ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

炎赤葉緑 その1

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「はじめまして、ポケットモンスターの世界へようこそ」

薄暗い空間に一人の声が響いた。
その声は僕とそう年齢の変わらない男の子のもののようだ。
でも詳しいことは分からない。
その男の子は黒いローブを纏っているからだ。
「ポケット…モンスター…?」
僕――野比のび太は思わず呟いていた。
「そう、縮めてポケモン。知ってるよね」
この男の子はなにを言ってるんだろう。
確かにポケモンは知っている。僕の大好きなゲームだ。
だから、ここがポケモンの世界だなんてありえないことだ。
だって、ポケモンはただのゲームだから。
「どうやら忘れちゃったみたいだね。これを見たら思い出せるかな」
そう思ったとき、男の子がなにやら取り出した。
それは複雑そうな機械だった。
よく見ると二つのゲーム――ポケモンのカセットが差し込まれている。
……そうだ。思い出した。
ドラえもんが未来で買ってきた機械だ。
ゲームの世界に入れるってヤツ。
だから僕は嬉しくて、ジャイアンとスネ夫と出木杉としずかちゃんを誘って、
みんなで発売日の今日に買ったファイアレッドとリーフグリーンを
やろうとしたんだ。
そしてゲームを差し込んで、電源を入れて…あとは覚えていない。
ふと周りを見渡すと僕の友達はほとんどそこにいた。
たった一人を除いて。
「……ドラえもん?」
どこにもいない。
僕の大切な友達。
「ドラエモン? ああ、あのロボットのことかな」
男の子が呟いた。
「お前は一体だれなんだ! ドラえもんをどこにやったんだ!?」
僕は叫んでいた。



「僕は…そうだね、このゲームのマスター。ゲームマスターとでも
呼んでもらおうかな」
もしかしたらこの男の子は笑っているのかもしれない。
「ドラエモンの居場所はまだ教えられないなあ。
君たちがチャンピオンになるまではね」
「チャンピオン……?」
今度は僕だけじゃなく、みんなが呟いていた。
「そうだよ。
 君たちがチャンピオンになればドラエモンは君たちに返すし、
 君たちをもとの世界に帰してあげるよ。
 チャンピオンになれなければ、どっちも諦めてもらうけど」
「ふざけるなあっ!」
男の子が説明していると、突然ジャイアンが叫んだ。
「さっさとドラえもんを返しやがれえ!」
ジャイアンは怒りに任せて男の子に殴りかかろうとしている。
「……やれやれ…僕に逆らおうとしても無駄なのに……」
すると、ジャイアンの動きが止まった。
「う…動けねえ……」
その言葉通り、ジャイアンは身動きが取れないようだった。
「……さてと、これで他のみんなも分かったかな。
くれぐれも変な真似はしないようにね」
みんなは黙っている。
当然、僕もだ。
「分かってもらえたみたいだね。
 さっきも言った通り、君たちにはチャンピオンになってもらう。
 チャンピオンをかけた戦いで負けてしまえばゲームオーバーだ。
 ひとりでもチャンピオンになれればみんな帰れるけどね」
空間が揺らぎ始めた。
いや、揺らいでいるのは僕たちみたいだ。
「それじゃ、いってらっしゃい。あとでまた会おう」
その男の子の言葉が終わると、僕たちはそこから消えた。



1番道路。
気がつくと、のび太たちはそこにいた。
「すごい…本当にここが…ポケモンの世界……」
出木杉が呟いた。
ゲーム画面から見る景色と実際の景色の違いに、他のみんなも感動している。
「ところで…ここはどこかしら?」
しずかはポケモンをやったことがないため、知識はほとんどない。
とは言っても、彼らのうち、ほとんどがその場所を知らなかった。
ファイアレッドとリーフグリーンは今日に買ったものだし、
ほとんどが初代を遊んだことがなかったのだ。
「……それにしてもさ」
スネ夫が口を開いた。
「あのゲームマスター、一体どういうつもりなんだ?」
スネ夫が言うことも尤もだった。
「確かに、僕たちにチャンピオンになれだなんて、目的がよく分からないね」
出木杉も考え込む。
「……考えててもしょうがないんじゃないかなあ」
のび太が呟いた。
「取りあえずさ、早くチャンピオンになっちゃおうよ。目的なんてあとでいいしさ」
のび太は明らかに急いでいる。
無理もなかった。
しかし、ここで敵の目的などを考えていても始まらないというのも事実だった。
スネ夫も出木杉もしずかも納得し、今後のことについて話し合い始めた。
ただ一人、ジャイアンだけはなにも喋ろうとはしなかった。



