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『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第一章 ♯プロローグ

「博士、しっかりしてください!」
家が燃え、辺り一面が黒い煙が立ち込める街中では、
少し赤みがかかった髪の少女と、片足を負傷した老人が何かから必死に逃げていた。
「うぐぐ……。オリーよ私はもう駄目だ。
傷口からポケモンの毒が染みこんできている……。おまえだけでも行くんだ」
老人の言葉にオリーと呼ばれる少女は目を見開き驚いた。
「駄目です、私には博士を置いていけません!……まだ間に合います、ラボに着けば薬だって……」
「いいから行くんだ!」
老人はオリーの言葉を遮り、オリーを突き飛ばし、よろめきながらも立ち上がった。
「お前には使命がある、この世界いや、星を救う者を見つけてくるのだ」
「でも、私はっ……」
オリーが戸惑っていると、逃げてきた道から黒い服を纏った男が二人迫ってきた。
二人の男の傍らには得体の知れない生物が獲物を殺したくてウズウズしている。
「行け!私の死を無駄にするな!」
オリーは一瞬戸惑ったが、老人に背を向け、ラボの方へ全力で走っていった。
オリーの耳には老人の断末魔がはっきりと聞こえた。オリーは振り向かず懸命に走り続けた。

ラボに着いたオリーは机の上から幾つかの機械と赤と白のカラーリングのボールを手にした。
そして転送装置と書かれた機械の中に入り、行き先を入力した。
転送装置は高速で回転を始め、光の粒子となって消えた。
画面にはこう書かれていた。『地球』と。

ちょうどそのころ、昼寝をしていたのび太が目を覚ました。



『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第一章 ♯第一話 「来訪者」

のび太は目を覚ますとニンテンドーDSの電源を点けた。
「今日こそ最後のバッジを手に入れるぞお!」
のび太は今、ポケットモンスターに夢中になっている。
なにせ猛勉強し、テストで78点を取り勝ち取った品だからだ。夢中にならないはずはない。
のび太がジム戦に夢中になっているとドラえもんがおやつを運んできた。
「のび太君、君はまたゲームしているのか」
ドラえもんは溜め息を吐いたがそれ以上は言わなかった。ドラえもんが一番のび太の勉強する姿を見ていたからだ。

ドラえもんがおやつのドラ焼きを口に入れようとした瞬間、
突然本棚の辺りの空間がゆがみ始めた。
のび太もそれに気づき、慌ててドラえもんにしがみついた。
「ドドドドドドドド、ドラえもん!」
「な、何なんだ一体?」
二人が怯えていると、歪みから一人の少女が飛び出してきた。
バランスを崩して前のめりに倒れこんだ。
「いたた……。あれ、ここは?」
少女が顔を上げた。目がパッチリしていてとても可愛らしい。
のび太は少しドキッとしてしまった。
ドラえもんは恐る恐る少女に近づいた。
「あの……君は一体どちら様で?」
「わ、私ですか?失礼しました、私はオリーと言います。空間を超え、地球まで来ました」
オリーは自己紹介を終えるとドラえもんに握手を求めてきた。ドラえもんはそれに応じる。
「ところでオリーさん、あなたは何でこんなところに? それに空間を越えてきたとか?」
オリーは自分の使命を思い出し、慌ててモニターのような機械を出した。
「まずはこれを見て欲しいんです。」
オリーが出したモニターの映像には荒れ果てた街が映し出されていた。



