贅沢癖がついたらこの先苦労するわ」
オリーはスネ夫にピシャリと言う、案外経済的な面もあるのだ。


のび太は男3人と同じ部屋だった。ジャイアンは夕飯を食べ、既に眠っていた。スネ夫はポケッチの機能を試している。
「そういえば、ドラえもんは結局、どんなポケモンを捕まえたの?」
のび太はからっぽになった四次元ポケットをむなしそうに見つめているドラえもんに尋ねた。
ドラえもんは肩をすくめ、リュックからモンスターボールを取り出した。
「まあ、大したポケモンじゃないけどさ」
ドラえもんはボールからニャースを出した。ニャースはドラえもんを見て、うれしそうに喉をゴロゴロと鳴らす。
「本当は、スネ夫みたいにあの綺麗なニャルマーが良かったんだけどね、こいつだってようく見ると……」
「ようく見ると?」
「なかなか可愛いじゃないか!」
ドラえもんは、ゼニガメを見せびらかしたときと同じようなデレ顔になった。
「あ、ああ……そうだねえ。僕はそろそろ寝るよ」
のび太はこれからドラえもんがある種の道へ走っていってしまうのでは。と、心配になった。



翌日。
朝食を済ませたのび太たちは、民宿を出て、402番道路にいた。
オリーは、今朝届いた箱の中身をのび太に渡した。
「なんですか、これ?」
のび太は手に置かれた腕くらいの大きさのある銃のようなものをまじまじと見つめた。
「のび太君、それは、博士が君のために作った。『モンスターボールシューター』よ。私が昨日のポケモン捕獲テストの結果を博士に報告したら、
博士はあなたのモンスターボールを投げてでの失敗数に深刻さを感じて、急遽これを作って送ってきてくださったのよ」
のび太はシューターを構えてみた。
「かっこいいや!で、これってどう使うの?」
「このシューターには白玉の空間移動の力を応用したものでね、この白色の部分にボールを押し込むのよ」
オリーは自分の持っていたボールを一つ取り出し、シューターの白色の部分に押し込んだ。
すると、ボールは、のび太たちがアルセイオに出発するときのように、光に包まれ消えてしまった。
「この時点で、ボールは光の粒子となったのよ、引き金を引けば、光の塊が外に飛び出して、そのうちボールに変化するわ、やってみて?」
のび太は唇をペロリと舐め、近くを飛んでいた、巣帰りのヤミカラスを狙って、引き金を引いた。
シューターの射出口から拳大の光の塊が飛び出した。すると、あっという間にボールの形となり、ヤミカラスに当たった。
「すごいやこれは!」
のび太はすっかり関心した。
「いいなあ、のび太は!」
ジャイアンがうらやましそうにシューターをみつめる。
「ふふん、これは投げるのが下手糞でも、射的はピカイチのこの僕に与えられた、神様のプレゼントさ」
のび太は自慢気に言うと、ヤミカラスの入ったボールを拾いにいった。
「さあ、さっさと先に進もうよ」
のび太は皆の先頭に立ち、悠々と歩き始めた。



『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第一章 ♯第八話 「激流(前編)」

402番道路でポケモンを鍛えてたのび太たちは、次の町、コバルトシティに到着していた。
「綺麗だね、あちこちに水路があって、まるで外国みたい」
「うん!水の都って感じだね」
ドラえもんとのび太は二人で辺りを散歩している。
このコバルトシティは水が豊富で、いたるところに噴水や水路があって、観光客も多いのだ。
「そういえば、ドラえもん、ここにジムはないのかなあ?」
「そうだねえ、シティがつくなら、ジムぐらいあると思うけど」
のび太が辺りを見渡すと、オリーと話しているジャイアン、スネ夫、しずかが目にとまった。
4人の後ろには『コバルトジム』と書かれた看板のついた、建物があった。
どうやら、ジャイアンとスネ夫としずかがジムに挑戦するらしい。
「ジムリーダーさんは強敵だけど、いい経験になると思うわ、頑張ってきて」
オリーが、ジャイアンとスネ夫に言う。
「おう、じゃあ、行ってくんぜ」
「僕も行くよ」
「頑張ってきますね」
そう言うと、ジャイアンとスネ夫はジムの中に入っていった。
のび太とドラえもんもジム戦をしたかったが、三人が戻るのを待った。


