ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

ドラーモン作大長編 その6

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akakami

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炎の抜け道。
「ここにもない、あそこにもない……」
ドラえもんとしずかは探し物をしていた。
ドラえもんの四次元ポケットがなくなっているのに気付いたのは煙突山出口に出たとき。
結局後戻りすることになってしまった。
野生ポケモンとの戦いも多く、しずかのキルリアはサーナイトに、マリルはマリルリに進化していた。
「ドラちゃん、またアメ玉だわ」
しずかのジグザグマやマッスグマ達もポケット探しにあたらせているが、拾ってくるのはアメ玉ばかりだ。
『しずかちゃん、また不思議なアメ貰ってる……さすがあげま(ry』
そう、不運の塊であるのび太を世間一般の父親にできたのは彼女の幸運のおかげでもある。

「あ、あったー!!」

それは大きな岩のそばにあった。
ドラえもんはポケットをパンパンとはたき、再び腹に貼りつけた。
しずかが岩をじろじろと見ている。
「この岩、動きそう」
マッスグマに命令して岩を動かす。
その奥には赤く光る石が落ちていた。
「きれい……」

抜け道内にあった技マシンはドラえもんが貰い、石はしずかのものになった。



フエンタウン。
ドラえもん達は次のジムの情報を集めていた。
「炎タイプの……ジムなのか」
ドラえもんは肩を落とした。
グラエナもエアームドも炎タイプは苦手なのだ。
ヤミラミ1体ではいささか分が悪い。
「またボクが戦わなくちゃいけないのか……」
そんなドラえもんを見たしずかは手に持った袋を差し出した。
「ドラちゃん、これを使ってちょうだい」
「しずかちゃん、これは君の不思議なアメじゃないか!使うわけにはいかないよ……」
しずかは袋をドラえもんに無理矢理握らせた。
「二人で勝って早くのび太さんを探しましょ!」
ああ、のび太くんにはもったいないほどいい子だ。
ドラえもんはしずかの優しさに感謝した。

フエンジム。
ジムリーダー・アスナの前には勇ましい顔をしたドラえもんが立っている。
「がんばって、ドラちゃん!」
「見ててね、しずかちゃーん!」
アスナが首を傾げる。
「タヌキと女の子……妙な組み合わせね?」
「ボクはタヌキじゃない、高性能なネコ型ロボットだ!」
怒ったドラえもんは試合開始の合図も待たずにボールを投げる。



ドラえもんが出したのはヤミラミだった。
「ヤミラミ、ねこだまし!」
ドラえもんの命令を受けたヤミラミは相手の目の前でネコ騙しを仕掛ける。
ひるんだマグマッグにシャドーボールが炸裂。
アスナはその戦い方に感心する。
『ふーん、そういうことね』
攻撃を食らう前に攻撃して倒す。
これならば防御は気にしなくてもいい。
『それにしても……』
このヤミラミ、強すぎる。
アスナの目の前でナイトヘッド50超のダメージを受け、コータスが沈む。

「やった!やったよしずかちゃん!」
ドラえもんはバッジを受け取って満面の笑みを浮かべている。
ドラえもんが勝利した後にジム戦を行なったしずかもマリルリの力で圧勝し、無事二人はジムバッジを入手することができたのだ。

「次はトウカシティに逆戻りみたい」
「そこでようやく波乗りができるようになるのね」
次のジムさえ越えればようやくのび太がいるキンセツ対岸に行くことができる。
けどその前に……
「ドラちゃん、今日はここに泊まりましょ、ねっ!」
そう訴えるしずかの目線の先は……そう、温泉。
ドラえもんは不思議なアメを貰った恩もあり、しずかの望みを断れなかった。
『ごめん、のび太くん……』



《インターミッション》

おう、俺はジャイアン。ガキ大将!
俺がフエンでどんな生活をしていたか特別に教えてやるぜ

6:00 起床
爺婆だらけの温泉街、みんな起きんの早すぎんだよ!
しかもラジオ体操なんか始めやがって。うるせぇ!

6:30 朝食
ご馳走かと思ったら焼鮭定食なんだぜ。
しかも病院食みたいに味付けうっすいし……肉食わせろ!

7:00~10:00 デコボコ山道で特訓
もう厳しいのなんのって、ポケモン修行でなんで俺まで山登りしなきゃならないんだよ!
つーか山男、てめえ「ゴミを捨てるな」なんて言いやがるがお前自身が生ゴミみたいな匂いがすんだよ!

11:00 温泉
灰もかぶっちまうし、風呂くらいは入らないとな。
中でおしっこしちまったのは内緒だ。

12:00 昼食
また病院食かよ。爺婆みんな死ねばいいのに。

13:00~17:00 ジムで特訓
ジムの奴らとスパーリングだ。
あのジム、サウナみたいでさ。
あんな中で特訓するもんだからもう俺も激痩せダイエットしてるみたいになっちまってさ。
それよりも……デカパイ姉ちゃんの……汗で……ムンムン……ウッ!



18:00 夕食
ジムの飯はうまいんだよなぁ、肉もあるし。
汗かいた分はここで全部補充しちまったぜ。

19:00 アルバイト
働かざるもの食うべからず、なんて誰が言いだしたんだよ!
温泉宿にありがちな歌謡ショーの手伝いだってさ。

21:00 謝罪
ちょっと歌っただけじゃんか!
なんで町中に謝って回らなきゃならないんだよ。
しかもジジイの心臓止まったのは俺様のせいじゃないだろ、多分。

22:00 温泉
寝る前に風呂に入るんだ。
別にデカパイ姉ちゃんがこの時間に入るから合わせてるわけじゃないぞ。

23:00 男のたしなみ
覚えたばかりなんだが、こりゃ麻薬だな……ハァハァ、ウッ!

23:30 就寝

こんな感じだったのさ。
自分を鍛えたり、ポケモン育てたり、大人の階段登ったり……
とにかくいろいろな事があって俺様はあの強さを手に入れたわけよ。

旅をしている今だって毎日の修行はやってるぜ、あと男のたしなみもな。
そのためにデカパイ姉ちゃんの下着を何枚か失敬し(ry

これからは俺様の天下だぜ!



注:鬼畜出木杉

「あたしの、負けだ…」
アスナは力なく膝をついた。

その少年の力は圧倒的だった。
「アニメみたいにやってみたかったんだ」
無邪気に笑う少年の手持ちはピカチュウただ一匹。
しかしそのピカチュウは限界まで鍛えられており、10万ボルトの破壊力は次々とアスナのポケモンを撃破していったのだ。

「以外とつまらなかったなぁ、電気玉持たせなくても大丈夫だったかも」
少年は何事もなかったかのようにピカチュウをボールに戻す。
「すごいね、あんた。じゃあ勝利の証、このバッジを……」
少年は懐から別のボールを取り出す。
「バッジ?ああ、そんなものはいりませんよ」
ボールから出されたポケモンは……
「も、モンジャラ?」
アスナは驚いた。
モンジャラはホウエンには生息しない珍しいポケモンだ。
少年は不満そうに語る。
「まだデータの実体化が完璧じゃなくてね。この程度のポケモンしか出せないのさ」
この少年は何を言っているのだろう。
しかしそれを考える時間を少年は与えてくれなかった。
「モンジャラ、つるのムチ」
モンジャラから数本の蔓がのび、アスナを拘束する。



