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「ポケモンとのび太とノートと その3」(2007/08/23 (木) 18:23:15) の最新版変更点
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一行はその後、エンジュと自然公園を抜けた。
ジャイアン「おい!ドラえもん!
まだコガネには着かないのか!?」
スネ夫「ベッドで寝たいよ……ママァァン!!」
スネ夫とジャイアンが口々に文句を言う。
ドラえもん「今が35番道路だから………
うん。あと少しだよ。」
と、ドラえもんはたしなめた。
ジャイアン「全く……
ん?」
ジャイアンが何かに気付いた。
ドラえもん「どうしたの?ジャイアン。」
ドラえもんが訊いた。
ジャイアン「人が……人がたくさんいる……。」
----
ドラえもん「なんだって?」
ドラえもんは遠くを見つめた。
確かにコガネのゲートの前に何かいる。
とりあえずそれは、人間の様だった。
ドラえもん「誰だろう……?」
スネ夫「まさか、ロケット団!?」
スネ夫がそう言い身構えたがすぐにジャイアンに否定された。
ジャイアン「いや、あれはロケット団じゃねぇ。」
ジャイアンの言う通り、ゲートの前でたむろってる連中は、黒装束を身に纏っていない。
どうやらただの一般人のようだ。
ドラえもん「何故あんなところに?」
ドラえもんが疑問を抱いたが、即座にジャイアンにかき消された。
ジャイアン「考えても仕方ねぇ!
ロケット団じゃねぇなら行ってみようぜ!」
スネ夫「待ってよ。
もしかしたら、奴らは一般人に化けた敵かもしれない。
もう少し様子を見た方が良いよ。」
スネ夫が意見したが、既にジャイアンは行ってしまっていて、この場に居なかった。
ドラえもん「全く………
僕らも行くよ。」
スネ夫「危ないと思うんだけどなぁ。」
のび太「…………」
三人はジャイアンの後を追い、ゲート前の人だかりへ走り出した。
----
ジャイアンは他の三人よりいち早く、ゲート前に到着した。
怒り狂う人々もいれば、泣きわめいている子供もいる。
それにしても、人の人数が半端ではない。
ざっと、10万は超えているだろう。
ジャイアンは、近くにいた髭面のおじさんに事情を聞いてみた。
ジャイアン「なあ、おじさん。
なんでここに人がたくさんいるの?」
髭は、なんだ?こいつは?と、いった面持ちでジャイアンを見てきた。
おじさん「なんでって、追い出されたからさ。」
ジャイアン「誰に?」
ジャイアンは再び訊いた。
おじさん「ロケット団に決まってるじゃないか!!!」
ドラえもん「ロケット団!!!」
ジャイアンの後ろにはドラえもん、スネ夫、のび太の三人が居た。
スネ夫「と、言うことは、ここに居る人々は、町を追い出された人全員ですか!?」
髭面はゆっくりと、又、口を開いた。
おじさん「ああ、しかし、正確には半分だな。
南の方にもう半分の住民達がいる。
なんてったって、奴らはこの町を乗っ取ったんだからな」
ジャイアン「スゲェな。
リアルだとやっぱりこんなにスケールがでかくなるのか。」
おじさんの説明にジャイアンが感心した。
スネ夫「まあ、問題はどうやって奴らを潰すかだけどね。」
----
スネ夫の言葉を訊いた瞬間、明らかに髭の目が変わった。
まるでそれは、何か奇異なものを見るような目付きだった。
おじさん「何言ってるんだ!
ジムリーダーのアカネちゃんでも無理だったんだぞ!」
ジャイアン「ダイジョブ、ダイジョブ。
俺ら強いんだぜ!」
ジャイアンが言った。
ドラえもん「とりあえず、行ってみる?」
おじさん「行くって何処へ!?」
おじさんは目を丸くした。
スネ夫「ロケット団を潰しにだよ。
じゃあね。おじさん。
よかったね。お家に帰れるよ。」
そう言い、四人は行ってしまった。
残された髭おじさんはただ、呆然としていた。
おじさん「大変だ………。
アカネちゃんに知らせなきゃ!
彼らは、黒の三人衆を知らないんだ……
このままでは彼らは殺されてしまう!!」
----
四人は、ゲートの前にやってきた。
ジャイアン「よし、行くか。」
そう言ってジャイアンが不用意にゲート内に入ろうとするのを必死で止めた。
ドラえもん「何やってんだ!!
ゲートには見張りが居るに決まってるだろ!
見付かったら仲間呼ばれてワサワサ来るだろ!!
これはゲームと違うんだぞ!」
ドラえもんが逆上する。
のび太『キシシシシ。
こいつらおもしれぇなあwww』
面白がる、のび太を脇目に、スネ夫がある提案をした。
スネ夫「そうだ!
奴らに化けていこうよ。」
ドラえもん「どうやって?」
ドラえもんは疑問に思った。
作戦としてはいいが肝心の服がない。
スネ夫「着せかえカメラを使うんだよ!」
ジャイアン「成程!」
三分後、スネ夫がロケット団の制服の絵を描き、四着の黒装束がカメラから出てきた。
----
その後、ロケット団の制服を着込んだ四人は、ゲートの前で侵入の最終確認をしていた。
ドラえもん「とりあえず、侵入できたら、僕らは偽者だという事がバレるような会話はしてはならない。
なんてったってここは、敵の本拠地。どこで話を聞かれてるか分からないけどね。
だから、侵入後の段取り、その他はここで話をしておく。」
他の三人は無言で頷く。
570 名前:ポケモンとのび太とノートと ◆C1aEnJaUS2 [sage] 投稿日:2006/12/27(水) 18:31:25 ID:???
ドラえもん「今回の目標は、局長室へ向かい、地下の鍵を入手すること。
そのためにはなるべく、したっぱとの戦闘を避けなければならない。
何故なら一人と戦うと、あっと言う間に囲まれてしまうからね。
地下の鍵を入手したら……のび太君。」
のび太「ああん、……あっ、はい?」
のび太『あー、あぶねぇ、あぶねぇ。』
ドラえもんはのび太の行動を不審に思ったが、まあ、ぼーっとしていたのだろうと、解釈した。
ドラえもん「地下の鍵を入手したら、のび太君のフーディンのテレポートで、エンジュのポケモンセンターに逃げる。
ここまでが作戦の概要だけど、何か質問は?」
ドラえもんが訊いた。
----
すると、ジャイアンが突然意見をぶつけてきた。
ジャイアン「なんで、逃げるんだ?
そのまま地下通路へ向かえばいいじゃねぇのか?
もし、一度逃げてしまったら、今度はコガネへの再侵入が難しくなるんじゃねぇの?」
今回はジャイアンにしては、的を得た質問である。
しかしそれにもドラえもんは冷静に答えた。
ドラえもん「確かに、ジャイアンの言ってる事は合ってるけど、それだと、地下の鍵を入手した瞬間逃げ場のない、ラジオ塔の最上階で囲まれて、あぼーんだろ?
リスクとメリットと、成功確率を考えた結果、これがベストだと思った。
鍵を手にしても全滅してしまっては意味がないしね。
他に質問は?」
すると、次はスネ夫が口を開いた。
スネ夫「最後だけど、地下の鍵を奪って逃げたのがバレたら、今度は地下通路に守りが固められないか?」
スネ夫の質問も的を得ている。
しかしまた、ドラえもんの策はさらにその上をいっていた。
ドラえもん「そうだね。
だから、これで、地下の鍵をコピーして何も奪われてないように見せかけるのさ。」
そう言い、ドラえもんはポケットからフエルミラーを取り出した。
スネ夫「………成程。」
スネ夫はドラえもんの策に感心した。
最後にドラえもんが訊いた。
ドラえもん「何か質問は?
作戦に異議は?」
一同「異議なーし!!」
全員が元気よく答えた。
ドラえもん「それでは作戦開始!!!」
四人はゲートの中へ入っていった。
----
四人がゲートの中に入ると、以外にもそこには誰も居なかった。
好都合な事であったが、この無防備さが逆に不気味さを感じさせた。
のび太『なんかあるなこりゃ。キシシシシ。』
四人は最初の打ち合わせ通り、一言も喋らず町へと侵入した。
町に入ると、そこには人っ子一人居なかった。
ドラえもん『妙だな………
まさか、誘ってるのか?』
ドラえもんがそう考えたとき、後ろで
「おいっ!何をしている!?」
という声がした。
----
ジャイアン『ヤバイ。見つかった!』
四人は自然と身構えた。話しかけられた以上、上手くかわさない限り戦闘は避けられない。四人は作戦の失敗も覚悟した。
しかし、団員の言うことは意外な事だった。
したっぱ「何ここでさぼってんだ!
早く会議へ行け!!」
ジャイアン「へ?」
カイギの意味が分からなかったが、団員の様子からすると、まだバレてないようだ。
ドラえもん「会議?」
ドラえもんが聞くと、突然団員は怒りだした。
したっぱ「貴様ら、話を聞いてたのか?
