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「あるGH410の話」(2007/06/08 (金) 20:59:53) の最新版変更点
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<h3>あるGH410の話</h3>
<b><br>
目次<br>
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811 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/03(金)16:16:21.79
ID:CXAlTZqG</b><br>
私はGH410、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。<br>
<br>
私のご主人様はあまり人付き合いが良くなく、とっても面倒臭がりです。<br>
指で数えるほどのお友達とたまに一緒に行動しますが、後は大体1人。<br>
大型生物撃破任務でなければ、私もよく連れて行ってもらいます。<br>
<br>
ご主人様は変なこだわりを持っていて、PCショップから武器を絶対に買いません。<br>
愛用があまり人気がないソードなのもありますが、他人の武器は信用できないって。<br>
でも面倒臭がりだから、新規解放されたレリクスに行ったりしません。<br>
合成素材もたくさん手に入るのに「力押しは趣味じゃないし、長いから嫌だ」って…。<br>
<br>
ご主人様は私の作った武器しか使ってません。<br>
面倒臭がりだから、A武器に使う高級素材も調達がとても遅いです。<br>
PCショップで買えば、それなりの属性A武器が安価で手に入ると何度も申し上げたのに<br>
「んなこたいいから、ほれ頑張れ」と基盤のエントリーをします。<br>
<br>
何度もモノメイトにしちゃいましたけど…。<br>
苦労の甲斐あって、遂に闇のハンゾウが出来上がった所です!<br>
<br>
<b>812 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/03(金)
16:17:18.53ID:CXAlTZqG</b><br>
「ご主人様、やっちゃいました!」<br>
「よーしよし、って16%か…まぁ付与されただけいいか」<br>
「申し訳ありません、精一杯頑張ったのに」<br>
「ん、たまに行くレリクス程度だから無問題。じゃ試してくる」<br>
<br>
ご主人様はハンゾウにうっとりしながら出かけました。<br>
合成素材もほとんど尽きちゃったから、多分次の合成は1ヵ月後です。<br>
面倒臭がりだから、合成素材を買ったりもしないんです。<br>
変わったご主人様ですが、私の作った武器を使ってくれるのはとても嬉しいです。<br>
<br>
この前まではお友達の代理合成もしてたんですが、最近はあまり依頼もありません。<br>
口の悪さで愛想を尽かされちゃう事も多いので、本当にしょうがないご主人様です。<br>
<br>
プシュー!<br>
<br>
そんなご主人様の事を思い出して、くすっと笑っていたら突然ドアが開きました。<br>
そこには、普段じゃ見れない物凄い真剣な顔つきをしたご主人様が…。<br>
<br>
「あっ、御帰りなさいませ。お早いお帰りでしたが、斬れ味は…」<br>
<br>
私が聞き終わる前に、ご主人様は基板のエントリーをしました。<br>
ハンゾウの基板?おかしいな、合成素材もないハズなのに…。<br>
疑問に思っていたら、ご主人様は大量の合成素材を倉庫に転送しました。<br>
それはもう、ハンゾウを10個作っても大丈夫なくらいのケレセリンとステルニウムとパル・エボンが。<br>
<br>
「突然だが、闇と氷を作り直すぞ」<br>
「えっ…斬れ味、良くなかったんですか?」<br>
「いや、不満はねぇが作り直さなければならん理由が出来た!」<br>
「ど、どうしたんですか?闇はとにかく氷も(氷も16%)、それに理由って」<br>
「いいから1本目、セット開始!」<br>
「は、はいっ」<br>
<br>
<b>814 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/03(金)
16:18:38.65ID:CXAlTZqG</b><br>
それから、私は何度もハンゾウの作り直しをしました。<br>
今までご主人様は属性値が低くてもあんまりガッカリする人じゃありませんでした。<br>
でも、今回は同じ16%や10%のハンゾウが出来上がるととても残念そうにしてました。<br>
モノメイトの時はいつものように「あー」って言うのに…一体どうしちゃったんだろう?<br>
真剣な目つきで素材をセットするご主人様は、ちょっと怖かったです…。<br>
<br>
そして遂に、作り直しが終わる日が来ました。<br>
<br>
「ご主人様、やっちゃいましたっ!」<br>
「いよぉっし! 氷26に闇28か、よーくやった!」<br>
<br>
ご主人様はとっても嬉しそうにしながら、私の頭を何度も撫でてくれました。<br>
お世辞にも高属性とは言えないけど、16よりはもっと強力です。<br>
<br>
「えへへ…でも、どうしてこんなに作り直したんですか?」<br>
「野暮な事は聞くもんじゃねえの」<br>
<br>
ご主人様は結局理由を話してくれません。<br>
ぷくーっと膨れる私を他所に、メールでお友達に連絡を取っていました。<br>
<br>
「よし、ラガン討伐に行くぞ。お前も来い」<br>
「え、でもラガンは私が倒れちゃうから嫌だって」<br>
「今回はフォルテクターのKさんも来るから特別だ、支度せい」<br>
<br>
<b>815 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/03(金)
16:20:08.16ID:CXAlTZqG</b><br>
「フゥーハハハァー!」<br>
<br>
ご主人様はまるで狂ったように笑いながら、コルトバを斬り飛ばしていました。<br>
私の武器で喜んでくれるのは幸せだけど、今回は疑問ばかりでそれどころじゃありません。<br>
一体ご主人様はどうしちゃったんだろう、あんなに属性に躍起になって。<br>
もしかしたら、影では高属性をなかなか作れない私の事をとっても恨んでいたのかもしれない。<br>
そんな不安でまともに戦えない私に、Kさんが話し掛けてきました。<br>
<br>
「フフ、何であんなに嬉しそうか知ってます?」<br>
「え…何かご存知なのですか?」<br>
<br>
Kさんは、ご主人様が何故躍起になってくれたのかを全部知ってるようです。<br>
私は是非教えてほしいと頼みました。<br>
もしもご主人様が私を恨んでいたら、その結果を聞くのが怖い。<br>
けど、面倒臭がりのご主人様が何でああなったのかを知りたかった。<br>
<br>
Kさんはトルネードブレイクでコルトバを吹き飛ばしているご主人様を見ながら教えてくれました。<br>
<br>
「実は、キャストのRさんが貴方の作ったのより高属性なハンゾウを買っていたの。<br>
闇ハンゾウの試し斬りをしている最中にその事を聞いて、安く買えたって大自慢されたそうです。<br>
それで、お前も合成じゃなくて買い揃えたらどうだって勧められたらしいのです」<br>
「………」<br>
<br>
私は何も言えませんでした。<br>
そのRさんの取った行動は間違いではなく、確実な方法です。<br>
私のせいで、基板代で大損したご主人様に比べたら確実に安くつきます。<br>
そして私が日頃からご主人様に申し上げていた事なのですから…。<br>
<br>
<b>816 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/03(金)
16:21:35.98ID:CXAlTZqG</b><br>
「その話を聞いて、とっても怒ったそうです。<br>
確かに購入は確実だけど、マシナリーを放置してまですることかって。<br>
合成する為に育てたマシナリーを裏切るなんて俺には出来ないって。<br>
こうなりゃ奴より高属性を作って、一緒に大笑いしてやるって。<br>
PCショップで基板と素材が一番安い店を探し回って、買い占めて…」<br>
<br>
Kさんはまだ続けてましたが、私は耳に入りませんでした。<br>
ぽろぽろと零れる涙を抑えるのに精一杯で、聞いていられなかったのです。<br>
<br>
ご主人様は恨むどころか、私を一番大事にしてくれていた…。<br>
面倒臭がりなのに、私の為にたくさんのお金を使ってくれたんだ…。<br>
私はなんて馬鹿なんだろう、ご主人様の事を少しでも疑ってしまって…。<br>
<br>
「いいご主人様に会えて幸せですね。私もマシナリーを育てたくなったのです」<br>
「…はいっ」<br>
<br>
「こりゃー! 何サボってやがる、しっかり戦え!」<br>
<br>
青く輝くハンゾウを振り回しながら、ご主人様が笑顔で怒鳴っています。<br>
私は涙をふいてシャープツインズを取り出し、大好きなご主人様の側に駆け寄りました。<br>
<br>
私の大好きなご主人様、これからも何度も失敗してモノメイトにしちゃうかもしれません。<br>
けど一生懸命頑張ります、高属性が作れるようになります、だから…。<br>
<br>
これからもずっと側にいさせてください…。<br>
<br>
「ドンドン いきますねっ!」<br>
<br>
<br>
<br>
多分、続く<br>
<br>
<b>843 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/03(金)
18:39:22.23ID:CXAlTZqG</b><br>
私はGH410、今日木曜日はガーディアンズの特別休暇です。<br>
ご主人様は部屋でごろごろ、私は部屋のお掃除をしてます。<br>
<br>
ライアという教官の人からは弛んでいると怒られています。<br>
けれどいつも大変な任務ばかりだから、休日くらいは<br>
こんな風にごろごろ過ごして貰うのも構わないと私は思います。<br>
私はライアさんより、レオさんの方が頼もしいかな?<br>
<br>
お掃除も終わろうとしてた時のことです。<br>
突然、何かが私の側にバシッと投げ捨てられました。<br>
<br>
「きゃっ!?」<br>
「あ、それ捨てとけ」<br>
<br>
それはご主人様が読んでいた、今週発売の週間少年マガシでした。<br>
ご主人様は読み終わったら、大体ベッドの側に重ねて置きます。<br>
今日はどうして投げ捨てたんだろう?つまらなかったのかな?<br>
捨てておけという命令も、不機嫌そうでした。<br>
<br>
気になった私は、命令を聞かずにちょっとページをパラパラめくってみました。<br>
すると、マシナリー特集というカラーページが目に映りました。<br>
そこには私達のようなGH400シリーズの特徴や<br>
各種タイプに最適なマシナリー育成方法が書かれてました。<br>
<br>
<b>844 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/03(金)
18:40:40.88ID:CXAlTZqG</b><br>
特になんともないなぁ?<br>
そう思っていたら読者の声というコーナーがありました。<br>
ヤラセかと思える文章がそこに書かれていました。<br>
<br>
「GH410は簡単に作れるから魅力ナスwwwwwwwww」<br>
