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出来杉」(2006/12/27 (水) 11:34:01) の最新版変更点

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ハナダジムを難なくトップ通過した出来杉は数枚の写真を見ながら考えていた (ライバルになりそうなのは…やっぱりしずかちゃんだろうな) 後半大事な局面で必ずぶつかるであろう最大のライバル 早めに潰して差を付けていた方がいいかもしれない 「…こっちから仕掛けてみてもいいかもな。 よし、行こうかリザード。」 そう言うと写真をしまって、元来た道へと歩き出した バッグにしまった写真の裏にはそれぞれこう書かれていた 【便利な金づる】 【将来負け組】 【脳みそきんにくん】 【俺のペットになってたら世界征服出来てた】 【しずかちゃんお風呂中!!part3】 ---- レベル上げを済ませニビジムを突破したしずかは順調に進んでいた― しずか「やっと出口かぁ。無駄に長いのよ」 おつきみ山を出て空を見上げるときれいな月が出ている しずか「満月ね。星もきれいだわ さすが田舎」しずかは舌打ちをした。 (とりあえず今日は休もう) まだ先は長い。しずかはハナダの民宿に泊まることにした ポケモントレーナーのための民宿やホテルが各地にあるので、長期の旅でも支障がないようになっている そしてバッジの数によって泊まれる所のランクも上がるシステムだ  しずかはポケモンセンターで泊まれそうな宿を捜した しずか「ごめんくださぁい。」 甘い声でしずかは入った そこは老夫婦がやっている民宿で普通の一軒家だ もちろんしずかはホテルが良かったのだがこの際文句は言うまい。 (しばらくの辛抱ね) しずかは話好きのお婆さんに愛想笑いを振りまき、適当にあしらった後で部屋に入った。 「話が長いのよ、あの婆さん。 ふぅ…」 今日はとにかく疲れた。一刻も早く癒さることにしよう 「まぁ、風呂の用意が出来てるだけあの婆さん救えるわね。」 しずかは三度の飯より好きなお風呂に入ることにした しずかは知らない そこで出来杉のコレクションが一枚増えることを ---- カシャ 背後に気配を感じた しずか「のび太さん!?」 反射的にそう叫ぶと持っていた風呂桶を、入れていたお湯ごと投げつけた バシャーン! 逃げていった少年を確認しようとしたが暗かったため誰かまでは特定できなかった…しかし 「こんな所まで来て覗くなんて、もはや変態ね」 しずかには犯人がわかっていた しずか「あの出来損ないが。」 出来杉のガッツポーズと引き替えに、のび太にあらぬ疑いがかけらてしまった ---- 一緒に忍び込ませたコラッタからの報告によると、もうすぐ契機が訪れるらしい… 後はポッポからの合図待ちだ ドキドキドキドキ 失敗は許されない。鼓動が高鳴っているのが自分でもわかる 出来杉「大丈夫、僕ならやれる。今までだってやってこれたじゃないか。」 出来杉はしずかちゃんのお風呂コレクションを見返しながら自分に言い聞かせた。 ポッポ「ポッポゥ」 ターゲットが風呂に入った合図だ! 数分ほど待ち、出来杉はタイミングを見計らっていた…そしてついにその時が来た チャンスは一度きり 窓の外からゆっくりとカメラを構え― カシャ 「のび太さん!?」 まずい気付かれた! 頭にお湯をかけられながら出来杉は必死に逃げた! まずいばれたか?作戦は完璧だったはずだなんだあの反射神経は?速すぎる僕がいっつもやっていたせいか?慣れてしまったのかどうしようもしばれていたら僕が今まで築き上げてきたものが崩れて落ちてしまう栄光の未来が無くなってしまう 出来杉はびしょ濡れになりながらも必死に走った! 