今日はラジオ塔の最上階で、トシミツ様達が、今後の計画について話してくださる重要な会議があるではないか!」
団員の剣幕に、スネ夫が少し動揺する。
スネ夫「あのぉその………」
スネ夫の様子を見ると、したっぱは一転してやれやれといった顔付きになった。
したっぱ「話を全く聞いてなかったんだったな。
まさか合言葉も聞いてなかったんじゃないのか?」
スネ夫『合言葉……?………チャンスだ!!』
団員の言葉にスネ夫は合言葉を聞き出すチャンスだと感じた。
スネ夫「……すみませ~ん。合言葉、忘れたんですぅ。」
それを聞き団員は呆れた表情になった。
したっぱ「ホンット呆れるなあ。
まあ良かった。あのまま行ってたら、しょっぴかれるとこだったしな。
合言葉は「サカキ様万歳」だ。
ホンット求人難とはいえ、こんなに団員の質が下がるとは……
もう少し考えて雇って……ブツブツ……」
そう言うと団員はいってしまった。
----
ジャイアン『ロケット団って大変なんだな………』
ジャイアンはしみじみそう思った。
のび太『やっぱりこいつらアホだな。キシシシシ。』
とにかく合言葉を手に入れる事が出来てよかった。
もし、このままラジオ塔へ向かえば確実に一網打尽にされてただろう。
ドラえもん『よし、ラジオ塔へ向かうぞ。』
四人は、ラジオ塔へ向かった。
入り口で見張っているしたっぱに合言葉を聞かれるのかと思ったが、ただ怒られただけだった。その結果、容易にラジオ塔へ侵入することができた。
ドラえもん『調子狂うなあ。』
まさか、最悪の事態を考えに考え対策を立てたドラえもんは肩すかしを食らった形になった。ここまでロケット団が間抜けとは思ってなかったのだ。
しかし、ラジオ塔内部には団員で溢れていた。
ジャイアンはその数に驚いた。
階を増す毎にその数は増えていく。
ジャイアン「あぶなかったな。無計画にいったらソッコー囲まれてアウトだったな……。」
ジャイアンがそう思ったとき、
「きゃあ!やめて!」
と、誰かが助けを求める声が聞こえた。
----
声の方を見てみると、メガネを掛けた娘が必死にロケット団員に懇願している。
クルミ「やめて!!
こんなことをして楽しいんですか?
何がしたいんですか!?」
したっぱB「うるさい!!!!」
したっぱはそう言い、クルミの頬をはたいた。
ジャイアン「あんのやろう………!」
俺はジャイアン、ガキ大将。
ここで助けなきゃ男がすたる。
ジャイアンは腕捲りをし、戦闘体制に入った。しかし直前でドラえもんの言葉を思い出した。
『目の前で何が起ころうと我慢するんだ。
下手に動いても、誰も救えはしない。』
俺はジャイアンガキ大将。
しかしガキじゃない。
ここは大人の心で自省した。しかし、
ジャイアン『ロケット団………絶対ブッ潰してやる!』
ジャイアンの中で確かな闘志が産まれた。
----
その後、腹が立つことは色々あったが、一行は一度も戦闘することもなく、最上階へついた。
そこには空間の中に所狭しと、黒装束でぎっしりとしている。
とりあえず、四人はその中に溶けこんだ。
すると、前方に四人の人影が現れた。
すると、真ん中の少し白髪混じりの男が、話を始めた。
白髪「諸君。ごきげんよう。私が、ロケット団仮総師のトシミツだ。」
ジャイアン『あのオッサンが………』
ジャイアンはそう思った。声は低いが、人相はそこまで極悪な感じを得られない。
トシミツ「今回ラジオ塔をのっとったのは他でもない。理由は二つ。
一つ目はサカキ様の帰還。
もう一つは、このラジオ塔から怪電波を流し、全国のポケモンを意のままに操ることだ!!!」
なんだ、おもいっきりゲーム通りじゃないか、スネ夫はそう思った。
----
のび太『果たしてテメェらみたいな間抜けな組織にそんなことが出来るかな?
キシシシシ。』
二人の反応はこんなものだったが、ただ一人この男は違った。
ジャイアン『チクショウ………
そんなこと、させてたまるか!』
彼はゲームの台詞は余りよく読んでないようだ。
各々の思惑とは別に、トシミツの話は進んだ。
トシミツ「三週間!!!
怪電波が完成し、各地のポケモンを意のままに操る時までに必要とする時間だ。
諸君には、その間、此所、コガネで籠城戦をしてもらいたい。」
ドラえもん『成程……、ラジオ塔だけでなく町ごとのっとったのは、コガネデパートを押さえ、籠城戦に必要な物資を確保するためか。
幹部の方はよく考えてるな………』
ドラえもんはそう思った。
----
トシミツ「三週間!!
それを耐えれば我等の勝ちだ!
この計画の浮沈は君達の士気にかかっている!!」
「オオオーーー!!!」
全員が勝どきをあげた。
トシミツ「諸君、ありがとう。
次は少し、コウ君から話があるようだ。聞いてくれたまえ。」
そう言い、トシミツは、隣の背の高い銀髪の男にマイクを渡した。
すると、男はゴホンと咳払いをした後、こう言った。
コウ「サカキ様万歳………」
----
ドラえもん『サカキ様万歳………?
あれは確か……』
ドラえもんがそう思う前にコウと呼ばれた男が合言葉を言うと、今までうじゃうじゃしていた黒装束達が一斉にその場に座りこんだ。
その中で立っていたのは唯四人。
ドラえもん、ジャイアン、スネ夫、のび太だった。
コウ「おやおや、まさかと思って号令をかけたら、ネズミが四匹も忍び込んでいるとは。」
コウが笑う。
ドラえもん『やられた………。
この方法ならいちいち一人ずつ合言葉を聞かなくても、大勢の中から敵を探ることができる。
数の弱点を克服する良い手だ。』
ドラえもん達は身構えた。もはや、戦闘は避けられない。
コウ「さあ、どうやって料理しましょうか……」
ドラえもん達に緊張が走る。
そのときコウの横に居た、背は高くないが体格のいい男が言った。
----
「おい、こいつらは俺に殺らせろよ。」
コウ「カホウさん……。見つけたのは私でしょう?」
コウが男に反論する。
二人の間に、ピリピリとした空気が流れる。
すると、その間に、誰かが割って入った。
それはまだ、18にも満たないであろう若い女だった。
女「さっきね、コウさん町で暴れたからここは先輩の顔を推して、カホウさんに譲ってもいいんじゃない?」
二人はそう言われ、身構えるのをやめた。
コウ「………わかりましたよ、キキョウさん。
ここはカホウさんに譲りましょう。」
カホウ「ヘッヘッへ、そう来なくちゃ。」
そう言うとカホウはゆっくりとのび太達の方へ歩いてきた。
のび太『ちっ、俺の勘が言ってる、コイツはヤベェ。』
のび太がそう思った時、ドラえもんが小声でのび太に囁いた。
----
ドラえもん「これはかなりヤバい状況だ……。
のび太君、僕が今からモココのフラッシュで奴らの目をくらませる。
目がくらまないよう、目を瞑ってくれ。
これで奴らにスキができる筈だから、ジャイアンとスネ夫を連れてテレポートで逃げよう。
ジャイアンとスネ夫ちょっと遠くてこの作戦は伝えられない。
彼らも目がくらむだろうからフォローしてやってくれ。」
そう、のび太は言われた。
のび太は無言で頷いた。
カホウがゆっくり歩いてくる。その先のロケット団員は皆、さける様によけていく。
のび太達とカホウの間に大海が裂けたような道ができた。
カホウ「一瞬で掃除してやるぜ。
行けっ、スターミー。」
カホウがスターミーを繰り出した。
その瞬間、
ドラえもん「行けっ、モココ!フラッシュだ!!」
ドラえもんもモココを繰り出した。
カホウ「ふん!遅い!!
スターミー、なみのり!!」
----
そのとき、スターミーから強烈な水流が発生し、水はのび太達全員を呑み込んだ。
のび太「アゴボババ」
ジャイアン『くっ、苦しい!』
ジャイアン達がそう思ったとき、
「パリーン」
ラジオ塔の窓が破れ、中から水が滝の様に流れる。
もちろんその中ののび太達も、窓から投げ出された形になった。
スネ夫「しっ、死ぬ!」
確かに冗談ではなく死んでしまう。
しかしそのとき、
ジャイアン「がぼばびぶ、ばいりびー、ぶろらいぶ、ぼべばびぼぶべぼべぼ(オーダイル、ストライク、カイリキー、俺達を水流から助け出せ!)」
ジャイアンはボールを水流外へ出した。
カイリキーは、のび太を受け止めオーダイルは水の中からジャイアンを救いだし、ストライクは俊敏な動きでドラえもんとスネ夫を救出した。
ドラえもん「がはあ、はあはあ、ありがとう。ジャイアン」
ドラえもんがそう言った瞬間上から声が聞こえた。
カホウ「油断するのはまだ早いぜ……」
----
その声がしたほうからみると、上空から、カホウとスターミーが凄まじい勢いと水流と共にラジオ塔から滑走してくる。
あの水流に巻き込まれたらひとたまりもない。
ドラえもん「みんな!逃げろ!!!」
ドラえもんが言うが早いか、全員は水流の落下ポイントから離れた。
「グアシャーーン!!!」
地面に水が叩きつけられる。逃げ遅れた、ジャイアンのポケモンと、ドラえもんのモココは一撃で全滅してしまった。
さらに、水の余波を受け全員は建物の壁に叩きつけられた。
スネ夫「うぐぐぐぐ………。
あいつ異常だ……」
ドラえもん『逃げなきゃ………
のび太君は…………』
のび太は今一行から離れたところにいた。
----
ドラえもん『クッ、これじゃあテレポートで逃げられない!』
もう、ドラえもん達に残された道は戦うことしかなかった。
スネ夫「行けっ!マグマラシ、スリーパー、オオタチ!!」
スネ夫は手持ち全てを繰り出した。
ドラえもん「こっちも、ビリリダマ、ヌオー、エイパム!」
のび太「ポッポ、フーディン、ゲンガー」
のび太(ゲンガー)『やっぱり、おれが直々に戦わなくちゃなのか………』
カホウ「ほう、これだけ差を見せても立ち向かってくるか。
面白くねぇな。
30秒。30秒でカタをつけてやる!」
そう言い、カホウとスターミーがまた高い波を作り出した。
----
「ぐぐぐぐぐ……」
勝負は一瞬だった。
カホウのスターミーのなみのりはその場にあった全てを呑み込みつくし、一瞬で全てのポケモンが戦闘不能にしただけではなく、トレーナー本人達にも、立ち上がる事さえ不可能のダメージを与えた。
カホウ「つまらなかったな。
まあ、楽に殺してやるとは言わん。
最も苦しい殺り方、つまり溺死で殺してやる。
ギャッハッハ」カホウは狂ったように笑った。
のび太『チクショウ………俺がこんなとこで……』
そう思ったとき、のび太の目の前が真っ白になった。
----
スネ夫「な、なんだ………」
スネ夫の目の前も真っ白になっている。
ジャイアン、ドラえもん、それにカホウも例外ではなかった。
カホウ「くそっ、何だ!?」
ドラえもん「フラッシュ?
