「よっし、皆。部長からの、お年玉だぞ!」
皆で唯の家に集まって、楽しくお茶会。
そんな中、突然律が叫んだ。
そんな中、突然律が叫んだ。
「お年玉って・・律、お前・・」
「お金じゃないから大丈夫!」
「じゃあなんなんですか?」
「それは、見てのお楽しみ!」
「お金じゃないから大丈夫!」
「じゃあなんなんですか?」
「それは、見てのお楽しみ!」
そう言いながら4つの袋を見せてくる。
「まずは澪からな、1つ引け~」
・・・御籤の前例があるだけに、ちょっと不安なんだけど。
この場合、右から2番目は危険だよな・・でも、それすら読まれてるかも・・。
この場合、右から2番目は危険だよな・・でも、それすら読まれてるかも・・。
「ほれほれ、早くしろって」
「あぁもう分かったよ、これ」
「あぁもう分かったよ、これ」
そう言いながら引いたのは右から2番目。
・・・結局、また同じ場所を引いてしまった。
・・・結局、また同じ場所を引いてしまった。
「まだ開けるなよ。ほいじゃ、次~」
皆揃って開けることに意味があるのかな?
律がちょっと含み笑いをしているようで、凄く嫌な予感。
律がちょっと含み笑いをしているようで、凄く嫌な予感。
「よし、皆もったなー、開けて良いぞ!」
律の一言で一斉に袋を開く。
そこに書かれていたのは。
そこに書かれていたのは。
はずれ。の文字。
「りーつー!」
「だって、澪また右から2番目とるんだもーん!御籤で言ったのに」
「だって、澪また右から2番目とるんだもーん!御籤で言ったのに」
やられたっ!あーもう、悔しい・・。
でも、こんなのはまだ、序の口だった。
次の瞬間、皆から衝撃の一言が飛び出す。
次の瞬間、皆から衝撃の一言が飛び出す。
「あ、澪ちゃんを抱きしめる権利券だって!やったー!」
「えっと、私は澪先輩に頭を撫でてもらえる権利券、だそうです」
「私は、澪ちゃんとお出かけ出来る権利券、ね」
「えっと、私は澪先輩に頭を撫でてもらえる権利券、だそうです」
「私は、澪ちゃんとお出かけ出来る権利券、ね」
ちょっと待て・・・どういう事だ!?
「お、おい・・・律!」
「んー?なにかなぁはずれを引いた澪ちゅわん」
「権利券ってなんのことだよ!」
「そりゃーそのまんま」
「んー?なにかなぁはずれを引いた澪ちゅわん」
「権利券ってなんのことだよ!」
「そりゃーそのまんま」
あっけらかんと言い放つ律。
・・・どうしたらいいんだ、この気持ちは。
・・・どうしたらいいんだ、この気持ちは。
「何で、私に関することばっかりなんだよ」
「そりゃ、私が持ってる権利っていったら、澪のしかないじゃん」
「なっ?!」
「ま、いいじゃん!変な内容じゃないし、嫌じゃないだろー?」
「そ、そりゃあ、別に・・えっと」
「そりゃ、私が持ってる権利っていったら、澪のしかないじゃん」
「なっ?!」
「ま、いいじゃん!変な内容じゃないし、嫌じゃないだろー?」
「そ、そりゃあ、別に・・えっと」
嫌・・じゃない、し。まぁ皆だったら、いいけど、さ。
っていうか、私がはずれ以外引いたらどうするつもりだったんだろう。
っていうか、私がはずれ以外引いたらどうするつもりだったんだろう。
「ね、ね、りっちゃん。これ、有効期限とかあるの?」
「あるぞ~。今日から1週間で1回使ったらおしまい」
「えー、1回だけなの?」
「それ以上はダーメ」
「りっちゃんのけちー」
「なんだとぉ!1回だけでも有り難いと思えー!」
「あるぞ~。今日から1週間で1回使ったらおしまい」
「えー、1回だけなの?」
「それ以上はダーメ」
「りっちゃんのけちー」
「なんだとぉ!1回だけでも有り難いと思えー!」
あぁもう、好きにしたらいいさ。
怒る気力すら、もうない。
怒る気力すら、もうない。
「あ、あの。澪先輩」
「なんだ、梓?」
「使ってもいいですか、これ」
「え」
「なんだ、梓?」
「使ってもいいですか、これ」
「え」
若干恥ずかしがりながら聞いてくる梓に、どう言っていいか分からない。
「あの、だ、だめだったら別に、大丈夫ですからっ」
「いいんだぞ、梓!・・澪、券受け取ってやってやれって」
「いいんだぞ、梓!・・澪、券受け取ってやってやれって」
まさか梓が、こういうのにノるとは予想外。
・・・だけど。
・・・だけど。
「わかった」
「!・・・じゃあ、お願いします」
「別に券なんかなくても、梓は良い子だからいつでもしてあげるのに」
「!・・・じゃあ、お願いします」
「別に券なんかなくても、梓は良い子だからいつでもしてあげるのに」
そう言いながら、頭を撫でてやる。
気持ちよさそうに目を細める姿は、猫みたいで。
あずにゃんってあだ名は中々うまいこといったもんだと思う。
気持ちよさそうに目を細める姿は、猫みたいで。
あずにゃんってあだ名は中々うまいこといったもんだと思う。
「あ、ありがとうございました!」
「もう、いいのか?」
「はい!・・えへへ」
「もう、いいのか?」
「はい!・・えへへ」
