けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

髪の長い男の子

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mioritsu

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だれでも歓迎! 編集

私の悪い癖、夢中になると周りが見えなくなる、時間を忘れてしまうこと。
その日、部活帰りにふらっと本屋に寄ったんだ。
今思えばそれがはじまり。
ちょうどよく読んでた音楽雑誌の発売日だったんだけど、
タイミング悪く、その日に限って財布を忘れていて
そうなるとかなり選択肢が絞られてくる
というより、一つになってしまう。立ち読みである・・・

立ち読みしよう!自慢ではないが、あのときの決断力はかなりのものだったと思う
家に取りに帰るとか、その日は諦めるなんて選択肢ハナからないみたいで・・・

我に返ったのは、閉店間際に店員に声をかけられたとき。
時計を見ればもう十時前・・・慌てて外に出るも、あたりは真っ暗で
僅かな街灯と、時折通る車の灯りがあるばかり。
私にはハードルが高すぎる帰り道・・・なんなら明るくなるまで待つか。
バカ・・・


とりあえず、半ば崖に飛び降りるような気持ちで帰路に就くけど、
何でそんな日に限って・・・
「君一人?女の子がこんな時間に出歩いちゃダメだよぉ?」
「へへへ・・・お兄さんたちが送ってあげようか??」
絡まれちゃうんだか・・・
ただでさえ人見知りするのに、
相手は異性・・・しかも柄が悪いというオプション付きで。

私が戸惑っていると、
しめしめと言わんばかりの表情を浮かべ一人の男が近寄ってくる
「大丈夫?やっぱり送ってあげないとだめかなぁ・・・」
両肩に手を置き、耳元で囁いてくる。
これ以上悪い状況は無い。露骨に怯えた表情を浮かべてしまう

それを見て、もう一人の男も調子付いてきた。
「ほら、心配しなくていいよ?俺たち何もしないからさ・・・」
強く腕を引っ張られる。引っ張ろうとする先は、
人気のなさそうな暗い路地・・・

いよいよまずい。拒まないと・・・・
「あ、あの、大丈夫ですから!離してっ・・・」
「騒ぐな。」
ドスの利いた声で呟かれる。どうしよう。
これ、まずいよね。
私、何されちゃうんだろう。

もうだめだ・・・震えが止まらない

誰か助けて・・・
誰かっ・・・
律・・・!!



突如響き渡る声。私も男たちも驚きを隠せない。
声のする先にいたのは・・・
背が低くて、前髪を長く伸ばした男の子。
「なんだお前。」
「はあ?そいつの彼氏だよ!」

え?男たちを止めてくれたのはありがたいけど、何もそんな・・・
「なんだ、彼氏持ちかよ・・・」
「ちっ、おもしろくねえ・・・行くぞ!!」
私から離れ、走り去っていく男たち。


その背中を目で追い、見えなくなったとき、全身の力がふっと抜けて
その場に座り込んでしまった。
冷たい・・・

「ふー・・・澪、大丈夫?」

えっ・・・何で
「何で・・・しってるの・・・名前・・・?」
「はっ?気付かなかったの?」

その少年が、私から一番近い街灯のあたりまで歩み寄ってきたとき、全ての謎が解けた。
「・・・律?」
「んっ。ご名答!」
前髪を下ろした律。普段はご存知の通りカチューシャ、家でもゴムで前髪を留めているし
お風呂なんかでも前分けにしておでこを出しているから、かなり久しぶりに見たかも。

なんだろう・・・少し、かっこいいと思ってしまった自分が悔しい。
「ったく、澪のお母さんから電話あったんだぞ?澪が帰ってこない、電話も繋がらない。
そっちに行ってないですか?って。」
え、電話が繋がらない?すぐさま携帯を確認する。


電池切れ・・・今日の私は頭のネジでも抜けているのかな・・・
「それにしても、何してたんだよ!部活のあと本屋寄るって言うからそのまま別れたけど、
何時間本屋にいたんだよ!澪!」
少し怒っているような口調の律。・・・・とりあえずすべてのことを話した


「・・・・ふーん・・・私が探し回ってなかったらどーするつもりだったんだ。」
あ、やっぱり怒ってる・・・律の怒るところ、これも久々に見た。

あれ?私・・・怒られているのに・・・・・・
何で・・・
何で、何か嬉しいんだろう・・・



「・・・・?!な、なにも泣かなくても」
え?あ、ホントだ。
私泣いてる・・・
でも、怖いとか、申し訳なさとか・・・そういう涙じゃない・・・
なんだろこれ・・・安心したせいかな・・・
どうしよう・・・止まらないよ・・・・
「・・・・ごめん、きつく言い過ぎた。」
違う…律は悪くない……謝らないでよ……

わけがわからなくなった私を、律が強く抱き締めてくれた。
「怖かったよな……もう大丈夫だぞ。」

怒りを無理矢理抑えてるのか、本心かはわからないけど

その声は、いつもの律の声だった。

「澪、少し重くなった?」
「…うるさい……」
私は律におぶられている。もうわけわからない……

少しもぶれずに歩き続ける律。こんな小さい体してるのに、力は結構あるんだな……
「そういえば……何で前髪下ろしてるの?」
「ん?ああ、澪が変なのに絡まれてるの見つけてさ、女の子じゃ舐められそうだろ?
でも前髪下ろせば男だと勘違いしてくれるかなあと思って。
親に言われたんだよ。律は前髪下ろしたら男みたいになるな。ってさ」
ホントだ。
今の律……
「私だって女の子だぞ?傷付くよなー。地味に。まあでも、声低めに出して、
暗かったのもあったから、あいつらに加えて澪までだませちゃうんだもんなあ。ビックリだ」

「……いい」
「ん?どした澪」

「かっこいい。」
あれ、私言っちゃった。
「……ぉん?」
「律かっこよかった……」
勝手に口を割って出てくる言葉

やめてよ……言わないでよ……
恥ずかしいよぉっ……

「うん……まあ、澪に言われるなら悪くないかな?」
……どういう意味?聞こうとしたけど、今度はにやけが止まらなくなって……
ああもうっ……
「だって私、澪の彼氏だもんなぁ」

っ……あーだめ……多分今顔真っ赤。

「でも、おかしいでしょ。」
「ううん、おかしくないよ。」

…ああそうか、わかった。
「……へへ、ありがと!」

これはきっと、私の悪い癖。

私は今、律に夢中なんだ。



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