一体、誰が……?」
ドラえもんがそう考える暇もなく、誰かがドラえもんの手を引いた。
のび太はその状況が全く呑み込めず、ただ目がくらみ、呆然としていた。
すると、何かが自分に向かってくる、そんな気配を感じた。
のび太「誰だ……?」
のび太が訊いたが、向こうはのび太の問いに答える代わりに別の事を訊いてきた。
?「アンタのフーディンテレポート使えるか?」
のび太「へ?」
?「使えるんかと訊いとるんや!
使えるんやったらはよせい!!」
のび太『何だ?こいつは………』
のび太は疑問に思ったが、うっすら目の前には、青いボディが見える。
遠くにいる筈の、青狸だ。
ジャイアンとスネ夫らしき物も形だけうっすら見ることができた。
のび太『コイツが誰かは分からないが、青狸どもを連れてきてくれてることから、敵ではなさそうだ。それに……』
この最悪の状況。この助けを受けない手はない。
逃げることができれば、名前と一匹だけだがポケモンが分かっているのでカホウとかいう奴を殺せる可能性もある。
?「はよう、ウチの手をつかめや!!」
のび太は無言で目の前の、手らしきものを掴んだ。
カホウ「待てよ、貴様ら!!!!
スターミー!なみのりだ!」
カホウの視力が回復したらしい。
水が迫ってくる音がする。
のび太「テレポート!!!」
のび太がそう叫ぶと、のび太達はその場から消え、なみのりを回避した。
----
テレポートによって、その場から離脱したのび太達はエンジュのポケモンセンターの前にいた。
ドラえもん「助かった………」
ドラえもんは一息ついた。
?「あんたら感謝しいや。
ウチが助けに来んかったら、今頃全滅やで。」
全員がとっさに声のしたほうを振り向いた。
スネ夫「あっ!
あんたは……!」
ドラえもん「コガネジムジムリーダー、アカネ!!!」
驚いている全員をよそに、アカネは話を続ける。
アカネ「そこのメガネ以外はどっかで見たような顔やな。
ジムにきたやろ。」
のび太を除く全員が黙って頷く。
アカネ「あんな、ジムに挑戦できるようなトレーナーつって、よう、しゃしゃらん方がええで。命を無駄にしたらあかん。
ここはウチらに任しとき。」
アカネが言った。
助けて貰ったとはいえ明らかに自分を見下しているような発言にジャイアンが憤慨した。
ジャイアン「言っとくけどな!俺ら(のび太以外)はお前に勝ったんだぞ!
そんな偉そうな口をきいてもらいたくねえ!」
と、ジャイアンが言った。
ドラえもん「ジャイアン………
言い過ぎだよ……」
そう言われたアカネはやれやれといった様子でため息をついた。
アカネ「アンタ、何も判っとらんようやね。
ほなポケセンで回復してき。
ちょいと相手になるで。」
ジャイアン「望むところだ!!!!!」
----
一方、コガネではのび太達に逃げられたカホウがいた。
カホウ「ちくしょーう!!!畜生!!畜生!!」
カホウは激仰した。
コウ「獲物を譲ったと思ったら何です?
カホウさん。このザマは。」
ラジオ塔上空からエアームドに乗り、長身の男が降りてきた。
カホウ「コウ………
俺は今、イライラしてるんだ……。
殺すぞ」
カホウは静かに、しかし凄まじい剣幕でコウを見た。
コウ「イライラしている?
それは私の方ですよ。
私なら逃がさず一網打尽にできたのに、どっかの馬鹿に譲ったせいで逃げられてしまったんですよ?
馬鹿も休み休みして欲しいですねぇ。」
カホウ「なんだと…………?」
二人の間にまた緊迫した空気が流れる。
今にも殺しあいが始まりそうだった。
しかし、
キキョウ「はーい。終了、終了。
トシミツ様の御前だよ。
そんなことしていいの?」
ラジオ塔から、若い女と、白髪混じりの男が出てきた。
カホウ「ふん。運が良かったなカスが」
コウ「単細胞の相手は疲れますね……」
二人は皮肉を言い合い、間を離れた。
トシミツ「まあ、コウ君が侵入者を見つけたのは功績。
カホウは逃げられたとはいえ侵入者を撃退したのは事実。
評価に値する。
しかし!」
トシミツが声を荒げた。
----
凄まじい威圧感が回りにのしかかる。
トシミツ「これからの籠城戦、結束が崩れるのは不利だ。
優先すべきはロケット団……これを忘れるな。」
カホウ、コウ「はい。」
やはり、この人はヤバい。
二人はそう思った。
----
また、一方エンジュでは、全員がポケモンの回復を終え、ジャイアン×アカネ戦争が勃発していた。
ジャイアン「ポケモンの数くらいは決めさせてやるぜ!!」
スネ夫が訊いた
アカネ「ポケモンの数?
笑わせんなや。
奴らとのバトルは言わば喧嘩や。ルール無用や。
まあ、今回は「参った」というたら負けっちゅーことで。」
アカネが言った。
俺はジャイアン、ガキ大将。
売られた喧嘩は買わねばならぬ。それが女であってもだ。
ドラえもん「ジャイアン、やめたほうが………」
スネ夫「行けっ、ストライク!!!」
ドラえもんが言うか早いか、ジャイアンはをストライク繰り出した。
アカネ「ほー。ストライクか。前より強うなっとるようやな。
ほな、いくで。」
アカネは身構えた。
スネ夫「なに?
あいつ。
ポケモン出さないよ。やる気あんの?」
スネ夫が不思議がった。
アカネ「ええよ。ガキの戦いに本気出すまでもないんやから。」
アカネはすましている。
スネ夫「ジャイアン、あんなこと言ってるよ!
やっつけちゃえ!」
ジャイアン「どうなっても知らないからな!
ストライク!でんこうせっか!」
ストライクがアカネを襲う。しかし、
アカネ「ミルタンク!!
まもるや!!」
アカネはとっさにミルタンクを繰り出し、まもるを命じた。
ストライクの攻撃が無効化される。
----
ジャイアン「くそっ!
きりさくだ!」
アカネ「遅い!!ミルタンク、ころがるや!」
ストライクが切りかかるが、圧倒的なミルタンクの回転力にそのカマは弾かれ、そのまま潰されてしまった。
ジャイアン「ああっ!
ストライク戻れ!!
くそっ!カイリキー目にもの見せてやれ!」
アカネ「やから動作が緩慢なんや!!」
ジャイアンがカイリキーのボールに手をかけた瞬間、転がっていたミルタンクがジャイアンに激突した。
ジャイアン「ぶごっ!」
ドラえもん「なんてことするんだ!!」
ドラえもんが言ったが、すぐにアカネに言い返された。
アカネ「最初に言うたやろ。
これは対ロケット団を想定しとるんや。
当然トレーナーへの、直接攻撃もある筈や。」
のび太『キシシシシ。良いこと言うじゃねえか。』
しかしミルタンクに撥ねられ、もう立てないかのように見えたジャイアンは立ち上がり、怒りを爆発させた。
ジャイアン「女とはいえ、もう許せねえ!
行けっ!カイリキー!」
ジャイアンはカイリキーを繰り出した。
----
ジャイアンは考えた。
ジャイアン『恐らく、奴はまた、俺がスキを見せたとき、ころがるで直接攻撃してくるだろう。
だから、ここはパワーに優れたカイリキーでダメージ覚悟でミルタンクを受け止め、回転を止める。
そうしたら状況はタイプの関係で俺が有利になる。よし。それでいこう。』
ジャイアンにしては中々のアイデアだった。
アカネ「ぼーっとすんなや!
行け、ミルタンク!!」
ジャイアン「カイリキー、受け止めろ!!!」
ジャイアンがそう言った瞬間、アカネは読んでいた、とばかりに次の指示を出した。
アカネ「ミルタンク!
やっぱ、当たらんでええ!
回転数を落とさず、周りをころがり続けるんや!!」
その瞬間、ミルタンクは方向転換し、ジャイアンとカイリキーの周りを回り始めた。
砂ボコりがまきおこる。
その、砂ボコりは、ジャイアンの視界を奪った。
ジャイアン『くそっ!
何も見えねえ!!
しかたねぇ、カイリキー、俺を守れ!!!』
パワーで勝るカイリキーに守られていては、手が出せない。
ミルタンクのころがるが終わり、砂ボコりが晴れてきた。
ジャイアン「今だ!!
カイリキー!!クロスチョップ!!!」
ジャイアンがここぞとばかりに放ったクロスチョップがミルタンクの急所に当たり、一撃でミルタンクを沈めた。
ミルタンクが倒れた今、アカネを守るポケモンはいない。
ジャイアン「カイリキー、あの姉ちゃんをギャフンと言わせろ!!
殺すなよ!!!」
カイリキーの手刀がアカネの首筋に当たった。
----
アカネは地面に倒れこんだ。
ジャイアン「ちょっとやりすぎちゃったかな?
姉ちゃん、大丈夫か?」
ジャイアンがアカネに歩み寄ろうとした瞬間、後ろから声がした。
アカネ「プリン!!