注:鬼畜出木杉

「な、何をっ…あううっ!」
少年は拘束されたアスナの前でぺこりと挨拶をする。
「ボクは出木杉といいます。貴女を部下にスカウトしにきました」
アスナはその発言の意味がわからない。
「あたし…はジムリーダーだよ、そんなの、受けるわけないじゃない!」
出木杉は頭を抱える。
「やっぱり貴女も一回リセットしなきゃいけないみたいですね」
出木杉が指を鳴らすとモンジャラの蔓がアスナの服に滑り込み、それを力任せに引き裂いた。
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁっ!」
他人には見られたくない場所を隠したくても四肢は拘束されて動かせない。
アスナはその裸体を出木杉の前に晒している。
「お願い、見ないで…お願い……」
泣きながら嘆願するアスナ。
「貴女は明るさが売りなんですから、笑ってもらいますよ」
モンジャラは全裸のアスナをくすぐりはじめる。
アスナは恥辱で涙を流しながらも、無理矢理笑わされ続ける。
「ふふふ、笑いながら犯されるってどんな気分なんだろう」
出木杉は形のよいその胸を見ながら冷たく笑った。


その後、アスナは人知れずその姿を消した。



119番道路。
ジャイアンは一人、道に迷っていた。
「畜生、スネ夫のやつがいないからなぁ」
道案内は主にスネ夫の役目だったため、今までは迷ったこともなかったのだ。
ジャイアンもポケモン達もすっかり疲れ果てている、そんな彼らの前方に明かりが見えた。
「おっ、あそこで休ませてもらおう」
疲れた体を奮い起こし、ジャイアンは明かりに向かって歩く。

しかし明かりを灯していた建物に近づいたジャイアンはすぐにそれが失敗だと悟った。
ジャイアンを歓迎したのは青装束の輩達からの襲撃。
「こ、こいつらはアクア団!」
そう、ゲームをプレイしていたジャイアンは知っているはずだった。
しかし旅の疲れでこのイベントの存在を失念していたのだ。
「子供のくせに我らの存在を知っているとは、貴様何者だ!」
アクア団員達のズバットとキバニアが襲い掛かってくる。
「うわぁっ!」
ジャイアンは咄嗟にバクーダとラグラージで応戦する。
しかし2体とも技を使い尽くし、できることは悪あがきくらいだ。
相手のアクア団員の後ろからは新たなアクア団員が駆け付けている。
「ま、まずいぜこりゃあ!」
ゲームとは違い、敵も物量戦でくる。
ジャイアンの不利は明らかだった。



敵ポケモン6体を倒したところでラグラージとバクーダは自らも倒れてしまう。
「くそ、コドラ!マタドガス!」
ジャイアンの次のポケモン達がアクア団の前に現れる。
コドラの突進がポチエナに炸裂し、一撃で相手を倒す。
マタドガスのヘドロ攻撃もキバニアに毒を浴びせた。
「ど、どうだ……俺様の実力……」
しかしジャイアンは状況が絶望的だと悟ることになる。
倒したはずのポケモン達が再び襲い掛かってきたのだ。
後方で彼らは元気のかけらを使い、ポケモン達を復活させている。
「そ、そんな……」

それから2時間。
ジャイアンは全ての力を出しきって戦い続けたが、ついに最後のポケモン・ペリッパーも倒されてしまった。
「はぁ、はぁ、てこずらせやがって」
アクア団員のポチエナ達がジャイアンににじり寄る。
「う……こ、こんちくしょぉぉぉぉぉっ!」
ジャイアンは最後の力を振り絞り、ポチエナ達に拳を振るう。
そんなジャイアンを手に余ると思ったアクア団員達はズバットの超音波を浴びせ、ジャイアンを無力化するのだった。
「な、なに……しやがる」
ジャイアンは目の前が真っ暗になった。



ヒワマキシティ。
のび太はいよいよヒワマキジムに挑戦することになった。
「いっ、いいいいよいよだ……」
朝の日差しを受け、のび太は一歩足を踏みだ


……せなかった。
何か見えないものが目の前を塞いでいる。
「ど、どうなってるんだ!」
のび太は右へ左へ必死に前に進もうとする。

夕方。

「あ、そうだ…ダイゴさんから貰った……」
半日かけてようやくデボンスコープの事を思い出したのび太は、そのスコープ越しに覗き込む。
「か、カメレオン?」
そのポケモンはのび太と視線が合うとそそくさと退散していった。

