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ポケモンとのび太とノートと その9 - (2007/02/04 (日) 21:29:09) のソース

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スネ夫『まだかな…………』 
三人をエンジュに向かわせ、スネ夫はアンノーン達の帰りを待っていた。 

この一週間、ドラえもんは時間犯罪者対策を考えていたが、それとは対照的に、
スネ夫はロケット団対策を考えていた。 
スネ夫「この作戦は、一週間の間色々な状況を想定した作戦だからね。 
絶対成功させてやる。」 
スネ夫がそう呟いた時、突然空が黒いもので埋めつくされた。 

スネ夫「早かったね。 
報告は?」 
スネ夫が言うと、アンノーン達は文字列を作り始める。 

注)読みにくいから、カタカナはやめました。 
アンノーン「奴らの人員は大体約800人程。 
それと蛇口はあれをするには申し分ない数があるぜ。」 
スネ夫「その他の情報は?」 
スネ夫が追って聞く。 

アンノーン「奴らの怪電波はラジオ塔内の、特殊アンテナから出されてるらしい。 
それと、やはり奴らは電波を利用して我々の通信機器での言動を
盗聴してるようだな。」 

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スネ夫「やっぱりね。」 
やはりそうだったか。 
アカネの話を聞くと、いつも奴らは作戦が予め解っているような、
感じが見受けられた。 
相手の策を予め知る方法は二つ。 
スパイ、もしくは盗聴だ。 
彼らを追い払ったのもスパイ、盗聴を避けてのこと。 
この世界ではアンノーン文字は自分達しか読めない筈だから絶対に情報は漏れない。 
それがこいつらをチョイスした一つの理由だ。 
しかし、スパイじゃなくて安心した。 
何の問題もなく次の策へ移れる。 
スネ夫「ありがとう。 
じゃあ、次はエンジュの彼らに例の事を伝えてくれないかな。」 
アンノーン「わかった。」 
アンノーンはスネ夫の言葉に了解すると、そのまま飛び去ってしまった。 

スネ夫をそれを見届けると、コガネの水源の35番道路の湖へ近づいた。 

スネ夫「狡い作戦は僕の十八番さ。 
さあ、頼むよ。」 
スネ夫は繰り出したポケモンにてきおうとうを照射した。 

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団員「あ~あ安月給は辛いな。」 
団員は愚痴を溢す。 
しかし、トシミツ様には逆らえない。 
自分は元々、孤児院の出身で世間からは、ずっと白い目で見られ、差別を受けていた。 

職からあぶれ、用もなく町をただ、さ迷う日々。 
日雇いに就いても、あれ、これ、等、名前を呼ばれることなく、物の様に扱われていた。 
もう、自分は必要の無い存在だと思っていた。 
しかしその時、そんな自分に歩み寄ってきてくれたのがトシミツ様だった。 

トシミツ「君……名前なんていうのかい?」 
若き日の団員「……スヤキ。」 
トシミツ「そうか、スヤキというのか。 
君は今日から我々の仲間だ。 
よろしく。スヤキ君。」 
初めて自分の名を呼んでくれた気がした。 
自分は実は利用されているのではと、思った時もあったが
トシミツ様のお陰で今の自分がいる。 

回想とはいえ、団員は少し目をウルッとさせた。 
スヤキ「よ~し! 
頑張るか!」 
スヤキはそう言い、小をするため、便所へ向かった。 

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ジョロロロロロロ………。 
スヤキは全てを出し尽した様子な顔で便所から出てきた。 
余程溜っていたのだろう。 
スッキリしたところで、手を洗う為に手洗いの蛇口を捻った。 

スヤキ「ん?」 
そこで、スヤキは異変に気づいた。 
いつもは、綺麗に澄んでいるとは言えないが、
濁ってはいない水が出てくる筈なのにその水は肌色に濁っている。 

スヤキ「うわっ!」 
スヤキは驚き、手を引いた。 
しかし、その反応も虚しく、その水はスヤキに襲いかかる。 
スヤキ「うわあああああ」 
便所の中にはスヤキの叫び以外は何も残されていなかった。 