「これは私の星アルセイオよ、ここにはポケモンと呼ばれる生き物が住んでいて……」
「ぽ、ポケモンだってえ!」
オリーの説明を遮りのび太がすっとんきょうな声を上げる。
「ポケモンを知ってるの?君?」
オリーがのび太に尋ねる。のび太は頭を縦に振り、
オリーにDSの画面に映っているポケモンを見せた。
「レントラー……!この世界にもポケモンは存在するの?」
「違うよ、ポケモンはゲームの中だけのもの。でもオニーちゃんの星には
本物のポケモンが住んでるの?」
のび太はオリーの名前を間違えた。オリーはやさしく笑って話を続けた。
「オリーよ、ええそうよ。私の星にはポケモンが人間以上の数が住んでいた。
私たち人間は彼等と助け合って、
仲良く暮らしていたわ……。けど、ある日突然、この星の生態系が崩れたの。
火山活動は停止、海の水位が減り、天候も悪化したの。
それは全て後から分かったことだけど、ある秘密組織がポケモン界の『神』と呼ばれる者の逆
鱗に触れた挙句、その力を手に入れてこの星を自分の物にしようと動きはじめたのよ」
「そして君はここに逃げてきたわけか」
ドラえもんの言葉にオリーは頷いた。そして、ドラえもんとのび太の前に土下座をした。
「お願いします、私たちの星を取り戻すため力を貸して欲しいの!」
ドラえもんは弱った顔をしてのび太を見た。
のび太は本物のポケモンが存在すると聞いて興奮しているようだ。
「行こうよ!ドラえもん、今までだってこんなこと乗り越えてきたじゃないか。」
のび太の言葉にドラえもんは不本意ながらも頷いた。
「オリーさん、できるだけのことは手伝ってあげます。僕、ドラえもんです。この眼鏡をかけたのはのび太といいます」
オリーは涙ぐんでドラえもんとのび太の手を握った。
「ありがとうございます!それではアルセイオの安全な場所に……」
「ちょっと待って、オニーちゃん、助っ人を呼んでくるね」
のび太はそう言うと電話をしに走り出した。



『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第一章 ♯第二話 「集合」

のび太はまず、ポケモンに詳しい、というよりゲームで強い、
ジャイアンとスネ夫に電話をした。
ポケモンの世界へ行くという名目で誘ったら二人ともあっさり了承した。
しかし、のび太はオリーだけでは華がないと思ってしずかにも電話をした。
『はい、源です』
「もしもし、のび太ですけど……あ、しずちゃん?あのねこれからポケモンの世界に
皆で行こうと思ってるんだけど……」
『ポケモンってあの、ゲームのポケモン?……またドラちゃんの道具?」
「違うんだよ、今回はねえ、本当に生きてるポケモンが住んでる星に行くんだよ!」
『……うん、わかった。今行くから待っててね?』
しずかの誘いも成功したのび太は、鼻歌を歌いながら階段を上がった。
しばらくすると、ジャイアン、スネ夫、しずかが家に着いた。のび太は三人を急かして
自分の部屋に向かわせた。
「おう、ドラえもん!ポケモンの世界に行けるんだろうな!」
ジャイアンが荒っぽくドラえもんに訊く。
「そうだよ、でもねこれは遊びじゃあ無いんだ」
「どーいうこと?」
スネ夫が驚いてドラえもんに尋ねる。ドラえもんに代わってオリーが事情を説明した。
「私はオリー、ポケモンの住んでいる星、アルセイオから来ました。
今、アルセイオは謎の組織に乗っ取られそうになっています、
私はこの危機をなんとかするため一番近くて同じ人間が住んでいる
地球に助けを呼びに逃げてきたの。
そこで、偶然であった。ドラえもんさんとのび太君にアルセイオを救って欲しいと頼んだの」
「つまり、君たち三人にもお手伝いをしてもらおうとしたんだ」
オリーとドラえもんの説明を受けた三人は一気にテンションが下がった。



「あ、あれれ?皆どうしちゃったのさ?」
三人の顔色が変わったことに気づいたのび太は少し焦りだした。
ジャイアンはのび太を睨みつけた。
「おい、どういうことだよ!ポケモンに会えると思って楽しみにしてたのにまた冒険かよ!」
「そうだそうだ!もうあんなめんどくさい目に遭いたくないよ!」
ジャイアンとスネ夫がのび太に詰め寄る。
「で、でもさ、本物のポケモンに会えるんだよ?楽しいじゃない?」
「それとこれとは違うんだよ!」
「落ち着くんだ三人とも」
ジャイアンがのび太に殴りかかろうとしたところをドラえもんが止めた。
「のび太君の言い方はたしかにいい加減だったかもしれない。
でも、のび太君は君たち親友といっしょに冒険して、オリーさんを助けたかったんだよ」
「……そうなの、のび太さん?」
しずかとの問いにのび太は頷いた。ジャイアンはそんなのび太の気持ちに気づき、拳を引っ込めた。
「お前がそう思ってんだったら……手伝ってやろうじゃん」
ジャイアンは照れくさそうに言った。のび太の顔はパッと明るくなった。
「ほんとかい、ジャイアン!しずちゃんもスネ夫も手伝ってくれるかい?」
しずかは少し迷ったが、笑顔で頷いた。スネ夫も渋々手伝うことにした。
「ようし、じゃあポケモン世界に出発だぁ!」



