「こんこん・・・」
世間的にはいつもと同じ朝、ただ三姉妹の家ではちょっと違う朝。
末っ子のルリが、珍しくも寝坊したかと思えば、赤い顔でせきをしながら起きてきたのだった。

「・・・風邪を引いたみたいです」
この一言の効果は絶大だった。
次女は飲んでいた紅茶のカップを取り落とし、この世の終わりのごとく茫然自失。
長女はパンを加えたまま駆け寄り、ルリの額に手を当てる。そのまま電話を手に取ると
「どうしよう碇くん。ルリが、ルリが死んじゃう!」
半狂乱。

「いや風邪くらいで死にませんから。レイ姉も有希姉も落ち着いて下さい」
この一言でレイも有希も立ち直った、かに見えた。
まずは次女が動く。ルリを席に付かせ、温かい飲み物と自分の着ていたカーディガンをかけてやると、
体温計を持ってくる。おもむろに体温を測り・・・「36度5分。平熱・・・?」
「いや、それ有希姉の体温ですから」
まだ混乱していた。

長女はと言うと、「司令ですか?医者の一個大隊を要請します」
当然、混乱していた。

ばたばたとしつつも、そこは年長。レイと有希もようやく立ち直り、本格的に看病の準備を始めた。
「一人で平気ですから、学校に行ってください」と言うルリに、揃ってふるふると首を振り、
まずは服とシーツを替えてから暖かい布団に押し込む。
そして有希がおかゆを作り、「一人で食べれます」と言うルリを制し、
二人でスプーンを取り合いながらも食べさせた。

二人の姉は、食事も終わり横になったルリをじっと見つめている。
そんなに見てると寝れませんと思いつつも、本当に心配そうな優しい目を見ていると、
先ほど飲んだ薬の効き目もあってか、ルリはいつの間にか眠りに付いた。


ひやり。冷たいけど暖かい手が額に触れる。それは大きくて優しくてとても安心出来る手。
『母さま・・・?』
すっと夢から覚めた。起きたルリが見たものは、窓から差し込む夕日と、
自分のベッドの横で今も濡れタオルを変えようとしている姉の姿だった。
「起きた?」姉が優しく微笑む。
きっと、夢の中の手は姉達の手だったのだろう。

良く寝たお陰か、体がだいぶ軽い。ぐるる・・・。小さくお腹が鳴る。
「待ってて。おかゆ以外にも色々と作ったの」
そう言うと、姉はルリのお腹のあたりの布団をぽんぽんと叩くと部屋から出て行った。


終わり。 最後の「姉」はお好みな方を。





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