今までの人生の中で一番走った! ---- 出来杉「はぁ…はぁ…はぁ……」 どれ程走ったかはわからないくらい走って出来杉は草むらに腰を降ろした (どうしよう) 出来杉は考えていた のび太さんと叫んだところでは僕に気付いていなかった しかし後ろ姿を見られ、ばれた可能性はある ここでしずかちゃんと顔を合わせるのは不信感を持たれるかもしれないのでマズイ…というより恐くて会えない ―出来杉は【しずかちゃんアルバム2】を見ながら決断した 「しばらく隠れて先に行かせよう」 先に進むと追い付かれる可能性がある 万が一会って話し掛けられたらぼぼぼ僕は普通じゃいられない。 それよりも先に行かせた方が安全だ かくして策士出来杉は計画の変更を余儀なくされた その頃― コラッタとポッポは必死にご主人を捜していた ---- ポッポ「ポッポゥ。ポッポゥ」 せつない声でポッポが鳴いている 主人とはぐれたのだ 短い間だったがポッポは、もうご主人のことが大好きになっていた ヒトカゲにやられそうな僕を助けてくれたご主人 どんな時にも臨機応変に対応するご主人 アルバムにどの順番で写真を入れるか考えているご主人 そんなご主人が大好きだったんだ! 絶対に見つけてみせる―とポッポは心に誓った そんなポッポは次の日、しずかのイーブイの糧となる ---- もう12時を過ぎた。しかし出来杉は寝付けなかった。 枕下にしずかアルバム(通称しずアル)を敷いているにも関わらず、だ。 普段なら考えられないことである 【花田の八百屋】 出来杉がお世話になっている民宿だ その二階の部屋を出来杉は使わせてもらっている 出来杉はあの後自分の宿へ戻ったのだが― その時に気付いてしまったのだ 自分が泊まっている宿と、しずかちゃんの民宿がかなり近かったことに この辺りは入り組んでいるというのもあるが、しずかちゃんを追うことに夢中で出来杉は周りが見えていなかったのだ しかも宿を特定した後はすぐに風呂を覗ける裏口に潜んでいたから 出来杉が気付かないのも無理はなかった 出来杉「くそっ風呂のことしか頭になかった」 正直者の出来杉は頭を抱えた 本当は戻りたくなかったが荷物を全部置いているため戻らざるを得なかったのだ これでは鉢合わせの確率が高くなってしまう もちろんそんな偶然はなかなか起こらないだろう 出来杉が家の中にずっと居れるなら― そこに出来杉が寝付けない理由があった ---- ポケモントレーナー達はたたで民宿に泊まらせてもらえる 代わりに何でもいいから、その家の人の手伝いをするのがルールとなっているのだ ただで甘やかしてはいけない。いい風習だろう しかし、それが出来杉を悩ませていた原因だった 出来杉は店番を頼まれたのだ。つまり外に出なければいけないのである それでは、しずかちゃんが民宿から出てきた時に気付かれてしまうかもしれない それだけは避けなければならなかった 「うーーーーん…」 いくら考えても結局完璧な答えは出なかった。 まぁ幸いしずかちゃんの民宿からここは、角度的に見えるかな?くらいなので店の影に隠れるようにすれば大丈夫だろう。 もし近くを通ってもその時だけ奥に行けば問題ない (意外と気にすることはないかな) 満足した出来杉の意識は薄れていった もちろん出来杉の考えは正しいであろう しかし世の中にアクシデントは付き物である 次の日宿代の代わりとしてお使いを頼まれたしずかちゃんが花田の八百屋を訪れるのだった かくして出来杉の第2Roundが始まった― ---- しずか「それくらい喜んでしますよぅ。」 軽い物ばかりだが品目が20近く書かれたメモ紙とお金を渡されて、しずかはお婆さんにお使いを頼まれた。 サチコ「じゃあお願いしますね。」 しずか「はぁい。行ってきまーす。」 しずかはサチコに手を振って買い物に出かけた― 「ち、くそババアが。」しずかは舌打ちをした しずか「なあんで私がこんな面倒くさいことしなくちゃならないのよ。あんなボロ民宿、泊まってやるだけありがたいと思いなさいよ…金、持ち逃げしようかしら。」 