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「また来やがったな。 
スネ夫の奴……… 
もう50人目じゃねえか。」 
スヤキ『? 
ここは何処だ?何が起こった?』 
この状況をスヤキは掴みとる事ができなかった。 
しかし、ただ、確かなのは、ここは何処かのポケモンセンターの前、
そして目の前のガタイのいい少年が、自分に敵意を剥き出しにしている事であった。 
応戦せねば。スヤキは本能でそう感じた。 
スヤキ「な、なんだお前は!? 
行けっ、コラッタ!」 
スヤキはコラッタ以下全てのポケモンを繰り出す。 
しかし、それは少年のポケモンに次々と薙ぎ倒されていき、
最後はロープでぐるぐる巻きにされてしまった。 

「あ~あ、もの足りねえ。 
ただの作業じゃねえか。」 
少年はそう言うと、カイリキーに自分を連れていけと指示をすると、
何処かへ行ってしまった。 
スヤキ「な、なんだ? 
これは夢か!?」 
スヤキがそう言った時、青い狸が入れ違いにポケモンセンターのドアから出てきた。 
青狸「夢じゃないよ。 
ほら。」 
青狸はその後、夢確かめ機なるものを使い、
スヤキは頬の痛みと共に現実を噛み締める事になった。 

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カホウはラジオ塔の一室で体を鍛えていた。 
自らの鍛練もトレーナーには必要。 
それがバトル狂の彼のモットーである。 
そこへ、誰かが部屋の中に入ってきた。 
キキョウ「ハロー。 
カホウ元気にしてた?」 
三人衆の紅一点、キキョウである。 

カホウ「テメエ、何の用だ………」 
疲れているのかカホウの目も自然につりあがる。 
キキョウ「何しに来たって失礼ね! 
ちょっと相談に来ただけよ。」 
カホウ「相談だと?」 
カホウが聞く。 
キキョウ「実はね。 
三日前から団員が何者かによって消される事件が起こってるの。」 
カホウ「なんだと?」 
キキョウの言葉にカホウも驚く。 
キキョウ「消された人を見た人は四人いて、その四者の情報が一致してるの。 
なんだと思う?」 
キキョウの問いをカホウはすかさず打ち消す。 
カホウ「いいからなんだ?話せ。」 

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キキョウは少し、ふくれっつらをした後、話を続けた。 
キキョウ「実はね。 
被害者が蛇口を捻ったら、水の代わりに変な生物が出てきたの。 
被害者がその生物に触った瞬間、突然消えてしまったのよ。」 
カホウ「信じらんねえな」 
カホウは言う。 
キキョウ「信じられないのはその数よ。 
全ての水道の蛇口の中に奴は潜んでるようだわ。 
しかも、もう既に200人程の団員が消されてる………。 
それについて、トシミツ様に意見を聞く前に、アンタに聞いておこうと思ったんだけど………」 
カホウは溜め息をついた。 
カホウ「俺に言ってる暇があったら早くトシミツ様に報告しておけ。 
俺らはそれに従うだけだ。」 
カホウがいい放つ。 
これにはキキョウも頭にきたようだ。 
キキョウ「わかったわよ! 
もう、あんたなんかに相談しないわ!」 
キキョウはそう吐き捨てると部屋を出ていってしまった。 

カホウ「水道管から侵入……。 
しかも三日で200人を消し去っている。 
確かに単独犯じゃねえ。 
しかし、それを操っている人物が手練なのは明白。 
腕が鳴るぜ。」 
カホウはそう言うと、また己を鍛えだした。 

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ジャイアン「暇だ。」 
ジャイアンが呟く。 
昨日まで無限にくるのではないかと思えた程の団員が、
何故か今日になって全く来なくなってしまったのだ。 