「あっ!」
のび太が突然声を上げた。
「みんな見て、町だよ!早く行こうよ!」
のび太は小さな町を見つけ、話し合いの途中であるにも関わらず走り出した。
のび太は焦っていた。
焦っていて大切なことを忘れていたのだ。
「野比くん、草むらに入っちゃだ……」
気付いた出木杉が止めようとしたときにはもう遅かった。
「うわあああぁぁ!」
やせいのピカチュウがあらわれた!
当然、のび太はポケモンを持っていない。
今ののび太に出来ることはただ一つ。
(……神さま、助けてえ!)
神頼みだった。
しかし、のび太の困ったときの神頼みも虚しく、
ピカチュウはのび太に飛びかかって来た。
「のび太さん、逃げて!」
しずかが叫んだが、のび太は足が竦んで動けない。
「もう…だめぽ……」
のび太はもちろん、周りのみんなも思わず目をつぶった。
……しかし、なかなかなにも起きない。
のび太が恐る恐る目を開けると、ひとつのモンスターボールがピカチュウを捕獲していた。
「君、大丈夫じゃったか」
のび太の後ろにはひとりの老人が立っていた。
「は、はははい。だだ大丈夫です。どどどうもああああありがとうございましたたた」
まだ震えているのび太。
「無事で何より。わしの名前はオーキド。ポケモンの研究をしておる」
オーキドはさらに続けた。
「そうじゃ!ちょっと君たち、わしに着いてきなさい」
さっさと歩いて行くオーキドに、のび太たちはすこし戸惑いながらも着いて行った。



マサラタウン。
のび太たちはオーキドに案内され、オーキドの研究所へと入って行った。
「草むらは危険じゃ。だからきみたちにポケモンをあげよう。
 どれも育てやすいポケモンじゃよ。さあ、選ぶのじゃ」
机の上には四つのモンスターボールがある。
みんなそれぞれボールを選んだ。
「俺は…ゼニガメ……」
「僕は…フシギダネだ」
「僕は…ヒトカゲだね」
「私は…イーブイって言うのね。かわいいわ」
ジャイアンはゼニガメ、スネ夫はフシギダネ、
出木杉はヒトカゲ、しずかはイーブイを手に入れた。
「あのう…僕の分がないんですが……」
みんなが喜ぶ中、のび太が恨めしそうに言った。
基本的に鈍いのでボールを取り損ねたのだ。
「一つ足りなかったか……。
 …そうじゃ、君にはさっき捕まえたピカチュウをやろう!大切にするんじゃぞ!」
こうして、のび太はオーキドの思い付きでピカチュウを手に入れたのだった。




現在の状況

のび太 マサラタウン
ピカチュウ♂ LV5

ジャイアン マサラタウン
ゼニガメ♂ LV5

スネ夫 マサラタウン
フシギダネ♂ LV5

出木杉 マサラタウン
ヒトカゲ♂ LV5

しずか マサラタウン
イーブイ♀ LV5



オーキドからポケモンをもらった五人は、研究所から出ようとした。
すると、
「そうじゃった!君たちにこれもあげなくてはのう」
オーキドが取り出したのはポケモン図鑑とタウンマップと空のモンスターボール。
「今度はちゃんと五人分ありますよね?」
のび太が心配そうに尋ねる。
「心配しなくてもちゃんとある。さあ、受け取りなさい」
のび太たちはポケモンずかんとタウンマップとモンスターボールをてにいれた!
「ポケモン図鑑は、見つけたポケモンや捕まえたポケモンのデータを
記録するというハイテクな代物じゃよ、タウンマップはカントーの地図。
モンスターボールは野生のポケモンを捕まえることが出来るぞ」
「どうもありがとうございます」
出木杉が代表してお礼を言った。
「なに、気にすることはないんじゃよ。がんばるんじゃぞ、未来のポケモンマスターたちよ!」
五人が研究所を出て行ってからすこしして、オーキドは寂しそうに呟いた。
「ああ、わしにも孫がいたらのう……」
それを聞いて助手が笑う。
「またですか、博士」
「わしの孫ならきっとすごいトレーナーになれるじゃろうなあ……」
「あのう、博士?仕事を……」
「それでポケモンリーグに挑戦してチャンピオンにだってなれるじゃろうに……」
このあとも延々とオーキドの“架空の孫の自慢話”が続き、
不憫な助手はそれに付き合わされるのだった。



「これからどうする?」
研究所を出てからスネ夫が言った。
「……俺は一人で行く」
ジャイアンの言葉にのび太は驚く。
ジャイアンのことだから、スネ夫と一緒に行くと言い出すと思っていたのだ。
「じゃあな」
言うやいなやさっさと行ってしまった。
「ジャイアン、どうしたんだろ……」
のび太も心配になってきた。
こっちに来てからのジャイアンはすこし様子がおかしい。
「なあに、あのゲームマスターとやらに手も足も出なかったのが悔しかったんだろうさ」
スネ夫がタウンマップを見ながら言った。
「ジャイアンの考えてることなんて僕にはお見通しだよ。まあ、僕にとっても好都合だ」
スネ夫はタウンマップをしまい、続ける。
「僕も一人で行かせてもらうよ。団体行動なんてまっぴらごめんだしね。
じゃ、ばいばい」
そう言い終えると、スネ夫も1番道路へと向かって行った。
残された三人。出木杉が口を開いた。
「……しずかちゃんと野比くんはどうする?」
「私はちょっと不安だし、だれかと一緒に行動したいわ」
しずかの尤もな意見。
「僕も……」
のび太もそれに同意する。
「情けないけど…僕だけじゃきっとチャンピオンになんかなれっこないし……」
ドラえもんのことで焦っていたのび太だったが、すこしずつ落ち着いてきたらしい。
「じゃあ、決まりだね。僕としずかちゃんと野比くんの三人で行動しようか。
 まずは1番道路を抜けてトキワシティに向かおう」
出木杉が結論と次の予定を述べた。



