けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

SS120

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
投稿日:2010/10/31(日) 22:36:37

「澪、行くぞ―」
「ちょっと待って……って律!? なんだよその格好!」


部屋に入ってきた律の格好は、あまりに見慣れない姿だった。
薄めのタンクトップに半ズボン。前髪は下ろして、赤いキャップを被っている。
雑誌でよく見るような格好もなかなかに決まっていた。
白い歯を光らせて笑う律。
その姿は……な、なんというか……男の子みたいだった。


「へへ、どう? 男みたいじゃないか?」
「そ、そりゃそう見えるけど……なんでそんな」
「ほらほら、前に澪と出掛けた時さあ、男が絡んできたじゃん」


それは先週の休みに繁華街に行った時の話だろう。
二人の男が私たちに何やら声を掛けてきたのだ。もちろん断って逃げた。
女二人でいると結構危ういとなんとなく実感した経験だったのを覚えてる。
だからってなにも対策みたいなのはしてなかった。

律は腕を組んで唸りつつ、言葉を続ける。


「やっぱり女二人だからああいうチャラい奴らが声を掛けてくると思うんだ」
「まあそうだけど」
「だったらさ、私が男装すりゃいいと思って! それなら、声掛けてこないっしょ!」


たまに律の発想力をすごいと思う……けど。


「お前の格好だと、異性の恋人同士というより姉と弟のような」
「身長と胸の事を言ってるんですか、そうですね」
「すねるな。そうじゃなくて、もし私と律が同い年の設定なら、
 どう考えても半ズボンはおかしい。格好だけなら小学生に見える」
「聡の服借りてきたんだけどなあ。確かに小学生だ」
「だから姉と弟に見えるんだって」
「じゃあそれでいいんじゃねーの?」


律が能天気に笑う。
……この微妙な、なんとなく居心地の悪い気持ちはなんだろう。
まあいいや。律と買い物できるんだったらなんだっていい。


「じゃあ姉弟という設定で、買い物へレッツゴー」
「お、おい待てよ律!」






「おーすげー、扇風機。そろそろ澪の家も扇風機出せよな」
「わかってるよ。まだ六月だろ。暑いのはわかるけどさ」


繁華街の電気屋。店先に新商品として置かれていた扇風機。
それが回転するたびに、心地よい風が並んでいる私たちに吹きかかった。
ふと横を目にした。


「――ッ!」


律のタンクトップが薄すぎて、扇風機の風で少し浮いていた。
そして脇の辺りの隙間から、この位置だと胸が見えてしまったのだ。


(り、律……馬鹿!)


心臓を銃で撃ち抜かれた気分……なんでブラしてないんだ!
って私もそういう問題じゃない! 律の胸なら毎日見てるけど、街中でなんて……。
律は律ですげーと何度も言いながら扇風機の値段を見ていて気付かない様子。
風に当たる度にチラチラとピンクの……ってああ、また見えた。


「澪、どうした?」
「えっ、あ、い、いや……」


律が私に気付いてこちらを向いた。律の胸は見えなくなった。
……なんで残念がってるんだろうな私は。
律は私の顔を見つめて、不思議そうに言う。


「澪、顔赤いぞ?」
「そ、そうか? い、いやあ暑いからな! あはは」


取り繕って笑うが、律は納得いかない様子で首を傾げた。
ときどき見える律の胸で、実はちょっと興奮してただなんて……。
バレたらからかわれる。ばれない様にしなきゃ……。


それから買い物を続けたけど、律の無防備さには呆れたものだった。
女の子だという自覚をもっと持てと普段から言ってるのに……。


そんな無防備だと。
お前を『そういう目』で見る奴が、黙ってないんだぞ。
そうは思ってみるけど、実際手は出せず時間は過ぎた。







それから夕方になって、私の家に帰ってきた。


「たっだいまー!」


律は快活に玄関へ踏み込む。
私の家だぞ、とは突っ込まなかった。
それより私は……体がうずうずして落ち着けなかった。


部屋に戻って、律がベッドに倒れて雑誌を読む。
私は鞄を降ろしながら、その様子を窺っていた。

本当に、男の子に見えるけど……でも。
中身は――私の律だ。


「律」
「うーん?」


名前を呼ぶと、生返事だった。


もう我慢できない。


私は律に歩み寄った。
雑誌が私の影で暗がりになって、それに気付いた律が顔を上げる。


「なんだよ澪、また顔赤――」


そして。


律にキスをした。
長くて、深いキスだった。



――口を離す。透明な糸が引く。


「……み、澪……どうしたんだよ」


律は狼狽した。私はベッドに乗る。
よくわかっていない律を、お仕置きする気持ちで押し倒した。


「律が悪いんだからな」


無防備な格好で、私は気が気じゃなかった。
買いものどころじゃなかったんだ。

周りから見れば男の子で、ただの姉と弟にしか見えなかったかもしれないけど。
女の子だと知っている私は、気がそっちにいって。

だから、恥ずかしいけど……。


欲情した。

私は律のタンクトップを勢いよく捲り上げ、律の胸に触れる。


「澪……ちょっ待て……っ、んあ……」


街中でチラチラ見えていた胸が、私の手の中にある。


「何度トイレに連れ込んでやろうと思ったと思う……?」


実際、本当に律とトイレでやろうかと思ったけど、さすがに我慢した。
だって公共の場で爆発するのは、少しあれだと思ったのだ。

でもここなら――家なら、誰にも邪魔されない。


「律は、女の子だから」
「ひゃんっ……み、澪……っ……」


揉んだり舐めたりする度に、律は『女の子』の声で喘ぐ。


「こんな気持ちにさせた律が悪いんだからな……」


私は律の姉じゃない。律は私の弟じゃない。
律が男の格好をした時の、あの嫌な気持ちは。

律が『女の子の律』を否定したような気がしたからだ。
皆律を女の子っぽく扱わない。男の子のように見ている。
実際かっこいいし、そこらの男とは段違いに整った顔だ。
でも律は女の子だと誰もが知ってるんだ。

でもその律が、男装したら。男だと勘違いされたら。
そんなことしたら、男だと思った他の女の子が律に寄ってしまう。

そんなの嫌だ。
律は女の子でいいんだ。男でなくていいんだ。

律が『女の子』だから、他の女の子は律と『そういう関係』にならないと線引きする。


「澪、んっ……あっ……」


だけど私は。

私は律を、同性だけど、異性のように見てるから。
だからこんなにも、律を求めるんだ。


律が男だったらと思った事は何度かある。
性別の壁は、越えられない。私は律と同じ『女の子』だ。
結婚だってできないし、世間体としてあまりいいとは言えない。

だからって、律が女の子であることに悲しさなんてない。

同性だから、今一緒にいる。

同性だったから、出会えたんだって思うから。
律が女の子じゃなかったら、私はここにいないから。

律が女の子でよかったんだ。

男っぽいけれど、女の子でよかったんだ。



律は、律だから。

そして今だって……。


私は、仰向けの律を四つん這いで見下した。


「律――……」

「澪……うん……いいよ」


優越感。

律が『女の子』の甘い声を出すのは、私だけ。

それからもう一度、キスをした。





■終■



  • 痴女りっちゃんもありかもしれないw -- 名無しさん (2011-04-04 09:14:48)
  • 澪律やべぇすげぇいい -- 名無しさん (2012-01-05 21:28:17)
  • 受けりっちゃんの破壊力は凄まじいな -- 名無しさん (2012-01-15 21:38:02)
名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー