英国議会は上院(House of Lords)と下院(House of Commons)の二院制であるが、上院議員は選挙による選出ではなく、下院議員だけが総選挙で選出されている。その下院選挙(総選挙)が2005年5月5日(木)に実施された。
2001年以来4年ぶりとなる2005年の選挙は、低失業率や堅調な個人消費など英国経済が好調な中、労働党ブレア首相(当時)が5年の任期を1年前倒す形で行われた。
選挙結果は、労働党が党史上初となる三期連続政権を獲得することとなったが、前回より47議席減の356議席、保守党は前回より34議席増の198議席、自由民主党は前回より11議席増の62議席、その他が3議席増の30議席となった(総議席数は646)。主要3党の得票率は、労働党が5.5ポイント減の35.2%、保守党が0.6ポイント増の32.3%、自由民主党が3.8ポイント増の22.1%と選挙前の各党支持率予測とほぼ同様の結果となった。
その後、ブラウン首相は政権を引き継いだが、労働党は2009年6月の地方選での歴史的な大敗に続きその後の欧州議会選挙でも敗退をしている。
なお、選挙後の離党などの結果を踏まえた2009年7月24日現在の政党別の下院議席数、上院議席数は図表1-2のとおりである。
【図表1-2】
【下院の政党別議席状況】
労働党 | 350 |
保守党 | 196 |
自由民主党 | 63 |
民主統一党 | 9 |
スコットランド民族党 | 7 |
シン・フェイン党 | 5 |
ウェールズ民族党 | 3 |
社会民主労働党 | 3 |
アルスター統一党 | 1 |
その他 | 9 |
計 | 646 |
【上院の政党別議席状況】
保守党 | 193 |
労働党 | 215 |
自由民主党 | 71 |
無所属 | 202 |
大法官 | 26 |
その他 | 32 |
計 | 739 |
なお、議員の選出が選挙によらない上院のあり方については様々な議論がある。1997年に政権の座についた労働党は、総選挙時のマニフェストにおいて「上院は改革されるべきだ」との書き出しで上院改革を政権公約としてあげ、政権発足後上院改革に着手した。マニフェストでは、まず、第一段階として上院における世襲貴族の議席と投票権をなくし、その後上院の権限と組織の抜本的見直しを行うこととしていた。しかしながら、1999年に750人ほどいた世襲議員を92人に削減したものの、その後改革は足踏み状態となっている。