ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

ポケモンとのび太とノートと その11

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所変わってラジオ塔最上階。
長身の銀髪が初老の男性にひざまづいている。
コウ「…………という訳で、私共は奴らを撃退しました。」
参謀のコウは、今回の出来事について話していた。
トシミツ「それで、撃退した子供はどうした?」
コウ「それが……。
なみのりで流れていってしまって行方不明でして……。
捜索は続けているのですが、全く見つかりません。」
トシミツ「そうか、そうか……。」
トシミツはコウの報告に一考する。

理想はその子供を見つけ、それを人質にドーブル本体の要求という流れだった。
しかし、見つからないのでは仕方ない。
それはあきらめよう。

トシミツ「やはり、籠城だな……。」
トシミツは誰ともなしに呟く。
雨の中、やってくるドーブルの対策が出来た今、無理をすることもあるまい。
カホウには負担だが、後二週間、雨を降らし続けてもらおう。

心の中でトシミツはコクリと頷く。
トシミツ「よし、コウよ。
下がってもよいぞ。」
その時、
「バン!」と扉が開いた。
見ると、団員が息を切らせている。
コウ「どうしました?」
コウが訊くと、団員は息も絶えだえに言った。
団員「ポケモンセンターが……、何者かにポケモンセンターが爆破されました!!!」



トシミツ「なにっ?」
団員の言葉に流石のトシミツも驚きを隠せなかった。
団員「それと、デパート内からPP回復の道具が奪われました!
デパート、センター内を見張っていた者は全て消されています!」
団員の声には最早ヒステリックな物が混じっている。
続けて、コウも自分の考えを言う。
コウ「やられましたね……。
恐らく侵入者は複数。一人が囮になり、本隊がデパート、センターを叩く。
多分、先程のセンター爆破は時限装置でも使ったのでしょう。
あんな派手な音を出せば、自分らの存在が気づかれる事は必死。
奴らはそんな馬鹿ではない。
故に倒そうにも奴らはもうここにはいない。」
トシミツ「うーむ。」
トシミツが唸る。

ポケモンセンター、及びPP回復アイテムを盗んだのは恐らく、
あまごい封じと、籠城戦をさせない為。
持久戦に持ち込めば、回復が出来ない分、こちらが不利になることは明白。
あまごいも切れ、灼熱の太陽に焼かれながら無惨な敗けを噛み締めるだろう。
持久戦は出来ない。
ならば……。

トシミツは目を閉じ、こう告げた。
トシミツ「コウ、これから全隊、出撃準備。
奴らの陣に攻め込む。
今すぐにだ!」



コウ「なんですって!?」
コウが驚く。
コウも、次の手は突撃しかないとは思っていた。
コウ「お気は確かですか?
今からなんて……。」
コウが言う。
コウも次の手が突撃しかないとは思っていた。
しかし、今からとは予想もつかなかった。
余りにも無茶過ぎる。
コウの驚きをよそに、トシミツは指示を続ける。
トシミツ「攻撃目標は35番道路からエンジュシティのポケモンセンター。
奴らの意表をつく為に今からいく!
さあ、コウ、全隊に指令だ!」
コウ「しかし……。」
コウがためらっていると、後ろの団員が言った。
団員「自分は、トシミツ様に賛成です。
トシミツ様のおしっしゃる事なら間違いはありません!」
団員は息を切らせ、一息でそれを喋りきった。

ギロリと団員を一睨みしてからコウが言う。
コウ「わかりました……。」
コウは渋々了承する。
トシミツ「それでは言った通りに……。」
コウ「はっ。」
コウはそう言うと部屋から出ていった。

それを物陰から聞いている人が一人。
キキョウ「突撃……。
この策は私達にかかってるわ……。
でも、注意するのは敵だけじゃなさそうね」
キキョウは誰ともなしに呟いた。



アンノーン「………というわけだ。」
スネ夫「そうか……。
一応作戦は成功したようだね。」
アンノーン達がスネ夫に報告する。
そこへ、ドラえもんがやってきた。
スネ夫「ドラえもん……。」
スネ夫はそれに気づき、声をかける。
ドラえもんのその表情から察するに、既にあのことを知ってるに違いない。
沈黙が暫し流れたが、スネ夫がまた口を開く。
スネ夫「のび太は、のび太は無事かい?」

ドラえもん「うん。
疲れて、向こうのテントで寝てる。」
スネ夫「そう……。」
スネ夫は肩をすくめた。
のび太もちゃんと仕事をした。
自分も頑張らねばならない。
スネ夫「のび太はジャイアンのことは知ってるのかい?」
スネ夫の問いにドラえもんは首を横に振る。
スネ夫「そうか。
ならのび太には知らせない方がいいな。
無駄に精神的プレッシャーを与えることになる……。」
スネ夫の言葉にドラえもんも同意する。
その後、ドラえもんに皆を呼んでくるよう頼み、ドラえもんを部屋から追い出した。
一人になった部屋で一人呟くスネ夫。
スネ夫「僕の作戦もいよいよフィナーレ。
後は乗るか反るか……。」
スネ夫は何ともいえない感じに体を震わせた。
それが、恐怖であったかどうかは分からない。