あのガキにかなしばりや!」
ジャイアンの体は動かなくなった。
ジャイアン「な………んで………」
アカネ「簡単や。
前を見てみい。」
ジャイアンの首が強制的に前に向けられた。
カイリキーの手刀で倒した筈のアカネが、どろどろに溶け始めた。
ジャイアン「あれはまさか………」
アカネ「せや。あれはメタモン。
通常かなしばりはかなり命中率の低い技や。
それを決めるために、アンタに隙を作った訳や。」
アカネは気絶したメタモンを回収し、ジャイアンに歩み寄る。
アカネ「さあ、もうアンタの負けや。
参ったは?」
アカネは馬鹿にするように言った。しかし、ジャイアンはそう簡単に降参するような男ではなかった。
ジャイアン「そんなの……するはずねえじゃねえかよ……」
ジャイアンは言った。
アカネ「そうか、残念やな……」
アカネは肩をすくめた。
アカネ「生意気なガキにはお仕置きが必要やな。」
アカネはそう言い、ジャイアンに向かってボール投げた。
----
ジャイアン「むぎゅ!!!」
アカネのボールからカビゴンが飛び出し、ジャイアンの上にのしかかった。
ドラえもん「ジャイアン!!!
アカネさん!!やりすぎだ!!」
ドラえもんが言った。
しかしアカネに悪びれた様子は全くない。
アカネ「それもそうやな。
戻り。カビゴン」
アカネはカビゴンを回収した。
スネ夫「ジャイアン!!!」
スネ夫がジャイアンにかけ寄ったが、ジャイアンは既に気絶している様だった。
アカネ「つまらんバトルやったな。
分かったやろ、これでアンタらの実力が。
文句あるならかかってきてもええで。」
アカネが言った。
現在、最も戦闘力の高いジャイアンが、眼前であっさりやられたのだ。
残りの三人は動けるはずもなかった。
アカネ「根性が無いとは言わん。
それが正しい選択や。
まあ、コガネの方はウチらにまかせえ。」
アカネはそう言うと、その場から去ろうとした。
ドラえもん「待ってよ。
僕らも、ロケット団を倒したいんだ。
協力させてくれ。」
ドラえもんが言った。
しかし、アカネの返答は冷たかった。
アカネ「答えはNOやな。
正直言おか。アンタらは戦力外、足手まといや。
それでもこの件に首つっこみたかったら、ウチを倒してからにせえや。」
アカネはそう言うと、去っていった。
----
ジャイアン「チクショウ………」
ジャイアンの目に涙が溢れる。
女にしてやられ、あれ程コケにされたのだ。
悔しくない筈がない。
ジャイアン「追い掛けて再戦してやる!!!」
ジャイアンがアカネを追おうとしたとき、ドラえもんが止めた。
ドラえもん「待って!
ジャイアン!!
今、君が行っても、アカネさんには勝てない。
いや、もし、今の実力で下手にアカネさんに勝ち、戦線に参加したとしてもあの、カホウっていう奴に勝てると思うのかい!?」
そう言われ、ジャイアンは口をつぐんだ。
スネ夫「アイツ……………半端じゃなかった………」
それを聞いたスネ夫が身を震わせる。
他の一同もそれを思い出し、沈黙が流れた。
----
数十秒後、ドラえもんが口を開き、静寂を破った。
ドラえもん「…………強くなろう。
アカネさんが言ってたじゃないか!
強くなったら相手をするって!!
負けたのは誰のせいでもない!!
僕らが弱かったからなんだ!!!」
全員は、ドラえもんの言葉に聞きいっている。
全員の反応を見るように周りを見回した後、ドラえもんは続けた。
ドラえもん「そして僕は考えたんだ。
強くなるために何をしたらいいか。
一つ目は、当然ながら、ポケモンの強化。
これは、絶対必要条件。
先程のバトルでは、完全にレベルで負けてたからね。
もう一つは………」
そこでドラえもんは声を高くした。
ドラえもん「新しいポケモンの捕獲………!!!」
----
ドラえもんの言葉にスネ夫が納得する。
スネ夫「確かに、新しいポケモンの捕獲はいいかもね。
戦いにバリエーションが増えるし、トレーナー戦と違って、奴らとの戦いはルール無用だから、ポケモンは居れば居るほど有利だしね。
アカネさんが言ってたけど。」
ジャイアン「俺も賛成だな。
あの、水野郎と姉ちゃんをギャフンと言わせてやるぜ!」
ジャイアンが拳に力をいれる。
ドラえもん「そこで、僕らの目標は、具体的に言うと平均レベルを15上げる事と、新しい戦力を最低でも、二体は作るということ!!!!」
ドラえもんは言った。
スネ夫「15は正直キツイな………」
ジャイアン「15でいいのか?」
のび太『俺は15じゃ足りねぇな、多分』
各々の思惑が交錯するなか、ドラえもんが信じられないことを言った。
ドラえもん「ちょっと、言いにくいんだけどね………
その目標を達成するために、僕らは一度、それぞれ別れた方がいいと思う」
----
突然ドラえもんの口から飛び出した仰天発言に、一同は驚いた。
スネ夫「正気かい!?
僕らの本当の敵を忘れていないだろうね!?」
スネ夫が言った。
以前、離ればなれになるのは危険だと言ったのは、自分じゃないか。
スネ夫はそんな疑問を持った。
ドラえもん「ああ、忘れてないよ。
時間犯罪者さ。」
ドラえもんは、答えた。
スネ夫「だったらなんで!?」
スネ夫が必死で問いつめるのを、遮るようにドラえもんは言った。
ドラえもん「確かに、危険だと言ったよ。
しかし、今は状況が違う。
奴は僕らを殺せないよ。
このイベントをクリアさせる為にね。」
しかし、スネ夫が反論する。
スネ夫「そんな、クリアさせる為って……
僕らが殺されない保証には全くならない!!」
スネ夫は必死だ。
無理もない。この青狸は殺される確率が最も高い選択をしようとしているのだ。
しかし、当の青狸は続ける。
----
ドラえもん「そんなことは、百も承知だ。
でもね、そうしなきゃロケット団を倒し、前に進めない。」
ドラえもんは淡々と進める。
スネ夫「でも!!!!!!」
スネ夫はまだ、納得がいかない様子だ。
ドラえもん「こんな状況になってしまったら、多かれ少なかれ命を賭けなければ、先には進めない。
しかし今は、奴は僕らにイベントをさせる為に殺さない可能性が高い。
だから、今が個々が各地を回り、多様な戦力を手に入れる最後のチャンスなんだ!!!!」スネ夫「そんなこと………」
スネ夫はやはり尻込みしていた。しかし、
ジャイアン「俺はやるぜ。」
ここで、ジャイアンが小さく答えた。
スネ夫「正気かい!?ジャイアン!!」
スネ夫がすぐさま言う。
ジャイアン「ああ。
俺には、なになにだから殺せない、とか難しいことは、全く分からねえ。
だけどな………」
ジャイアンはドラえもんの頭に手を置いた。
ジャイアン「俺は、コイツが言うから正しいと思うんだ。
ドラえもん………
俺はお前に従うぜ。」
ドラえもん「ジャイアン………」
ドラえもんの目が何かで霞む。
スネ夫「…………。分かったよ。
でも、これでなにかあったらドラえもんのせいだからね!」
のび太「僕もいいよ。
奴らを倒
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そして、翌日。
四人は、ポケモンセンターの中で一夜を明かし、ポケモンセンターの前に集合していた。
ドラえもん「お互いに連絡は定期的にとり合おう。
期日は二週間と言いたいとこだけど、奴らは計画完成まで三週間と言っていた。
だから、皆、一週間以内で条件を整えて欲しい。」
ドラえもんが言う。
ジャイアン「おう!
まかされよ!!」
スネ夫「じゃあ、僕はこれで………」
スネ夫はそう言い、去り、やがて、ジャイアンも去っていった。
二人は明るい希望を持ち、去っていったが、唯一人、全く違う面持ちの人間がいた。
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のび太は考えていた。
こいつら、マジで別れやがったww
臭い友情でも見せやがって。
確かに、イベントクリアの為に、こいつらは全滅はさせられない。
全滅は、だ。
イベントクリアさえしてしまえば、こいつらは邪魔なだけ。
何人か駒が残れば、いい。ただ、それだけ。
あのスネオとかいう奴でも殺してやる。
そして、こいつらの、虫酢のはしる、信頼とやらをぶち壊してから、殺してやる。
青狸。
テメエは俺を野放しにするという、最もしてはならない事をしたんだ!
キシシシシ。
のび太はこの世の物とは思えない程の邪悪な顔をした。
さて、そろそろ行くか。
のび太は、
のび太「じゃあね、ドラエモン。」
と言い、その場を去ろうとした。
しかし、ドラえもんからはのび太の予想外の言葉が帰ってきた。
ドラえもん「のび太君………
僕らは一緒に行動しよう。」
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のび太『何っ?』
のび太は予想外の言葉に驚いた。
しかし、折角のチャンス。
動揺して簡単に無にしてしまう訳にはいかなかった。
のび太「何故だい?
僕一人じゃ不安かい?」
計画の為になんとか、この青狸を払い除ければならない。
しかし、その青狸はまたも食い付いてくる。
ドラえもん「うん。不安さ。
だから付いていかせて貰うよ。」
のび太『くっ、こいつ、何故だか知らないが、完全に俺の事を疑っている。』
のび太は、次の手を打つため、何かを言おうした瞬間、先にドラえもんの口が動いた。
ドラえもん「いや、不安と言っても、君がじゃない。
僕の方がさ。僕のポケモンは全体的にレベルが低いからね。
君に守って貰おうと思って。」
何気なく思えたドラえもんの一言が重くのび太にのしかかる。
のび太『チッ、こいつ………巧い。
これで俺が奴から自立することを理由に離れる口実を使うことが出来なくなった。
もし、このまま保護を求めてすり寄ってくる奴を不自然に拒絶すれば、完全に黒にされる確率が高くなる。
もし、疑ってる訳でなく、マジで言ってる場合、無理に追い払おうとすれば確実に、奴との仲が不仲になる。それに…………』
まだ、ここで明かす事は出来ないが、のび太の策は、まだしばらくドラえもん達の仲間であり続ける事が絶対必要条件の一つ。
今、彼らの信頼を失う危険はなるべく、犯したくなかった。
のび太「仕方ないなあ、ドラエモンは。僕が君を守ってあげるよ。」
のび太は苦渋の決断の末言った。
ドラえもん「ありがとう。
のび太君!!」
青狸は自分の前を歩き出す。
それを後ろから見つめるのび太の顔は、屈辱に歪んでいた。
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一行はその後、エンジュと自然公園を抜けた。
ジャイアン「おい!ドラえもん!