ヒワマキジム。
のび太は並み居るトレーナー達を打ち破り、ついにジムリーダーと対面


……できなかった。
「な、なんだよ!この邪魔な棒は~」
行く手をさえぎる棒に挟まれて進むことも戻ることもできない。
数時間後のび太はジムのトレーナーに救出され、彼のジム初挑戦は涙のうちに終わった。



翌日。
「あー、確かそこは右から押すんだったよな」
「その後は後ろから元の位置に、だっけな」
あまりに不憫なのび太の為に、ジムのトレーナー達がそこはかとなく(いや、露骨に)アドバイスする。
そのおかげでのび太はなんとかジムの最奥まで辿り着くことができた。
のび太の前に一人の女性が立っている。
「あの人がジムリーダー?」
「いらっしゃい。私がこのジムのリーダー、飛行ポケモン使いのナギです」
のび太はぎこちなく挨拶を返した。

最初に出したポケモンはのび太がトロピウス、ナギはチルット。
「ピー助、のしかかりだ!」
トロピウスがチルットにのしかかり、チルットはマヒしてしまう。
「しんぴのまもりよ!」
チルットはマヒしながらも不思議なフィールドを展開する。
マヒしたチルットは次のターンも遅れを取り、トロピウスののしかかりで倒されてしまった。
ナギはチルットをいたわるようにボールに戻す。
「次はこれです!」
ナギが繰り出したのはトロピウス。
「お、同じポケモンだって?」
のび太はあたふたとしながらも再びのしかかりを命令する。
ナギのトロピウスも負けずにのしかかり返し、互いのHPを削っていく。
「よし、もう一回…ってあれ?」
ピー助の動きが鈍い。
「トロピウス、のしかかり!」
ナギのトロピウスが再びのしかかり、ピー助に止めを刺した。




神秘の守りで守られていたナギのトロピウスはマヒする事無く、逆にピー助をマヒさせていたのだ。
「つ、次はドククラゲだ!」
のび太が出したのはドククラゲ。
溶解液でかなりのダメージを受けたトロピウスの様子を見て、ひと目でドククラゲの強さを見抜いたナギ。
「ふきとばしなさい!」
トロピウスの吹き飛ばしが炸裂し、後退したドククラゲの代わりに現れたのは……

ビチビチ、ビチビチ

地面でみじめにはね回る火ヒンバスだった。
ナギは苦笑しながらトロピウスに命令し、ヒンバスを踏み付ける。
しかし、ヒンバスは踏まれながらもじたばたと暴れ回り、トロピウスを倒してしまった。
「やった、やったぁ!」
「……まさかヒンバスに倒されてしまうとは、私も油断したということでしょうか……」
ナギが自己嫌悪で崩れ落ちる。

ヒンバスはナギのペリッパーに一蹴され、試合は仕切り直しになる。
のび太は再びドククラゲを繰り出す。
バリアーで防御力を上げたのび太のドククラゲはしぶとく、その上超音波でペリッパーは混乱させられてしまい、自滅してしまった。
「やはりそのドククラゲが一番手強そうですね、では次はエアームドです!」
ナギのお気に入りポケモン、エアームドだ。
ナギはエアームドのエアカッターで地道にダメージを積み重ね、バブル光線で落とされた時にはドククラゲは瀕死寸前になっていた。



「よくやったわエアームド…最後はこれです!」
ナギの最後のポケモンはチルタリス。
ドククラゲより素早く動き、つばめ返しであっさりと倒してしまった。
「あわわわ……ど、どうしよう……」
のび太に選択肢は無い。なぜなら彼の手持ちは最後の1体なのだ。
「え、えーい!」
希望をこめて繰り出したポケモンはなんとジュペッタ。
(特訓中迷い込んだ)121番道路でゲットしたカゲボウズを育成したのだ。
鬼火で火傷にされ、後はのび太の必死の傷薬使用でターン数を稼がれたチルタリスはついに倒れたのだった。