三十分後。三人は疲れきった表情で戻ってきた。三人の手には、バッジが握られてはいなかった。
「強すぎだぜ、あの兄ちゃん……のび太じゃ無理だな」
ジャイアンはのび太に悪態をつき、スネ夫としずかとポケモンセンターに向かった。
「余計なお世話さ、僕だって強くなったんだ。行こう!ドラえもん」
「うん、行ってくるね、オリーちゃん」
そう言い残し、二人はジムに入っていった。



ジムの中は思ったより明るく、周りには小さな滝がある。
「やっぱり、水タイプなのかなあ?」
のび太がぽつりと呟くと、ジムの奥から人が現れた。水色のロングヘアーに眩しいくらいの白い服を纏った、顔立ちの良い青年だった。
「ようこそ、コバルトジムへ、僕はジムリーダーのスイセン、さ、早速始めようか。どっちが先かな?」
のび太とドラえもんは互いに背をつつきあい、先を薦めあったが、結局、のび太が先に挑戦することにした。
「あの……よろしくお願いします……」
のび太は緊張しながら挨拶する。そんなのび太にスイセンは優しく微笑む。
「そんなに固くならなくてもいいさ、じゃ、セットを選んでくれないか?」
「セット?」
のび太がすっとんきょうな声を上げる。
「ああ、説明していなかったね、僕はあまりポケモンを連続して戦わせたくないから、ある程度のチームを組んでおいて、
チャレンジャーに選ばせて戦わせているんだよ。今はBセット、Eセットが元気なんだけど、どっちに挑戦する?」
のび太は迷ったが、Eの方がなんとなく弱そうだったのでEにした。
「よし、じゃあ、バトルフィールドに来てくれ」
のび太とドラえもんはスイセンに連れられ、奥に進んだ。
バトルフィールドは入り口近くにあった滝よりも大きな滝がいくつもあって、それらが、フィールドを包み込むようになっている。
のび太は指定された位置に立ち、ボールを構えた。そのうち、審判が来て、試合開始の宣言をした。



「行け、シェルダー!」
スイセンの放ったボールから、シェルダーが現れた。予想通り水ポケモンだ。
「よし、頑張れマスキッパ!」
のび太はマスキッパを出した。
「マスキッパ!つるのムチだあ!」
マスキッパは触手でシェルダーを襲う、のび太は相性も抜群だし、一撃で倒せると思っていた。
しかし、シェルダーは殻に閉じこもり、攻撃を防いだ。殻が開いたときには、シェルダーはケロリとした表情をしていた。
「タイプが有利だからって、油断しないほうがいいよ?シェルダー、オーロラビームだ!」
シェルダーの放った、輝く光線をもろに喰らったマスキッパは吹き飛ばされ、池に落ちてしまった。
マスキッパは初めて水に浸かったので思うように身動きができず、じたばたしている。
こうしているうちにも、シェルダーが再び攻撃態勢に入る。
「のび太君!これはゲームとは違うんだ!ポケモンの能力と地形を生かすんだ!」
観客席からドラえもんがのび太に向かって叫ぶ、のび太は、はっとして周りを見渡し、あるものに気が付いた。
「マスキッパ、あそこに飛び移るんだ!」
のび太が指差したのは、観客席の手すりだ。マスキッパはそれに狙いを定め、思いっきり触手をのばし、手すりにしがみつき、飛び移った。
スイセンはマスキッパの移動を見て、驚きを隠せないようだ。
「ようし、もう一度ツルのムチ!」
マスキッパは再びシェルダーに向かって、触手を伸ばした。
「わからないのか?打撃攻撃はこのシェルダーには……」
スイセンは高らかに言ったが、次の光景を見て、言葉をなくした。
マスキッパは攻撃ではなく、シェルダーを捕まえ、自分の方へ引き寄せたのだ。
そして、大きく口を開け、シェルダーを飲み込んだ。
「なっ?」
スイセンは驚きを隠せないようだ。
「く、シェルダー!からにこもって耐えろ!」
スイセンが命令するも、シェルダーはピクリともしない、どうやら、戦闘不能になったようだ。
『シェルダー!戦闘不能、マスキッパの勝利!』
審判が高らかに宣言をした。