「ちょっと待ってのび太君」
何も考えず出発をしようとするのび太をドラえもんが止める。
「このままアルセイオに出発してもやられてしまうかも知れないだろ、
だから、アルセイオに異変が起こる前の時間から出発しようと思うんだ」
のび太は説明の意味が分からないようだ。
「のび太さん、つまりね、今、アルセイオは大変なことになってるの、
だからこのままアルセイオに向かったら、
その巻き添えになって助けるどころじゃなくなるってわけよ」
しずかの説明にのび太はようやく事態を把握できた。
のび太が分かったところで、オリーは口を開いた。
「アルセイオに異変が起こったのはこの世界で言うと1ヶ月前。
ドラえもんさんのタイムマシンで行くなら、戦いの準備期間も合わせて5ヶ月位過去にさかのぼってからアルセイオに行ったほうが良いわ」
「おーし!早速行こうじゃん!」
ジャイアンの合図で6人はタイムマシンに乗り込み5ヶ月前の、
のび太の部屋を目指した。

5ヶ月前ののび太はいきなり現れた6人に驚いていた。
6人はそんな過去のび太を無視して作業を始めた。
「私の空間を越えた道具でアルセイオに行くわ」
オリーはそう言うとバッグから大きな真珠のような物を取り出した。
「これは『白玉(しらたま)』と言って空間移動の力があるの」
白玉を見たスネ夫はあっと声を出した。
「僕、それ知ってるよ、パルキアの能力を上げるやつさ!」
「パルキア?とにかく、これで空間を越えるわ……。準備はいい?」
のび太達は無言で頷いた。彼らにはそれぞれ決意の表情が浮かんでいる。
「では行きます!」
オリーが叫ぶと白玉は光を放った。6人はそれに包まれ消えてしまった。
その様子を過去のび太はポカンとした表情で見ていた。



『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』
第一章 ♯第三話「新世界」

「う……うん?ここは?」
のび太が目を覚ました。のび太はベッドに寝かされていた。
辺りを見回すとオリーを除く4人もベッドで寝ていた。
「ここはどこなんだろう?」
のび太はもう一度あたりを見回した。周りには機械がたくさんあった。
その中には見覚えのあるボールがある。
のび太はベッドから降りて、そのボールを手に取った。
「モ、モンスターボールだあ!」
のび太は小さな声で喜んだ。そして誰も見てないことを確認して
そのボールをこっそりとポケットに入れた。
そのとき、白衣を着た老人とオリーが二人、歩いてきた。ボ
ロボロの服を着たほうのオリーがのび太に気づいて手を振ってきた。
「のび太くーん、調子はどう?」
「は、はい大丈夫です」
オリー達はドラえもん達を起こした。皆眠そうな顔をしている
「ここはヨモギタウンのポケモン研究所よ、紹介するわ、この白衣を着た人は
ゼンマイ博士、そしてこっちのオリーは5ヶ月前のアルセイオのオリーよ」
オリーは5人にゼンマイと過去オリーを紹介した。
「未来から来たオリーからは事情は聞いておるよ、さあこっちに」
5人はゼンマイに大きなモニターのある部屋まで案内された。
5人はそれぞれ近くにあった椅子に腰掛けた。ゼンマイはリモコンのボタンを押し、
モニターの電源を入れた。
モニターには地図が映し出され、地図のある山に赤い印が打たれた。



