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ドラーモン作大長編 その5 - (2007/06/03 (日) 16:44:42) のソース

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トウカシティ。

スネ夫はトウカジムに挑戦している。
このジムのジムリーダー、センリの持つポケモンはノーマルタイプ。
その前にスネ夫は各部屋に待ち構えるトレーナーを撃破して回っていた。

最奥の部屋では一人の男が立っていた。
「私のジムへよく来たな。リーダーのセンリだ」
スネ夫がいやらしい笑みを浮かべる。
「あんたを倒せばボクはまた強くなれるんだ、早く戦おうよ」
「私を踏み台にしようというのか、できるものならやってみるがいい!」
スネ夫とセンリは互いにボールを放った。

まずはジュプトル対パッチール。
しかし、その決着はいきなりついてしまった。
「ジュプトル、リーフブレードだ!」
その一撃はパッチールをあっさり倒してしまう。
スネ夫はここのトレーナー相手にジュプトルの経験稼ぎをしていたのだ。
その戦闘力にまかせてヤルキモノ、マッスグマも苦もなく一撃で倒してしまう。
「ふふん、ボクにかなうわけないじゃん」
スネ夫は完全に調子に乗っている。
センリは苦い顔をしながら最後のポケモンを繰り出した。

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センリ最後のポケモン、それは……
「ひぃ、ジャイアン!」
ジャイアンではない、ケッキングだ。
しかしジャイアンに対して負い目のあるスネ夫はケッキングにジャイアンを重ねてしまったのだ。
「うわあああ!だずげでぇぇぇぇぇっ!」
ケッキングの巨体の前にスネ夫は腰を抜かし、その股間からは温かいものが流れ出る。
「ああ……あああ……ボクを守れ、守るんだ」
スネ夫の名を受け、ジュプトルはケッキングに襲い掛かった。

その後、放心状態のスネ夫を尻目にジュプトルはケッキングを撃破し、この戦いはスネ夫の勝ちとなる。
しかし名誉なはずのバッジ贈呈を下半身を濡らしたままで受けることになってしまったスネ夫。
「あー、まぁ何だ、気にするな少年。濡らした床は私たちで掃除しておくから」
センリの生暖かい励ましに唇を噛み締めながら去っていくスネ夫だった。

と、それだけで済むはずはない。
ジムのトレーナー全員に高飛車な態度をとっていたスネ夫は、ジムを出るまでの数部屋で倒してきたトレーナー達の好奇と蔑みを受けるのである。

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113番道路。
ドラえもんとしずかは炎の抜け道を通りハジツゲタウンに行ったのだがそこにはジムはなかった。
仕方なく来た道を戻ることになった二人。
「また灰の中を通らなくちゃならないの?」
「仕方ないよ、しずかちゃん」
女の子のしずかは降りしきる灰の中を進むのは嫌らしい。
「けどさ、次のジムがあるフエンタウンには温泉があるって聞いたよ」
その言葉でお風呂大好きなしずかは顔を輝かせる。
そんな二人の周囲に突然灰混じりの突風が吹き荒れた。
「うわぁ~~」
「きゃ~~」
巻き上げられた灰の中から人間ほどの大きさがある怪鳥が姿を現す。
「ど、ドラちゃん…これもポケモンなの?」
「そ、そうみたい」
どうやらかなり気が立ってるようだ、このままでは危険かもしれない。
「ヤミラミ、ボクらを助けて!」
ドラえもんのヤミラミはナイトヘッドで攻撃する。
「当たった!」
しかしその鳥は巨体に似合わない動きで高速移動し、ヤミラミをつついてくる。
ヤミラミは敵の攻撃を見切り、ナイトヘッドで応戦する。
しかし劣勢は明らかだ。
「このっ、捕まえてやる!」
ドラえもんはモンスターボールを投げるが、かなりのダメージを受けているにも関わらずその鳥はボールから出てしまう。

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よく粘ったヤミラミだが、つつく攻撃を受け続けてついに倒れてしまった。
「くっそー、こうなったらポチエナを!」
現われたポチエナの前でさらに高速で動く怪鳥。
そんな状況にも関わらずポチエナは偉そうにふんぞり返っている。
「何やってるんだ、危ないぞ!」
しかし相手のポケモンは高速で移動しながらも自らを攻撃して足を止めてしまった。
そう、進化キャンセルで育てられ続けたポチエナは威張る事を覚えていたのだ。
「ドラちゃん、これ使って!」
しずかから渡されたのは物拾いで得たハイパーボール。
「えーい!」
そのポケモンはハイパーボールに吸い込まれ、そしてボールは動きを止めた。
「やったあ、ゲットしたよ!」
「よかったわね、ドラちゃん!」
ドラえもんも新たな仲間、それはエアームド。
ドラえもんは誇らしげにボールからエアームドを出す。
エアームドはその鋭い目でドラえもんを睨み付けた。
「強そうだけど、なんか恐いや」