「なかなかやるじゃないか」
スイセンはボールにシェルダーを戻しながらのび太を評価した。
「だけど、次は僕の切り札だから少し手ごわいよ?行け、ラプラス!」
スイセンは近くにあった池の一つに、ボールを投げた。ボールから、青い恐竜のような姿をしたラプラスが現れた。
ラプラスはマスキッパをにらみつけると、大きく口を開いた。
「耐えられるかな?れいとうビームだ!」
ラプラスの口から冷気の光線が放たれた。
「あわわわ、マスキッパ、あそこに飛び移れ!」
のび太は慌てて指示を出したが、手遅れだった。ビームはマスキッパに命中してしまった。
マスキッパはその場に倒れ、動かなくなってしまった。
「うう、戻れ、マスキッパ」
『マスキッパ戦闘不能、ラプラスの勝利!』
審判が宣言する。
「つ、次はどうすれば……」
のび太の残りの手持ちは、相棒のヒコザルと捕まえたばかりのヤミカラスだ。
―ヤミカラスで様子見、といきたいけど、出してもすぐやられちゃうし……一か八かだ!
「頑張れ、ヒコザル!」
のび太は賭けに出て、ヒコザルを出した。
「ヒコザルか……この相性をどう覆すかな?」
「タイプが有利だからって、油断しないほうがいいですよ?さあ、勝負だ!」



『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第一章 ♯第八話 「激流(後編)」

ヒコザルは足に力を入れ、一気にラプラスの間合いに攻め込んだ。
「ヒコザル、かえんぐるまだ!」
ヒコザルの攻撃はラプラスの首筋に当たった。
しかし、ラプラスは、痛くも痒くもない、
というような目つきで小さなヒコザルを見下ろす。
「ラプラス、みずでっぽう!」
ラプラスは口から勢いよく水を噴射した。
ヒコザルはなんとかそれを避け、のび太の元に戻った。
「ま、まずいぞ……どんな技が通用するのかなあ?」
のび太はヒコザルの使える技をあれこれ考えた。そして、ある技が頭に浮かんだ。
「そうだ、かみなりパンチで攻撃だあ!」
のび太はタマゴ技で、ヒコザルにかみなりパンチを覚えさせたことが頭に浮かんできたのだ。
ヒコザルは頷くと、拳に力を集中させ、拳に電気を帯びさせた。
「行けえ!」
ヒコザルは周囲の壁を蹴り、ラプラスをかく乱させながら、迫っていった。
スイセンは不敵な笑みを浮かべた。
「残念、ダイビングで回避させてもらうよ」
ヒコザルの攻撃が当たる寸前に、ラプラスは水の中にもぐって、攻撃を避けてしまった。
「ヒコザル、そこは危険だ、別の場所へ!」
ヒコザルは慌てて、隣にあった池の側に逃げた。
しかし、それは間違いだった。
なんと、ラプラスはヒコザルの側の池から勢いよく飛び出してきたのだ。