まだコガネには着かないのか!?」
スネ夫「ベッドで寝たいよ……ママァァン!!」
スネ夫とジャイアンが口々に文句を言う。
ドラえもん「今が35番道路だから………
うん。あと少しだよ。」
と、ドラえもんはたしなめた。
ジャイアン「全く……
ん?」
ジャイアンが何かに気付いた。
ドラえもん「どうしたの?ジャイアン。」
ドラえもんが訊いた。
ジャイアン「人が……人がたくさんいる……。」
----
ドラえもん「なんだって?」
ドラえもんは遠くを見つめた。
確かにコガネのゲートの前に何かいる。
とりあえずそれは、人間の様だった。
ドラえもん「誰だろう……?」
スネ夫「まさか、ロケット団!?」
スネ夫がそう言い身構えたがすぐにジャイアンに否定された。
ジャイアン「いや、あれはロケット団じゃねぇ。」
ジャイアンの言う通り、ゲートの前でたむろってる連中は、黒装束を身に纏っていない。
どうやらただの一般人のようだ。
ドラえもん「何故あんなところに?」
ドラえもんが疑問を抱いたが、即座にジャイアンにかき消された。
ジャイアン「考えても仕方ねぇ!
ロケット団じゃねぇなら行ってみようぜ!」
スネ夫「待ってよ。
もしかしたら、奴らは一般人に化けた敵かもしれない。
もう少し様子を見た方が良いよ。」
スネ夫が意見したが、既にジャイアンは行ってしまっていて、この場に居なかった。
ドラえもん「全く………
僕らも行くよ。」
スネ夫「危ないと思うんだけどなぁ。」
のび太「…………」
三人はジャイアンの後を追い、ゲート前の人だかりへ走り出した。
----
ジャイアンは他の三人よりいち早く、ゲート前に到着した。
怒り狂う人々もいれば、泣きわめいている子供もいる。
それにしても、人の人数が半端ではない。
ざっと、10万は超えているだろう。
ジャイアンは、近くにいた髭面のおじさんに事情を聞いてみた。
ジャイアン「なあ、おじさん。
なんでここに人がたくさんいるの?」
髭は、なんだ?こいつは?と、いった面持ちでジャイアンを見てきた。
おじさん「なんでって、追い出されたからさ。」
ジャイアン「誰に?」
ジャイアンは再び訊いた。
おじさん「ロケット団に決まってるじゃないか!!!」
ドラえもん「ロケット団!!!」
ジャイアンの後ろにはドラえもん、スネ夫、のび太の三人が居た。
スネ夫「と、言うことは、ここに居る人々は、町を追い出された人全員ですか!?」
髭面はゆっくりと、又、口を開いた。
おじさん「ああ、しかし、正確には半分だな。
南の方にもう半分の住民達がいる。
なんてったって、奴らはこの町を乗っ取ったんだからな」
ジャイアン「スゲェな。
リアルだとやっぱりこんなにスケールがでかくなるのか。」
おじさんの説明にジャイアンが感心した。
スネ夫「まあ、問題はどうやって奴らを潰すかだけどね。」
----
スネ夫の言葉を訊いた瞬間、明らかに髭の目が変わった。
まるでそれは、何か奇異なものを見るような目付きだった。
おじさん「何言ってるんだ!
ジムリーダーのアカネちゃんでも無理だったんだぞ!」
ジャイアン「ダイジョブ、ダイジョブ。
俺ら強いんだぜ!」
ジャイアンが言った。
ドラえもん「とりあえず、行ってみる?」
おじさん「行くって何処へ!?」
おじさんは目を丸くした。
スネ夫「ロケット団を潰しにだよ。
じゃあね。おじさん。
よかったね。お家に帰れるよ。」
そう言い、四人は行ってしまった。
残された髭おじさんはただ、呆然としていた。
おじさん「大変だ………。
アカネちゃんに知らせなきゃ!
彼らは、黒の三人衆を知らないんだ……
このままでは彼らは殺されてしまう!!」
----
四人は、ゲートの前にやってきた。
ジャイアン「よし、行くか。」
そう言ってジャイアンが不用意にゲート内に入ろうとするのを必死で止めた。
ドラえもん「何やってんだ!!
ゲートには見張りが居るに決まってるだろ!
見付かったら仲間呼ばれてワサワサ来るだろ!!
これはゲームと違うんだぞ!」
ドラえもんが逆上する。
のび太『キシシシシ。
こいつらおもしれぇなあwww』
面白がる、のび太を脇目に、スネ夫がある提案をした。
スネ夫「そうだ!
奴らに化けていこうよ。」
ドラえもん「どうやって?」
ドラえもんは疑問に思った。
作戦としてはいいが肝心の服がない。
スネ夫「着せかえカメラを使うんだよ!」
ジャイアン「成程!」
三分後、スネ夫がロケット団の制服の絵を描き、四着の黒装束がカメラから出てきた。
----
その後、ロケット団の制服を着込んだ四人は、ゲートの前で侵入の最終確認をしていた。
ドラえもん「とりあえず、侵入できたら、僕らは偽者だという事がバレるような会話はしてはならない。
なんてったってここは、敵の本拠地。どこで話を聞かれてるか分からないけどね。
だから、侵入後の段取り、その他はここで話をしておく。」
他の三人は無言で頷く。
ドラえもん「今回の目標は、局長室へ向かい、地下の鍵を入手すること。
そのためにはなるべく、したっぱとの戦闘を避けなければならない。
何故なら一人と戦うと、あっと言う間に囲まれてしまうからね。
地下の鍵を入手したら……のび太君。」
のび太「ああん、……あっ、はい?」
のび太『あー、あぶねぇ、あぶねぇ。』
ドラえもんはのび太の行動を不審に思ったが、まあ、ぼーっとしていたのだろうと、解釈した。
ドラえもん「地下の鍵を入手したら、のび太君のフーディンのテレポートで、エンジュのポケモンセンターに逃げる。
ここまでが作戦の概要だけど、何か質問は?」
ドラえもんが訊いた。
----
すると、ジャイアンが突然意見をぶつけてきた。
ジャイアン「なんで、逃げるんだ?
そのまま地下通路へ向かえばいいじゃねぇのか?
もし、一度逃げてしまったら、今度はコガネへの再侵入が難しくなるんじゃねぇの?」
今回はジャイアンにしては、的を得た質問である。
しかしそれにもドラえもんは冷静に答えた。
ドラえもん「確かに、ジャイアンの言ってる事は合ってるけど、それだと、地下の鍵を入手した瞬間逃げ場のない、ラジオ塔の最上階で囲まれて、あぼーんだろ?
リスクとメリットと、成功確率を考えた結果、これがベストだと思った。
鍵を手にしても全滅してしまっては意味がないしね。
他に質問は?」
すると、次はスネ夫が口を開いた。
スネ夫「最後だけど、地下の鍵を奪って逃げたのがバレたら、今度は地下通路に守りが固められないか?」
スネ夫の質問も的を得ている。
しかしまた、ドラえもんの策はさらにその上をいっていた。
ドラえもん「そうだね。
だから、これで、地下の鍵をコピーして何も奪われてないように見せかけるのさ。」
そう言い、ドラえもんはポケットからフエルミラーを取り出した。
スネ夫「………成程。」
スネ夫はドラえもんの策に感心した。
最後にドラえもんが訊いた。
ドラえもん「何か質問は?
作戦に異議は?」
一同「異議なーし!!」
全員が元気よく答えた。
ドラえもん「それでは作戦開始!!!」
四人はゲートの中へ入っていった。
----
四人がゲートの中に入ると、以外にもそこには誰も居なかった。
好都合な事であったが、この無防備さが逆に不気味さを感じさせた。
のび太『なんかあるなこりゃ。キシシシシ。』
四人は最初の打ち合わせ通り、一言も喋らず町へと侵入した。
町に入ると、そこには人っ子一人居なかった。
ドラえもん『妙だな………
まさか、誘ってるのか?』
ドラえもんがそう考えたとき、後ろで
「おいっ!何をしている!?」
という声がした。
----
ジャイアン『ヤバイ。見つかった!』
四人は自然と身構えた。話しかけられた以上、上手くかわさない限り戦闘は避けられない。四人は作戦の失敗も覚悟した。
しかし、団員の言うことは意外な事だった。
したっぱ「何ここでさぼってんだ!
早く会議へ行け!!」
ジャイアン「へ?」
カイギの意味が分からなかったが、団員の様子からすると、まだバレてないようだ。
ドラえもん「会議?」
ドラえもんが聞くと、突然団員は怒りだした。
したっぱ「貴様ら、話を聞いてたのか?
