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「電脳戦士のび太 その1」(2007/07/24 (火) 17:29:45) の最新版変更点
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時は2115年
とある会見場で、ポケットモンスター・on-line ver. の公式発表が行われていた。
120周年記念により、MMO風の本格的なオンラインゲーム化が決められていた。
その舞台を決めるにあたって行われたファン投票では、全世界から累計5000万票以上が集まったとの発表等があった。
会見も終盤となり、最も注目の集まる、ゲームのベースとなる地方の発表の時が来た。
果たして、世界のポケモンファンの支持一番多く受けたのは――
「今作の舞台は、ポケットモンスター・・・
金銀です!」
所変わってここはまだ21世紀はじめ頃の、とある平穏な町。
そこには一人の冴えない少年が歩いていた。
名前はのび太。後の主人公になる存在なのだがそれは置いといて・・・
彼はあるところに呼ばれていた。彼はとにかく急いでいた。しかし予定時間を大幅に過ぎていた。それは更なる焦りを呼んでいた。
「くっそー。なんで僕ばっかりこんな目に・・・ 」
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それにしてもこの少年、あまりにも惨めな格好である。
服はボロボロ、足は血だらけ、顔は涙でぐしゃぐしゃと、端から見るとまるで虐めでも受けているのかと疑われる程だ。
しかし原因はそうでは無かった。単純にツイてなかったのである。
出掛けようとした矢先に、母親に0点のテストが発覚し説教を受け、野良犬には追いかけられ、ドブに落ちたり電柱にぶつかったり(ry と、酷い有り様であった。
まあそうこうしている内に、ようやくのび太少年は目的地に着いたようである。
ピンポ―ン
「遅いよのび太~。あっ、のび太に急げなんて言っても無理か。あはははは。」
「のび太クン遅いよ~。みんな待ってるんだからさぁ~。」
「俺様をいつまで待たせたと思ってんだ! ぶん殴ってやる!」
「まあまあ武さん落ち着いて。」
「まあやっと全員揃った訳だし、早速始めないか?」
さて、のび太少年を迎え入れたのは、同じ学校に通う4人の少年少女達( プラス狸・・・ では無く猫型ロボット ) である。
のび太少年( 以下のび太 )に話しかけた順に、スネ夫、ドラえもん、ジャイアン、しずか、出木杉といった。
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「いや~それにしても、まさか未来のポケモンができるとは思わなかったよ~。
ドラえもんはこういう時は凄い役立つ・・・、いや何でもない。」
「おう! しかも未来のポケモンだって言うから全然ワケ分かんなくなるかと思ったけど、金銀ならやり込んだから大丈夫だぜ!
何故なら俺様はエンテイをレベル100まで育てたからな!
ガハハハハハハ!」
「オンラインゲームか・・・? 未来の技術も見れるならいい勉強にもなりそうだね。」
「ピッピと一緒に冒険できるのね。
早くやりたいわね!」
ここまでの会話を聞き終わり、ドラえもんがポケットからパンフレットのコピーを取り出す。
「これが未来デパートの懸賞で当たったんだ!
ポケットモンスターオンライン、βテストサーバーのアクセス権、つまりこれがあればタダで未来のポケモンが出来るんだ!」
そう渡されたパンフレットを眺めた出木杉は、ドラえもんに対し
「 『抽選で50名様』 なのに、なんで5人分も当たったんだい?」
と尋ねる。
それに対してドラえもんは
「よく分からないよ。 まあ当たったんだからいいじゃないか!」
と楽観的な感じで答え、出木杉はそれ以上突っ込まなかった。
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「そうは言っても、5人分だから僕は出来ないだけどね…
まあ僕の事は忘れて、思いっ切りみんなで楽しむといいよ!