ヒコザルは驚きの余り、ラプラスに背を向け、のび太目がけ、走り出した。
「背中を向けるとはね、みずでっぽうで止めだ!」
ラプラスは口から水を噴射する、
ヒコザルはそれをもろに受け、吹き飛んだ後、のび太の足下に倒れた。
「ヒ、ヒコザルゥ!しっかりするんだ!」
のび太の呼びかけに、ヒコザルは目を開けた。
しかし、その瞳には闘志が宿っていなかった。
「ど、どうしたんだよ、早くあいつを……」
のび太が言うも、ヒコザルはすっかり戦意を失っている。
「……わかったよ、僕が直接、ラプラスを倒す!」
のび太の大胆な発言に、ドラえもん、スイセン、審判は唖然としている。
「なに言ってんだよ!のび太君!そんなことできる訳……」
『いえ、ポケモン公式対戦法にはそのようなルールはありませんが…』
ドラえもんの言葉を遮り、審判が言う、彼も戸惑っているようだが。
「……いいぜ、ただし、怪我しても知らないよ」
スイセンは笑みを浮かべながら言う。
「ようし、見てろヒコザル!」
のび太は、ランニングシューズを起動し、一気にラプラスに向かっていった。
ラプラスもその姿に唖然としていたが、
我に返って、長い首を大きく振り、のび太を弾いた。



のび太は少し怯んだが、再度、ラプラスに向かっていった。
ラプラスは呆れたのか、先程よりも、ゆっくりと首を振った。
「今だ!」
のび太はチャンスを捕らえ、ラプラスの首にしがみついた。
「馬鹿か君は!」
ドラえもんが観客席から怒鳴った。
しかし、のび太は気にせず、振り落とされそうになりながらも、
頭の方へ、よじ登り、目蓋を思いっきり引っ張った。
さすがのラプラスもこれには激怒し、全力でのび太は振り落とした。
振り落とされたのび太は受身が取れず、顔から床に落ちた。
「お、おい!ラプラス!君、大丈夫かい?」
スイセンは心配そうにのび太に尋ねる。
「は、はい、大丈夫です。眼鏡は壊れちゃったけど」
のび太はふらつきながら立ち上がった。
そして、つぶらな瞳で、ヒコザルを見つめた。
「どうだい、僕の勇気は?」
ヒコザルは、ぽかんとした表情をしていたが、すぐにニヤリと笑い、立ち上がった。
そして、その瞳に闘志がやどったとき、ヒコザルの姿が変わった。



ヒコザルは逞しい、モウカザルに進化した。
「や、やったあ!行くよ、モウカザル!」
モウカザルは頷いたと思ったら、
あっという間にラプラスの頭上に移動していた。
「速い……!」
スイセンはあまりの速さに呆気をとられている。
「隙あり!連続でマッハパンチ!」
モウカザルは吼えて、数十発はある、音速のパンチを叩き込んだ。
ラプラスは悲鳴を上げ、またダイビングをした。
「モウカザル!」
のび太が不安そうに言うが。モウカザルは問題ないといった感じで、
真上にあった。スプリンクラー目がけ、ジャンプし、それに掴まり、
水の動きを見た。
そして、何かを見つけたのか、拳に電気を溜め、流星の如く落下した。
「ま、まずい、ラプラス!そこは危ない!」
スイセンが危険を察知し、ラプラスに命令するも、
それは手遅れで、ラプラスは池から上がってしまった。
その直後、モウカザルのパンチが眉間に命中し、気絶した。
『ラプラス、戦闘不能!ジムリーダースイセン手持ちゼロ!
よって、チャレンジャーのび太の勝利!』
審判が宣言する。のび太とモウカザルは疲れきり、ヘナヘナとその場に座りこんだ。
スイセンは残念そうな顔していたが、ポケットからバッジを取り出し、
のび太に手渡した。
「僕に勝った証。『サザンバッジ』だ。受け取ってくれ」
のび太は水色のバッジを見つめ、満面の笑みを浮かべた。



手持ち
のび太 モウカザルLv19 マスキッパLv21 ヤミカラスLv15
ドラえもん ?
しずか ?
ジャイアン ?
スネ夫 ?
オリー ?