「この地図は今我々が住んでいる『リュウス地方』の地図じゃ、
君達には未来から来たオリーと共に『地龍の巣窟』に行って欲しい」
「地龍?」
スネ夫がなにやら考えている。
「そう、この巣窟には伝説のポケモンが眠っているといわれておる。
どうやら未来の火山の異変にはここが関係しておるらしい」
ゼンマイは再びボタンを押した。すると『地龍の巣窟』への道が赤くポイントされた。
「この道順に進めば、戦力増加、悪天候等を含め、遅くても4週間以内には
巣窟に到着するじゃろう」
のび太は新たな冒険を目前に緊張してきた。ゼンマイは続けた。
「わしはドラえもん君と話があるから、
その間に君達にはパートナーとなるポケモンを渡そう」
「いよっしゃー!待ってました!」
ジャイアンが勢いよく椅子から立ち上がる。
「慌てないで、さあこっちですよ」
過去オリーが別の部屋に案内をした。ドラえもんはゼンマイと未来オリーとともに
モニター室に残った。



のび太達が着いたのはモンスターボールが所狭しと並んだ部屋だった。
「ここにあるのは私達が研究してきたポケモン達です、
進化前のポケモンしかありませんが、
好きなポケモンを六匹まで連れて行ってあげてください」
過去オリーが言い終わると4人は早速パートナーを選び始めた。
のび太はしずかと一緒にポケモンを選ぶことにした。
「六匹まで、って言ったけど、私ははじめてだから一匹にしておくわ」
「ぼ、僕もそうしようと思ってたんだ!」
本当は持てるだけ持って行こうと思っていたのび太だが、しずかに合わせることにした。
のび太がポケモンを選んでいると、あるポケモンと目が合った。
のび太がゲームでも最初に選んだヒコザルだ。
ヒコザルがじーっとこっちを見てくるので、のび太はなんとなくヒコザルを気に入った。
「ようし、僕はヒコザルに決めた!」
「あら、可愛いじゃない!私はピチューにしたわ」
のび太としずかはポケモンを見せ合った。そのすぐ側でジャイアンとスネ夫は
まだ選んでいる。
ジャイアンはポケモンを連れて行けるだけ連れて行くようで、
既に彼の手には4個のモンスターボールがあった。
「あ~これでもない、これでもない! 何処にいるんだエレキッド!」
ジャイアンは悪態をつきながらエレキッドを探している。
その隣でスネ夫は呆れた顔をしている。
「ジャイアン、なにもそこまで連れてかなくてもいいじゃない、
ゲームとは違って世話が大変だと思うよ」
スネ夫は彼なりに親切にアドバイスをした。スネ夫の言葉にジャイアンは手を止めた。
「それもそうだな、よし俺はポチエナにするぜ、大体ムクと同じように育てりゃ大丈夫だろ」
「それが良いよジャイアン、僕はニャルマーにするよ」
こうして4人のパートナーが決まった。



「みんなパートナーが決まったわね、さ、モニター室に向かいましょう」
過去オリーと共に4人はモニター室に戻った。


モニター室ではドラえもんとゼンマイと未来オリーが待っていた。
ドラえもんはどこか浮かない顔をしている。
「どうしたの、ドラえもん?」
のび太が心配そうに問う、ドラえもんは口を開いた。
「あのね、この世界ではどうやら次元の干渉があって、四次元ポケットが使えないんだ」
「そんなあ」
のび太が情けない声を出す。
「四次元ポケットについては私が研究し、使えるように使用と思う。
ひみつ道具とやらが使えない代わりと言っちゃなんだが、君たちにこれを渡そう」
ゼンマイはそう言うと、ドラえもんを合わせた五人に箱を渡した。中には、高そうな靴、携帯電話のようなもの、腕時計のようなもの、
それにゲームの主人公が着るような服が入っていた。
「その靴はランニングシューズ、普段より速いスピードで走れるものだ。
そして電話機能があるポケギア、必要なときに使うとよい。もうひとつはポケッチ、見てのとおり時計としての機能はもちろん
他にも様々な便利な機能があるものだ」
「そしてその服には防水、耐熱、保温効果があるの、よかったら着てね」
ゼンマイと未来オリーが説明をした。
「さ、出発準備は整ったな!この星の未来は君達にかかっている!頼んだぞ!」
のび太達は頷き、未来オリーと共に研究所を出た。
こうして辛く厳しく、長いようで短い5ヶ月間の冒険が始まった。