日本では日本国憲法により地方自治が保障されているが、英国では普通の法律と区別された憲法典はなく、地方自治については英国議会が制定する法律及び慣習法がその拠り所となっている。
地方自治体は、原則として、英国議会が制定する法律により個別に授権された事務のみを処理できる(「1972年地方自治法(Local Government Act 1972)」など)ものとされており、授権された範囲を超える行為は、権限逸脱(Ultra Vires:アルトラ・ヴァイリーズ)の法理により違法になるとされてきた。しかしながら、「2000年地方自治法(Local Government Act 2000)」により、地域社会および住民の福祉の増進に関する3分野(経済:Economic Well-being、社会福祉:Social Well-being、環境:Environmental Well-being)の政策を一定の制約の下で自由に実施することができるとされた。
国と地方自治体および同一地域内における各地方自治体の役割分担(3-3参照)は、原則として分野により明確に区分されている。