梓も上機嫌になったことだし、良いのかな。うん。
・・・あれ、そういえば。
・・・あれ、そういえば。
「ムギちゃんは確か、出かける権利、だったよね」
「ええ、そう書いてあるけど・・」
「期限は1週間だけど、空いてる日あるの?」
「それが、あまり予定が空いてなくって・・」
「ええ、そう書いてあるけど・・」
「期限は1週間だけど、空いてる日あるの?」
「それが、あまり予定が空いてなくって・・」
丁度疑問に思っていたことを唯が聞いてくれた。
私からじゃ聞きにくいから、助かった。
でもそうすると、ムギのは期限切れかな。
私からじゃ聞きにくいから、助かった。
でもそうすると、ムギのは期限切れかな。
「じゃあさっ!今日にしたら、いいんじゃない?」
「おぉ!唯にしてはナイスアイディアじゃん!」
「えっへん!」
「で、でも・・」
「おぉ!唯にしてはナイスアイディアじゃん!」
「えっへん!」
「で、でも・・」
ムギがこっちを向く。
あんまりノリ気じゃなかった私に、気を使っているみたいだ。
・・・だから。
あんまりノリ気じゃなかった私に、気を使っているみたいだ。
・・・だから。
「ムギは、行きたいトコとか、ある?」
「!・・えっと、遊園地にいってみたいの」
「!・・えっと、遊園地にいってみたいの」
遊園地か、今はまだ午前中だし、いいかも。
「じゃあ、行く?」
「・・でも、いいの?」
「お年玉だからって訳じゃないけど、良い機会だし」
「・・でも、いいの?」
「お年玉だからって訳じゃないけど、良い機会だし」
ムギから権利券を貰って、唯の家を後にする。
勿論他の皆はそのままお茶会続行、のはず。
勿論他の皆はそのままお茶会続行、のはず。
「遊園地にいくの、夢だったの」
「それじゃ、めいいっぱい遊ばないとな!」
「それじゃ、めいいっぱい遊ばないとな!」
多分、私の方がムギより、はしゃいでいたと思う。
ムギと一緒にメリーゴーランド乗ったり、お化け屋敷に挑戦して気絶したり。
ポップコーンとか買って食べたり、絶叫マシーンに挑戦して気絶したり。
・・・あれ、気絶してばっかりだ。
ムギと一緒にメリーゴーランド乗ったり、お化け屋敷に挑戦して気絶したり。
ポップコーンとか買って食べたり、絶叫マシーンに挑戦して気絶したり。
・・・あれ、気絶してばっかりだ。
「ふぅ・・楽しかった」
「本当に。ありがとね、澪ちゃん」
「ううん、こっちこそ、ありがとムギ」
「本当に。ありがとね、澪ちゃん」
「ううん、こっちこそ、ありがとムギ」
観覧車の中でそう言って、二人して笑いあう。
あぁ、本当にすごい楽しかった。
あぁ、本当にすごい楽しかった。
「今度は皆で来ましょう?」
「・・そうだな」
「・・そうだな」
まだ夕方だけど、唯の家に戻ることにした。
メールしたら、まだお茶会中みたいだったしな。
メールしたら、まだお茶会中みたいだったしな。
「おかえり、ムギちゃん澪ちゃん!・・どーだった?」
「とっても楽しかったわ」
「おぉ~。・・いいなあ」
「今度は皆で行きましょ?」
「うん!」
「とっても楽しかったわ」
「おぉ~。・・いいなあ」
「今度は皆で行きましょ?」
「うん!」
唯の家に戻ると、私たちが出てった時と、ほとんど変わらない様子。
「律達はずっとこの調子だったのか?」
「唯先輩と律先輩がゲームを始めてたので、見てました」
「見てただけじゃなくて、小言もな」
「それは律先輩が下手だからです」
「お、言うなぁ、このこの~」
「唯先輩と律先輩がゲームを始めてたので、見てました」
「見てただけじゃなくて、小言もな」
「それは律先輩が下手だからです」
「お、言うなぁ、このこの~」
お茶会はゲーム大会に早変わりしていたみたい。
私たちだけ楽しんじゃってたんだったら悪いかと思ったけど。
こっちはこっちで楽しかったみたいで、良かったのかな。
私たちだけ楽しんじゃってたんだったら悪いかと思ったけど。
こっちはこっちで楽しかったみたいで、良かったのかな。
「おっし、残るは唯のだけだぞぉ~」
「ふっふっふ、この券はいざと言うときに取っておくんだよりっちゃん!」
「いざという時っていつだよ」
「・・・・さぁ?」
「ふっふっふ、この券はいざと言うときに取っておくんだよりっちゃん!」
「いざという時っていつだよ」
「・・・・さぁ?」
この調子だと、期限ギリギリまで忘れてそうだな。
でも唯らしいかもしれない。
でも唯らしいかもしれない。
そうして、いつも通り他愛のない話をしていたら、もう外は暗くなっていて。
「さて、そろそろお開きにすっかー」
「そうですね」
「それじゃ片付けるか」
「そうですね」
「それじゃ片付けるか」
憂ちゃんの協力もあり、あっさりと片付けが終わる。
本当によくできた妹さんだ。
本当によくできた妹さんだ。
「それじゃ、またな」
「・・あ、澪ちゃんまって」
「ん?」
「これ!」
「・・あ、澪ちゃんまって」
「ん?」
「これ!」
まさかの権利券。
いざという時って今なのか?