「はい、これがヒワマキジムのバッジよ」
「やった!僕だけの力でバッジを手に入れたぞ!」
ナギに渡されたバッジを受け取り飛び上がって喜ぶのび太。
そこに飛び込んできた一人の男。
「ナギ君、天気研究所がアクア団に占拠されてるらしい!」
それはのび太も見知った男だった。
「だ、ダイゴさん!」

ナギとダイゴは天気研究所の見取り図や人質リストを見て何やら相談している。
のび太はそれをのぞき見していた。
人質リストに目を通すと、そこには……
「じ、ジャイアンだって!」
そう、彼も囚われの身になっていたのだ。



「失禁小僧」「股間ポセイドン」などとあだ名まで付けられ、スネ夫の二度目のトウカジム挑戦は終わった。

スネ夫の今の手持ちはゴルバット、ジュプトル、キノココ、ヌケニン、マルノーム、ジグザグマ。
テッカニンの育成はあきらめ、キノココを集中的に育てていた。
「キノコのほうしまではまだまだ長いな……」
状態異常技を多用するスネ夫にとってキノコの胞子は非常に魅力的だ。
しかしジャイアンに確実に勝つためにはなんとしてもレベル54まで持っていきたい。
「やるとすればルネシティかチャンピオンロードあたりか……」
そう考えながらスネ夫が歩いてると、前方に見慣れた二人組が歩いてくる。
「!!」
スネ夫は咄嗟に草むらに隠れた。
『ドラえもんと……しずかちゃんか』
戦力を把握していない相手と戦うのは得策ではない。
そう考えてやり過ごそうとしていたスネ夫だったが、そうはいかなくなった。
「しずかちゃん、ヤミラミにどくどくを覚えさせようか迷ってるんだけど…」
『どくどくだって!』
実はスネ夫が今から回収に向かおうとしていたのがまさに毒毒の技マシンだった。



『まさかドラえもんのやつに先に拾われていたなんて』
こうなったら……
「やあ、しずかちゃん!ドラえもんも一緒かい?」
スネ夫は草むらから飛び出した。
「うわぁっ!……ってスネ夫かよ」
「久しぶりね、スネ夫さん!」
無邪気にリアクションする二人を見ながらスネ夫は必死に会話展開を計算する。「実はさ、落とし物しちゃってさ。毒毒の技マシンなんだけど知らない?」
『あくまでボクのものと言い張るんだ』
「ああ、毒毒なら炎の抜け道で拾ったよ」
案の定食い付いてくるドラえもん。
「よかったら返してくれないかな、礼はするから」
『適当なアイテムと交換してしまえば……』
しかしドラえもんは首を縦に振らなかった。
「けどさ、ボクが毒毒の話をしてた時になんて随分タイミングの良い話だなぁ」
ドラえもんの目が細くなる。
スネ夫は咄嗟に目をそらした。
「スネ夫、何か隠してない?」
「……隠してないよ」
「ウソ、ついたね」
もうだめだ、コイツは完全にボクを疑ってる。
こうなりゃ強引に奪いとるまでだ。
「毒毒をよこせ!でないとひどい目にあわせるぞ!」
スネ夫はゴルバットとマルノームを繰り出す。
「あやしいひかりだ!」
ゴルバットの怪しい光がドラえもんに命中し、ドラえもんは見えない蝶々を追い掛けはじめる。
「ざまあみろ、黙って渡してればこうはならなかったのに」
スネ夫がドラえもんの四次元ポケットを漁りだす。



「スネ夫さん……」
物色に夢中になっていたスネ夫はそのあまりにも感情のない声に一瞬寒気を感じた。
「し、しずかちゃん……」
「なんでドラちゃんにこんなことしたの?」
「ひぃっ!」
スネ夫は思わず後退りした。これはヤバい。
「ご、ゴルバット、しずかちゃんにもあやし…」
「サーナイト、サイコキネシス……」
瞬時に繰り出されたサーナイトがサイコキネシスでゴルバットを一撃で倒してしまう。
「つ、強…」
スネ夫が感想をいう間もなく2発目のサイコキネシスがマルノームを襲う。
『ヤバい、マジでヤバい!』
スネ夫の手持ちはほとんど弱点エスパーである。
これだけ育成されたサーナイトが相手だと何もできずに全滅だ。
唯一エスパーに対抗できるタネボーは育て屋に入れっぱなしだ。
「ボクを、ボクを守れ!」
スネ夫は次々とポケモンを出すが、サイコキネシスの前には無力だ。
「うわああああああああっ!」
スネ夫は一目散に逃げ出した。
しかしその眼前には混乱から立ち直ったドラえもんが繰り出したグラエナが立ちふさがる。
「はぁ、はぁ、どうしてくれようか」
ドラえもんの怒りは頂点に達していた。



ドラえもんは技マシンで覚えさせたばかりの技を命令する。
「グラエナ、どろぼう!」
グラエナはまるで手品のようにスネ夫の短パンを奪い取った。
「もう一回だ!」
二度目の泥棒でブリーフも奪われ、その惨めなモノを晒け出す。
「きゃっ!スネ夫さんエッチ!」
いや、どちらかといえばドラえもんの悪趣味を責めるべきだと思うが、しずかは顔を真っ赤にしている。
「返せよ、それ返せよ!」
ドラえもんはエアームドを出し、奪い取った布切れに対し非常な命令を下す。
「エアカッターだ!」
エアームドの空気の刃が短パンとブリーフを引き裂いた。
「あああああああ!」
絶句するスネ夫の横を通り過ぎるドラえもんとしずか。
「ドラちゃん、さすがに可哀想よ……」
しずかがドラえもんの肩をゆする。
「んー、わかったよ」
ドラえもんはスネ夫のところまで戻り、毒毒の技マシンを置いた。
「欲しかったんだろ、パンツの代金だ!」

その後、キンセツに着くまでスネ夫は下半身すっぽんぽん。
サイクリングロードから見下ろされ、トレーナー達の嘲笑がそこら中から聞こえてくる。
スネ夫はただ前を隠すしかなかった。



天気研究所。
ジャイアンは縄で縛られて小部屋に監禁されていた。
ポケモン達は全員瀕死、例え縄が解けたとしても無事に脱出できるとは思えない。
「俺、殺されちまうかもな」
ジャイアンの目から涙がこぼれ落ちる。

夜。
すぐ近くの林では、ダイゴ、ナギ、のび太の3人が最後の打ち合せをしていた。
「……というわけだ、わかったかい?」
「はい、僕やってみます」
のび太が決意を込めた顔で頷く。
ナギはそんなのび太の頭をそっとその胸に抱き寄せた。
「お友達はきっと無事よ、がんばりましょう」
その暖かさで震えは止まった。
ダイゴがボールを取り出す。
「いくぞ!」
「はい!」
ダイゴとナギが一斉に林から飛び出した。

「なんか外がうるさいな」
何やら爆音が聞こえ、ジャイアンは目を覚ました。
気が付けば、部屋の前の見張りもいなくなっている。
「何か起こりやがったな」
ジャイアンは体を捩らせながら必死で縄の拘束から抜け出そうとする。
「ちくしょう、今がチャンスだってのに……」
その時、不意に扉が開かれた。
「ジャイアン!」
突然名前を呼ばれ頭を上げると、そこにはいつも見ていたあの顔があった。
「の、のび太……なのか」



