台風がぼろ屋を揺らす日も、雪の重さで屋根がきしむ日も、姉妹が揃っていれば幸せだった。
寄り添って寒さをしのぎ、時に手分けして料理をし、日々の瑣末な事々も姉妹で語りあえば楽しかった。
北国の街のはずれの小さな一軒家、両親は居ないけど、常に笑顔・・・は少ないが平穏な日々だった。

転機は突然、黒服の男達と共に訪れた。
「ファーストチルドレンだな?司令がお呼びだ。我々と来てもらおう」
何故?と問う長女に「答えられない」とだけ返す。しかしレイはあっさりと承服した。
不安そうに見つめるルリを抱きしめ「直ぐに帰ってくるからね」次いで有希を抱きしめて「ルリをお願いね」と。

黒服達は生活費だと、分厚い封筒を置いていった。
けれど有希とルリにとってはどうでも良かった。
初めて感じるどうしようもない喪失感と悲しさ、何故姉は私達を置いていったのか。
何かあるなら頼ってくれても良かったのに、そして姉が居ない事が何よりつらかった。

数日、食事もろくにせず、僅かな睡眠をとっただけの二人に、点けっぱなしのTVから緊急ニュースが聞こえる。
世間の事などどうでも良かった、しかし一つの単語が二人の注意を引いた。
『本日未明、第三新東京市において謎の大爆発が・・・』

「第三新東京市」、かつて姉が戦ったところ。
ニュースは隕石の落下か軍事施設での事故かとの情報を伝えて居たが、二人には分かった。
静かに顔を見合わせる。


姉が私達を置いて、何も言わずに行った理由が分かった。
また使徒が来たのだ。そして姉は世界と、そして自分達を守る為に行ったのだ。何も言わずに。

ルリが言った。
「ご飯にしましょう。そして、レイ姉を助けないと」
有希が静かに頷く。いつもは静かに映すだけの瞳に、明らかに強い意志が宿っていた。

食事の後、ルリは学校に電話をしてしばらく休むと伝えた。
最近の無断欠席を心配して、さらに驚く先生に「ごめんなさい」とだけ言い、強引に切った。
そのまま電話に26桁に及ぶ特殊な番号を打ち込む。
「ネルガルですか?ナデシコの偽装をお願いします。ええ、そうです。
 昨夜のあれです。わたしも乗ります、戦います」

有希は静かに目を閉じる。
ここで暮らすと決めてから、多くの機能は眠らせたままだった。
まずは思念体との結合を再開する。統合思念体全ての力は全能にも等しい。
だがそれを有希が使える訳では無かった。まずは固体の戦闘力を取り戻す。
そしてその使用許可を、脅しつつなだめつつ強引に取り付ける。「お願い、パパ」が効いたのだろうか?

二人は揃って家を出た。
一緒に鍵をかける。この我が家に、また三人で帰って来るとの誓いを込めて。
「「姉さん、待ってて」」

新しい戦いが今始まろうとしていた。

劇場版-EVANGELION&NADESICO&NAGATO-2007公開予定
製作:GAINAX XEBEC 京都アニメーション
総監督:庵野秀明 副監督 佐藤竜雄 石原立也





| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
@wiki - 無料レンタルウィキサービス | プライバシーポリシー