今日はラジオ塔の最上階で、トシミツ様達が、今後の計画について話してくださる重要な会議があるではないか!」
団員の剣幕に、スネ夫が少し動揺する。
スネ夫「あのぉその………」
スネ夫の様子を見ると、したっぱは一転してやれやれといった顔付きになった。
したっぱ「話を全く聞いてなかったんだったな。
まさか合言葉も聞いてなかったんじゃないのか?」
スネ夫『合言葉……?………チャンスだ!!』
団員の言葉にスネ夫は合言葉を聞き出すチャンスだと感じた。
スネ夫「……すみませ~ん。合言葉、忘れたんですぅ。」
それを聞き団員は呆れた表情になった。
したっぱ「ホンット呆れるなあ。
まあ良かった。あのまま行ってたら、しょっぴかれるとこだったしな。
合言葉は「サカキ様万歳」だ。
ホンット求人難とはいえ、こんなに団員の質が下がるとは……
もう少し考えて雇って……ブツブツ……」
そう言うと団員はいってしまった。
----
ジャイアン『ロケット団って大変なんだな………』
ジャイアンはしみじみそう思った。
のび太『やっぱりこいつらアホだな。キシシシシ。』
とにかく合言葉を手に入れる事が出来てよかった。
もし、このままラジオ塔へ向かえば確実に一網打尽にされてただろう。
ドラえもん『よし、ラジオ塔へ向かうぞ。』
四人は、ラジオ塔へ向かった。
入り口で見張っているしたっぱに合言葉を聞かれるのかと思ったが、ただ怒られただけだった。その結果、容易にラジオ塔へ侵入することができた。
ドラえもん『調子狂うなあ。』
まさか、最悪の事態を考えに考え対策を立てたドラえもんは肩すかしを食らった形になった。ここまでロケット団が間抜けとは思ってなかったのだ。
しかし、ラジオ塔内部には団員で溢れていた。
ジャイアンはその数に驚いた。
階を増す毎にその数は増えていく。
ジャイアン「あぶなかったな。無計画にいったらソッコー囲まれてアウトだったな……。」
ジャイアンがそう思ったとき、
「きゃあ!やめて!」
と、誰かが助けを求める声が聞こえた。
----
声の方を見てみると、メガネを掛けた娘が必死にロケット団員に懇願している。
クルミ「やめて!!
こんなことをして楽しいんですか?
何がしたいんですか!?」
したっぱB「うるさい!!!!」
したっぱはそう言い、クルミの頬をはたいた。
ジャイアン「あんのやろう………!」
俺はジャイアン、ガキ大将。
ここで助けなきゃ男がすたる。
ジャイアンは腕捲りをし、戦闘体制に入った。しかし直前でドラえもんの言葉を思い出した。
『目の前で何が起ころうと我慢するんだ。
下手に動いても、誰も救えはしない。』
俺はジャイアンガキ大将。
しかしガキじゃない。
ここは大人の心で自省した。しかし、
ジャイアン『ロケット団………絶対ブッ潰してやる!』
ジャイアンの中で確かな闘志が産まれた。
----
その後、腹が立つことは色々あったが、一行は一度も戦闘することもなく、最上階へついた。
そこには空間の中に所狭しと、黒装束でぎっしりとしている。
とりあえず、四人はその中に溶けこんだ。
すると、前方に四人の人影が現れた。
すると、真ん中の少し白髪混じりの男が、話を始めた。
白髪「諸君。ごきげんよう。私が、ロケット団仮総師のトシミツだ。」
ジャイアン『あのオッサンが………』
ジャイアンはそう思った。声は低いが、人相はそこまで極悪な感じを得られない。
トシミツ「今回ラジオ塔をのっとったのは他でもない。理由は二つ。
一つ目はサカキ様の帰還。
もう一つは、このラジオ塔から怪電波を流し、全国のポケモンを意のままに操ることだ!!!」
なんだ、おもいっきりゲーム通りじゃないか、スネ夫はそう思った。
----
のび太『果たしてテメェらみたいな間抜けな組織にそんなことが出来るかな?
キシシシシ。』
二人の反応はこんなものだったが、ただ一人この男は違った。
ジャイアン『チクショウ………
そんなこと、させてたまるか!』
彼はゲームの台詞は余りよく読んでないようだ。
各々の思惑とは別に、トシミツの話は進んだ。
トシミツ「三週間!!!
怪電波が完成し、各地のポケモンを意のままに操る時までに必要とする時間だ。
諸君には、その間、此所、コガネで籠城戦をしてもらいたい。」
ドラえもん『成程……、ラジオ塔だけでなく町ごとのっとったのは、コガネデパートを押さえ、籠城戦に必要な物資を確保するためか。
幹部の方はよく考えてるな………』
ドラえもんはそう思った。
----
トシミツ「三週間!!
それを耐えれば我等の勝ちだ!
この計画の浮沈は君達の士気にかかっている!!」
「オオオーーー!!!」
全員が勝どきをあげた。
トシミツ「諸君、ありがとう。
次は少し、コウ君から話があるようだ。聞いてくれたまえ。」
そう言い、トシミツは、隣の背の高い銀髪の男にマイクを渡した。
すると、男はゴホンと咳払いをした後、こう言った。
コウ「サカキ様万歳………」
----
ドラえもん『サカキ様万歳………?
あれは確か……』
ドラえもんがそう思う前にコウと呼ばれた男が合言葉を言うと、今までうじゃうじゃしていた黒装束達が一斉にその場に座りこんだ。
その中で立っていたのは唯四人。
ドラえもん、ジャイアン、スネ夫、のび太だった。
コウ「おやおや、まさかと思って号令をかけたら、ネズミが四匹も忍び込んでいるとは。」
コウが笑う。
ドラえもん『やられた………。
この方法ならいちいち一人ずつ合言葉を聞かなくても、大勢の中から敵を探ることができる。
数の弱点を克服する良い手だ。』
ドラえもん達は身構えた。もはや、戦闘は避けられない。
コウ「さあ、どうやって料理しましょうか……」
ドラえもん達に緊張が走る。
そのときコウの横に居た、背は高くないが体格のいい男が言った。
----
「おい、こいつらは俺に殺らせろよ。」
コウ「カホウさん……。見つけたのは私でしょう?」
コウが男に反論する。
二人の間に、ピリピリとした空気が流れる。
すると、その間に、誰かが割って入った。
それはまだ、18にも満たないであろう若い女だった。
女「さっきね、コウさん町で暴れたからここは先輩の顔を推して、カホウさんに譲ってもいいんじゃない?」
二人はそう言われ、身構えるのをやめた。
コウ「………わかりましたよ、キキョウさん。
ここはカホウさんに譲りましょう。」
カホウ「ヘッヘッへ、そう来なくちゃ。」
そう言うとカホウはゆっくりとのび太達の方へ歩いてきた。
のび太『ちっ、俺の勘が言ってる、コイツはヤベェ。』
のび太がそう思った時、ドラえもんが小声でのび太に囁いた。
----
ドラえもん「これはかなりヤバい状況だ……。
のび太君、僕が今からモココのフラッシュで奴らの目をくらませる。
目がくらまないよう、目を瞑ってくれ。
これで奴らにスキができる筈だから、ジャイアンとスネ夫を連れてテレポートで逃げよう。
ジャイアンとスネ夫ちょっと遠くてこの作戦は伝えられない。
彼らも目がくらむだろうからフォローしてやってくれ。」
そう、のび太は言われた。
のび太は無言で頷いた。
カホウがゆっくり歩いてくる。その先のロケット団員は皆、さける様によけていく。
のび太達とカホウの間に大海が裂けたような道ができた。
カホウ「一瞬で掃除してやるぜ。
行けっ、スターミー。」
カホウがスターミーを繰り出した。
その瞬間、
ドラえもん「行けっ、モココ!フラッシュだ!!」
ドラえもんもモココを繰り出した。
カホウ「ふん!遅い!!
スターミー、なみのり!!」
----
そのとき、スターミーから強烈な水流が発生し、水はのび太達全員を呑み込んだ。
のび太「アゴボババ」
ジャイアン『くっ、苦しい!』
ジャイアン達がそう思ったとき、
「パリーン」
ラジオ塔の窓が破れ、中から水が滝の様に流れる。
もちろんその中ののび太達も、窓から投げ出された形になった。
スネ夫「しっ、死ぬ!」
確かに冗談ではなく死んでしまう。
しかしそのとき、
ジャイアン「がぼばびぶ、ばいりびー、ぶろらいぶ、ぼべばびぼぶべぼべぼ(オーダイル、ストライク、カイリキー、俺達を水流から助け出せ!)」
ジャイアンはボールを水流外へ出した。
カイリキーは、のび太を受け止めオーダイルは水の中からジャイアンを救いだし、ストライクは俊敏な動きでドラえもんとスネ夫を救出した。
ドラえもん「がはあ、はあはあ、ありがとう。ジャイアン」
ドラえもんがそう言った瞬間上から声が聞こえた。
カホウ「油断するのはまだ早いぜ……」
----
その声がしたほうからみると、上空から、カホウとスターミーが凄まじい勢いと水流と共にラジオ塔から滑走してくる。
あの水流に巻き込まれたらひとたまりもない。
ドラえもん「みんな!逃げろ!!!」
ドラえもんが言うが早いか、全員は水流の落下ポイントから離れた。
「グアシャーーン!!!」
地面に水が叩きつけられる。逃げ遅れた、ジャイアンのポケモンと、ドラえもんのモココは一撃で全滅してしまった。
さらに、水の余波を受け全員は建物の壁に叩きつけられた。
スネ夫「うぐぐぐぐ………。
あいつ異常だ……」
ドラえもん『逃げなきゃ………
のび太君は…………』
のび太は今一行から離れたところにいた。
----
ドラえもん『クッ、これじゃあテレポートで逃げられない!』
もう、ドラえもん達に残された道は戦うことしかなかった。
スネ夫「行けっ!マグマラシ、スリーパー、オオタチ!!」
スネ夫は手持ち全てを繰り出した。
ドラえもん「こっちも、ビリリダマ、ヌオー、エイパム!」
のび太「ポッポ、フーディン、ゲンガー」
のび太(ゲンガー)『やっぱり、おれが直々に戦わなくちゃなのか………』
カホウ「ほう、これだけ差を見せても立ち向かってくるか。
面白くねぇな。
30秒。30秒でカタをつけてやる!」
そう言い、カホウとスターミーがまた高い波を作り出した。
----
「ぐぐぐぐぐ……」
勝負は一瞬だった。
カホウのスターミーのなみのりはその場にあった全てを呑み込みつくし、一瞬で全てのポケモンが戦闘不能にしただけではなく、トレーナー本人達にも、立ち上がる事さえ不可能のダメージを与えた。
カホウ「つまらなかったな。
まあ、楽に殺してやるとは言わん。
最も苦しい殺り方、つまり溺死で殺してやる。
ギャッハッハ」カホウは狂ったように笑った。
のび太『チクショウ………俺がこんなとこで……』
そう思ったとき、のび太の目の前が真っ白になった。
----
スネ夫「な、なんだ………」
スネ夫の目の前も真っ白になっている。
ジャイアン、ドラえもん、それにカホウも例外ではなかった。
カホウ「くそっ、何だ!?」
ドラえもん「フラッシュ?