ドラえもん「もしかして、全員送り終えてしまったのかな?」 
流石のドラえもんも首を傾げる。 

のび太「でも、まだ250人位しか集まってないよ。 
きっと作戦がばれたんじゃ………」 
のび太が言う。 
ここでロケット団員の供給が止まるのはのび太にとってもありがたいことではない。 

奴らとの戦いは絶好の経験値稼ぎになっている。 
ドラえもんがスネ夫から育てておいてくれと頼まれていたマグマラシはとっくに
バクフーンに進化していたし、のび太のピジョンもピジョットに、
ジャイアンのウリムーもイノムーに進化していた。 

スネ夫の策も、のび太の策もポケモンの強さが必要不可欠なことに違いはない。 

ドラえもん「スネ夫君はこれからどうするつもりなんだろう………」 
その時、空一面を黒い絨毯が覆いつくした。 

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スネ夫「成程。 
そうかい。じゃあ、ちょっとエンジュまでお使いをしてきてくれ。」 
スネ夫が頼むと、アンノーン達はエンジュに飛び去った。 

スネ夫「断水か………。」 
スネ夫が呟く。 

スネ夫が採った、ロケット団員を大量拉致した策の概要はこうだ。 

先ず、アンノーン達に消し去る人数、蛇口の数を確認させる。 
確認した後、蛇口の数だけドーブルにみがわりをさせ、分身を作る。 
本体は新たなみがわりを作るために待機。 
そして、みがわり達にとけるを使わせ蛇口に潜ませる。 
この時、なにもなしだと、みがわりドーブルが窒息してしまうので、
てきおうとうで窒息を防いだ。 

ドーブルは蛇口の中に待機しているのだから、蛇口を捻れば当然、
ドーブルが出てくる。 
出てきたドーブルは敵と一緒に、スネ夫が最後に立ち寄ったポケモンセンター、
すなわち、エンジュのポケモンセンターへテレポート。 
そして、そこで待機していたドラえもん達に奴らを倒させる訳だ。 

水は生活には必要なもの。 
トイレ、飲料、洗顔等人が蛇口を捻る機会は幾度とない。 
それ故この四日で250人という驚異的な数を処理できたのだ。 

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しかし、その弱点は発覚が早く対策を打たれ易いことであった。 
そして、現に断水によってその作戦は途絶えたかのように見えた。 
スネ夫「奴らの行動は完全に予想の範疇。 
逆に、これでやりやすくなった訳だ。 
後は奴らがそれに対応してくれれば………」 
スネ夫にとって、このドーブルの拉致作戦も、真の目的のほんの一部に過ぎない。 

すると、 
ドラえもん「お~い。」 
スネ夫が思索を巡らせているうちに、エンジュからドラえもんがやって来た。 


その傍らには、ドラえもんの新戦力、キマワリがいる。 
ドラえもん「スネ夫君………。 
君は、本当にいやらしいね。」 
ドラえもんがスネ夫に皮肉のように言う。 
しかし、その内心ここ一番でのスネ夫の計算高さを頼もしくも思っていた。 
当のドラえもんは、今まで時間犯罪者のことしか頭に無く、
この様な大掛りな戦法も考えてなかった。 

スネ夫「ああ。 
言ったろ。 
じわじわ攻めるのは僕の十八番だってね。 
さあ、始めてくれよ。」 
スネ夫がそう言うとドラえもんは頷きキマワリに指示を出した。 

ドラえもん「キマワリ、にほんばれ………」 

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ドラえもんのキマワリがにほんばれを発動させてからはや3日。 
それは確かに絶大な効果を挙げていた。 


団員「たっ、大変です! 
見張りが………」 
カホウ「またか………。」 
部下の報告を聞き、カホウがため息をつく。 
見張りの部下が熱中症で倒れたのはもう既に50人に及ぶ。 
死人が出ていないのが不思議なくらいだ。 