  • 注 この小説のポケモンはゲームと同じLvで進化することは少ないです。
進化の条件としては、ある程度の戦闘を積み重ね、パワーを溜め込むことが原則です。
(進化の石使用を除く)つまり、トレーナーの腕しだいで、進化の速度が違うのです。



『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第一章 ♯第八話 「別離」

のび太がバッジを手に入れると、ドラえもんが観客席から降りてきた。
ドラえもんは笑顔でのび太の方へ向かってくる。
「よくやったね、のび太君!」
「まあね、ドラえもんも頑張れよ!」
のび太はドラえもんの肩をポンと叩き、観客席に向かった。
ドラえもんとスイセンはバトルフィールドに着いた。
スイセンはボールホルダーを取り出し、ドラえもんに向き直った。
「さ、始めようか?君は必然的に、Cセットになるけど構わないね?」
「いいですよ」
ドラえもんはニヤリとして答えた。その目は自信に満ちていた。


ドラえもんの力は圧倒的だった。
まず、最初に、スイセンはシャワーズを、ドラえもんはカメールを繰り出したのだが。
ドラえもんのカメールはシャワーズを、ロケットずつきで蹴散らし、
次にスイセンの繰り出したヌマクローも、交代して出した、ペルシアンで瞬殺したのだった。


「どうだい、のび太君、僕の華麗なる戦いっぷりは?」
ジムを出たドラえもんは、自慢気にバッジを見せ付ける。
のび太はほとんどドラえもんの好みで集めたチームなのに、
あんなに強いとは思っていなかったので、言葉が出なかった。
そうしているうちに、ジャイアン達三人が特訓から戻ってきた。
三人とも疲れきった表情をしていたが、ジャイアンは何かにとり憑つかれたように、
真っ直ぐジムへ向かい、5分もしないうちに、
その手にバッジを手にし、ジムから戻ってきた。



ポケモンセンターに戻った一行はオリーの広げた地図に見入っていた。
「これからの順序はこのまま403番道路を抜けて、『竜宮の泉』を
抜ければ、カイルンシティに着くわね、そのためにも、まだ時間はあるだろうし、
この街でゆっくりしてきましょ、ホテルも良いのとっとくから」
「いやったあ!」
これにはスネ夫が一番喜んだ。他の皆も嬉しそうだが、
ジャイアンだけは、さっきから恐い顔をしている。
「どうかしたの、ジャイアン?」
ドラえもんは心配そうにジャイアンに尋ねる、
しかし、ジャイアンはじっとドラえもんを見据えると、
急に立ち上がって、皆を見渡した。
「……悪いが俺は、一人で行かせてもらう」
ジャイアンの意外な発言に皆は動揺した。
「何でだよ!ジャイアン、皆で協力して、この世界の危機を救うって言ったじゃない」
のび太はジャイアンを止めようとする、
しかし、ジャイアンは聞く耳を持たず、看護婦のところに行き、
ポケモンをもらい、そそくさとポケモンセンターを出た。
「ねえ、一体、何があったんだい?」
ドラえもんがスネ夫としずかに尋ねる。まず、しずかが口を開いた。



「私たちはそれぞれ離れた場所で特訓していたのよ、そして、
たまたま剛さんのところを通りかかったら、
真っ赤な髪の毛に、赤黒い色の服を着た男の人と剛さんが、話していたの」
「それで、なんて話を?」
のび太の質問にしずかは首を横に振る。
「聞こえなかったけど、剛さん、凄く真っ青な顔をして、草むらに走って行ったわ」
スネ夫が続ける。
「僕もジャイアンに会ったときはなんだか様子がおかしかった。
なにかその男に吹き込まれたのかも」
ドラえもんは二人の会話を聞き、黙って頷き、ジャイアンの出て行ったドアを見つめた。



手持ち
のび太 モウカザルLv19 マスキッパLv21 ヤミカラスLv15
ドラえもん カメールLv18 ペルシアンLv20
しずか ?
ジャイアン ?
スネ夫 ?
オリー ?



