けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

恋の方程式

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匿名ユーザー

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胸のドキドキが止まらない。

澪なら、どんな歌詞にするだろう。つーか、私がこんな事言うのもおかしーし…。


いつもの登校中。
「律ー。どしたー?置いてくぞー?」
「…え?あ、なんでもない…」
「なんだ?最近ボーっとしてないか?」
「ん~?そんな事ないぞ~?」
「そうか?」
「そうそう。あ、そだ!澪、歌詞、思い付いた!」
「ホントに!?どんなの?」
「恋の、方程式!!」
「………ぷっ」
「わ、笑うなよ!」
「だって、律が恋のって……ぷっ」
「笑うなー!」
「…ごめんごめん。それにしても、なんで、恋の方程式?」
「いやー、数学の時間に思い付いた。澪っぽいイメージで」
「私のイメージってなんだよ…」
「澪っぽいイメージだよ」
「だからどんなイメージだよ」
「んー、澪っぽい…」
「だからどんなだって」
~♪
澪とやりとりしてると、校舎から、校舎の音楽室から。ギターの音が聞こえてきた。
「あ、澪。コレ、唯じゃないか?」
~♪♪
「梓も居るみたいだな」
「あいつら、最近朝練頑張ってるからな~」
「よし、負けてられないな!」
澪は走り出した。
「ま、待てよっ!」
私も後を追った。
ベース背負ってよくあんなに走れるよな……とか思いながら。


私は、その背中に恋をしていた。



部活動終了後。
「今日のりっちゃんのドラム、おかしかったよねぇ」
ギー太をケースにしまいながら、唯が指摘してきた。
「え?」
私は目を丸くした。
「リズム走ってなかったしさ。チチチチ、チチチチってトコも、正確だったし」
「ライドの刻みですね」
梓が訳した。
「私は、弾いてて気持ち良かったけど~♪」
ムギはいつも通りか。
「確かに…」
澪は難しそうな顔。
「走らなかったしモタらなかったし…スネアは鳴ってたし…バスもちゃんとパワーあったしな」
「ね?りっちゃん、おかしかったよね?」
「おかしいというか、ソレが正しいんだけどな……ていうか、唯。なんで分かったんだ?」
「えー?わかるよーりっちゃんのドラムは。いつもはダダダダー!!だけど今日はシュタタタタター!!みたいなさ」
「唯先輩、そろそろドラムの用語も覚えましょうか…」
「ソレハムリデス!!」
「少しは頑張れよ…」
「うふふ♪」
軽音部のいつものやりとりを眺めながら、私は胸のざわめきを抑えていた。


澪との帰り道。
「律。今日、ウチ寄ってかないか?」
「な、なんで!?」
「あ…予定とかあった?」
「いや、ないけど…」
「けど?」
「…いや、なんでもない!」
「律……最近おかしくないか?」
「おかしくねーし…ってもう晩御飯の時間じゃね?」
「そうだな……ウチで食べてくか?」
「あーイイねぇ。母さんにメールしとくー」
「私も。ママにメールしとくね」
「……ママ?」
「…っ!お母さん!!」
「ママ~♪待っててねー♪」
「うるさい!……行くぞ!!」
「はーい」
私はメールを済ませながら澪の後を追った。
胸のざわめきを、抑えながら。



秋山宅へ到着。晩御飯のいい匂いが出迎える。
「ただいまー」
「おじゃましまーす」
「おかえり~。りっちゃんも、いらっしゃい」
「こんばんは!」
「晩御飯、オムライスだから」
「うん。部屋で食べるから、取りに来るね」
「ええ。用意しとくわね」
秋山宅の晩御飯はオムライスだ。
私は、オムライス~♪と気を紛らわしながら、澪の背中を追った。


「ふぃー今日の練習も疲れたなぁー」
私はテーブルの傍らに学校のバッグを置いた。
「そうだなー」
澪は学校のバッグを机に置き、ベースを部屋の隅の定位置に置いた。
「…………。」
私は、胸のざわめきを抑え切れなかった。
がばっ
「わっ!?」
私は澪の背中に、抱き着いた。
「……な、なにするんだよっ…!?」
余程驚いたのか、澪は小声で私に聞いてきた。
「……」
私は、無言。
直ぐ様茶化せば良いものの。抑え切れない気持ちが先走った為、言葉が出なかった。
不言実行、という四字熟語があるが、正にそのものだった。
…………………。
私も、澪も、黙っていた。部屋に漂うなんとなく気まずい空気。
だが、私はシャツ越しに伝わる澪の体温、背中越しに聞こえる澪の心臓の音、呼吸で抑揚する澪の身体を、楽しんでいた。
「……」
「……」
とは言っても、黙りっぱなしじゃ話にならない……。
ぱっ
「みお!びっくりしたー?」
私は思い付きでばっ、と澪の身体から離れ、茶化してみた。
「…」
さあ来い、拳骨!!
「…」
来いや拳骨!!
「…」
あれ?
「…澪?」
「ば……晩御飯取ってくる!!」
「へ?」
澪は部屋の入口に走った。
「へ、変な事するなよ!……律」
澪はそう言い残すと台所へと消えた。
「……」
私は暫く間抜け顔をした後に、テーブルの前にぺたん、と座り込んだ。