この出来事のすぐ後。
バトルでポチエナの進化キャンセルをし忘れ、恐いポケモンが二匹になることになるのだが……

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ヒワマキシティ。
アクア団の追跡を振り切り、のび太はようやくこの町に辿り着いた。
「とりあえずユニオンルームにいかないと」
のび太はポケモンセンターに向かった。

「通信相手はシズカさんですね。ユニオンルームに入室があればお呼びします」
とりあえず受付を済ませて1階に戻る。
すると数人のトレーナーが何やら盛り上がっていた。
どうやらすぐ近くの120番道路にTVのインタビュアーが来ているらしい。
「TVに映ればドラえもん達が見てくれるかも!」
のび太は取るものもとりあえず、120番道路に向かった。

120番道路。
インタビュアーの周りには人だかりができていたが、誰もインタビューを受けようとはしない。
「インタビューを受けてくれる人、いるかな?」
インタビュアーのマリが声を上げると、のび太は我先にと手を挙げた。
「はいはい!はーい!」
「はいそこのメガネ君、とりあえずバトルよ」
「ええええええ!」
そう、インタビューの条件はポケモンバトルに勝利することだったのだ。
インタビュアーのマリとダイはレアコイルとバクオングを繰り出した。

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「え?二匹?卑怯だよ!」
マリは首を傾げる。
「ダブルバトルよ、知らないの?」
「し、知らないよそんなの!」
狼狽しながらポケモンを選定するのび太。
ケッキングは言うことをきかないので、ドククラゲとトロピウスでバトルをする。
「ひ、一人で二匹も操れないよ!」
のび太が戸惑っている間にレアコイルのスパークがドククラゲに命中する。
「あわわ、とりあえずドククラゲはまきついて!」
ドククラゲがレアコイルに巻き付く。
相手のバクオングがトロピウスを踏み付けようとしている。
「ぴ、ピー助が踏まれちゃう!」
のび太の「踏まれちゃう」という悲鳴を命令と勘違いしたトロピウスはバクオングを踏み付け返した。

その後のバトルは散々だった。
のび太のドククラゲは2発目のスパークの前に倒れてしまう。
仕方なく出したケッキングはやはり動かず、結局2対1となったトロピウスはバクオングと相討ちになり倒れ、のび太は敗北した。

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インタビュアーはその場を去り、のび太は一人悔しさに涙を流していた。
「ケッキングさえ使えれば勝てたのに……言うことを聞いてくれれば……」
「そうか、じゃあジムに挑戦するしかないな。」
のび太に男が声をかける。
「だ、誰?」
「私はダイゴという者だ。君のケッキングはバッジを入手しないと言うことを聞かなくなっているんだ」
「そうだったんだ……」
ダイゴはのび太に妙なスコープを手渡す。
「これがあればヒワマキジムに出没する見えない何かを見ることができる」
デボンスコープというらしい。
「これを使えばヒワマキのジムに入れるよ。じゃあ頑張りなさい」
ダイゴはその場を後にした。

夜。
どうやら今日はしずかはユニオンルームに来ないようだ。
「どうせここに足止めになるんだ、僕もジムに挑戦してみよう」
のび太はしばらくここでドククラゲとトロピウスを鍛えることにした。
「ドラえもん達に会ったとき、僕の強さを自慢してやるんだ!」
のび太にしては珍しい前向きさである。

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103番道路、水上。
「くそ、もうあんな街行くもんか!」
スネ夫はジグザグマの上で顔を真っ赤にしながら頭を掻き毟っている。

トウカシティでは散々だった。
波乗り用にとりあえずジグザグマを捕獲したが、その様子を見ていたトレーナー達は口を押さえて笑っている。
「あれが失禁トレーナーだって」
「今度は波乗りで大洪水か?」
「ぷぷ、座布団一枚!」
そんな辛辣な陰口のなか、スネ夫は逃げるようにトウカから去ったのだ。