「GH410だけはありえないwwwwハンターならGH450wwっうぇww」<br>
<br>
私はすぐ分かりました、ご主人様はこれで不機嫌になったんだと。<br>
ご主人様は自分の主義に合わない事があると、こんな風になります。<br>
この間は、「槍と小剣以外、ありえない」で怒ってたなぁ…。<br>
元々行かなかった協力依頼も、それから一度も行かなくなっちゃったし…。<br>
<br>
GH450はレスタやアグディールというハンターに適したサポートをします。<br>
育成方法は大変だけど、見返りが大きいからハンターに大人気です。<br>
合成は私みたいなGH410には劣っちゃうけど、PCショップもあります。<br>
<br>
実際、マシナリーネットワークによると数多くのGH410シリーズが<br>
PMデバイスZEROを導入され、GH450に変えられているそうです。<br>
GH450自体が悪くはないのはご主人様も分かっているはずです。<br>
GH410を頭ごなしに否定した書き方に苛立ったんでしょう。<br>
<br>
「あの、ご主人様…」<br>
「なぁ、お前は幸せか?」<br>
<br>
私が何とか空気を変えなきゃと、恐る恐るご主人様に声をかけると同時に<br>
ご主人様も話し始めました。<br>
<br>
<b>845 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/03(金)
18:42:27.65ID:CXAlTZqG</b><br>
「…え? それはどういう」<br>
「アホ相手に質問するのは俺の役目だ、続けてよろしゅう御座いますか?<br>
つまりよ、GH410になってお前は幸せか?」<br>
<br>
私が答える前にご主人様は有無を言わさず続けます。<br>
<br>
「簡単に作れるわ、キモイと言われてるわ、愛着ないと言われるわ。<br>
そりゃ確かに進化したのはマシナリーがよく分からんかった頃だが、お前はどうなんよ」<br>
「………」<br>
<br>
私がGH410になって幸せかどうか…。<br>
私はレスタは使えても、連発できないしアグディールなんて使えない。<br>
ラガン討伐に行くと、大体ご主人様の足を引っ張ってしまう。<br>
タダ働きになってしまうから、私はラガン討伐にはついて行きません。<br>
私はいくら倒れても構わないけど、ご主人様がタダ働きなんて耐えられません。<br>
スターアトマイザーを使っても、製作費用を考えれば同じことになっちゃいます。<br>
<br>
合成に関しても、私は特別優れているわけではありません。<br>
打撃80法撃20という、特化ではない「やっちゃいました」的ステータスです。<br>
その数%の確率でご主人様に何度もモノメイトを差し出すのは、とても申し訳ないです。<br>
<br>
でも…。<br>
<br>
<b>846 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/03(金)
18:43:55.99ID:CXAlTZqG</b><br>
「私は…この身体になっても不幸だと思ったことなんてないです」<br>
「…ほう?」<br>
「この雑誌の言ってる事は間違いないです。<br>
私がGH450だったら、もっともっとご主人様の役に立てたかもしれません。<br>
ラガンだって、テレホマンだって何だってSランクで倒せたかもしれません。<br>
けど、今でもご主人様は色んな所に連れて行ってくださいます。<br>
それに私が合成で一生懸命作った武器を、使ってくれてます。<br>
私はそれだけでとっても幸せです。不幸だなんて…とんでもないです!」<br>
「…さいですか」<br>
<br>
ご主人様は、不機嫌そうな顔を変えないで天井を見つめ続けてます。<br>
こんな時、どうしたらいいんだろう…?モノメイトを出して和ませようかな?<br>
ああ、けど昨日合成に失敗したばかりだから余計に怒らせちゃうかもしれない。<br>
私は必死になって考えてました。<br>
<br>
「ご主人様、特別休暇も終わってますし出かけましょうよ!」<br>
「あー?」<br>
「嫌な事があったら、気分転換をするのが一番ですっ!」<br>
「そりゃいいが、何処によ?」<br>
「私、ミズラキの紅葉が見たいですっ」<br>
「却下致します」<br>
「ど、どうしてですかー」<br>
「ミミズ面倒だし、お前バータにだけは弱いじゃない」<br>
「たまにはパルム以外に行きましょうよー!」<br>
「やだ、メンドくせ」<br>
<br>
<b>847 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/03(金)
18:45:51.27ID:CXAlTZqG</b><br>
ううう、どうして私のご主人様はこんなに面倒臭がりなんだろう。<br>
気分転換も面倒臭がる人なんて、私は始めてです。<br>
私が別の手段を考えていたら、ビジフォンが鳴り出しました。<br>
ご主人様はベッドから動こうとせず、腕だけ伸ばして取ろうとしてます。<br>
その方が余計疲れるのに…。<br>
<br>
「あー、はいはい…じゃあいつもの場所で」<br>
「どちら様からですか?」<br>
「Kさんがニューデイズの木材をご所望になられております。<br>
そして我等のような前衛を数人募集しておられます」<br>
「と、言う事は…」<br>
「オラ、行くぞ。さっさと支度しな」<br>
「はいっ!」<br>
<br>
ニューデイズに到着後、Kさんに何度も御礼をしました。<br>
Kさんは何の事だか分からない顔をして、「どういたしまして」と言ってました。<br>
<br>
私はGH410、一番の量産型と言われるシリーズです。<br>
けど恥ずかしくなんてありませんし、恨んでもいません。<br>
GH410であることを堂々と誇りに思っています。<br>
<br>
<br>
<br>
恐らく、続く<br>
<br>
<b>904 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/04(土)
02:26:04.26ID:E0huS8+9</b><br>
私はGH410、今日はずっとお留守番です。<br>
ご主人様は数少ないお友達に誘われて、Aランクミッションに出かけました。<br>
本当なら一緒に行きたいけど、既に6人集まっちゃってるから今日は我慢です。<br>
その分、頼まれてた合成を頑張らなくちゃ!<br>
<br>
今日はムグングリの合成です。<br>
共用倉庫のフォルテガンナーさんに頼まれた物だそうです。<br>
最近、ニューデイズによく行くからカマトウズ専用らしいと言ってました。<br>
ご主人様のじゃないけど、主要素材はほぼこちらが出しているので<br>
失敗しない為にもよく確認して合成しなきゃ…。<br>
<br>
あれ、ケレセリンが変な色に光ってる…。<br>
<br>
ドゴォォォン チャラララーン<br>
<br>
………い、いや、これは何でもないですよ!?<br>
どうしよう、これで4回連続失敗だぁ…流石にご主人様怒るかなぁ?<br>
<br>
<b>906 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/04(土)
02:27:17.85ID:E0huS8+9</b><br>
失敗して出来上がっちゃったディメイトをじっと見つめていたら<br>
衝撃で棚から写真立てがカタンと落ちてきました。<br>
<br>
「あ、これは…」<br>
<br>
それは、ご主人様と私のツーショットでした。<br>
笑顔でピースサインをしている私と、面倒臭そうに立っているご主人様。<br>
こんな時くらい、肩に手を置いたりしてくれてもいいのに…。<br>
でも良かった、落ちた衝撃でガラスが割れたりしてなくて…。<br>
私の宝物であり、複製したもう1枚が私のナノトランサーの中にも入っています。<br>
これを撮ったのは確か、私がGH410になってすぐの事です。<br>
<br>
「そっかぁ、私が赴任してもう2ヶ月になろうとしてるんだなぁ」<br>
<br>
私の進化した日はとってもドタバタしてました。<br>
そう、あれはガーディアンズが一般市民からもなれるようになって<br>
人員不足が解消され始めた、一番騒がしかった頃です…。<br>
<br>
<b>908 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/04(土)
02:32:54.86ID:E0huS8+9</b><br>
-1ヶ月くらい前-<br>
<br>
「ムグムグ…」<br>
「むむ、こらもしかしたら今回でLv80になるんじゃないか!?」<br>
<br>
その頃の私はGH301、Lv75くらいでした。<br>
今は効率のいい餌の種類や、やり方も解明されてますが<br>
当時の私の主食は、ご主人様の余らせた回復剤が大半でした。<br>
そしてこの日、フルーツジュース等がとても効果的と判明したばかりです。<br>
<br>
「よーし、基板とベリーを買占めだ!」<br>
「ご、ご主人様…急ぎすぎてケガしないでくださいね~」<br>
<br>
ご主人様は全速力でコロニーの合成ショップに走っていきました。<br>
早すぎて自動ドアに激突しちゃわないかと、その時はハラハラでした。<br>
ようやく合成、倉庫以外でご主人様のお役に立てると思うと、<br>
私もワクワクしたものです。早く帰って来ないかな。<br>
<br>
私はその頃は部屋から外の世界を見たことがありませんでした。<br>
いつも眺めるのは、部屋の窓に広がる宇宙空間だけです。<br>
このグラール太陽系の3つの主要惑星も見えません。<br>
マシナリーの中には、主人の退役までずっと餌も与えられずに<br>
この窓の風景と部屋の模様を見るだけで、役目を終えるのも珍しくないそうです。<br>
私もご主人様の元に始めて赴任された時は、不安で一杯でした。<br>
でも私は幸運にも可愛がられて、外に出れる時が近付いています。<br>
この頃から、私はご主人様の事が大好きでした…。<br>
<br>
<b>909 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/04(土)
02:34:50.63ID:E0huS8+9</b><br>
「戻ったぞー」<br>
「御帰りなさいませ、お怪我はないですか?」<br>
「コロニー2Fに行くだけで怪我するバカがいるものかい。<br>
さぁ、基板とベリーだ。一気に追い込むぞ!」<br>
「はいっ!」<br>
<br>
パパーン<br>
<br>
「…で、何コレ?」<br>
「ブルースの軟膏です! ちょっと古いですね」<br>
「オイ」<br>
<br>
<br>
<br>
「Level UP!!」<br>
<br>
そして私は遂にGH410に姿を変えたのです。<br>
青い装甲がパカっと割れて、フォトンの翼が背中のリボンに変化しました。<br>
そして青い装甲の中から、人型の身体になってご主人様に挨拶をしました。<br>
<br>
「ご主人様、ここまで育ててくれてありがとうございます!<br>
私のパートナーカードです、どうぞお受け取りください!」<br>
「ほほう、こうやって連れ歩くのか。<br>
それもいいが、合成確率のチェックが先決だ!」<br>
<br>
ご主人様はワクワクしながら私のエントリー基板データを見ました。<br>
GH410は、打撃武器の合成が得意とカタログにしっかり載っていたからです。<br>
GH420も打撃武器が得意なんですが、GH420の作り方が判明した頃には<br>