「ごちそーさまでしたっ!」
晩御飯はオムライスに、具だくさんの野菜スープだった。私が平らげ、手を合わせ礼をすると目の前では澪が一緒に礼をしていた。
「じゃ、食器。片付けて来るから」
ガシッ
立ち上がる澪のスカートを反射的に掴む私。
「おわっ!?」
急に前に進めなくなり驚く澪。
「な、なに!?」
私を見下ろす澪。
「……」
やっぱり言葉がすぐ出てこない。
「……デ、デザート食べたいなー、なんて」
やっとこさ絞り出したのが、コレだ。単に図々しいだけじゃないか、私。
「……くすっ」
澪は少し笑い、前屈みになり
「デザートに私を食べたいなーなんて、言うんだろ?」
茶化してきた。
「食器片付けて来るから、待ってなさい」
澪は私の鼻先を指でちょん、とつつくと、台所へと消えた。
「……澪に茶化された」
私は独り言を言いながらも、前屈みになった澪に見とれていた事に気付いた。
私の胸のざわめきは、身体中を蝕んでいた。



「律ー。ジュース持ってきた」
「お、サンキュー」
私はざわめきを鎮めようと、澪の部屋にあった雑誌を読んでいた。
「でさ、律」
「ん?」
「最近、何かあった?」
鋭い指摘。最近ってワケでも無いんだが。
「へ?」
「おかしいよ、律」
「何がだよ」
「ココん所、ちょくちょくボーっとしてるしさ」
「私がボーっとしちゃ悪いかー?」
「ドラムもおかしかったし」
「おかしくねーし……」
あん時の唯の鋭さには、正直参った。
「今朝も、恋とか言ったりさ」
「あ、アレは澪っぽいって思ったんだよ」
「……ふふっ」
必死に答える私に対し、澪は少し笑った。
「分かりやすいんだよ……律は」
やれやれ、と言った表情で澪は私ににじり寄ってきた。

「な、なんだよ…」
私は少し後ずさった。が。
だきっ
「わっ」
澪は、私に抱き着いて来た。
「……」
「……ほら、おかしいよ?律」
抱き着かれた私は、無言だった。
「いつもの律なら「離れろよー」とか、言うもん」
澪は優しく言うと、私の肩に顔を乗せて髪を撫でてきた。
「律、どうしたの?」
「…」
答えない。答えたくない。
「……もう」
澪は呆れた様子で私の肩から顔を上げ、私を見つめた。
綺麗な髪。切れ長の凛々しい目。通った鼻筋。ルージュも、グロスも要らない唇。それらを彩る黒く、長い髪。
澪は私の両手を、暖かくて綺麗な指で包んで、言った。
「私、律の事、好き」
告白、してきた。
私の中のざわめきが、ぱーん、と破裂した。
「律の事、好き」
澪はもう一度言うと、私の顔に顔を近付け、頬をくっつけた。
「律は、私の事……好きでしょ?」
丁度耳元で囁かれた。
自分で耳まで赤くなるのがわかった。
再び、澪は私を見つめた。優しい笑顔。
「…私もっみ、澪の事、大好き、だよっ」
我ながらドギマギしている。恥ずかしい。
でも、嬉しい。
「…ありがと」
澪は優しく、笑った。
そして

ちゅっ

キスしてきた。
「―――っ!!!」
私は気が気でなくなった。
澪は私に話し掛けてきた。
「……律」
「な、なに?」
「ちょっと、寝たい」
「ね、寝たい!?」
「…バカ律」
「…へ?」
「練習、疲れたんだよ」
狼狽える私のデコをちょん、とつつく澪。
「りつ、こっち」
澪は私の手を取り、ベッドへ誘った。


ベッドに寝転がる二人。
「みおー」
「なにー?」
口調がやや甘い。
「みおはさ。いつから私の事好きだったんだ?」
「んー…」
澪は少し考えてから
「憶えてないなぁ」
てへっ、と笑った。可愛い。
「りつー」
「なにー?」
「おいでー?」
両腕を広げる澪。
「…~っ」
照れて躊躇する私。
にこっ
私は、微笑む澪の胸に、転がり込んだ。


ぎゅぅっ
澪は優しく、つつみ込むように抱き締めてきた。
「っ……」
澪の胸の感触が気持ち良くて、悔しい。
「りつー」
「なにー?」
「りつは、いつから私の事好きだったんだ?」
「……憶えてない」
「そっか…」
澪はよしよし、と私の髪を撫でた。
すると
「……あ。歌詞、思い付いた」
「なになに?」
私は澪の胸から顔を見上げた。
「……恋の、方程式…」
「…やめれ」
再び顔を胸に埋める私。
「なんで?私をイメージしてくれたんでしょ?」
「そうだけどさ…」
「解けない恋の方程式……シャイなあなたが解いてくれるの…」
「やめてってば」
「ムギに相談してみるかな」
「やーめーてー」
「イイ曲になりそう!」
「叩けるか!そんな曲!!」
「ふふっ」
イタズラっぽく笑う澪。
「笑うなーってわふっ」
拗ねる私を澪はまた胸に埋めた。
きゃっきゃっと笑う澪の声はすごく無邪気で、幸せな気分になった。
ひとしきり。幸せを感じた所で。
「…りつ」
「…なんだよ」
「こっち、きて」
「…」
私は、顔の位置が澪と同じ位置になるまで移動した。
「…」
澪がキスしたがってる顔。
目尻が少し下がって、口元の笑みは凄くセクシーで、頬は少し赤らんでて。
私は、澪の髪を撫でて、顔を近付けた。
一瞬瞼を閉じた澪の顔を見た所で、私も瞼を閉じた。
やらわかい、唇。
ゆっくり、抱き締めると澪も抱き締めてきた。
あったかい―――唇。


恋の方程式なんて歌詞は、曲にならなかった。
正直、ホッとした。



が、冬のある日。
また別の歌詞が私を翻弄する事になる。

ソレはまた、別のお話。


  • イイ...イイよ!! -- 名無しさん (2011-08-05 15:08:24)
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