そして頭に血が上っているスネ夫はうっかりしていた。
そう、もっと慎重に動かなければならなかったのだ。

「よう、ス ネ 夫 く ん」
キンセツシティ、スネ夫は決して忘れてはならない声を聞いた。
壊れそうなほどに体を震わせながら後ろを向くと、そこには最も会ってはならない男がいた。
「や、やぁ……ジャイアン……」
『し、しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』
馬鹿なジャイアンは血気にまかせて追跡していると油断し、待ち伏せという可能性を考えていなかった。
『いや、待てよ。ボクはコイツより強かったじゃないか!なんでビビる必要があるんだ!』
スネ夫は喉の奥から振り絞るような声を出した。
「な、なんだよ、またやられに来たのか単細胞!」

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しかしジャイアンは信じられないほど冷静だ。
「じゃあやろうか、ポケモンバトルを……ス ネ 夫 く ん」
スネ夫はほくそ笑む。
生身で襲われたら勝ち目はないが、ポケモンバトルなら余裕で勝てるだろう。
そうなればまた怪しい光でパープリンにしてトンズラかませばいい。
「よし、相手になってやるよジャイアン!」
スネ夫はヌケニンを繰り出した。
しかしジャイアンはこの前までのジャイアンとは違っていた。
「でてこい、バクーダ!」
巨大な獣がジャイアンの前に現われる。
「バ、バクーダだって!」
そう、ジャイアンはフエンでの特訓の際に新たな仲間ドンメルをゲットし、それを育成していたのだ。
「そ、そんなもの恐くないやい!ヌケニン、あやしいひかり!」
ヌケニンから光が発せられたが、バクーダは口をもごもごとさせて平然としている。
「かえんほうしゃを食らえ!」
バクーダの口から炎が吐き出され、ヌケニンを焼き尽くす。
「ひぃぃ、なんで怪しい光が効かないんだよ!」
ジャイアンはニヤリと笑う。
「バーカ、お前のやることは分かってるからキーの実持たせてたのさ」
バクーダの火力は圧倒的で、スネ夫が次に出したテッカニンの攻撃にも耐えて火炎放射で撃退する。

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「こうなりゃゴルバットで!」
スネ夫のエースポケモン、ゴルバットはその素早さで先制し、バクーダは噛み付かれて倒されてしまう。
「はぁ、はぁ、どんなもんだ……」
しかしジャイアンは眉一つ動かさず、次のボールを投げた。
「そ、そんな……何時の間に……」
ジャイアンが出したのはヌマクローではなく進化体のラグラージ。
フエンジムは炎ポケモンが多く、必然的にレベルが上がっていたのだ。
「そのゴルバットの弱点も分かってるぜ、れいとうビーム!」
ジャイアンはカジノで火炎放射や冷凍ビームを入手し、戦力をあげていたのだ。
ゴルバットが冷凍ビームを食らって一撃で瀕死になる。
『ジャイアンめ……完全にボクの上をいっている!』
しかし、次に出すのはジュプトル。
こんなときの為に最初の選択でジャイアンに対して有利なポケモンを選んだのだ。
「ジュプトル、ジャイアンをギャフンと言わせてやれ!」
「ラグラージ、戻れ!」
スネ夫は仰天した。
あのジャイアンがポケモン入れ替えという戦術を使うとは思わなかったのだ。
「マタドガス!次はお前だ!」
ジャイアンの隠し玉、マタドガスが姿を現す。
草タイプのリーフブレードは半分の力しか発揮できない。
ジュプトルは電光石火で応戦したが、それを耐えきったマタドガスのヘドロ攻撃であえなく倒されてしまう。

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『あとの戦力はマルノームしかいない』
スネ夫は最後の希望、マルノームを繰り出す。
しかし、その淡い期待はジャイアンの一言で打ち砕かれた。
「えーと、じばく」
命令を受けたマタドガスが爆発し、マルノームと相討ちになる。
呆然としたスネ夫に残されたのは秘伝用のジグザグマだけだった。

意外なことに、結局スネ夫は一回もジャイアンに殴られなかった。
ジャイアンは何も言わずにトウカのバッジと波乗りの秘伝マシンを奪って去っていった。
『わざわざ俺様の為にご苦労さん、わははは!』
ジャイアンの去りぎわの言葉がスネ夫を打ちのめした。

「ラグラージ、バクーダ、マタドガス……くそ、誰か入れ知恵しやがったのか!」
スネ夫はジャイアンが消えた方向を睨み付けた。
「待ってろよ!必ず追い付いてやるからなーっ!」

スネ夫は肝心なことを忘れている。
トウカシティに戻り、再びバッジを手に入れるということはあの恥辱と好奇の視線を浴びなければならないことを。

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