私は既にGH410への進化しかなくなっていたようです。<br>
ご主人様の面倒臭がりは、情報集めでも変わりません。<br>
<br>
「70%…全然変わってないやんけ」<br>
「そうみたいです…。で、でも大丈夫な気がします!」<br>
「まー変わってたとしても今まで通り、成功するか失敗するかだしなぁ」<br>
「も、申し訳ありません…。データ不足で正確な情報が分からなくて」<br>
「いや、問題ないやろ。それよりも早速何処か行ってみようや」<br>
「はいっ!」<br>
<br>
<b>910 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/04(土)
02:36:27.55ID:E0huS8+9</b><br>
始めてのお出かけはニューデイズでした。<br>
その頃はGRM社もヨウメイ社も、B武器の量産にようやく成功したので<br>
まだ市販の武器は☆4、基板も☆5までしか販売されてませんでした。<br>
GRMソードはダサいということで、ご主人様はキヤロウドを使ってました。<br>
そのキヤロウドの作成の為に、ニューデイズによく行ってたのです。<br>
<br>
「わぁー、綺麗ですねー」<br>
「んー、ここの敵面倒臭いから気ぃつけろよ。<br>
つーかなんでお前、俺よりLv10も高いのよ?」<br>
「ええっと、ご主人様の足手纏いにならない為にも<br>
マシナリーは主人よりも高めのライセンスを与えられるんです」<br>
「ふーん…まぁ足手纏いよりゃ気楽でいいか」<br>
<br>
私が紅葉にうっとりしていたら、原生生物が出てきました。<br>
私は早速ハンゾウを取り出し、その原生生物に斬りかかろうとした時です。<br>
<br>
「ご主人様、どんどん行きましょ!」<br>
「いや待て、何そのソード」<br>
「これですか?これはGH410に支給されるハンゾウと言うソードです。<br>
まだこの武器はプロトタイプだから、マシナリーにのみ支給…」<br>
「それをよこせ。命令だ」<br>
「ええーっ!?む、無理ですよ。これはマシナリー専用ですから」<br>
「だまらっしゃい! ご主人様よりいい武器使う!<br>
こいつはメチャゆるさんよなぁぁぁぁ!!!!」<br>
「ご、ごめんなさい~!」<br>
<br>
その時のご主人様はとっても怖かったです。<br>
だって、キヤロウドをブンブン振り回して逃げる私を追って来たんです。<br>
冗談とか戯れとかそんなのじゃなく、もっと恐ろしい物の片鱗を感じました…。<br>
原生生物のアギータは呆然としながら私達を見つめてました。<br>
「何しにきたのアンタ等」って視線がとっても痛かったです。<br>
<br>
<b>911 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/04(土)
02:38:24.18ID:E0huS8+9</b><br>
その後も、ミミズの攻撃でダメージを食らわず<br>
アグディールの効果も受けない私を、ご主人様はじーっと見つめてました。<br>
私を褒めてくれるわけじゃなく、まるで化け物を見るような目付きでした。<br>
私達はキャストに属するから、ビーストのご主人様よりは防御力は上です。<br>
でもこの違いは何だって、道端で何度も問い詰められました…。<br>
<br>
「マシナリーがいればガーディアンズいらなくないかね」<br>
「そんな事ないですよー、ご主人様がいなければ私はここまで育ってませんから」<br>
「融通が効かないもんやね、ガーディアンズってのは」<br>
「でも、もし兵器として生まれてたらこんな風景を楽しんだりも出来てなかったかも。<br>
だから私はガーディアンズが融通が効かない方が…」<br>
<br>
その時、ミミズの反応がご主人様の足元にありました。<br>
ご主人様もすぐに気付いた様ですが、回避には間に合いません。<br>
私は危ないと言う前にハンゾウを握り締め、そのミミズに全力で飛び掛りました。<br>
<br>
「これがっ、パートナーの実力よぉっ!」<br>
<br>
ギャリギャリギャリ<br>
<br>
何とか出てくる前に、ミミズは真っ二つになりました。<br>
その時私は、まだ支給されていないPAのスピニングブレイクを使いました。<br>
<br>
「ご主人様、ご無事で何よりですー!」<br>
「いや、今のは何ですか」<br>
「え? 今のは私の必殺技でスピニングブレイク…」<br>
「頼む、教えてくれ。つーか教えやがれ。お願いします」<br>
「ええ~っ!?」<br>
<br>
その時、ご主人様は土下座してました。<br>
無理だって諦めてもらうのに1時間は使ったのを覚えてます。<br>
今でも何度か、教えろって言われます…。<br>
ガーディアンズ本部、お願いします。早く一般支給してあげて下さい。<br>
このままじゃ、次はどんな風に教えろと言われるか分かりません。<br>
この前は、レオ教官達は不正ライセンス所持だから訴えてやるって<br>
ガーディアンズ本部に完全武装で駆け込もうとしたくらいです…。<br>
<br>
<b>912 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/04(土)
02:40:58.44ID:E0huS8+9</b><br>
-現在-<br>
<br>
「懐かしいなぁ…あの頃からご主人様は変わってないな、くすくす」<br>
<br>
プシュー<br>
<br>
あ、ご主人様が帰ってきました。<br>
私は写真立てを元の場所に戻して、お出迎えに行きました。<br>
もう落ちてこないように、しっかりと固定して。<br>
<br>
「御帰りなさいませ、ご主人様!」<br>
「オウ。何だニヤニヤして、変なモンでも食ったか」<br>
「ちょっと前の事を思い出してたんです」<br>
「あ、そ。ところで代理合成はどーなったよ?」<br>
「え!?」<br>
<br>
そういえば合成が失敗していたのをすっかり忘れてました。<br>
私はその後、怒られるのを覚悟でディメイトを差し出しました…。<br>
<br>
<br>
<br>
ネタがあれば続く<br>
<br>
<b>947 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/04(土)
09:02:37.59ID:E0huS8+9</b><br>
私はGH410、今日はビジフォンが鳴りっぱなしです。<br>
差出人はあの苦手なライア教官…ご主人様は切れと言いますが<br>
切ってもすぐにかけ直されるのが1時間は続いています。<br>
ここまで来ると、命令とか抜きで大迷惑です…。<br>
これがたまに耳にする「イマイ現象」というのでしょうか?<br>
<br>
内容は簡単でした。<br>
モトゥブの研修許可が出てから、ご主人様は一度も研修に出てません。<br>
ライア教官が痺れを切らしていて、さっさと出て来いという内容でした。<br>
文末に曲がった事と嘘が大嫌いだとありますが、関係あるのかなぁ…?<br>
私はビジフォンの端末配線を引っこ抜いて、ご主人様に尋ねました。<br>
<br>
「ご主人様~、研修に出なくていいんですか?」<br>
「俺は元々レオのオッサンの研修生だからいいんだよ」<br>
「でも、もう何日もこの状態が続いてますよ~」<br>
「他人のケツ拭きをする趣味はねぇの」<br>
「ケ、ケツ…///」<br>
<br>
ご主人様から聞いた最初のニューデイズ研修の話だと<br>
ご主人様は話すことも勝手に歩くことも一切禁じられたようです。<br>
ライアさんに戦えと言われて、ようやく行動制限が取れたそうです。<br>
けどライアさんは双爪で踊ってるだけで、実際はほとんどご主人様のお仕事。<br>
だけど賞賛されるのはライアさんだけみたいです。<br>
<b><br>
948 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/04(土)
09:03:41.82ID:E0huS8+9</b><br>
確かにこれって、納得が行かないのも分かる気がします…。<br>
けどケツ拭きって…///<br>
<br>
「あれ…それじゃあいつも一緒にいる私は…!!??」<br>
<br>
え、え、えぇ~っ!!??<br>
ごごご、ごしゅじんさまがわわわ、わたしにそんなことを!!??<br>
ややや、やだ、そんなこと、えええ、えっちなのはいけないとおもいます!!<br>
でで、でもでも!めいれいならしたがわなきゃいけない…。<br>
そそそそれに!!ましなりーにはもともとそういうきのうがあるっていうし…。<br>
こここ、このままいけばごしゅじんさまといっしょになれるのかな!!??<br>
どどど、どうすればいいんだろう!!??わ、わわわわ~!!!!<br>
<br>
「…何してんの?」<br>
「わわわ、わたしは、ごしゅじんさまがどどど、どうしてもっていうなら!!!///」<br>
「…ハァ?」<br>
<br>
今日は珍しく、晩御飯はご主人様が作ってくれました。<br>
アンチメイトの味しかしなかったのは気のせいだと思いたいです。<br>
<br>
<br>
<br>
素材が集まれば続く<br>
<b><br>
26 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/04(土)
16:20:54.10ID:E0huS8+9</b><br>
私はGH410、とあるガーディアンのマシナリーをしてます。<br>
マシナリーの相性は、その役割と語呂の良さから「パシリ」ですが<br>
私のご主人様は、絶対にパシリという言葉を使いません。<br>
<br>
「ご主人様、お待たせしました~。<br>
今日の晩御飯はオルアカスモーク、モトゥブ風味です」<br>
「ほう、新作か」<br>
<br>
私の仕事は他のマシナリーと変わらず、ご主人様の身の回りのお世話です。<br>
炊事洗濯、お部屋の掃除、倉庫、合成、そしてお望みとあらば一緒に戦います。<br>
正にパシリという言葉が相応しいのですが、どうして使わないのでしょう?<br>
いい機会だから聞いてみる事にしましたっ。<br>
<br>
「ご主人様、私達マシナリーの相性はパシリですよね」<br>
「ん」<br>
「ご主人様はどうして、パシリって言わないんですか?」<br>
「気に入らねぇから」<br>
「気に入らないから、ですか?」<br>
「俺はそういうのは主義じゃないからな。<br>
それに、お前はパシリさせる為に育てたんじゃあねぇ」<br>
<br>
え、これってもしかして…。<br>
ご主人様は私をとても大事な存在と見てるからパシリって言わないの?<br>
わわ、どうしよう、とっても嬉しいなぁ…でもそれってそれって!!<br>
ご主人様にとってわたしはだいじなそんざいだから、それって…<br>
<br>
<b>27 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/04(土)
16:21:46.43ID:E0huS8+9</b><br>
こいびと!?<br>
わわー、どうしようー!!そうだったらわたし、わたし…。<br>
<br>
「そそ、それって…」<br>
「どっちかっつーと合成マシンだよな」<br>
<br>
チャラララーン(ディメイト)<br>
<br>
「いや、その他もやっとるから便利な掃除機ってとこか?」<br>
<br>
チャラララーン(モノメイト)<br>
<br>
「いや冗談だけどよ。<br>
パートナーをパシリよわばり出来るものかい。<br>