と可愛らしい文句を言いながら買い物をして…いなかった しずか「ほら、イーブイ。あなたはこの町の外れのスーパーに行ってメモ紙に書いてある物を買ってくるのよ。難しいけどできるかなぁ?」 イーブイ「ブイ!」 しずか「そう、さすが私のイーブイ。普通のペッ…ポケモンとは一味違うわね。 私の自慢のポケモンよ」 そう言って頭を撫でた イーブイ「ブブイー」 イーブイはうれしそうだ (まあ普通の犬よりは使えるわね) 「じゃ、その間に私は残りの物を買うからね」 後は人参、白菜と玉葱だけですよ、しずかさん イーブイは何も知らずにうれしそうに駆けていった しずか「ふぅ…。しっかし、あの婆さんケチねぇ。 野菜は高いから八百屋で買ってきてなんて。たいしたもの作れやしないのに。ましてやあんな遠いスーパーなんて行ってられるかっつーの。」 しずかの毒舌はとどまる事を知らない。 「さっさと終わらせよ。ええっと花田の…八百屋…っと。あそこか。 …すみませーん。」 しずかが店に入った― ---- 「…すみませーん。」 しずかは奥にいる少年に声をかけた 出来杉「はーい。いらっしゃjkvmぢg?kぎひでぶ」 目にも止まらぬ速さで少年は店の奥に走って行った― (ななななんあなんてことだ。ぼぼべ僕がどどどおわどをしてここにいることがわかったんだ?) 出来杉はパニくった 「おおをお落ち着けー考えろーいつもの自分を取り戻せー。」 出来杉はしずかが自分を訪ねて来た理由を考えた。そして― すぐに結論は出た (そうか、昨日僕の後をつけたんだ。そうだそうに違いない!僕を調べたんだ やっぱり僕がののの覗いたのがばれてしまったんだ) 焦りまくっていた出来杉がこの答えを出すのは仕方がないことだった 出来杉「終わりだ。もう終わりだー。僕の光り輝く未来へのレールが消えていく…」 出来杉の頭の中を今までの思い出が走馬灯のように駆けていった ---- しずかは困っていた― 自分が声を掛けた途端奥にいた少年がさらに奥へと逃げていったのだ。姿はよくみえなかったが… しずか「あのーすみませーん?」 もう一度しずかは呼び掛けた。しかし返事はない (どっかで見たことある人だったわね。それにしても何をそんなに驚いてたのかしら?) と疑問に思いながら、しずかも考えていた (さては…)しずかが何かに気付いた― 「のび太さんね!」 そう、そう考えれば全て辻褄が合うのだ なぜ見覚えのある姿だったのか、なぜ自分を見て逃げたのか。 それならば話は早い しずか「待て、この変態!! 今日という今日は警察に突き出してやるんだから!」 出来杉はバッグを抱えて窓から飛び出した 涙を流しながら― ---- 今日はクリスマス。 出来杉は降る雪を見ながら考えていた (今日くらいは――) しずか「待ちなさい!この変態!」 「う、ヴわぁああん」 出来杉は泣きながら逃げていた。 (な、な、なんでそんなに追ってくるんだよ。襲ったわけじゃない。ただ写真を撮っただけじゃなひか!) それも犯罪だけどな。 何がいけなかったんだろうか。自分はただ欲望に忠実に生きただけなのに だからそれが犯罪なんだって。 あれからどれだけ走ったかわからない。 後ろを振り向くともう追っ手の姿はなかった。どうやら逃げ切ったらしい (よか…っ……た………) 気付くと出来杉は真っ白な地面にもたれ掛かっていた―― ---- ぽっ 「んっ、んーー?」 (僕の眠りを妨げるのは誰だい?) 永遠の眠りにつくとこだった出来杉は目を開けた するとそこにはリザードがいた。尾っぽの火で暖めてくれているのだ。 心配そうに出来杉を見ているリザード。 (リザード……そうだよな。諦めちゃダメだよな) 出来杉は震える体を起こして次の行動を考える。 まずこの冬を乗り越えねばならない。 何をすればいいか。考えに考えた末の結論が出た。 マッチ売りならぬリザード売りの出来杉の誕生だった―― 「リ、リザード。リザードはいりませんか?」 しかし目の前を通る人たちはちらりと見るだけで笑って過ぎていく。 (やっぱり……ダメなのかな) 出来杉は茫然としながらリザードの尾を眺めていた。すると 尾の向こうに景色が見えてきた (こ、これは!!) 出来杉はリザードの尾に目を集中させた ---- リザードの尾の火から見えてきた景色では 出来杉としずかはアルバムを見ながら楽しく会話しているところだった。 「うふふふ。やっだーー出来杉さんったら。」 「おいおい。こんな簡単な問題間違っちゃダメじゃないか。しずかちゃんらしくもない! 右の写真こそが体育会の日に撮ったお風呂写真じゃないか。それが証拠に――ほら」 そう言って出来杉は2枚の写真をしずかに見せる 「左と違って右の写真のお尻には少しアザがあるだろ?」 「ええ。でもそれがどうかしたの?」 「これはね。君が体育会の時ピラミッドで倒れて 尻餅をついた時のアザなんだよ。よって体育会の日のお風呂写真は右…となるんだ」 「すごいわ、出来杉さん!でもよくアザができてるなんてことがわかったわね?」 「ああ。あの日大玉転がしの時にぺろーんとお尻を触ったら君が少し痛がっていたもんでね。 もしかして――と思ってその日お風呂写真を撮ったら案の定さ。」 「すごい推理力ね、出来杉さん!私そんなちょっとHで素敵な出来杉さんが大ーー好き」 「あはははは。困ったちゃんだなぁ。 正解しないとご褒美はあげないって言っただろ。次の問題に正解してからだよ」 「もおぅぅ。出来杉さんったら厳しいんだからあ」 「甘えたってダメだよ、しずかちゃん。次はこれさ!」 そう言うと出来杉は1枚の写真をしずかに見せた。 「これはある君の記念日に撮ったお風呂写真です! さあ、何の記念日でしょう?」 ・・・ ここで景色が途切れた―― ---- 「リ、リザード!もっとだ!もっと僕に続きを見せるんだ!」 出来杉はリザード売りなんてことを忘れ、続きをせがんだ。凄い形相だ もうあれだ、般若だ。般若出来杉だ 「……」 リザードは黙って尾の火を強めた―― 「えーー?何の記念日なのかしら」 しずかは考えていた。 しかし一向に答えは出てこない。 「……君にはがっかりだよ。しずかちゃん。そんなんじゃ僕の被写体は勤まらないよ?」 「そんな!出来杉さん、私を見捨てないで。お願いだから……」 泣くしずかのお尻を――じゃない、髪を撫でながら出来杉は言った。 「じゃあヒントだ、しずかちゃん。写真の左下にある排水溝の所を見てごらん。 何かが見えてくるはずだよ」 出来杉が指差す排水溝には赤い、粒のようなものが一つだけあった。 「これ――が?」 しずかは怪訝そうな顔をする。 「ふぅ。これは大ヒントだったのに…… IQサプリならぬIQお風呂でいったら98くらいのレベルだよ?仕方ない。じゃあ――」 出来杉は大ヒントを出した。 「8月5日。ここまで言えば君にもわかるかな?」 ---- 「そう、その日は君が―― と答えの前に解説をしようか。」 焦らすように名探偵出来杉は言った 「まずこの日の君の食事、ここにヒントが隠されている。」 出来杉は続けた 「そう、この日は普段とは違う食事が出たんだ。そのご飯つぶが君のほっぺにでも付いていたんだろうね それが体を洗っている時に落ちたんだ」 「まさか!?」 しずかが赤い粒の正体に気付いたようだ 「そう、その食事とは―― お赤飯だったんだ!」 しずかの頬が赤くなる。 「もう、わかるよね?ご飯が赤飯に変わる特別な日―― その日は君の『げっ…あの日記念日』だったのさ! たまたま撮りに行った日がそんな特別な日だったなんてね。僕もついてるぜぃ!」 自信満々に出来杉は言った。しかし 「違うの――違うのよ!」 しずかが口を開いた。 ---- 「確かに私に初めてあの日がきた時に出た食事は赤飯だった。 ママには恥ずかしいから止めてって言ったのに……」 「ほら、やっぱりそうじゃないか」 「違うのよ出来杉さん。私の初あの日は…… 8月2日なのよ!」 「何だって!?」 なんつーー会話してんだコイツらは 驚いている出来杉をよそにしずかは続けた。 「痛かった。とても痛くてあの日はお風呂どころじゃなかったの……それでも体は流したけどね」 「くっ」 出来杉は唇を噛んだ 「恐らくそのご飯つぶはパパかママのでしょうね。 それが排水溝に引っ掛かっていたの。」 (しまった……) 「残念ね、出来杉さん。8月2日にお風呂を覗いたら―― 私のピーーがピーーで血がピーーーーーーだったのにね! がっかり、あなたにはがっかりよ出来杉さん!」 「くそぅ」 (ぼ、ぼくのしずかお風呂プロファイリングに誤りがあるなんて――) 「そんな私のあの日もわからない出来杉さんになんて興味はないわ。 さようなら、出来杉さん」 そう言うとしずかは背を向けた ---- 出来杉は必死だった! 「待ってくれ、しずかちゃん!8月2日だね? もう僕の頭に完全にインプットされたよ! 今度からは絶対間違えないさ。絶対間違えないから! あれ、しずかちゃん?しずかちゃぁわーーーん!」 そこで景色は途切れた ・・・ 出来杉はただ膝をついて涙を流していた。 「そうか、8月5日じゃなかったのか。僕もまだまだ甘い……な」 だからそれはアンタの妄想だって そして―― 写真の裏の5日の部分を2日に書き替えている出来杉の後ろから声がした 「この服は間違いありません。少女の証言と一致します」 出来杉が振り向くとそこには警官がいた。 「ノビノビタ……あなたを逮捕します」 リザード売りの出来杉はクリスマスの夜 静かにお縄についた――
ハナダジムを難なくトップ通過した出来杉は数枚の写真を見ながら考えていた (ライバルになりそうなのは…やっぱりしずかちゃんだろうな) 後半大事な局面で必ずぶつかるであろう最大のライバル 早めに潰して差を付けていた方がいいかもしれない 「…こっちから仕掛けてみてもいいかもな。 よし、行こうかリザード。」 そう言うと写真をしまって、元来た道へと歩き出した バッグにしまった写真の裏にはそれぞれこう書かれていた 【便利な金づる】 【将来負け組】 【脳みそきんにくん】 【俺のペットになってたら世界征服出来てた】 【しずかちゃんお風呂中!!part3】 ---- レベル上げを済ませニビジムを突破したしずかは順調に進んでいた― しずか「やっと出口かぁ。無駄に長いのよ」 おつきみ山を出て空を見上げるときれいな月が出ている しずか「満月ね。星もきれいだわ さすが田舎」しずかは舌打ちをした。 (とりあえず今日は休もう) まだ先は長い。しずかはハナダの民宿に泊まることにした ポケモントレーナーのための民宿やホテルが各地にあるので、長期の旅でも支障がないようになっている そしてバッジの数によって泊まれる所のランクも上がるシステムだ  しずかはポケモンセンターで泊まれそうな宿を捜した しずか「ごめんくださぁい。」 甘い声でしずかは入った そこは老夫婦がやっている民宿で普通の一軒家だ もちろんしずかはホテルが良かったのだがこの際文句は言うまい。 (しばらくの辛抱ね) しずかは話好きのお婆さんに愛想笑いを振りまき、適当にあしらった後で部屋に入った。 「話が長いのよ、あの婆さん。 ふぅ…」 今日はとにかく疲れた。一刻も早く癒さることにしよう 「まぁ、風呂の用意が出来てるだけあの婆さん救えるわね。」 しずかは三度の飯より好きなお風呂に入ることにした しずかは知らない そこで出来杉のコレクションが一枚増えることを ---- カシャ 背後に気配を感じた しずか「のび太さん!?」 反射的にそう叫ぶと持っていた風呂桶を、入れていたお湯ごと投げつけた バシャーン! 逃げていった少年を確認しようとしたが暗かったため誰かまでは特定できなかった…しかし 「こんな所まで来て覗くなんて、もはや変態ね」 しずかには犯人がわかっていた しずか「あの出来損ないが。」 