いざという時って今なのか?
「・・この場合、私はどうすればいいんだ?」
「あー、抱きしめられてればいいんじゃない?」
「あー、抱きしめられてればいいんじゃない?」
律に聞いたら、書いた本人の癖にだいぶ投げやりな答えが返ってくる。
それはつまりじっとしてろってことか?
とりあえず唯から券を受け取る。
それはつまりじっとしてろってことか?
とりあえず唯から券を受け取る。
「澪ちゃんいっくよー!」
「あ、あぁ」
「えいやー!」
「あ、あぁ」
「えいやー!」
よく分からない掛け声と共に、唯が抱きしめてくる。
私の方が背が高いから、抱きしめられるというよりは抱きつかれる、かな。
じっとしてるっていうのも、その・・は、恥ずかしい。
私の方が背が高いから、抱きしめられるというよりは抱きつかれる、かな。
じっとしてるっていうのも、その・・は、恥ずかしい。
「あ、あの、唯?」
「なーに?」
「えっと、じっとしてるのも、その」
「んー、じゃあ抱きしめ返してくれてもいいよ?」
「なーに?」
「えっと、じっとしてるのも、その」
「んー、じゃあ抱きしめ返してくれてもいいよ?」
余計恥ずかしいって!
で、でも、腕の行き場がないし。
・・・よ、よし!
で、でも、腕の行き場がないし。
・・・よ、よし!
「こらー!」
腕を唯の背中に回そうとした瞬間、後ろから律の声。
「な、なんだよ律」
「澪に抱きしめられる権利は、渡してないぞ!」
「なっ!・・おまっ・・あのなぁ!」
「えーずるいよりっちゃーん」
「だめだだめだ、だめったらだめー!」
「ちぇー」
「澪に抱きしめられる権利は、渡してないぞ!」
「なっ!・・おまっ・・あのなぁ!」
「えーずるいよりっちゃーん」
「だめだだめだ、だめったらだめー!」
「ちぇー」
そう言いながらも、私から離れる唯。
私はと言えば、律のとんでも発言で頭がパンクしそうなんだけど。
私はと言えば、律のとんでも発言で頭がパンクしそうなんだけど。
「はい、おっしまーい。それじゃ、またね!」
「あ、ああ」
「あ、ああ」
なんとか返事をして、それぞれ帰路に着く。
・・・なんだか今日は、色々ありすぎた。
隣を歩く律は、珍しく静か。
隣を歩く律は、珍しく静か。
「律」
「んー?」
「ありがとな」
「んー?」
「ありがとな」
色々あったけど、凄い楽しくて。
はずれ、なんて書いてあったけど。
今日一日自体が、律からのお年玉だったんじゃないか、とか思ったりして。
はずれ、なんて書いてあったけど。
今日一日自体が、律からのお年玉だったんじゃないか、とか思ったりして。
「澪は、楽しかった?」
「あぁすっごく」
「そっか」
「あぁすっごく」
「そっか」
そういえば、律からお年玉貰ったけど。私は何もあげられてないな・・。
「律は、お年玉欲しい?」
「おーいいね。何くれる?」
「おーいいね。何くれる?」
何が良いだろう。いってみたものの、思いつかないぞ。
「・・じゃあさ」
「うん?」
「うん?」
何も言えずにいたら、考えていなかったことが分かったようで。
「明日一日の澪の時間、ちょーだい?」
「・・・いいよ」
「よっしゃー!そ~と決まれば、今日は澪んちに泊まろっと」
「やれやれ」
「・・・いいよ」
「よっしゃー!そ~と決まれば、今日は澪んちに泊まろっと」
「やれやれ」
こんなお正月も、いいかな。
おわる。