ってオイ、聞いてるか? 戻ってこーい」<br>
<br>
わたしはそうじきそうじきそうじきそうじき…。<br>
<br>
その深夜、私はA武器合成をわざと失敗させました…。<br>
ごめんなさい、ご主人様。GH410は悪い子です…。<br>
<br>
<br>
<br>
続くんじゃねぇ?<br>
<br>
<b>66 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日:
2006/11/04(土)21:15:15.30 ID:E0huS8+9</b><br>
私はGH410、最近もパルムばかりなので<br>
たまにはミズラキに連れて行ってほしいです…。<br>
<br>
「ふむふむ…これを言えばたまにはミズラキに連れて行ってくれるかなぁ?」<br>
「オーイGH410、支度しろい」<br>
<br>
「パパとママの愛情が足りなかったのか、貴様?」<br>
「思考回路がショートしたか、貴様!?」<br>
<br>
「え、え?」<br>
「クソガキが! 話題を振るだけ振って<br>
相手のノリに付き合う外交儀礼もない奴!じっくり可愛がってやる!」<br>
<br>
「あ、あわわわわ」<br>
「この期に及んで媚び巻いてみろ、クビ斬り落としてクソ流し込むぞ!」<br>
<br>
「ごごご、ごめんなさい~(泣」<br>
「やりすぎたか? つーか何処でそんなもん覚えてきた?」<br>
<br>
<b>163 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/05(日)
10:26:27.90ID:mIdL9EK3</b><br>
私はGH410、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。<br>
<br>
今日は星霊様のお導きもあるので、集中的な素材集めをする事になりました。<br>
必要最低限の武器防具、たくさんの愛情を込めて作ったお弁当、<br>
そして無事に素材が見つかりますようにというお願いを用意して出発です。<br>
<br>
今日の野営基地までの通路は、シャグリースばかり出てきました。<br>
一度飛ばれると、ご主人様じゃないと撃ち落せないから大嫌いです。<br>
<br>
「ったく、面倒な野郎だ…!」<br>
<br>
ご主人様はブドゥキ・レイを発砲しながら走って近付きます。<br>
普段はソードで一気に薙ぎ倒すのですが、今日はセイバーハンドガンでした。<br>
歩かなくてもかなり正確に撃てるのはご主人様の得意技の1つです。<br>
シャグリースは苦い顔で弾を受けながらも、正面に迫ったご主人様を横に避け<br>
そこから炎を纏った突進を仕掛けようとしました。<br>
<br>
「ケーッ」<br>
「…フン、それを待っていた!」<br>
<br>
バシュッ<br>
<br>
ご主人様はそこにすかさず、もう片方の手に持っていたセバ・デラダで<br>
ライジングストライクを放ち、シャグリースの炎を纏った頭を<br>
身体を捻らせながら避け、その首を斬り落としました。<br>
首から先が無くなり、大量の血を噴出しながら大きな身体が地面に落ちます。<br>
血がなくなるまで痙攣しているその肉塊に、トドメの刃を刺し込み<br>
ご主人様は次のシャグリースに向って走り出していました。<br>
<br>
「わぁ…私だってお役に立たないと!」<br>
<br>
私もハンゾウの長い射程を活かして、シャグリースを叩き落そうとするも<br>
間一髪の所で空に飛ばれてしまいました。だから嫌いなんです。<br>
それは、私を馬鹿にするように笑いながら息を吸い込み始めます。<br>
<br>
「わ、笑いましたねぇ~!!」<br>
<br>
ドゴォォォォォン ガサガサッ<br>
<br>
私はその鳴き声でついカッとなってしまい、<br>
がむしゃらにスピニングブレイクを叩き込みました。<br>
息の吸い込みで動けないシャグリースは回転する刃に巻き込まれて<br>
そのまま木々の中に吹き飛ばされて行きました。<br>
<br>
「やっちゃいましたっ」<br>
「教えろ、さもなきゃ訴える」<br>
「…わ、私もそうしたいのは山々ですが無理な物は無理です~」<br>
<br>
<b>164 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/05(日)
10:27:27.74ID:mIdL9EK3</b><br>
そんなこんなで、野営基地に辿り着きました。<br>
<br>
「ったく、トンだ通路を選んじまった。最初から前途多難だ」<br>
「たくさんいましたねー、でもその分だけ素材が一杯出るんだと思いますよ!<br>
出発前に、私がたくさんお部屋のラッピーにお祈りしましたから!」<br>
「おー、そりゃ頼もしい事で」<br>
<br>
ご主人様は笑いながらフォトンチャージャーに向いました。<br>
酷いなぁ、ご主人様の為に早起きしてお祈りしてたのに~。<br>
私達の部屋のラッピーオブジェは、周りにトウロが設置されてたりして<br>
<br>
□ ■ □<br>
□ □<br>
<br>
■=ラッピー □=トウロ<br>
<br>
まるで古代歴史教本に出てくる神殿のような作りになっています。<br>
他には、それをパノンに置き換えたパノン神殿や<br>
男性キャストさんが座っている「箱」神殿というのもあるらしいです。<br>
でも、どんなオブジェでも私の方が可愛いのは間違いないです。<br>
<br>
そしてGRMショップに、原生生物が落とした殉職ガーディアンズの<br>
形見の武器を売り払い、ラフォン・レリクスに行こうとしたその時でした。<br>
私達を見て、ヒソヒソと話している男性ニューマンと男性キャストがいました。<br>
その嫌そうな表情から、あまり良くない事を話しているのは明らかです。<br>
<br>
「…なんでしょう、あの人達」<br>
「ほっとけ」<br>
<br>
<b>165 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/05(日)
10:28:58.87ID:mIdL9EK3</b><br>
私の疑問を即答で払い除けたご主人様は、<br>
ラフォン・レリクス調査任務を受ける為にカウンターに向いました。<br>
私も追いかけて入ろうとした時、その2人組はわざと聞こえるように話し始めたんです。<br>
<br>
「あのクソ犬、コロニーでソード使ってたクズだよな」<br>
「あの時は不愉快ったらないぜ!<br>
フォース様である俺の側に敵をフッ飛ばすんだからよ!」<br>
「…!」<br>
<br>
私はその言葉で足を止めました…。<br>
それは明らかに、生粋のソード使いであるご主人様の悪口その物です。<br>
光34のハンゾウが完成した時、その属性値に驚きながら<br>
嬉しそうにプラント奪還任務へ試し斬りに行ったのを覚えてます。<br>
そうか、私を連れて行かなかったのは協力任務だったからなんだ…。<br>
<br>
「オイ見ろよ、アイツのパシリGH410だぜ?」<br>
「ッハハハハ!飼い主がクズならパシリも役立たずかよww」<br>
「課金開始したらどーせ消えるんだろ?それまでの我慢だぜwwww」<br>
<br>
私の足は、既にその2人組の方に向ってました。<br>
もう我慢できなかった。<br>
私が馬鹿にされるのは構わない。<br>
けど、ご主人様が馬鹿にされるのは許せない!<br>
あんなに強くて、意地悪だけど可愛がってくれるご主人様を!<br>
ほっとけと命令されたけど、例え総帥命令でもこれだけは聞けない!<br>
<br>
「………」<br>
「お、何だこの役立たず」<br>
<br>
その時、私は半分涙ぐんでいました。<br>
それは恐怖からか、ご主人様を馬鹿にされたことの怒りかは今でも分かりません。<br>
<br>
<b>166 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/05(日)
10:30:22.80ID:mIdL9EK3</b><br>
「…謝ってください」<br>
『ハ?』<br>
「…ご主人様に、謝ってください!」<br>
「wwwwうはwwwっうぇwwwwwwwwww」<br>
「wwwwっうぇwwwちょwwwwおまwwwww」<br>
<br>
その2人は言葉にならない笑い声を出してお腹を抱えてました。<br>
私は謝ろうともしないその態度に、更に握り拳を怒りで震わせました。<br>
<br>
「な、なにがおかしいんですか!!」<br>
「ありえねーwwww<br>
お前よ、俺達は被害者なのよ? あの糞HUの見境ないPAで<br>
俺のようなFO様は大迷惑すんのよ?分かりまちゅかーwww」<br>
「HUは黙って槍か双小剣使えってのwww<br>
ウロウロするだけでパシリよか使えねーしよwww」<br>
「そ、それはアナタ達が勝手なだけでしょう!!<br>
吹き飛ばしたらしばらく起き上がれないんだから、逃げればいいじゃないですか!<br>
それに、攻撃を受けないように動くのが戦闘の基本なんじゃないんですか!<br>
そんな一方的に言うだけのアナタ達に、ご主人様を悪く言う資格なんかない!」<br>
『wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww』<br>
<br>
全く相手にされてない。<br>
けど止められない、止まらない、何よりも止めたくなかった。<br>
止めたらこの人達の勝手な言い分を認めることになっちゃうから。<br>
<br>
ご主人様の戦い方が、ちょっと変わってるのは私が一番よく知ってる。<br>
ソードは重くて素早く振れないから、敵の後ろから攻撃をしていかないと<br>
反撃されちゃう、それを知っているからご主人様は必ず後ろに回るって。<br>
任務が終わってから、いつも机で敵の行動パターンをデータから算出して<br>
どうやれば、時間はかかっても確実に無傷で戦えるかを必死で研究してるって。<br>
ご主人様は内緒にしてるみたいだけど、私は寝たフリをして見たことがあるから知ってる。<br>
そんなご主人様の努力を、この人達は一部賛同することなくただ全否定した。<br>
<br>
その時は、もう自分が何をしているのか全然分からなかった。<br>
排熱量が今までにない数値になり、私の顔は真っ赤に染まっていた。<br>
<br>
「謝れっ!! ご主人様に謝れぇっ!!!」<br>
「あーもういいから、もう飽きたから死ねよwww」<br>
<br>
男キャストが、ラストサバイバーでレンカイブヨウザンを放とうとしていた。<br>
でもその時の私は温度急上昇により正常な認識が出来ず、避けようともしなかった。<br>
<br>
<b>167 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/05(日)
10:31:43.35ID:mIdL9EK3</b><br>
バチィッ<br>
<br>
「うわらば!?」<br>
「…!?」<br>
<br>
その男キャストのラストサバイバーは、任務を受ける為の手続きを終えて<br>
カウンターにいなかった私を溜息混じりに迎えに来たご主人様のハンゾウで<br>
私のほんの目の前で止められていました。<br>
その時になって、私はようやく自分の置かれている環境に気がつきました。<br>
<br>
「悪かったね、うちのバカが迷惑かけて」<br>
<br>
ご主人様はそう言って、少しだけ頭を下げてから<br>
私の頭を大きな手で力強く掴み、ラフォン・レリクス方面のカウンターに向って歩き出しました。<br>