『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第一章 ♯第八話 「ENEMY」

「なにボウっとしてるの?早く剛君を追いかけなきゃ!」
沈黙をオリーがかき消す。
「別に大丈夫さ、あのジャイアンのことだ、
『俺様が間違ってたよ~心の友よ~』とか言って戻ってくるって」
スネ夫が笑いながら言う、確かに今までのジャイアンのことを考えれば、
一理あるが、今回は何か違う。と、ドラえもん、静香は感じ取っていた。
ドラえもんが口を開いた。
「それでも、一旦追いかけて、事情を聞こうよ!
オリーちゃん、エアームドに偵察をお願いできるかい?
まだ、僕達のポケモンは回復してないんだよ」
オリーは頷くと、外に出て、エアームドを偵察に向かわせた。


10分程過ぎ、エアームドが戻ってきた。
オリーの話によると、エアームドは、ジャイアンが、『竜宮の泉』の
近くの森に入っていくのを、みかけたそうだ。
「なら、早速、403番道路に向かおう!急げば追いつくかも!」
ドラえもんの言葉に皆頷き、一斉にシューズを起動させ、
ジャイアンを追った。



403番道路で、レベルを上げつつ進んでいったのび太達は、
ようやく『竜宮の泉』にたどり着いた。
目の前には泉――というよりは湖が広がっていた。
「ここの奥にジャイアンがいるんだね?」
のび太が、オリーに問う。
「そう。とりあえず、ここを渡りましょう。
ここにはたしか渡し舟があった筈よ」
オリーが指差す先には、小屋があった。
のび太達はそこを訪れてみた。
「だれかいますか?」
静香が窓ガラス越しに声をかけると、4、50位の女性が出てきた。
「湖を渡りたいんですがいいですか?」
オリーが優しく問い掛ける。
すると、女性は残念そうな顔をして、言った。
「ごめんなさいねぇ、さっき一人男の子を乗せたのが今日最後なのよぉ。
船頭さん、カイルンシティで大事な用があってねえ」
「他にも方法はないんですか?」
オリーが更に問う、女性は顔をしかませ考えている。
そして、あることを思い出したようだ。
「この少し行った先に、遠回りになるけど、人が通れる林があるわ。
そこなら通れるわね」
のび太達の表情がパッと明るくなる。
「よし、出発だ!」
のび太が威勢よく叫び、一向は、林に向かった。



林の中は意外と暗く、地面がぬかるんでいた。
スネ夫が、靴が汚れるなど、ぶつくさ言っているが気にせず進んだ。


三十分位歩くと、さすがに全員くたくたになっていた。
足場も悪く、体力を使ってしまう所為もあるが、異常な程、じめじめしていたのだ。
「何かあるんじゃないか?これは異常だろ?」
スネ夫がまともなことを言う。
のび太達は重い腰を上げ、辺りを警戒した。
耳を澄ますと、なにやら意地悪い、馬鹿にするような声が聞こえる。
その時、突然、スネ夫の背後から、紫色の物が飛んできた。
「うぐっ……」
スネ夫は飛んできた何かに背中を打たれ、倒れこんだ。
飛んできたのは、ニドリーノだった。
その角にはスネ夫の血がこびり付いている。
「いやああああああああああああ!」
静香が悲鳴を上げる。すると、それに誘われたように
茂みから、ニドランやドガース、アーボ、アーボックにドガース、マタドガスなど
挙げればきりがな程の種類のたくさんの毒ポケモンたちが、のび太達を取り囲んでいた。
そのポケモンたちには、耳元にマイクのようなものがつけてあり、
それにはこう記してあった。
『エルド・カンパニー』



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