それより、そろそろ準備を始めようかな。 スネ夫~? 例の物は準備オーケー?」
「バッチリさ。それより、ドラえもんがどうしても必要と言うからわざわざ従兄のお兄さんに頼んで、借りてきたんだぞ。
ダメだなんていったらタダじゃおかないからな!」
「絶対に大丈夫なんて一言も言ってないじゃないか。やって見るまで分からないよ。」
そう言った後、ドラえもんは傍にあったパソコンの電源を付ける。
「さて、準備ができるまでの間、ゲームについておさらいしておこうか。」
「じゃあまずのび太クンに問題。このゲームはどこを舞台にしているのかな? 」
「ポケモン金! それくらい簡単だよ! 」
「正確には場所で言うならジョウト地方だね、ドラえもん。」
「ご名答~。流石出木杉クン。
じゃあ次はジャイアンだ。このゲームの一番大きな目的はな~んだ?」
「勿論、チャンピオンになる事だぜ! 」
「そう、普通のシリーズと同じ様に、バッジを集めてチャンピオンに勝つんだ。
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「ところでドラえもん、もう準備が出来たようだよ。」
「あっ、ホントだ。」
そうしてドラえもんは四次元ポケットの中から小さなメモと、何かの冊子を取り出す。
「スネ夫に頼んでおいたパソコンのスペックは大丈夫だし、あとはこの紙に書いてあるアドレスからゲームをダウンロードすれば・・・
ああっ!? 」
ドラえもんの突然あげられた、謎の叫び声に驚く一同。
一番乗りで声をあげたのは、のび太だった。
「どうしたの!? まさか出来ないの? 」
一瞬沈黙の時が流れる。
しかし、その沈黙を破り、申し訳無さそうに声を絞り出すような感じで口を開けるドラえもん。
「そのまさかだよ・・・ 。」
すかさず出木杉がドラえもんに尋ねようとする
「・・・・・。
どういう事なんだい? 君が試す前からそんな事を言うという事は、何かしら根拠があるんだろう?」
「うん・・・。 実は・・・
このパソコンじゃ駄目なんだ・・・。」
溜め息そして落胆の声をあげる一同。
重い雰囲気のまま時が流れる。
しかしそれは長くは続かない。手を震わせながら立ち上がったのは―
立ち上がったのは意外にも、スネ夫だった
「どういう事だよドラえもん! 君に頼まれたスペックは全て満たしたハズだよ!」
「うん…。 スペック的には問題ないんだ。でも…」
「でも何なんだよっ! 僕は従兄の兄さんにどう顔を合わせればいいんだ!」
続く言葉が出てこないドラえもん。少し考え込むようにした後、再び口を開く。
「えっと… 、このままじゃ納得いかないだろうから、一から説明するよ。みんなしっかり聞いてよね…
まず、このゲームをダウンロードするのは勿論未来のホームページ。これはみんな分かるよね?」
のび太を除く全員が頷く。 どうやらこののび太、この時点で話についていけない様である。
しかし、そんなのび太を無視して話は続く
「この時代のパソコンじゃダウンロードページにアクセスできないんだ・・・
勿論、無理やりインストールする事は出来る。 未来からダウンロードデータを持ってくればいい話だからね。」
しかし、スネ夫は一向に食い下がろうとしない。
「じゃあそうすればいいじゃないか!
ダウンロードごときに手段を問う必要なんてないだろ!」
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ここで急に、ドラえもんの口調が説明的になる
「オンラインゲームは、自分達以外にも相手がいる・・・、 俗に言うNPCに対するPCのことだ。未来の世界では、タイムマシンの操作による不正が無いようにという事で、タイムプロキシというものが導入されているんだ。
タイムプロキシは、ゲームに干渉するタイムマシンプログラムを遮断する優れものなんだ。
未来のゲームは、これが無いと出来ないようになってるんだ。ここまでみんな大丈夫かな?」
「タイムふろしき? それなら僕がこの前借りてたから返すよ!」
「ふろしき じゃない。 プ ロ キ シ だ!
そういえばタイムふろしきが無くなったと思ってたら、また君が勝手に借りてたのか!」
「もういいからのび太は引っこんでろ!」
「そうだそうだ!」
「ヒドいよぉおお、みんなぁあ~!」
のび太が騒ぎだし、雰囲気がグダグダになりそうな所で、出木杉が続きを催促して、話は戻る。
「ドラえもん、それで続きは?」
「今回出来ないのは全て、タイムプロキシが無いのが原因さ。これが無いとまるで歯が立たないからね……」
―――――
結局、この日は全体的に落ち込んだような、暗い雰囲気のままお開きという事になった。
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数日後――
のび太は相変わらず堕落した毎日を過ごしていた。
(最近ドラえもんが日中いないなあ。まあ僕は昼寝するからどうでもいいけど)
そう言って今日ものび太が長い昼寝を堪能し始めようとした時、未来に繋がっているハイテクな彼の机は、勢い良く開かれた。
「おーい、のび太クン~!!」
しかしのび太の体は起きない。ドラえもんはそれを揺すって起こす。
「なんだよドラえもん~。僕の昼寝をじゃましないでよ~」
「じゃあのび太君はポケモンやらないのね?」
ここでようやく、のび太の他人より段違いに働きの遅い脳が動き出す。
ポケモン――…?