私は髪の毛を引っ張られて「痛い、痛いです」と涙ながらに訴えました。<br>
けどご主人様は私の方を見ず、ただカウンターまで歩きました。<br>
<br>
「ウホッwwwwwwいい男wwwwww」<br>
「やwwwらwwwなwwwいwwwかwww」<br>
<br>
その2人組は私達の後姿を見て、見えなくなるまで大笑いしてました。<br>
私は髪の毛を引っ張られながらも、精一杯の怖い顔で睨みつけました。<br>
<br>
「…ほっとけって言っただろ」<br>
「でも…! あの人達が勝手に…」<br>
「黙れ」<br>
<br>
その時、ご主人様は今までにない怖い顔で私を睨みつけました。<br>
私はびくっとしてしまい、がたがた震えながら動けなくなってしまいました。<br>
ご主人様はビーストだけど、面倒臭がりだから滅多に怒ったりしません。<br>
そんなご主人様の睨みは、今まで見たどんな原生生物より怖かったです。<br>
<br>
「…ああいうのはな、付き合うだけキリがねぇんだよ。<br>
付き合えば付き合うだけ、俺とお前はもっとバカにされる。<br>
そして気がつけば要注意人物、要注意パシリのお仲間入りよ。<br>
俺はもう慣れてるからいいが、お前がそうなったらどうすんだ?」<br>
「………」<br>
<br>
ご主人様は、何処か悲しそうな顔に変わりました。<br>
怒った顔と同じで、ずっと一緒にいる私でも始めて見る表情。<br>
<br>
<b>168 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/05(日)
10:33:25.62ID:mIdL9EK3</b><br>
「少しの間だけ無視すりゃ、つまんねぇ奴だと放置されるようになる。<br>
そうすりゃ、もう不愉快な思いをしなくても済むようになる。<br>
そして協力任務に行かなけりゃ、もう同じような事はなくなる。<br>
お前のそんな見ちゃいられん顔、何度も見せられる俺の立場にもなれよ?」<br>
「………」<br>
「それにほれ、奴等はブラックリストに追加したからもう何も聞こえんぜ?」<br>
<br>
ご主人様は、急にニヤリと笑ってその2人がの名前が載った<br>
ノート型ディスプレイを私に見せてくれました。<br>
私はその顔で緊張の糸が切れてしまい、ご主人様に抱き付いて泣きました。<br>
ご主人様のクサタリカベストが汚れるのに、大泣きしちゃいました。<br>
<br>
「ご…ごめんなざい…ヒック…ごめんなざいぃ~~」<br>
「だー、しょうがねぇな…枯れるほどにたっぷり泣いたら素材集めに行くぞ」<br>
「…うぇぇぇぇぇぇん…」<br>
<br>
私は、カウンターの女性キャストに迷惑そうに見られてるのも構わず<br>
ご主人様に謝りながら、ずっとずっと泣き続けました…。<br>
<br>
私はご主人様を馬鹿にされた事が許せませんでした。<br>
けど、命令を無視して勝手にあの2人組を相手にしたことで<br>
滅多に怒ったりしないご主人様を怒らせてしまいました。<br>
なんて馬鹿な事をしてしまったんだろう、なんて私は馬鹿なんだろう。<br>
ご主人様の「慣れてるからいい」という言葉がとても気掛かりですが<br>
私はもうちょっと大人にならなきゃと、誓いました。<br>
誰から見ても大人になれた時に、ご主人様に聞いてみたいと思います。<br>
一体私の知らない所で、何があったのかを…。<br>
<br>
その後の素材集めは、星霊様のお導きのおかげか<br>
たくさんの鉱石、両手剣専用金属が拾えました。<br>
今日の事を忘れない為に、今までで一番の頑張りで臨みたいです。<br>
<br>
<b>511 名前: あるGH410の話 1/5 [sage] 投稿日:
2006/11/07(火)17:19:38.60 ID:bhLMP9tF</b><br>
私はGH410、今日も今日とてお留守番でした。<br>
今日はお掃除も晩御飯も、頼まれていた合成もバッチリです!<br>
万全の状態で、帰って来たご主人様をお出迎えします。<br>
<br>
プシュー<br>
<br>
「御帰りなさいませ、ご主人様!<br>
Sランク任務の下見はどうでしたか?」<br>
「ん、やっぱ一筋縄ではいかんね。<br>
だがこまめに補給に戻ればお前と一緒でも大丈夫そうだ」<br>
<br>
ご主人様はそう言いながら、ドレッシングルームに入っていきました。<br>
私はその間に手渡された合成素材を倉庫にしまい、<br>
今日の報酬金額やパートナーカードのチェックをしていきます。<br>
<br>
すると珍しく、新しいカードが1枚追加されていました。<br>
<br>
「ご主人様、協力型任務に行かれたのですか?」<br>
「協力でも稼げると聞いたんでな、どんなもんかついでに見てきた」<br>
「それで珍しくカードが追加されていたのですね」<br>
「…あー、それか。<br>
いらねーっつったのによ、あのアマ…」<br>
<br>
ピクッ<br>
<br>
私はそのご主人様の言葉を聞き逃しませんでした。<br>
<b><br>
512 名前: あるGH410の話 2/5 [sage] 投稿日:
2006/11/07(火)17:20:27.54 ID:bhLMP9tF</b><br>
「…アマ?」<br>
「劣等種のフォルテクターでな。<br>
やたらしつこいんで、とりあえず貰っておいた」<br>
「…ヒューマンのフォルテクター、ですか」<br>
「んなことよりメシ食うぞ、メシ」<br>
<br>
私はその後、食宅でご主人様の話を聞きながら<br>
さりげなくそのフォルテクターがどんな人物であるかを聞き出しました。<br>
<br>
そのフォースの女性は巷で言う「チビロリ巨乳」らしく<br>
喋ってばかりで攻撃しない、避けないと困った人だったそうです。<br>
フォローするのが大変だったと、ご主人様が不満を漏らしていました。<br>
<br>
ミッション終了後、大体は社交辞令とも言うべきカード交換が行われます。<br>
ご主人様はどうせ呼びも呼ばれもしないということで、普段から貰うのも拒否していますが<br>
そのフォルテクターの女性から、どうしても受け取ってほしいとしつこく言われてしまい<br>
仕方なしに媚び媚びの紹介文が書かれたカードを受け取ったそうです。<br>
<br>
久々の自信作だった、コルトバヌードル味噌バター味も今日は味がしませんでした。<br>
私はただ、そのフォルテクターのことを聞き出すことに夢中でした。<br>
<br>
<b>513 名前: あるGH410の話 3/5 [sage] 投稿日:
2006/11/07(火)17:21:53.80 ID:bhLMP9tF</b><br>
-その日の深夜-<br>
<br>
モギモギ<br>
<br>
「うん、やっぱりA武器は最高ね」<br>
<br>
そのGH450は、頼まれていたウルアテリが成功したにも関わらず<br>
ご満悦な表情を浮かべながら貪っていた。<br>
<br>
「これも全て、リドルラをくれなかったのが悪いんですよ」<br>
<br>
どうやら主人がアガタ・レリクスでリドルラを発掘したらしい。<br>
渡された直後に食うつもりで見せてほしいと頼んだが<br>
即座に拒否された事を恨んでの行動のようだ。<br>
しかしリドルラを食うことに成功していたとしても、このGH450が<br>
ウルアテリを食っていたであろう事はガーディアンズ諸君なら分かるであろう。<br>
<br>
主人が寝ているのを他所に、更に貪り続けていると突然ドアが開いた。<br>
<br>
「…はっ!? い、いらっしゃいませ」<br>
「えいっ!」<br>
<br>
パクッ<br>
<br>
GH450は慌てて半壊したウルアテリを隠し、接客に応じようとするも<br>
条件反射で投げつけられたモノをついつい、犬のようにくわえた。<br>
その投げつけられたモノが、PMデバイスZEROとも知らずに。<br>
<br>
「ごちそうですね…アッー!!」<br>
<br>
GH450はすっかり、元の赤球のGH10に戻ってしまった。<br>
<br>
<b>514 名前: あるGH410の話 4/5 [sage] 投稿日:
2006/11/07(火)17:22:59.82 ID:bhLMP9tF</b><br>
「これで邪魔者はいませんねー。<br>
非戦闘型なら、何も出来ないですし」<br>
<br>
ズバッ<br>
<br>
GH101は真っ二つに斬られ、地面に転がった。<br>
部屋のセキュリティカメラは全て破壊され、この部屋は監視が全くない状態にある。<br>
隠さんでもバレバレだと思うが、声の主は寝ている主人のベッドに近付いた。<br>
手にしている獲物でグイグイと頬を押して、完全に寝ていることを確認する。<br>
<br>
「命までは取りません。<br>
ただ、ちょーっとガーディアンズをやめてもらいますから…」<br>
<br>
声の主はナノトランサーからカメラを取り出すと<br>
ベッドの上に乗り、寝ている女性の服を全て剥ぎ取り出した。<br>
身を護る物が何もない女性の姿を、あらゆる角度から満遍なく撮影する。<br>
<br>
「これも全て、私のご主人様に近付こうとするのが悪いんですよ」<br>
<br>
カメラの容量を使いきり、服を元に戻すと声の主は邪悪な笑みを浮かべながら部屋を後にした。<br>
いやまぁ、隠さなくても既に分かってるだろうけどお約束ということで勘弁してほしい。<br>
<br>
<b>515 名前: あるGH410の話 5/5 [sage] 投稿日:
2006/11/07(火)17:24:13.81 ID:bhLMP9tF</b><br>
-更に3日後-<br>
<br>
『次のニュースです。<br>
本日未明、パルム草原で自殺した女性の遺体が見つかりました。<br>
この女性はガーディアンズ所属の○○さん24歳と身元が確認されています。<br>
調べによりますと○○さんは、自分の裸の盗撮写真を掲示板サイトに貼り付けられ<br>
そのショックで自殺に走ったと思われます』<br>
<br>
「ん、こりゃこの前のフォルテクターじゃねぇか」<br>
「怖いですねー…盗撮写真だなんて」<br>
<br>
やりすぎちゃったかな…。<br>
ちょっと表社会から消えてもらうだけのつもりが、自殺までしちゃうなんて。<br>
<br>
けどこれも全て、ご主人様に不用意に近付くのが悪いんです。<br>
結果良ければ全て良しということで、私は密かにガッツポーズを取っていました。<br>
勿論、ご主人様には見えないように。<br>
<br>
<b>625 名前: あるGH410の話 1/6 [sage] 投稿日:
2006/11/08(水)09:46:20.45 ID:CBsJwSTC</b><br>
私はGH410、とあるガーディアンのマシナリーをしてます。<br>
今日はご主人様とコロニーでお買い物、まるでデート気分です♪<br>
<br>
「木材変換基板、金属変換基板、それと今週のマガシ…。<br>
買うべきもんは大体買い揃えたよな」<br>
「はい、リストを確認しましたが問題ないです」<br>
<br>
こっそり、パシ通も買ってますが極秘出版なので内緒です。<br>
この雑誌は、ご主人様に発見されればそのマシナリーは<br>
ご主人様もろとも、謎の集団に社会的抹殺を受けると聞いています。<br>
幸い、私のご主人様は面倒臭がりなので隠すのは簡単です。<br>
<br>
「よし、そろそろ帰るか」<br>
「ご主人様、今日の晩御飯は何がいいですか?」<br>
「ん、コルトバカツサンドで」<br>
<br>
帰り道で、他愛のない話をしていると<br>