22番道路。
ジャイアンはそこでパートナーのゼニガメと新たに捕まえたマンキーのLV上げをしていた。
「ゼニガメ、泡だ!マンキーはけたぐりをお見舞いしてやれ!」
敵対しているのは十匹ほどの野生のポケモンたち。
少々無茶な特訓でもあったが、ジャイアンはそれ以外に得策が思い付かなかったのだ。
(アイツは只者じゃない…強くならなきゃ絶対勝てねえ……)
あのゲームマスターにはガキ大将・ジャイアンですら手も足も出せなかった。
だから決めたのだ。
「チャンピオンになってアイツをぶっ飛ばしてやる!チャンピオンに俺はなる!」
大声で夕日に向かって叫ぶジャイアン。
道行く人に変な目で見られたのは内緒だ。

トキワシティ。
スネ夫はポケモンセンターで情報収集をしていた。
(情報収集はRPGの基本だよ。まあ、ジャイアンなんかは強引に突き進んで、
 今ごろトキワの森とやらにでもいるんだろうけどね)
取りあえず、夜まで22番道路でポケモンのLV上げや捕獲をし、
トキワシティのポケモンセンターで夜を過ごすことに決めたスネ夫。
のちに、スネ夫はこの判断を後悔することになる。



1番道路。
のび太と出木杉としずかはまだそこを歩いていた。
のび太の足が遅いこと、のび太の体力がないことなどが理由に挙げられるが、
主な理由はしずかが初心者であることだった。
出木杉はしずかにポケモンバトルや捕獲について説明している。
その間、のび太は石段に座って休んでいた。
本当は出木杉がしずかにポケモンについて教えていることが気に食わないが、
自分は教えられないので黙っていた。
(ああっ、もう!出木杉のヤツ、しずかちゃんにくっつき過ぎだ!もっと離れろ!)
……こんなのび太ですが、さすがにドラえもんのことは忘れていないと思います。
「しずかちゃん、分かったかい?」
出木杉が尋ねる。
「ええ、大体は……」
しずかはそう言うが、まだ分からなさそうな様子である。
(どうしたものか……)
出木杉が考え込む。
すると、
「出木杉ー!実際にやってみせたらどう?」
休んでいたのび太からの提案。
(なるほど、それが一番分かりやすい!野比くん、グッジョブだ!)
出木杉はのび太に感心し、感謝した。
しかし、
(失敗しろ!失敗して恥かいちゃえ!)
のび太は単に出木杉に恥をかかせようとしていただけだった。
まったくダメ人間である。



「よし、しずかちゃん、見てて!」
出木杉は草むらに足を踏み入れた。
やせいのポッポがあらわれた!
「ポッポか…行け、ヒトカゲ!」
出木杉はボールからヒトカゲを繰り出す。
「ヒトカゲ、ひっかくでポッポの体力を減らせ!」
ヒトカゲの爪がポッポの羽に食い込み、確実にダメージを与える。
しかし、ポッポも負けじと砂をかけてヒトカゲの命中力を下げてくる。
(ちっ、もうすこし体力を減らしたかったけどしょうがないな)
「ヒトカゲ、戻れ!えいっ、モンスターボール!」
ボールがポッポの体に当たった。
ボールは二、三度揺れ、動きが止まった。
やったー!ポッポをつかまえたぞ!
「こんな感じだよ。分かった?」
出木杉がポッポのボールを拾いながら言う。
「ええ、分かりやすかったわ。出木杉さん、ありがとう」
なんだかちょっといい雰囲気な出木杉としずか。
(なんだい!出木杉が成功したのは僕のおかげじゃないか!)
出木杉に失敗してほしかったのび太だったが、
世の中がそんなに思い通りに行くはずもない。
のび太は出木杉がちょっと嫌いになりかけたが、
「野比くん、ありがとう!君のおかげだよ」
「のび太さんもありがとうね」
しずかにも感謝されたのでちょっと好きになった。まったく単純である。
……重ね重ね申し上げますが、ドラえもんのことは忘れてないと思います。多分。




現在の状況

のび太 1番道路
ピカチュウ♂ LV5

ジャイアン 22番道路
ゼニガメ♂ LV8
マンキー♂ LV7

スネ夫 トキワシティ
フシギダネ♂ LV6

出木杉 1番道路
ヒトカゲ♂ LV5
ポッポ♂ LV3

しずか 1番道路
イーブイ♀ LV5



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