カホウ「わかった。 
お疲れさん。 
………いや、ちょっと待て。」 
カホウの言葉に部下が一礼して去ろうとするが、それをカホウが止めた。 
団員「なんでしょうか?」 
カホウ「これを持っていけ。」 
部下「しかし……。」 
カホウ「いいから行け。」 
カホウは懐からサイコソーダを取り出し、部下になかば強引に渡す。 
部下の扱いは余りに不憫だ。 
幹部はクーラーの入った部屋に入ったり、自分用の飲料水を持つことを
許されているが、部下にはそれが許されていない。 

部下が去った後、後ろからよく聞く嫌味を含んだ声が聞こえた。 
「おやおや、カホウさん。 
原則として部下に幹部が物を与えるのは禁止されていますのにねえ。 
次の幹部選挙の賄賂ですか?」 

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声のした方を見ると長身の銀髪の男が立っている。 
幹部の中で作戦担当のコウである。 
カホウ「コウ………。 
テメエ………。」 
カホウはコウを睨みつける。 
正直、幹部選挙はどうでもいいが、コイツの作戦はどうも納得できない。 
カホウ「なんであまごいを使っちゃいけねえんだ!? 
このまんまじゃ、部下が全員倒れちまうぜ?」 
カホウがコウに食ってかかる。 
そもそもコイツは前から気に入らなかった。 
目的の為には部下の命の犠牲さえもいとわない戦法を平気で採る。 
今回の事も多分部下の事は全く考えていないであろう。 
コウもやれやれといった口調で反論する。 
コウ「簡単ですよ。 
もし、あまごいをしたとしましょう。 
そうしたら、あの水道から出てくる連中がぞろぞろ町中にやって来ますよ。 
ここはセオリー通り後二週間耐えるに限ります。 
まさかそんなことも分からないんじゃないでしょうね?」 
カホウ「だが熱中症になった部下はどうするんだ? 
このまま日照りが続けば今は平気な部下もいつか全員倒れるんじゃねえのか?」 
カホウも負けじと反論する。 
コウ「大丈夫でしょ。 
今回の計画が成功すれば施設やらなんやらから集めてきた無能な部下はもう、
用済みになるんだし。 
あ、貴方も施設出身か。 
これはすみませんでしたねえ。」 

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カホウ「テメエェェェェ!!!」 
カホウはコウの胸ぐらを掴み、今にも殴りつけそうな勢いだった。 
しかし、それは急きょ入ってきた来訪者に止められる事になる。 
キキョウ「やめて!」 
キキョウの叫びに驚き、思わずカホウはコウから手を放した。 
キキョウ「さっきまでの会話、全部聞いてたわ………」 
キキョウはそう言い、コウに流し目を浴びせる。 
しかし、事がこじれると思ったのかさっきの話には一切触れず、本題に入った。 
キキョウ「カホウ、良かったわね。 
トシミツ様からあまごいの許可が出たわ。」 
カホウ「マジか!?」 
カホウの顔が明るくなる。 
コウ「正気ですか? 
奴らの思う壺なのに。」 
コウは信じられないといった様子だったが、キキョウはそれを無視し話を続けた。 
キキョウ「とにかく、今からカホウはあまごいの準備。 
コウはあたしと会議室に行くわよ。 
わかった?」 
コウは府に落ちない顔をしたが、渋々ついていき、カホウは大急ぎで
あまごいの準備を始めた。 

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スネ夫「計画通り奴らはあまごいを使ってきたようだね。」 
場所は変わって35番道路。 
雨が降るなかスネ夫は笑みを浮かべる。 
そこへ伝言用のアンノーンが飛んできた。 

アンノーン「準備OK。」 
それを見てスネ夫は更に笑みを浮かべる。 
どうやら上手くゲートの見張りはエンジュに送れたようだ。 
これで作戦がやりやすくなる。 
スネ夫「これで第一次突入の舞台は整った。 
雨が視界と足音を奪い突入にはもってこい。 
後はジャイアンとのび太次第……。 
今回の策の肝の部分を彼らに任せるのは不安だけど………」 
スネ夫は一抹の不安を感じたがそれが後に現実の物となるのは本人はまだ知らない。 

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