ルームグッズショップの手前で、何かもめている2人組がいました。<br>
そこには1人の女性と、猫耳をつけたGH420-通称ニャンポコ-
が。<br>
<br>
<b>626 名前: あるGH410の話 2/6 [sage] 投稿日:
2006/11/08(水)09:47:12.30 ID:CBsJwSTC</b><br>
「ご主人様ー! いいじゃニャいですかー!」<br>
「…いや、よりによってコレはないと思うんだけど」<br>
<br>
どうやら、その女性はGH420におねだりをされているようです。<br>
女性はそのGH420が指差すオキク・ドールを見て凄い微妙そうな顔をしています。<br>
い、一体どうしてあのGH420はオキク・ドールがほしいのかな?<br>
私もその女性と同じように、よりによってそれはないと思いました。<br>
<br>
その2人組のやりとりは、道を歩くガーディアンズからは<br>
微笑ましい表情で見つめられていました。<br>
羨ましそうに見つめて立ち止まり、GH450に急かされるキャストさん。<br>
女性の方をまじまじと眺め、GH440に散弾銃の柄でぼかぼか殴られる男性さん。<br>
単にGH420さんが好きで、その駄々をこねる姿で吐息を漏らすその他大勢。<br>
<br>
「…何か、大変そうですね」<br>
「羨ましい限りだな」<br>
<br>
羨ましい?<br>
<br>
「羨ましい?」<br>
「単なる独り言だ」<br>
<br>
ご主人様は羨ましい理由を話してくれませんでした。<br>
その時は私も、大して気にはしていなかったんです。<br>
ところが、その日の深夜…。<br>
<br>
<b>627 名前: あるGH410の話 3/6 [sage] 投稿日:
2006/11/08(水)09:48:13.65 ID:CBsJwSTC</b><br>
-その日の深夜-<br>
<br>
今日は任務もなかったので、作業もなくのんびりと過ごせます。<br>
私はご主人様が寝ている横で、パシ通をパラパラとめくっていました。<br>
<br>
「ご主人様にばれない合成品の食べ方…みんなよくこんなことできるなぁ」<br>
<br>
最近、マシナリーの間ではモノメイト捏造が流行っているようです。<br>
私も一度だけ、捏造しちゃった事がありますが投稿者達は更に凄く<br>
主人の全財産をかけた合成であっても、躊躇いなく食べるそうです。<br>
<br>
A武器ってそんな美味しいのかな?<br>
今度ご主人様に、使ってない無属性ハンゾウをお願いしてみようっと。<br>
そんな事を考えながら読んでいると、とある見出しが目に入りました。<br>
<br>
『ニャンポコ特集-猫耳でご主人様のハートを掴め!-』<br>
<br>
「…猫耳」<br>
<br>
その時、私は買物の時のご主人様の言葉を思い出しました。<br>
「羨ましい限りだ」、と。<br>
もしかしてご主人様は、この猫耳が羨ましいのでしょうか?<br>
ご主人様はビーストだから、こういう耳が好みなのもある意味納得です。<br>
<br>
「…よしっ、私だって」<br>
<br>
<b>628 名前: あるGH410の話 4/6 [sage] 投稿日:
2006/11/08(水)09:48:56.56 ID:CBsJwSTC</b><br>
-次の日-<br>
<br>
「…ァー、よく寝た」<br>
<br>
起床時間になり、ご主人様がベッドから起き上がるのを見て<br>
私はぴょんと飛び出しながら、元気一杯に挨拶をしました。<br>
<br>
「おはようございますにゃ! ご主人様!」<br>
<br>
ご主人様の目の前には、付属オプションパーツの猫耳と猫手袋をつけた私がいます。<br>
喜んでもらう為に、朝が明ける前にGRM本社に行って買い揃えてきたものです。<br>
私はその後の期待を膨らませて、ご主人様の顔を再度確認しました。<br>
喜んでくれるかな? そして今以上に…わわ~///<br>
<br>
「………」<br>
<br>
あ、あれ?<br>
喜ぶどころか驚くどころか、ドン引きの眼差しが向けられているような…。<br>
<br>
「今度は何の真似ですか」<br>
「…あ、あれ? …いや、その~」<br>
<br>
ご主人様の冷たい視線が突き刺さります。<br>
私が猫っぽい仕草を取っても、その冷たい視線は納まりません。<br>
この時点で私は、失敗したという思いが頭を支配していました。<br>
<br>
<b>629 名前: あるGH410の話 5/6 [sage] 投稿日:
2006/11/08(水)09:50:38.26 ID:CBsJwSTC</b><br>
「つまり俺を喜ばせる為に勝手にそんなもんを買ってきたと」<br>
「ごめんなさい…」<br>
<br>
私は正座させられ、ご主人様に問い詰められていました。<br>
喜んでもらうどころかまた怒らせてる…またやっちゃいました。<br>
<br>
「あれは単に、微笑ましく見られてるのが羨ましいと思っただけだ。<br>
GH420と猫耳が好きなわけじゃねぇ、どちらかと言うと苦手だ」<br>
「ごめんなさい…」<br>
<br>
ご主人様はフゥー、と溜息を付いて私の頭に手をやりました。<br>
私がつけていた猫耳を取り外し、それを軽く上に投げながら話を続けます。<br>
<br>
よく分からない人の為に、ここで簡単に説明します。<br>
GH420はその育成条件から合成に特化できず、趣味要素の強いマシナリーです。<br>
そんな理由もあってか、所持者はマシナリーを本当に可愛がっていると言われています。<br>
<br>
私達GH410は、育成方法がとても簡単なので可愛がらずとも作れてしまいます。<br>
すぐ作れて、合成特化の個体が多い為に効率優先者の証と言われがちです。<br>
<br>
「もしGH420が好みだったら、お前とっくにPMデバイスZEROだぞ。<br>
気に入らない武器は全て使わない俺の性格を知らないわけじゃないだろ?」<br>
「ごめんなさい…」<br>
<br>
俯いている私を他所に、ご主人様はその猫耳を見つめています。<br>
<br>
<b>630 名前: あるGH410の話 6/6 [sage] 投稿日:
2006/11/08(水)09:52:26.88 ID:CBsJwSTC</b><br>
「…ま、話のネタにはなるな」<br>
「えっ?」<br>
<br>
顔を上げると、ご主人様はその猫耳を自分の頭の上に乗っけていました。<br>
私は強面のご主人様に猫耳というそのあまりにギャップの激しい組み合わせから<br>
思わず笑い出してしまいました。<br>
<br>
「…あ、あはははは。全然似合ってませんよ~」<br>
「何を笑うか! 説教の最中に無礼な奴め!」<br>
<br>
ペシっと、私にデコピンをしながら猫耳を取り外すご主人様。<br>
ご主人様の手は大きいので、デコピンは私には結構痛いです。<br>
けどそれが気にならないくらい、その光景は笑いが止まりませんでした。<br>
<br>
「ったく、次からは勝手な行動を慎むように!」<br>
「はーい、申し訳ありませんでした! …ぷぷっ」<br>
<br>
また、いつものように1日が始まります。<br>
こんな風に、何事もなく楽しいご主人様と一緒の日が続けばいいな。<br>
<b><br>
735 名前: あるGH410の話 1/9 [sage] 投稿日:
2006/11/09(木)13:33:52.01 ID:Unyap3Dc</b><br>
「わひゃあああああ!!??」<br>
<br>
私はGH410、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。<br>
朝一番から、何故こんな声をあげてしまったかと言いますと…。<br>
<br>
「…誰だ、朝っぱらから大声を出しているのはなげ!?」<br>
<br>
ご主人様が何事かと思い、声のしたインテリアルームを覗き込むと<br>
そこには地面に座り込んでがくがく震えている私と最近流行りのルームグッズ…。<br>
<br>
オキク・ドールがでんと飾ってありました。<br>
<br>
「ごごごごごしゅじんさま、これはななな、なんですか~!!??」<br>
「ななななんだ!?俺はこんな物買った覚えわないぞ!!??」<br>
<br>
ご主人様が警戒しながら恐る恐るオキク・ドールに近付くと<br>
そこには1枚のメモ書きが貼ってあり、こんなメッセージが書いてありました。<br>
<br>
『この間のヴァンダテロの仕返しです^^ from K』<br>
<br>
「………」<br>
「………」<br>
<br>
<b>736 名前: あるGH410の話 2/9 [sage] 投稿日:
2006/11/09(木)13:34:26.79 ID:Unyap3Dc</b><br>
「してやられた…」<br>
<br>
ご主人様はオキク・ドールの前でうな垂れていました。<br>
部屋の真中にでんと飾られたオキク・ドールはかなり迫力があります…。<br>
<br>
「ご主人様、そんなことしたんですか?」<br>
「いやー、ヴァンダオブジェ見て爆笑してたからついな」<br>
「でもおかげで、こんなのプレゼントされちゃいましたよ…」<br>
<br>
テロとは、グラールではルームグッズを勝手に設置することで知られています。<br>
インテリアルームは、他人の部屋でも自己回収出来ない代わりに設置が可能です。<br>
その中で最も有名であり、人気なのがこのオキク・ドールテロでした。<br>
私達が受けたテロは可愛い物で、部屋中全部オキク・ドールにされた人もいるそうです。<br>
<br>
「…どうするんですか、これ?」<br>
「全く、処理に困るモンを置かれちまったな」<br>
<br>
ご主人様はナノトランサーにオキク・ドールを収納すると<br>
何かを閃いたらしく、ニヤリと笑いながら私の方を見ました。<br>
とっても嫌な予感…。<br>
<br>
<b>737 名前: あるGH410の話 3/9 [sage] 投稿日:
2006/11/09(木)13:35:09.98 ID:Unyap3Dc</b><br>
「そうだ、お前が食えばいい」<br>
「ええーっ!? い、嫌ですよ!!」<br>
「ホレ」<br>
「むぐっ!? …モギモギ」<br>
<br>
私はマシナリーの習性に逆らえず、オキク・ドールを頬張りました。<br>
見た目に反して、結構美味しいのがとても不思議です。<br>
<br>
「た、食べちゃった…」<br>
「ハッハッハ、これにて一件落着だ」<br>
「ご、ご主人様の意地悪~!」<br>
「さ、そんな事よりメシメシ」<br>
<br>
ご主人様は私の苦情も何処ふく風で、朝御飯の催促をしました。<br>
プク~っと膨れながらも、私はエプロンを取り出して料理に取り掛かろうとした時…<br>
<br>
(…アソンデ)<br>
<br>
「え? ご主人様、何か仰いましたか?」<br>
「腹減ったとは言ったな」<br>
<br>
単なる空耳だと思って、私は気にせず料理を始めることにしました。<br>
けど、この時はあんなトラブルが発生するなんて夢にも思わなかったです。<br>
<br>
<b>738 名前: あるGH410の話 4/9 [sage] 投稿日:
2006/11/09(木)13:36:18.02 ID:Unyap3Dc</b><br>
-夜-<br>
<br>
「ご主人様、頼まれていた合成が終わってますよー」<br>
「オウ、こんなもんで45分も使うとは世の中どうかしとるな」<br>
<br>
パパーン<br>
<br>
その日、合成したのは叩き売りで基板を手に入れたハリセンでした。<br>