「よかった、今助けるからね!」
のび太はジュペッタを呼び出し、鬼火で縄を焼く。
ジャイアンが力を入れると、縄は焼けた部分からブチブチと切れた。
「のび太、ありがとう……心の友よ!」
ジャイアンはのび太を抱き締めた。
「じ、ジャイアン……くるし……」
「おう、すまねえ!」
のび太は咳き込みながら状況を説明する。
「今1階ではダイゴさんとナギさんが戦ってる。僕達はここ2階から研究所のみんなを助けるんだ」
ゲームをプレイしているジャイアンはダイゴとナギは知っている。
あの二人なら心配ないはずだ。
「けど俺のポケモンはみんな瀕死になっちまってて……」
のび太が懐からアイテムを差し出す。
「ダイゴさんから貰ったげんきのかたまりとピーピーエイダー、一匹分だけど……」
「かたじけねえ!」
通路はそんなに広くない。
とりあえずラグラージを回復させた。

通路を進むと、1階の階段方向から駆け上がる音がする。
のび太はとっさにケッキングを繰り出し壁にした。
「ケッキング、ひたすら怠け続けろ!」
これでしばらくは後ろの心配をしなくてすむ。
「のび太、すげぇ……」
ジャイアンはのび太の的確な行動に感心していた。



「ジャイアン、ボクのポケモンは悪タイプに弱いんだ。頼むよ!」
「まかされよー!」
ラグラージの濁流が敵のポケモンを押し流す。
弱ったズバットはジュペッタのナイトヘッドで止めを刺された。
アクア団員はその勢いに押され、奥の部屋に後退する。
のび太達がそのまま進もうとすると、通路の左右からアクア団員のポケモンが襲い掛かる。
「う、うわぁ」
腰を抜かしたのび太をジャイアンが引っ張る。
「ラグラージ、れいとうビーム!」
ポチエナがビームを受けて壁に叩きつけられる。
「お、おにびだ!」
ジュペッタの鬼火がアクア団員のバンダナに火を点ける。
「あ、あちっ!あちぃっ!」
「い、今のうちに……」
ジャイアンは通路の突き当たりの扉を蹴破る。
そこには幹部らしき女の姿と天気研究所の館長がいた。
「か、館長!」
「のび太くん!」
再会に割って入る女幹部。
「我々アクア団に逆らってタダですむと思ってるの?」
ジャイアンが腕を捲る。
「お礼はたっぷりさせてもらうぜ!」
ラグラージが突進する。
女幹部はグラエナとゴルバットを繰り出した。



「ゴルバット、あやしいひかり!」
ラグラージは光を受けて混乱し、自らを攻撃してしまう。
「ジュペッタ、シャドーボール!」
のび太のジュペッタがすかさずフォローに入るが、グラエナが噛み付いてくる。
「しまった、悪タイプの攻撃だ!」
「どうしたのかしら?手応えがないんだけど……」
にやにやと笑う女幹部。
ジャイアンのラグラージが混乱しながらも濁流で攻撃し、敵2体にダメージを与える。
しかし倒す迄にはいたらない。
『なんだコイツ、ゲームより強いんじゃないか!』
ジュペッタのナイトヘッドがゴルバットを撃墜するが、グラエナの噛み付きでジュペッタも倒されてしまう。
「ふふふ、中々楽しませてくれるわ……」
女幹部はキバニアを出す。
「ドククラゲ、頼むよ!」
部屋は以外と広いのでのび太はドククラゲを繰り出すことができた。
ジャイアンのラグラージは再び自らを攻撃する。
『ちくしょう、スネ夫との戦いと何も変わってねぇ』
ジャイアンは腑甲斐なさに唇を噛む。
「ドククラゲ、バブルこうせん!」
バブル光線がグラエナに直撃し、濁流で弱っていたグラエナが倒れる。
「ちいっ、厄介な奴が!」
ドククラゲは見た目に反してなかなか素早い。
「これが私の切り札よ……」
女幹部がボールを投げる。
そこから現われたのは巨大なサメ。