トシミツが全軍出撃の指令を出してから数分後、
コウは放送で今後の事を述べると、休憩室に腰を下ろした。
周りでは突撃前に、暇をもて余した団員達が雑談をしている。
トシミツを誉めたたえる話が大半だ。
コウ『てめえら、あの糞ジジイのどこが好きなんだよ。
カス共が。』
コウは不快感を感じ、休憩室から出ていく。
しかし、出ていってもあのイライラする会話が何処かで聞こえる。
今の団員達は皆、トシミツに保護されたり、恩を売られたりして忠誠を誓っている。

しかし、コウは違う。何者にも属さない。
コウの目的。それはロケット団を乗っとり、自分の物にすること。
コウ「突撃まで、後一時間……。
今回の事で思い知らせてやりますよ。
誰が頂点に立つものとしてふさわしいかを、ね。」
コウはそう呟いた。
コウの目には最早、自らの野望しか映っていない。



所変わって、また35番道路。
のび太、スネ夫、アカネ、ドラえもん、その他のトレーナー達が作戦の打ち合わせをしている。
スネ夫「……と、いうわけで、奴らはこれからエンジュを目指して攻撃してくる。」
スネ夫は机の上のコガネの見取り図を指さして言う。

スネ夫「連中はこれから、全戦力と全戦力との総力戦になると思っている。それの……」
ドラえもん「裏をかく!」
ドラえもんが合わせるように言い、一同は首を縦に振る。
スネ夫「連中はエンジュまで陣を拡げる為に、外に総力を向ける。
逆をつかれないように、南の方の守りも厳重になる。
すると、どうだろう。
中の戦力が手薄になる。
そこから、手薄な内部へ……。」
スネ夫が見取り図の中央を指差す。
スネ夫「のび太のテレポートで侵入!」



話を聞いていた周りも、スネ夫の作戦に感嘆の声を漏らす。
のび太をコガネに潜入させた真の狙いはこれ。
のび太に死なれて困るのもこの理由だ。
スネ夫「コガネ内部に侵入するのは、僕、のび太、ドラえもんの三人。
中途半端な戦力は相手に逆手に取られるからね」
のび太とドラえもんは緊張の面持ちで頷く。
スネ夫「アカネさんや、他のトレーナーさん達は突撃してくる奴らを食い止めてくれ。

あと、ドラえもん。」
スネ夫はドラえもんの方を向く。
スネ夫「あの人の協力は得られるのかい?」
ドラえもん「うん。
快くOKしてくれたよ。」
スネ夫の問いにドラえもんが答える。
これで、スネ夫の作戦にもう、問題はない。
スネ夫「何か質問がある人はいる?」
スネ夫が訊くと、のび太が恐る恐る手を上げた。
のび太「ジャイアンは?
ジャイアンはどうしたの?」
のび太の禁断の質問にスネ夫はドキッとしたが、スネ夫が答える前にドラえもんが言った。
ドラえもん「じゃっ、ジャイアンは町に潜伏してるよ!
今はちょっと動けないだけ。
作戦は伝えてるから大丈夫さ!」



ドラえもんは無理に明るく振るまい、言う。
のび太「よかった……。
帰ってきてないから、何かあったんだと思ったぁ……。」
のび太『あの反応……。
予定通り奴は死んだようだな。
キシシシシ。』

スネ夫はゴホンと咳払いをし、もう一度言った。
スネ夫「他に何か質問はあるかい?」
その場にいた全員は、首を横に振る。
スネ夫「よし!じゃあ、皆それぞれの持ち場へ!
作戦開始!!!」

一同「オオーー!!!」
全員が、テントの外へ散っていく。
それぞれの思いが交錯するなか、確実に決戦の時は近づいていった。



「ん……?」
ある広い空間の中、ジャイアンは目を覚ました。
目がボヤけ、頭がガンガンする。
ジャイアンは一人呟く。
ジャイアン「ここは……。
頭が痛え……。なにも覚えてねえや……。」
するとそれに応える者がいた。
ボヤけていて、よく見えないが、何だか徳のありそうな人物だ。
周りには、数人のひ弱そうなメガネがいる。
?「目が覚めたようだな。
ここはコガネ百貨店の地下だよ。」