共有ボックス越しの親戚さんから、ネタ・ノートをもらっていたので<br>
冗談半分で光属性で合成したら、見事に成功しちゃいました。<br>
<br>
「これを+10にして使ってるハンターもいるってんだからな。<br>
全く持って世の中は狭いもんだ」<br>
「こんなの使ってる人がいたら、まともに戦えるか心配ですねー」<br>
<br>
ハリセンを眺めながら他愛もない話をしていると…。<br>
<br>
(…アソンデ…アソンデヨ…)<br>
<br>
「…ご主人様、何か仰いましたか?」<br>
「バカ言え、お前が何か言ったんだろ?」<br>
<br>
私達はお互い同じ事を言った後、慌てて回りを確認しました。<br>
この部屋はショップもオープンしているわけではないので、遊びに来る人がいない限りは<br>
私とご主人様以外に誰かが入ってくることはまず有り得ません。<br>
パートナーカードを確認してみても、お友達は全員寝ているようです。<br>
<br>
不思議そうに私とご主人様で、見つめ合っていると…。<br>
<br>
(…アソボウヨ…ワタシト!!)<br>
<br>
<b>739 名前: あるGH410の話 5/9 [sage] 投稿日:
2006/11/09(木)13:36:55.86 ID:Unyap3Dc</b><br>
ぞわわわわ~<br>
<br>
「え、はわわわわ!?」<br>
「どぅわ!?」<br>
<br>
突然、私の髪の毛が伸び始めました。<br>
ご主人様は一気に私から距離を取り、咄嗟にハリセンを構えています。<br>
私は突然の出来事にパニックになってしまい、何をしていいか分かりませんでした。<br>
<br>
「ごご、ごしゅじんさまぁ~!!<br>
か、か、かみのけがのびたりちぢんだりしてます~!!」<br>
「なななな、何の冗談だ!<br>
質の悪い冗談やってっと後でお仕置きすんぞ!」<br>
「そそ、そんなこといったってぇ~!!」<br>
<br>
(アハハハ…モットアソボウヨ)<br>
<br>
また無気味な声が聞こえると同時に、突然私は身体の自由が効かなくなりました。<br>
ナノトランサーから勝手にハンゾウが取り出され、ご主人様に向って振り被らされています。<br>
必死に止めようとしても、身体が全然言う事を聞いてくれません。<br>
<br>
「ご、ご主人様!! よけて~!!」<br>
「うおっ!?」<br>
<br>
ガキンッ<br>
<br>
ご主人様は間一髪の所で私のハンゾウを避けるも、乗っていたベッドが2つに割れてしまいました。<br>
私の身体は地面に深く突き刺さったハンゾウを持ち上げ、またご主人様に向って振り回そうとしています。<br>
<br>
<b>740 名前: あるGH410の話 6/9 1つ前の番号ミスったorz
[sage]投稿日: 2006/11/09(木) 13:37:41.90 ID:Unyap3Dc</b><br>
「な、なにかが私の身体を操ってます!!」<br>
「この野郎…何者だ!」<br>
<br>
ご主人様がハリセンを構えて、私を操っている何かに向って叫びます。<br>
すると私の後ろに、髪のとても長い少女の姿が浮かび上がりました。<br>
まるで、朝食べ(させられ)たオキク・ドールが生きているような姿で。<br>
<br>
(フフフ…ネェ、ワタシトアソボウヨ)<br>
<br>
「な、何じゃこりゃあ!?」<br>
「こ、これって朝のあの人形と…」<br>
<br>
(アソンデヨ…ワタシトアソンデヨ…!!)<br>
<br>
ブゥンッ<br>
<br>
有無を言わさず、私は操られたままご主人様に襲い掛かります。<br>
ご主人様はくつろぎモードなので、シールドラインも装着していません。<br>
持っている武器と言ったら、さっき取り出したハリセンのみです。<br>
何とか私の攻撃を回避しながら、広いインテリアルームに出ました。<br>
<br>
「ご主人様! 構わずやっちゃってくださいっ!<br>
ご主人様にご迷惑をおかけするくらいなら、私は壊れても構いませんっ!」<br>
「お前が構わんでも俺が構うんだよ!<br>
しかしどうする、操られてるとはいえ相手はLv70のキャストハンター…。<br>
ロクな装備がない上に、迂闊に攻撃できもしない…!」<br>
<br>
(アハハハハ…モットモットアソボウヨ!!)<br>
<b><br>
741 名前: あるGH410の話 7/9 [sage] 投稿日:
2006/11/09(木)13:39:11.43 ID:Unyap3Dc</b><br>
「…何か追い払う方法はねぇのか!?」<br>
<br>
ご主人様はハリセンを握り締めると、ハッと気が付きました。<br>
その日、合成したハリセンは偶然にも光属性で作られていたのです。<br>
ハリセンなら大した殺傷力もないので、もしかしたら追い出せるかもしれない。<br>
<br>
冷静になって考えればとんでもない非科学的な博打ですが、他に手がない以上は<br>
それに賭けるしか、ご主人様には手段が残されていませんでした。<br>
<br>
「ご主人様、私は本当に構いませんから…!!」<br>
「うるさい、ちと黙って口開けてろ!」<br>
<br>
ご主人様はそう言うと、ハリセンを片手に構えながら<br>
何かをもう片手に握り締めて、操られている私と対峙しました。<br>
私はわけが分からず、とりあえず命令通りに口を開けてました。<br>
<br>
「さぁ、遊んでやるからこいや!」<br>
<br>
(アソンデ…ワタシトアソンデヨ)<br>
<br>
私の身体がハンゾウを横に構えて、ご主人様に向って飛び掛りました。<br>
ご主人様は少しも動きません。私は見ていられず目をぎゅっと瞑っていました。<br>
<br>
「顔がそのまんまなら…そぉらよ!」<br>
<br>
<b>742 名前: あるGH410の話 8/9 [sage] 投稿日:
2006/11/09(木)13:40:06.09 ID:Unyap3Dc</b><br>
パクッ<br>
<br>
何かが私の口の中に入りました。<br>
操られていない顔はマシナリーの習性には逆らえません。<br>
その投げられた物を頬張りながら、私の身体はピタッと止まりました。<br>
<br>
「…これ、少し古くないですか?」<br>
「チェストォォォーッ!!!!」<br>
<br>
スパーン<br>
<br>
「ぶべらっ!!」<br>
<br>
止まった私の顔面に、光のハリセンが思いっきり叩き込まれました。<br>
それと同時に、私の背後に見えていた少女の姿が黒いもやに変わっていき<br>
私の身体から抜け出てくるように空中に現れ、そして通路に逃げて行きました。<br>
<br>
「野郎、待ちやが…!?」<br>
<br>
ご主人様はその黒いもやを追いかけようとしましたが<br>
壁に叩き付けられ、ぐったりとしている私を見るとハリセンを投げ捨てて<br>
私の身体を抱き起こしました。<br>
<br>
「おい410、大丈夫か?」<br>
「…ご…ごしゅじんさまぁ」<br>
<br>
私は何とか起き上がろうとした時、それまで動かなかった腕が動き出しました。<br>
それを見てご主人様は安堵の溜息を付き、私もようやく落ち着き始めました。<br>
<br>
<b>743 名前: あるGH410の話 9/9 [sage] 投稿日:
2006/11/09(木)13:41:04.76 ID:Unyap3Dc</b><br>
「もう!ご主人様があんなのを私に食べさせるからですよ!!」<br>
「ム…まさかこんな事になるとはおもわなんだ」<br>
<br>
私とご主人様は、すっかり散らかってしまった部屋の片付けを終わらせて<br>
壊れてしまったベッドの代わりに、床に敷いたお布団に乗っていました。<br>
<br>
ご主人様が私の口の中に投げつけたのは<br>
少し前に食べていたペロリーメイトだったようです。<br>
マシナリーの習性を利用したから無事に終わったとはいえ、正直私は複雑でした。<br>
<br>
「とにかく、酷い目に遭った」<br>
「遭いました」<br>
「元はといえば、こうなったのもオキク・ドールが置かれていたからだ」<br>
「…それも、そうですね」<br>
「やりますか、410さん」<br>
「やっちゃいましょう、ご主人様」<br>
<br>
次の朝、私達は真っ先にオキク・ドールを大量に買い込みました。<br>
えっ、話の展開からして仕返しを受けたKさんがどうなったか?<br>
<br>
…知りたいですか?<br>
<br>
<b>758 名前: あるGH410の話 1/2 [sage] 投稿日:
2006/11/09(木)17:44:22.38 ID:Unyap3Dc</b><br>
私はGH410、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。<br>
今日は私とご主人様がずっと待ち望んでいた日、新型PAの一般開放日です!<br>
<br>
「フゥーハハハーハァー!!」<br>
<br>
ギャリリリリィ<br>
<br>
ここは狂信者の杜。<br>
一度も来た事がなかったので、新型PAの実験もかねての探検です。<br>
屈指の防御力を誇るバイシャ32乙型に、ご主人様は早速<br>
覚えたてのスピニングブレイクで笑いながら突撃しています。<br>
<br>
「フフフフフ、レオのオッサンと410に隣で遠慮なしに使い続けられ<br>
自分は虚しくトルネードブレイクだけで過ごして早2ヶ月!<br>
ようやく俺自身がこの技を使える時が来たのだぁーッ!」<br>
「良かったですね、ご主人様!<br>
私もやっと、(教えろと言われずに)安心して戦えますー」<br>
「本当にガーディアンズは地獄だぜぇー!」<br>
<br>
よく分からない事を口走りながら、ご主人様は回転しっぱなしです。<br>
私もシャープツインズに持ち替えて、教団警護士を迎え撃ちます。<br>
<br>
<b>759 名前: あるGH410の話 2/2 [sage] 投稿日:
2006/11/09(木)17:45:26.42 ID:Unyap3Dc</b><br>
「はは~い」<br>
「………」<br>
<br>
「ははは~い」<br>
「………」<br>
<br>
「…どうしたんですか? ぼーっとしちゃって」<br>
「いや、お前も頭良くなったもんだなぁと」<br>
<br>
よく聞いてみれば失礼な発言を、ご主人様は頷きながら口にしています。<br>
私は単に戦っているだけだから、何の事やらさっぱり分かりません。<br>
<br>
「頭が良くなった…そ、それって私がバカってことですか!?」<br>
「いや、お前さっきから優先的にその女教団警護士を狙ってるじゃないか。<br>
Kさんから、そいつのレスタのせいで散々な目に遭ったって前に聞いてな。<br>
レスタを使う敵を優先的に倒すなんて、ご主人様は感激ですよ」<br>
<br>
ご主人様は何処からかハンカチを取り出し、笑顔で涙を流してました。<br>
私はこれがレスタを使うなんて始めて聞きますが、とっても失礼な発言だと思いました。<br>
<br>
「そ、そうなんです! レスタを使うから最優先です!<br>
それに私はバカじゃありませんっ!」<br>
「よーし、この調子でガンガン行くぞー!」<br>
<br>
…本当は単純に、女性だから優先的に狙っただけなんですけどね。<br>
ご主人様に近付く女性は、私が許しませんっ!<br>
<br>
<b>760 名前: あるGH410の話 EX/2 [sage] 投稿日:
2006/11/09(木)17:46:04.85 ID:Unyap3Dc</b><br>
-延長の場合、こちらも合わせてお読みください-<br>