出来杉のガッツポーズと引き替えに、のび太にあらぬ疑いがかけらてしまった ---- 一緒に忍び込ませたコラッタからの報告によると、もうすぐ契機が訪れるらしい… 後はポッポからの合図待ちだ ドキドキドキドキ 失敗は許されない。鼓動が高鳴っているのが自分でもわかる 出来杉「大丈夫、僕ならやれる。今までだってやってこれたじゃないか。」 出来杉はしずかちゃんのお風呂コレクションを見返しながら自分に言い聞かせた。 ポッポ「ポッポゥ」 ターゲットが風呂に入った合図だ! 数分ほど待ち、出来杉はタイミングを見計らっていた…そしてついにその時が来た チャンスは一度きり 窓の外からゆっくりとカメラを構え― カシャ 「のび太さん!?」 まずい気付かれた! 頭にお湯をかけられながら出来杉は必死に逃げた! まずいばれたか?作戦は完璧だったはずだなんだあの反射神経は?速すぎる僕がいっつもやっていたせいか?慣れてしまったのかどうしようもしばれていたら僕が今まで築き上げてきたものが崩れて落ちてしまう栄光の未来が無くなってしまう 出来杉はびしょ濡れになりながらも必死に走った! 今までの人生の中で一番走った! ---- 出来杉「はぁ…はぁ…はぁ……」 どれ程走ったかはわからないくらい走って出来杉は草むらに腰を降ろした (どうしよう) 出来杉は考えていた のび太さんと叫んだところでは僕に気付いていなかった しかし後ろ姿を見られ、ばれた可能性はある ここでしずかちゃんと顔を合わせるのは不信感を持たれるかもしれないのでマズイ…というより恐くて会えない ―出来杉は【しずかちゃんアルバム2】を見ながら決断した 「しばらく隠れて先に行かせよう」 先に進むと追い付かれる可能性がある 万が一会って話し掛けられたらぼぼぼ僕は普通じゃいられない。 それよりも先に行かせた方が安全だ かくして策士出来杉は計画の変更を余儀なくされた その頃― コラッタとポッポは必死にご主人を捜していた ---- ポッポ「ポッポゥ。ポッポゥ」 せつない声でポッポが鳴いている 主人とはぐれたのだ 短い間だったがポッポは、もうご主人のことが大好きになっていた ヒトカゲにやられそうな僕を助けてくれたご主人 どんな時にも臨機応変に対応するご主人 アルバムにどの順番で写真を入れるか考えているご主人 そんなご主人が大好きだったんだ! 絶対に見つけてみせる―とポッポは心に誓った そんなポッポは次の日、しずかのイーブイの糧となる ---- もう12時を過ぎた。しかし出来杉は寝付けなかった。 枕下にしずかアルバム(通称しずアル)を敷いているにも関わらず、だ。 普段なら考えられないことである 【花田の八百屋】 出来杉がお世話になっている民宿だ その二階の部屋を出来杉は使わせてもらっている 出来杉はあの後自分の宿へ戻ったのだが― その時に気付いてしまったのだ 自分が泊まっている宿と、しずかちゃんの民宿がかなり近かったことに この辺りは入り組んでいるというのもあるが、しずかちゃんを追うことに夢中で出来杉は周りが見えていなかったのだ しかも宿を特定した後はすぐに風呂を覗ける裏口に潜んでいたから 出来杉が気付かないのも無理はなかった 出来杉「くそっ風呂のことしか頭になかった」 正直者の出来杉は頭を抱えた 本当は戻りたくなかったが荷物を全部置いているため戻らざるを得なかったのだ これでは鉢合わせの確率が高くなってしまう もちろんそんな偶然はなかなか起こらないだろう 出来杉が家の中にずっと居れるなら― そこに出来杉が寝付けない理由があった ---- ポケモントレーナー達はたたで民宿に泊まらせてもらえる 代わりに何でもいいから、その家の人の手伝いをするのがルールとなっているのだ ただで甘やかしてはいけない。いい風習だろう しかし、それが出来杉を悩ませていた原因だった 出来杉は店番を頼まれたのだ。つまり外に出なければいけないのである それでは、しずかちゃんが民宿から出てきた時に気付かれてしまうかもしれない それだけは避けなければならなかった 「うーーーーん…」 いくら考えても結局完璧な答えは出なかった。 