「ああっ! パソコンの!?」
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「そうだよ!」
「えっ、本当にできるの!?」
「今のパソコンで無理なら未来に行けば良かったんだよ! それで、今からドラミのパソコンを借りていいことになったんだ!」
「よ、よ~し! みんなを呼んでくる!」
数十分後―
「みんな集まったね?」
「おう! 早く行こうぜ!」
「じゃあ行こうか。ちゃんと帰る時間になったら帰るんだよ。」
「あら? ドラちゃんは来ないの?」
「僕だって行くよ。ああ、なんでこんな事わざわざ言うのかって? 時間通りに帰らないとドラミが怒るからね。だからみんな時間になったら止めて帰るんだよ。」
「話が長げーよドラえもん! 早く行かねえと!」
「バカだなぁジャイアンは。ゲームが逃げる訳ないのn
ボカン☆
「じゃあ行こうか。」
スネ夫は耐えた。しかし、スネ夫の未来は決して明るくはならないということは、まだ彼は知る由もない
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2115年――
タイムマシンに乗って、ドラミが居候している家に到着した一同は、いてもたってもいられないというような感じのようだ。
無邪気にワクワクしている素振りを見せる5人は、ドラえもんの第一声を待っていた。
「・・・うん、・・・・・ 」
「・・・ね。・・・・・ 」
「・・・分かったよ、ただ・・・・・ 」
「・・・よ、・・・・・から・・・・・ 」
ドラえもんとドラミが話を終わらせて、ドラえもんは大人しく待っていたのび太達の方を向く。
「よし、じゃあ早速やろうか! あっ、IDは僕がみんなの分をとっておいたよ。」
「おっしゃー! やるぜー!」
「んじゃあ僕も~。お先に失礼~♪ 」
「私もやるわよ! 」
「僕も僕も! 」
と喜びの声をあげるジャイアン、スネ夫、静香、のび太の4人に、ドラえもんは各自のIDとパスワードが記された紙を渡す。
「じゃあ、ジャイアンは向こうのパソコン、スネ夫はあっちのパソコン、静香ちゃんはこのパソコンでやるんだよ。
くれぐれも変な事はしちゃダメだよー。」
『はーい!! 』
「ど、ドラえも~ん! 僕のは~? 」
「ああ、君のはね、違う部屋のパソコンだよ。壊すといけないからね。」
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「それどういう意味~? てか、僕だけ別の部屋って酷いよ~。」
「まあ、気にするなよ。 それよりみんなはもう始めてるようだけど…」
「ああっ、僕も早くやらないと! じゃーねドラえもん!」
「頑張ってね~・・…。さて、僕はみんなの様子でも見て回るかな。」
「ところでドラえもん。 この家には5台もパソコンがあるのかい? 」
「そうだよ。1台は家のパソコン、3台はそれぞれ家族のパソコン、残りの1台はドラミに借りたんだよ。
…って出木杉君じゃないか。君はやらなくていいのかい?」
「それが気になっただけだよ。 そういえばここの家の人はいないのかい? 」
「家族旅行に行ったらしいよ。 ドラミは用事があるとかでお留守番。
さあ出木杉君にもこのIDを渡すから早くやってきな。」
「じゃあ、そうさせてもらうよ。」
「急いで出遅れを取り戻さないのでいいのかい?」
「大丈夫だよ。」
「ならいいけど。」
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出木杉の考えはこうである。
この前のパンフレットを見た限り、根本的なゲームシステムや、ダメージ計算式は本編とは違うみたいだ。
だから、先に彼等に好き放題やらせておいて、それを観察した後の方が効率的なハズだ。
こんな事に気づいているのはこの僕だけだろう…。フフフ…。我ながら名案だな。
(あ、そろそろ始めてもいい頃合だな…)
そして、数時間後――
「みんなー、もう帰るよー。」
『え~!? 』
と、保護者的な立場のドラえもんに反抗する一同。しかしドラえもんは断固として
「帰るって言ったら帰るんだ! さあ早く! 」
と、子供達に譲る気配を見せないため、彼らは渋々元の時代に帰る事になる。
しかし、普段は優しいハズのドラえもんが、ここまでかたくなになっていたのには別の訳があった。
(いいなあ、みんな。本当は僕もやりたかったのに…。
あっ! そういえばいい方法があるじゃないか! ふふふふふ…。)
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それから約一ヶ月後――
「お~いのび太ク~ン! また未来に行こうよ~!」
「ん、何だっけか? ああ! もしかしてポケモン!? すっかり忘れてたよ! でも急にどうしたんだい? 」
「これを見てよ! 」
ちゃらららっちゃらー
「バーチャルゲームプレーヤー、Winbows Destaバージョン! 」
「……何コレ?」
「これはゲームの世界を体験できる道具さ。 実際はパソコンに入り込んで、ああだこうだって感じだけど、どうせ分からないだろうから説明は省くよ。
まあつまりは、ポケモンがリアルにできるって事だよ! 」
「凄いよドラえも~ん!! 早速みんなを誘ってやりに行こう!
でも、どうしてこんな凄い物をドラえもん持ってるのさ?」
「懸賞で当たったんだ! “新・22世紀、絶対当たる懸賞術” のおかげかな!」
(名前からして胡散臭い本だな…)
それから間もなく、野比家には5人の子供とロボットが集まった。
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そして再び2115年へ――
『着いたー!』
「早速早くやろうよ~!」
「そうだ! 早く準備しろドラえもん!」
「ドラちゃんだって完璧じゃないのよ。 急かすのは良くないわ。」
「そっ、そうだね静香ちゃん! ドラえもんもじっくりゆっくりとやればイインダヨー。」
「よし、出来た!」
『おおー!』
「どうやるんだドラえもん!」
「えっと、今パソコンと繋いだから、このバーチャルコントローラーを握って、マスターボタンを僕が押せばいいんだ。」
「よーし! みんな行くぞ―!」
「みんな準備は~?」
「オーケー!」
「それじゃあ、みんなでポケモンの世界へ・・・ 」
『レッツ、ゴー!!』
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