一体、誰が……?」
ドラえもんがそう考える暇もなく、誰かがドラえもんの手を引いた。
のび太はその状況が全く呑み込めず、ただ目がくらみ、呆然としていた。
すると、何かが自分に向かってくる、そんな気配を感じた。
のび太「誰だ……?」
のび太が訊いたが、向こうはのび太の問いに答える代わりに別の事を訊いてきた。
?「アンタのフーディンテレポート使えるか?」
のび太「へ?」
?「使えるんかと訊いとるんや!
使えるんやったらはよせい!!」
のび太『何だ?こいつは………』
のび太は疑問に思ったが、うっすら目の前には、青いボディが見える。
遠くにいる筈の、青狸だ。
ジャイアンとスネ夫らしき物も形だけうっすら見ることができた。
のび太『コイツが誰かは分からないが、青狸どもを連れてきてくれてることから、敵ではなさそうだ。それに……』
この最悪の状況。この助けを受けない手はない。
逃げることができれば、名前と一匹だけだがポケモンが分かっているのでカホウとかいう奴を殺せる可能性もある。
?「はよう、ウチの手をつかめや!!」
のび太は無言で目の前の、手らしきものを掴んだ。
カホウ「待てよ、貴様ら!!!!
スターミー!なみのりだ!」
カホウの視力が回復したらしい。
水が迫ってくる音がする。
のび太「テレポート!!!」
のび太がそう叫ぶと、のび太達はその場から消え、なみのりを回避した。
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テレポートによって、その場から離脱したのび太達はエンジュのポケモンセンターの前にいた。
ドラえもん「助かった………」
ドラえもんは一息ついた。
?「あんたら感謝しいや。
ウチが助けに来んかったら、今頃全滅やで。」
全員がとっさに声のしたほうを振り向いた。
スネ夫「あっ!
あんたは……!」
ドラえもん「コガネジムジムリーダー、アカネ!!!」
驚いている全員をよそに、アカネは話を続ける。
アカネ「そこのメガネ以外はどっかで見たような顔やな。
ジムにきたやろ。」
のび太を除く全員が黙って頷く。
アカネ「あんな、ジムに挑戦できるようなトレーナーつって、よう、しゃしゃらん方がええで。命を無駄にしたらあかん。
ここはウチらに任しとき。」
アカネが言った。
助けて貰ったとはいえ明らかに自分を見下しているような発言にジャイアンが憤慨した。
ジャイアン「言っとくけどな!俺ら(のび太以外)はお前に勝ったんだぞ!
そんな偉そうな口をきいてもらいたくねえ!」
と、ジャイアンが言った。
ドラえもん「ジャイアン………
言い過ぎだよ……」
そう言われたアカネはやれやれといった様子でため息をついた。
アカネ「アンタ、何も判っとらんようやね。
ほなポケセンで回復してき。
ちょいと相手になるで。」
ジャイアン「望むところだ!!!!!」
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一方、コガネではのび太達に逃げられたカホウがいた。
カホウ「ちくしょーう!!!畜生!!畜生!!」
カホウは激仰した。
コウ「獲物を譲ったと思ったら何です?
カホウさん。このザマは。」
ラジオ塔上空からエアームドに乗り、長身の男が降りてきた。
カホウ「コウ………
俺は今、イライラしてるんだ……。
殺すぞ」
カホウは静かに、しかし凄まじい剣幕でコウを見た。
コウ「イライラしている?
それは私の方ですよ。
私なら逃がさず一網打尽にできたのに、どっかの馬鹿に譲ったせいで逃げられてしまったんですよ?
馬鹿も休み休みして欲しいですねぇ。」
カホウ「なんだと…………?」
二人の間にまた緊迫した空気が流れる。
今にも殺しあいが始まりそうだった。
しかし、
キキョウ「はーい。終了、終了。
トシミツ様の御前だよ。
そんなことしていいの?」
ラジオ塔から、若い女と、白髪混じりの男が出てきた。
カホウ「ふん。運が良かったなカスが」
コウ「単細胞の相手は疲れますね……」
二人は皮肉を言い合い、間を離れた。
トシミツ「まあ、コウ君が侵入者を見つけたのは功績。
カホウは逃げられたとはいえ侵入者を撃退したのは事実。
評価に値する。
しかし!」
トシミツが声を荒げた。
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凄まじい威圧感が回りにのしかかる。
トシミツ「これからの籠城戦、結束が崩れるのは不利だ。
優先すべきはロケット団……これを忘れるな。」
カホウ、コウ「はい。」
やはり、この人はヤバい。
二人はそう思った。
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また、一方エンジュでは、全員がポケモンの回復を終え、ジャイアン×アカネ戦争が勃発していた。
ジャイアン「ポケモンの数くらいは決めさせてやるぜ!!」
スネ夫が訊いた
アカネ「ポケモンの数?
笑わせんなや。
奴らとのバトルは言わば喧嘩や。ルール無用や。
まあ、今回は「参った」というたら負けっちゅーことで。」
アカネが言った。
俺はジャイアン、ガキ大将。
売られた喧嘩は買わねばならぬ。それが女であってもだ。
ドラえもん「ジャイアン、やめたほうが………」
スネ夫「行けっ、ストライク!!!」
ドラえもんが言うか早いか、ジャイアンはをストライク繰り出した。
アカネ「ほー。ストライクか。前より強うなっとるようやな。
ほな、いくで。」
アカネは身構えた。
スネ夫「なに?
あいつ。
ポケモン出さないよ。やる気あんの?」
スネ夫が不思議がった。
アカネ「ええよ。ガキの戦いに本気出すまでもないんやから。」
アカネはすましている。
スネ夫「ジャイアン、あんなこと言ってるよ!
やっつけちゃえ!」
ジャイアン「どうなっても知らないからな!
ストライク!でんこうせっか!」
ストライクがアカネを襲う。しかし、
アカネ「ミルタンク!!
まもるや!!」
アカネはとっさにミルタンクを繰り出し、まもるを命じた。
ストライクの攻撃が無効化される。
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ジャイアン「くそっ!
きりさくだ!」
アカネ「遅い!!ミルタンク、ころがるや!」
ストライクが切りかかるが、圧倒的なミルタンクの回転力にそのカマは弾かれ、そのまま潰されてしまった。
ジャイアン「ああっ!
ストライク戻れ!!
くそっ!カイリキー目にもの見せてやれ!」
アカネ「やから動作が緩慢なんや!!」
ジャイアンがカイリキーのボールに手をかけた瞬間、転がっていたミルタンクがジャイアンに激突した。
ジャイアン「ぶごっ!」
ドラえもん「なんてことするんだ!!」
ドラえもんが言ったが、すぐにアカネに言い返された。
アカネ「最初に言うたやろ。
これは対ロケット団を想定しとるんや。
当然トレーナーへの、直接攻撃もある筈や。」
のび太『キシシシシ。良いこと言うじゃねえか。』
しかしミルタンクに撥ねられ、もう立てないかのように見えたジャイアンは立ち上がり、怒りを爆発させた。
ジャイアン「女とはいえ、もう許せねえ!
行けっ!カイリキー!」
ジャイアンはカイリキーを繰り出した。
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ジャイアンは考えた。
ジャイアン『恐らく、奴はまた、俺がスキを見せたとき、ころがるで直接攻撃してくるだろう。
だから、ここはパワーに優れたカイリキーでダメージ覚悟でミルタンクを受け止め、回転を止める。
そうしたら状況はタイプの関係で俺が有利になる。よし。それでいこう。』
ジャイアンにしては中々のアイデアだった。
アカネ「ぼーっとすんなや!
行け、ミルタンク!!」
ジャイアン「カイリキー、受け止めろ!!!」
ジャイアンがそう言った瞬間、アカネは読んでいた、とばかりに次の指示を出した。
アカネ「ミルタンク!
やっぱ、当たらんでええ!
回転数を落とさず、周りをころがり続けるんや!!」
その瞬間、ミルタンクは方向転換し、ジャイアンとカイリキーの周りを回り始めた。
砂ボコりがまきおこる。
その、砂ボコりは、ジャイアンの視界を奪った。
ジャイアン『くそっ!
何も見えねえ!!
しかたねぇ、カイリキー、俺を守れ!!!』
パワーで勝るカイリキーに守られていては、手が出せない。
ミルタンクのころがるが終わり、砂ボコりが晴れてきた。
ジャイアン「今だ!!
カイリキー!!クロスチョップ!!!」
ジャイアンがここぞとばかりに放ったクロスチョップがミルタンクの急所に当たり、一撃でミルタンクを沈めた。
ミルタンクが倒れた今、アカネを守るポケモンはいない。
ジャイアン「カイリキー、あの姉ちゃんをギャフンと言わせろ!!
殺すなよ!!!」
カイリキーの手刀がアカネの首筋に当たった。
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アカネは地面に倒れこんだ。
ジャイアン「ちょっとやりすぎちゃったかな?
姉ちゃん、大丈夫か?」
ジャイアンがアカネに歩み寄ろうとした瞬間、後ろから声がした。
アカネ「プリン!!
あのガキにかなしばりや!」
ジャイアンの体は動かなくなった。
ジャイアン「な………んで………」
アカネ「簡単や。
前を見てみい。」
ジャイアンの首が強制的に前に向けられた。
カイリキーの手刀で倒した筈のアカネが、どろどろに溶け始めた。
ジャイアン「あれはまさか………」
アカネ「せや。あれはメタモン。
通常かなしばりはかなり命中率の低い技や。
それを決めるために、アンタに隙を作った訳や。」
アカネは気絶したメタモンを回収し、ジャイアンに歩み寄る。
アカネ「さあ、もうアンタの負けや。
参ったは?」
アカネは馬鹿にするように言った。しかし、ジャイアンはそう簡単に降参するような男ではなかった。
ジャイアン「そんなの……するはずねえじゃねえかよ……」
ジャイアンは言った。
アカネ「そうか、残念やな……」
アカネは肩をすくめた。
アカネ「生意気なガキにはお仕置きが必要やな。」
アカネはそう言い、ジャイアンに向かってボール投げた。
----
ジャイアン「むぎゅ!!!」
アカネのボールからカビゴンが飛び出し、ジャイアンの上にのしかかった。
ドラえもん「ジャイアン!!!