「さ、サメだぁっ!」
のび太が腰を抜かす。
「やばいぞ…あいつはサメハダー、かなり攻撃力が高いんだ!」
ジャイアンが焦る。
「とりあえずキバニアをしめつけろ!」
のび太のドククラゲがキバニアを締め付ける。
しかしドククラゲ自身も鮫肌で傷を負ってしまう。
「キバニア、サメハダー、かみくだきなさい!」
ドククラゲが二匹のポケモンに噛まれ、倒される。
その隙を付き、混乱の解けたジャイアンのラグラージのマッドショットがキバニアに止めを刺した。
ケッキングを欠いているのび太は最後のモンスターボールを握り締める。
「ジャイアン、2回でいいんだ。攻撃を受けとめてくれない?」
のび太には何か作戦があるみたいだ。
不安だが、それに乗るしかない。
「仕方ねぇ、心の友の願いだからな!」
「ありがとう、出てこいピー助!」
のび太が出したのはトロピウスのピー助。
「ピー助、最強技を使うよ!」
ピー助の羽が光り輝く。
ジャイアンと女幹部は同時に叫んだ。
「ソーラービームか!」
自慢のサメハダーとはいえ、ソーラービームを食らってはひとたまりもない。
眼前には弱ったラグラージが行く手に立ちふさがっている。



『ラグラージを切り裂いて、次にトロピウスより先に攻撃して止めを刺してやる!』
サメハダーがラグラージに襲い掛かる。
「邪魔だ、退きなっ!」
「そうはいかねえ!」
しかしラグラージに攻撃を耐える体力はない。
ラグラージはサメハダーに切り裂かれた!
『すまねぇ、のび太……』
ジャイアンは心の中で謝罪する。
しかし!
「なにっ!私のサメハダーのきりさくを受けたっ……」
「ラグラージ、どうなってんだ……」
ラグラージが使った技は『まもる』。
さっきのキバニア撃破でレベルアップし、会得したのだ。
「くそっ!」
女幹部はもう一度サメハダーに切り裂くを命令する。
ラグラージはその攻撃で瀕死になるが、倒れるラグラージの後ろには光り輝くトロピウスが構えていた。
「のび太、やっちまぇぇぇっ!」
ジャイアンが叫び、のび太も叫んだ。
「ソーラービーム!」
トロピウスから凄まじい光の束が放射され、サメハダーを飲み込む。
「ちぃっ、まさかサメハダーまで……」
女幹部は館長から書類束を奪い取ると、口笛を吹いた。
窓に脚をかけ、憎々しげな目でジャイアンとのび太を睨む。
「この借りは必ず返してやるわ!」
女幹部は窓から外に飛び出した。



天気研究所を占拠していたアクア団は撤退した。

ダイゴは天気研究所での後始末をするためにそこに残り、ナギ、のび太、ジャイアンはエアームドとトロピウスで空を飛んでヒワマキに戻る。
トロピウスの背中に乗るジャイアンとのび太。
「のび太、強えな」
「結局ジャイアンに助けられちゃったけどね」
のび太は申し訳なさそうにうつむく。
「うじうじすんな、心の友よ!」
ジャイアンはのび太の背中をバンバンと叩いた。

翌日、ヒワマキシティ。
「ジャイアン、ナギさん、行ってくるよ!」
のび太はトロピウスの背中に乗っている。
昨日ジャイアンの秘伝マシンで空を飛べるようになったピー助。
これでドラえもん達と合流するつもりなのだ。
ジャイアンはこのままバッジ集めの旅を続ける。
「じゃあ、ポケモンリーグで会おうねジャイアン!」
「おう!次にあったらバトルでコテンパンにしてやるよ!」
ナギもニコニコと手を振っている。
二人の見送りを受け、トロピウスは空高く飛んでいった。

「それでは」
「また後で会おうぜ、ナギの姉ちゃん!」
ナギとジャイアンは握手をして別れた。

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