ジャイアン「コガネ百貨店の地下……?
俺は奴のなみのりに流された筈じゃ……
っていうかあんたは誰だ?」
ジャイアンはいまだ本調子ではないのか、たどたどしい口調で言った。
?「私かい?私ははずかしながら、ラジオ塔の局長をさせてもらっていた男だよ。
この通り、ラジオ塔はのっとられてしまったがね。」
ジャイアンは意外な人物に驚く。
コガネ住民は皆避難した筈だ。
ジャイアン「何故地下倉庫いるんだ?
避難したんじゃねえのか?」
ジャイアンの問いに局長はため息をつき、答える。



局長「奴らがコガネのラジオ塔をのっとった時、私達は町中に必死でこのことを伝え、避難させた。
そうしたら私達は町の外に逃げ遅れて、ここに逃げ込んだんだ。
奴らに見つからないように生活するのは苦しかったよ。」
成程。
全員のやつれた頬を見ると、どれ程の苦労かが分かった。
局長はまた話を続ける。
局長「ここ数日この空間の中は酷かった。
炎天下、酷い雨の中、デパートから、コソコソここまで物資の詰め込み作業をしなきゃならかったからな。」
その原因が自分達にあるとは口が割けても言えない。
局長「そして、私達は地下を脱出することにした!

しかし、その方法が無い。
するとある日、仲間の内の一人が、外を巡回中に波間に浮かぶ君を見つけた。
全く動いてなかったから死んでいると思ったら生きているではないか!
しかも天の恵みだろうか、君はトレーナーらしい。
これで奴らに対抗できる。そう私達は思った。
そして私達は君をロケット団に見つからないように地下倉庫に連れ帰った訳だよ。」
局長は声を荒げた。



ジャイアン「成程。
俺を奴らとの対抗戦力として使う気だな。」
局長は首を縦に振る。
ジャイアンは頭がようやくはっきりしてきた。

多分自分が生きているのは、突入前にドラえもんの目を盗んで勝手に使った「てきおうとう」のお陰だろう。
ちなみにスネ夫達にはこのことを知らせていない。
理由はジャイアンが使った瞬間、てきおうとうの電池が切れ、
「これはヤバイ」と思ったジャイアンはそのことを隠していたのだ。
まあ、今となってはそれが幸運となったが。
ジャイアン『俺の好奇心も捨てたもんじゃねえぜw』
ジャイアンは心の中で笑う。

一呼吸おいて、局長はまた話を始めた。
局長「そこでだ。君に頼みがある。
私達をこの街から出してくれないか?
君が気絶してる間に君のポケモンは見せてもらった。
オーダイルにカイリキー……、皆高レベルなヤツばっかりだった。
君ならここを突破出来るだけの力はある!!」
褒められて悪い気はしないジャイアン。
思わず口元が弛む。
そんなジャイアンを知ってか知らぬか、局長は殺し文句を吐いた。
局長「作戦は後で話すがやってくれるかね?
君だけが頼りなんだ!
男ならやってくれるだろう?」
ジャイアン「まかされよ!!」
ジャイアンは二つ返事で答えた。



局長「ありがとう!
作戦はまた後で話すよ。
とりあえず、今は体を休めてくれ。
30分後から作戦を話す。
そして一時間後に決行だ!
それと、これは使っておいてくれ。」
局長は倉庫のダンボールから、回復アイテムやら、
技マシンやらドーピングアイテムを取り出した。
これで大きな戦力アップが望める。

ジャイアン「これだけ期待されて断ったら男がすたるぜ!
よし!俄然やる気出てきた!!
ついでにあの水ヤローもとっちめてやるぜ!!」
鼻息を吹き出し、戦闘意欲見せたジャイアン。

しかし、その作戦がまたまた地味なものと知ると
ジャイアンのテンションは急降下してしまった。



一方、自然公園には決戦の時を待っているドラえもん達の姿があった。
ドラえもん「静かだね……。」
嵐の前の静けさにドラえもんが呟く。
すると、コガネの方から例によってアンノーン達がやってきた。
後少しで隊列をなした連中がゲートを越えてくるらしい。
スネ夫「アカネさん達は手筈通りにやってるかい?」
アンノーン達はイエスという文字を作る。

スネ夫「分かった。
後は突入合図を頼むよ。
奴らがゲートを越えきったら作戦開始だ。」
アンノーン「了解。」
アンノーンは了承すると、またコガネの方へ飛び去ってしまった。スネ夫「本当はてきおうとうを使うのがベストだったんだけどな……」
スネ夫が呟く。てきおうとうの電池は切れてしまっていた。

ドラえもん「緊張するね…。」
ドラえもんが呟く。
のび太「大丈夫だよ!
準備はしたんだし。」
のび太は突入用のフーディンを繰り出し、元気よく答える。
のび太にとっても、ここは上手くいかせなくてはならない。
のび太の策を成立させる為にも。
しかし、緊張のためか、やはり場を沈黙が支配する。

すると、別のグループのアンノーンがやってきた。
アンノーン「奴らがゲート越え始めた!」



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