アカネさん!!やりすぎだ!!」
ドラえもんが言った。
しかしアカネに悪びれた様子は全くない。
アカネ「それもそうやな。
戻り。カビゴン」
アカネはカビゴンを回収した。
スネ夫「ジャイアン!!!」
スネ夫がジャイアンにかけ寄ったが、ジャイアンは既に気絶している様だった。
アカネ「つまらんバトルやったな。
分かったやろ、これでアンタらの実力が。
文句あるならかかってきてもええで。」
アカネが言った。
現在、最も戦闘力の高いジャイアンが、眼前であっさりやられたのだ。
残りの三人は動けるはずもなかった。
アカネ「根性が無いとは言わん。
それが正しい選択や。
まあ、コガネの方はウチらにまかせえ。」
アカネはそう言うと、その場から去ろうとした。
ドラえもん「待ってよ。
僕らも、ロケット団を倒したいんだ。
協力させてくれ。」
ドラえもんが言った。
しかし、アカネの返答は冷たかった。
アカネ「答えはNOやな。
正直言おか。アンタらは戦力外、足手まといや。
それでもこの件に首つっこみたかったら、ウチを倒してからにせえや。」
アカネはそう言うと、去っていった。
----
ジャイアン「チクショウ………」
ジャイアンの目に涙が溢れる。
女にしてやられ、あれ程コケにされたのだ。
悔しくない筈がない。
ジャイアン「追い掛けて再戦してやる!!!」
ジャイアンがアカネを追おうとしたとき、ドラえもんが止めた。
ドラえもん「待って!
ジャイアン!!
今、君が行っても、アカネさんには勝てない。
いや、もし、今の実力で下手にアカネさんに勝ち、戦線に参加したとしてもあの、カホウっていう奴に勝てると思うのかい!?」
そう言われ、ジャイアンは口をつぐんだ。
スネ夫「アイツ……………半端じゃなかった………」
それを聞いたスネ夫が身を震わせる。
他の一同もそれを思い出し、沈黙が流れた。
----
数十秒後、ドラえもんが口を開き、静寂を破った。
ドラえもん「…………強くなろう。
アカネさんが言ってたじゃないか!
強くなったら相手をするって!!
負けたのは誰のせいでもない!!
僕らが弱かったからなんだ!!!」
全員は、ドラえもんの言葉に聞きいっている。
全員の反応を見るように周りを見回した後、ドラえもんは続けた。
ドラえもん「そして僕は考えたんだ。
強くなるために何をしたらいいか。
一つ目は、当然ながら、ポケモンの強化。
これは、絶対必要条件。
先程のバトルでは、完全にレベルで負けてたからね。
もう一つは………」
そこでドラえもんは声を高くした。
ドラえもん「新しいポケモンの捕獲………!!!」
----
ドラえもんの言葉にスネ夫が納得する。
スネ夫「確かに、新しいポケモンの捕獲はいいかもね。
戦いにバリエーションが増えるし、トレーナー戦と違って、奴らとの戦いはルール無用だから、ポケモンは居れば居るほど有利だしね。
アカネさんが言ってたけど。」
ジャイアン「俺も賛成だな。
あの、水野郎と姉ちゃんをギャフンと言わせてやるぜ!」
ジャイアンが拳に力をいれる。
ドラえもん「そこで、僕らの目標は、具体的に言うと平均レベルを15上げる事と、新しい戦力を最低でも、二体は作るということ!!!!」
ドラえもんは言った。
スネ夫「15は正直キツイな………」
ジャイアン「15でいいのか?」
のび太『俺は15じゃ足りねぇな、多分』
各々の思惑が交錯するなか、ドラえもんが信じられないことを言った。
ドラえもん「ちょっと、言いにくいんだけどね………
その目標を達成するために、僕らは一度、それぞれ別れた方がいいと思う」
----
突然ドラえもんの口から飛び出した仰天発言に、一同は驚いた。
スネ夫「正気かい!?
僕らの本当の敵を忘れていないだろうね!?」
スネ夫が言った。
以前、離ればなれになるのは危険だと言ったのは、自分じゃないか。
スネ夫はそんな疑問を持った。
ドラえもん「ああ、忘れてないよ。
時間犯罪者さ。」
ドラえもんは、答えた。
スネ夫「だったらなんで!?」
スネ夫が必死で問いつめるのを、遮るようにドラえもんは言った。
ドラえもん「確かに、危険だと言ったよ。
しかし、今は状況が違う。
奴は僕らを殺せないよ。
このイベントをクリアさせる為にね。」
しかし、スネ夫が反論する。
スネ夫「そんな、クリアさせる為って……
僕らが殺されない保証には全くならない!!」
スネ夫は必死だ。
無理もない。この青狸は殺される確率が最も高い選択をしようとしているのだ。
しかし、当の青狸は続ける。
----
ドラえもん「そんなことは、百も承知だ。
でもね、そうしなきゃロケット団を倒し、前に進めない。」
ドラえもんは淡々と進める。
スネ夫「でも!!!!!!」
スネ夫はまだ、納得がいかない様子だ。
ドラえもん「こんな状況になってしまったら、多かれ少なかれ命を賭けなければ、先には進めない。
しかし今は、奴は僕らにイベントをさせる為に殺さない可能性が高い。
だから、今が個々が各地を回り、多様な戦力を手に入れる最後のチャンスなんだ!!!!」スネ夫「そんなこと………」
スネ夫はやはり尻込みしていた。しかし、
ジャイアン「俺はやるぜ。」
ここで、ジャイアンが小さく答えた。
スネ夫「正気かい!?ジャイアン!!」
スネ夫がすぐさま言う。
ジャイアン「ああ。
俺には、なになにだから殺せない、とか難しいことは、全く分からねえ。
だけどな………」
ジャイアンはドラえもんの頭に手を置いた。
ジャイアン「俺は、コイツが言うから正しいと思うんだ。
ドラえもん………
俺はお前に従うぜ。」
ドラえもん「ジャイアン………」
ドラえもんの目が何かで霞む。
スネ夫「…………。分かったよ。
でも、これでなにかあったらドラえもんのせいだからね!」
のび太「僕もいいよ。
奴らを倒
----
そして、翌日。
四人は、ポケモンセンターの中で一夜を明かし、ポケモンセンターの前に集合していた。
ドラえもん「お互いに連絡は定期的にとり合おう。
期日は二週間と言いたいとこだけど、奴らは計画完成まで三週間と言っていた。
だから、皆、一週間以内で条件を整えて欲しい。」
ドラえもんが言う。
ジャイアン「おう!
まかされよ!!」
スネ夫「じゃあ、僕はこれで………」
スネ夫はそう言い、去り、やがて、ジャイアンも去っていった。
二人は明るい希望を持ち、去っていったが、唯一人、全く違う面持ちの人間がいた。
----
のび太は考えていた。
こいつら、マジで別れやがったww
臭い友情でも見せやがって。
確かに、イベントクリアの為に、こいつらは全滅はさせられない。
全滅は、だ。
イベントクリアさえしてしまえば、こいつらは邪魔なだけ。
何人か駒が残れば、いい。ただ、それだけ。
あのスネオとかいう奴でも殺してやる。
そして、こいつらの、虫酢のはしる、信頼とやらをぶち壊してから、殺してやる。
青狸。
テメエは俺を野放しにするという、最もしてはならない事をしたんだ!
キシシシシ。
のび太はこの世の物とは思えない程の邪悪な顔をした。
さて、そろそろ行くか。
のび太は、
のび太「じゃあね、ドラエモン。」
と言い、その場を去ろうとした。
しかし、ドラえもんからはのび太の予想外の言葉が帰ってきた。
ドラえもん「のび太君………
僕らは一緒に行動しよう。」
----
のび太『何っ?』
のび太は予想外の言葉に驚いた。
しかし、折角のチャンス。
動揺して簡単に無にしてしまう訳にはいかなかった。
のび太「何故だい?
僕一人じゃ不安かい?」
計画の為になんとか、この青狸を払い除ければならない。
しかし、その青狸はまたも食い付いてくる。
ドラえもん「うん。不安さ。
だから付いていかせて貰うよ。」
のび太『くっ、こいつ、何故だか知らないが、完全に俺の事を疑っている。』
のび太は、次の手を打つため、何かを言おうした瞬間、先にドラえもんの口が動いた。
ドラえもん「いや、不安と言っても、君がじゃない。
僕の方がさ。僕のポケモンは全体的にレベルが低いからね。
君に守って貰おうと思って。」
何気なく思えたドラえもんの一言が重くのび太にのしかかる。
のび太『チッ、こいつ………巧い。
これで俺が奴から自立することを理由に離れる口実を使うことが出来なくなった。
もし、このまま保護を求めてすり寄ってくる奴を不自然に拒絶すれば、完全に黒にされる確率が高くなる。
もし、疑ってる訳でなく、マジで言ってる場合、無理に追い払おうとすれば確実に、奴との仲が不仲になる。それに…………』
まだ、ここで明かす事は出来ないが、のび太の策は、まだしばらくドラえもん達の仲間であり続ける事が絶対必要条件の一つ。
今、彼らの信頼を失う危険はなるべく、犯したくなかった。
のび太「仕方ないなあ、ドラエモンは。僕が君を守ってあげるよ。」
のび太は苦渋の決断の末言った。
ドラえもん「ありがとう。
のび太君!!」
青狸は自分の前を歩き出す。
それを後ろから見つめるのび太の顔は、屈辱に歪んでいた。
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