まぁ幸いしずかちゃんの民宿からここは、角度的に見えるかな?くらいなので店の影に隠れるようにすれば大丈夫だろう。 もし近くを通ってもその時だけ奥に行けば問題ない (意外と気にすることはないかな) 満足した出来杉の意識は薄れていった もちろん出来杉の考えは正しいであろう しかし世の中にアクシデントは付き物である 次の日宿代の代わりとしてお使いを頼まれたしずかちゃんが花田の八百屋を訪れるのだった かくして出来杉の第2Roundが始まった― ---- しずか「それくらい喜んでしますよぅ。」 軽い物ばかりだが品目が20近く書かれたメモ紙とお金を渡されて、しずかはお婆さんにお使いを頼まれた。 サチコ「じゃあお願いしますね。」 しずか「はぁい。行ってきまーす。」 しずかはサチコに手を振って買い物に出かけた― 「ち、くそババアが。」しずかは舌打ちをした しずか「なあんで私がこんな面倒くさいことしなくちゃならないのよ。あんなボロ民宿、泊まってやるだけありがたいと思いなさいよ…金、持ち逃げしようかしら。」 と可愛らしい文句を言いながら買い物をして…いなかった しずか「ほら、イーブイ。あなたはこの町の外れのスーパーに行ってメモ紙に書いてある物を買ってくるのよ。難しいけどできるかなぁ?」 イーブイ「ブイ!」 しずか「そう、さすが私のイーブイ。普通のペッ…ポケモンとは一味違うわね。 私の自慢のポケモンよ」 そう言って頭を撫でた イーブイ「ブブイー」 イーブイはうれしそうだ (まあ普通の犬よりは使えるわね) 「じゃ、その間に私は残りの物を買うからね」 後は人参、白菜と玉葱だけですよ、しずかさん イーブイは何も知らずにうれしそうに駆けていった しずか「ふぅ…。しっかし、あの婆さんケチねぇ。 野菜は高いから八百屋で買ってきてなんて。たいしたもの作れやしないのに。ましてやあんな遠いスーパーなんて行ってられるかっつーの。」 しずかの毒舌はとどまる事を知らない。 「さっさと終わらせよ。ええっと花田の…八百屋…っと。あそこか。 …すみませーん。」 しずかが店に入った― ---- 「…すみませーん。」 しずかは奥にいる少年に声をかけた 出来杉「はーい。いらっしゃjkvmぢg?kぎひでぶ」 目にも止まらぬ速さで少年は店の奥に走って行った― (ななななんあなんてことだ。ぼぼべ僕がどどどおわどをしてここにいることがわかったんだ?) 出来杉はパニくった 「おおをお落ち着けー考えろーいつもの自分を取り戻せー。」 出来杉はしずかが自分を訪ねて来た理由を考えた。そして― すぐに結論は出た (そうか、昨日僕の後をつけたんだ。そうだそうに違いない!僕を調べたんだ やっぱり僕がののの覗いたのがばれてしまったんだ) 焦りまくっていた出来杉がこの答えを出すのは仕方がないことだった 出来杉「終わりだ。もう終わりだー。僕の光り輝く未来へのレールが消えていく…」 出来杉の頭の中を今までの思い出が走馬灯のように駆けていった ---- しずかは困っていた― 自分が声を掛けた途端奥にいた少年がさらに奥へと逃げていったのだ。姿はよくみえなかったが… しずか「あのーすみませーん?」 もう一度しずかは呼び掛けた。しかし返事はない (どっかで見たことある人だったわね。それにしても何をそんなに驚いてたのかしら?) と疑問に思いながら、しずかも考えていた (さては…)しずかが何かに気付いた― 「のび太さんね!」 そう、そう考えれば全て辻褄が合うのだ なぜ見覚えのある姿だったのか、なぜ自分を見て逃げたのか。 それならば話は早い しずか「待て、この変態!! 今日という今日は警察に突き出してやるんだから!」 出来杉はバッグを抱えて窓から飛び出した 涙を流しながら―

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