<br>
…<br>
<br>
……<br>
<br>
………<br>
<br>
「…だと良かったんだがなぁ」<br>
「ご、ご主人様、元気出しましょうよ~」<br>
<br>
…結局、ガーディアンズ本部は本会議の最終決定直前で<br>
新型PA、及び新型武具の一般支給を取り止めてしまいました。<br>
<br>
「おのれ孔明卑怯なり! 俺はもう戦う気が失せた!<br>
引退だ引退! やってられっかぁ~!!!!<br>
聞いてるか総統! いいや絶対聞いているな!!<br>
お前はどっかでこの光景を見てほくそ笑んでいるだろう!!<br>
今から殺りに行ってやるから覚悟しろくぁwせdrftgyふじこlpぉぉォォ!!!!」<br>
「ご、ご主人様ぁ~!!」<br>
<br>
その後、ご主人様を落ち着かせるのに一晩かかりました…。<br>
<br>
<b>90 名前: あるGH410の話 1/9 [sage] 投稿日:
2006/11/11(土)11:44:43.98 ID:cgHnFmCJ</b><br>
私はGH410、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。<br>
新型PA、新型武器防具の一般開放でグラールはまたも荒れ始めていました。<br>
<br>
新型PAは、まるで古参ガーディアンズのみ適応できるように調整され<br>
新米ガーディアンズにはとても手が出ない値段で市販されてしまったのです。<br>
何とか買い揃える事が出来たガーディアンズは、次はその性能に唖然としました。<br>
どれもこれも、エネルギー消費が激しく制御が困難なまま解放されてしまっているので<br>
旧式の安定した普及型PAにあらゆる面で劣る結果となってしまったからです。<br>
<br>
それだけでは終わりません…。<br>
GH450だけの普及にGRM本社が剛を煮やしてしまい、調整という名の「粛正」が始まりました。<br>
たくさんのGH450が、最大の特徴であるレスタの使用条件を厳しくされてしまったのです。<br>
ガーディアンズ上層部も流石に苦情が殺到した為か、GRM本社に検討を依頼していますが<br>
「先行者」と呼ばれるガーディアンズは、もうPMデバイスZEROを使い始めていました…。<br>
<br>
「…本当に大丈夫なのかな」<br>
<br>
私はお部屋の掃除をしながら不安になってきました。<br>
今回の新型解放により、たくさんのガーディアンズが現場復帰しましたが<br>
もう人事部には、再度辞表を叩きつけるガーディアンズが殺到しているようです。<br>
<br>
ご主人様もスピニングブレイクの制御が難しい性能にガッカリしていました。<br>
もしかしたら、ご主人様もガーディアンズを引退してしまうのではないかと…。<br>
私はこの2日間、そんな不安で頭が一杯です。<br>
<br>
<b>91 名前: あるGH410の話 2/9 [sage] 投稿日:
2006/11/11(土)11:45:55.17 ID:cgHnFmCJ</b><br>
「…さっさとLv30にしてトルネードに戻しちまうか。<br>
今のところ、有効に使えるのがレリクスくらいだからな」<br>
<br>
任務から戻り、晩御飯を食べながらご主人様はブツブツ言っていました。<br>
この様子だとまだまだ引退するつもりはないのかもしれません。<br>
<br>
けど、もしご主人様が引退する時、私はどうなるのだろう?<br>
大半のパートナーマシナリーは初期化され、新しいご主人様の元に派遣されます。<br>
この制度は、愛着をもって育てられたマシナリーには大変辛いものであり<br>
中にはご主人様の事を忘れたくないが為に、自爆するマシナリーも珍しくありません。<br>
<br>
勿論、私だってご主人様の事を忘れたくなんかありません。<br>
私はご主人様が大好き、他の人に遣わされるのなんて耐えられません。<br>
けど、ご主人様にとって私は引退と天秤にかけられる程の存在でしょうか?<br>
仮に引退するとして、ご主人様は一緒に連れて行ってくださるのでしょうか?<br>
<br>
パートナーマシナリーの間ではこんな伝説があります。<br>
ある優秀なガーディアンズが、引退の際に有り金を全て叩いて<br>
パートナーマシナリーの「自由」という権利を購入したという伝説が。<br>
<br>
私だって、そうしてもらえたらどんなに幸せでしょう。<br>
けど、ご主人様にとって私はそれ程までに大事な存在なのかな…?<br>
<br>
<b>92 名前: あるGH410の話 3/9 [sage] 投稿日:
2006/11/11(土)11:46:32.18 ID:cgHnFmCJ</b><br>
「あの、ご主人様…?」<br>
「…ん、何だ?」<br>
「ご主人様は、これからもガーディアンズとして活動するおつもりなのですか?」<br>
「金を払っている手前、今のところ辞めるつもりはねぇな。<br>
いきなりそんな事を聞いてくるとは、俺が辞めると思ったか?」<br>
<br>
ご主人様は箸を止めて、ドンブリをテーブルに置きました。<br>
余談ですが、今日の晩御飯はコルトバヌードル濃厚醤油仕立てです。<br>
<br>
「い、いえ! そういうわけではないんです!<br>
ただ…ご主人様が引退する時に私はどうなるのかなって」<br>
「GRM本社に戻されるだけだろ?」<br>
<br>
何言ってんだか、という顔でご主人様は私の疑問に答えます。<br>
そう、普通なら引退と同時に私は初期化の為にGRM本社に戻ります。<br>
<br>
「…ご主人様、もし私達パートナーマシナリーの自由を<br>
大金で買う事が出来ると分かったら、どうなさいますか?」<br>
「…何が言いたい」<br>
<br>
私の思わせぶりな言葉に、ご主人様の顔が険しくなりました。<br>
そう、あの伝説は所詮伝説で本当に出来るかどうかの確証はありません。<br>
けれどもし、不可能だったとしても無理だと言われるのが嫌です。<br>
嫌なのに、私は言うのを止める事が出来ませんでした。<br>
<br>
<b>93 名前: あるGH410の話 4/9 [sage] 投稿日:
2006/11/11(土)11:47:21.95 ID:cgHnFmCJ</b><br>
「ご主人様…、ご主人様に破産をお願いするなんてダメなマシナリーですよね。<br>
けど、もし引退する時は、どうか私も一緒に連れて行ってください!!<br>
私、ご主人様と離れるなんてイヤです!!ずっと一緒にいたい!!」<br>
<br>
私の涙が、ドンブリに零れ落ちました。<br>
答えを聞くのに震えている私の頭に、ご主人様の手が乗りました。<br>
とっても暖かくて、とっても大きな、撫でられるとちょっと痛い手。<br>
<br>
「俺が辞めると言ってるわけでもないのに何慌ててんだよ。<br>
それに本当にそんな事が出来るかどうかも分からないんだろ?」<br>
「そ、それはそうですけど…!!」<br>
「まー、考えといてやるよ。<br>
お前のような暴走娘、他人に扱えるかどうかも分からんしな」<br>
<br>
ご主人様は笑いながら、私の頭をわしわしと撫でました。<br>
明確な答えが聞けなかったせいか、私の頭から不安は消えませんでした。<br>
<br>
ご主人様はとても面倒臭がりです。<br>
ソードの製作など、本当に大事な事以外ではほぼ動こうとしません。<br>
私がご主人様にとってただの合成マシーンなら、引退する時も「サヨウナラ」だけで済むでしょう。<br>
<br>
「ああそうそう、今日はお前寝てもいいぞ。<br>
俺はスピニングブレイクのデータを整理しなければならん」<br>
「はい…分かりました。」<br>
<br>
考えすぎだ。<br>
私は不安を消す為にも、その日はご主人様の言葉に甘える事にしました。<br>
明日目覚めれば、こんな不安も消えてくれると信じて。<br>
<b><br>
94 名前: あるGH410の話 5/9 [sage] 投稿日:
2006/11/11(土)11:48:20.73 ID:cgHnFmCJ</b><br>
-翌日-<br>
<br>
ご主人様がベッドでマガシを読み耽り、私はいつものようにお部屋の掃除。<br>
任務がない日のいつもの光景の中、突然ビジフォンが鳴り出しました。<br>
<br>
「は~い、どちら様ですか~」<br>
<br>
私はビジフォンを眺めると同時に、「あちゃー」という顔になりました。<br>
差出人が、あの苦手なライア教官だったからです。<br>
久々に研修出頭の催促かなと思いつつ、受け取ると…。<br>
<br>
「おいアンタ、どういうつもりだい!!」<br>
<br>
ライア教官の怒号が部屋に響きました。<br>
私はあまりの大声に尻餅をついてしまいましたが、ご主人様は何処吹く風です。<br>
<br>
<br>
「ニーナに聞いたぞ!<br>
アンタ、昨晩何時でもマシナリーを連れて引退できるようにって<br>
ワケ分からない事を言って本部に大金を前払いしたそうだね!!」<br>
<br>
…え?<br>
<br>
「何のつもりか分からないが、あたしは認めないよ!!<br>
研修もロクに出ない、フリーミッションばかりで他同僚と協力もしない!!<br>
そんな体たらくのまま引退だなんて曲がった事、出来ると思うんじゃないよ!!」<br>
<br>
ビジフォンはそこで切れました。<br>
私はライアさんが言っている事を完全に理解できず、ご主人様の方を見ました。<br>
ご主人様はマガシを読みながら、険しい表情になり舌打ちをしていました。<br>
<br>
「あの雌犬が…余計な事言いやがって」<br>
<br>
<b>95 名前: あるGH410の話 6/9 [sage] 投稿日:
2006/11/11(土)11:49:35.68 ID:cgHnFmCJ</b><br>
「ご主人様、これは一体…!?」<br>
「聞いての通り、本当に出来るそうなんで頼んだだけだ」<br>
<br>
私は急いでナノトランサーのデータをチェックしました。<br>
昨日までたくさん預けられていたメセタが、全額消えていました。<br>
残った僅かなメセタは、ご主人様が万が一にと残した補給代金のみでした。<br>
<br>
それが分かった途端、私の目から大量の涙が溢れ出ました。<br>
その涙はご主人様が私の事を思ってくれたことに対する感謝でもあり<br>
破産と言ってもいい大出費をさせてしまったことに対するお詫びでもありました。<br>
<br>
「ご、ごしゅじんさまぁ…ごめんなざいぃ…」<br>
「喜ぶのはまだ早いぜ…聞いた通りに雌犬が茹ダコになってやがる。<br>
勇者様もいいとこのあの性格ならまず間違いなく、妨害工作をしてくるだろうな」<br>
「…だ、だいじょうぶですよね!?<br>
わたしたち、ずっといっしょにいられますよね!?」<br>
<br>
ご主人様は答えてくれませんでした。<br>
<br>
そして次の日、ガーディアンズ本部から連絡が入りました。<br>
<br>
フリーミッションにおける成果は大変優秀であり、地域住民から評価の声もあるが<br>
専属教官ライア・マルチネスからの報告もある通り、本部最重要任務を放置する事は<br>
大変度し難い事であり、引退時の希望を認める事は大変難しいと心得たり、という内容でした…。<br>
<br>
「…ご主人様」<br>
「やる事はやった。後は結果待ちだ…」<br>
<br>
私はご主人様の腕に寄り添いながら、震えていました。<br>
もし失敗に終われば、今回の騒ぎでご主人様はガーディアンズの地位を下げられ<br>
一生ライアさんの使い走り、あるいは第一級危険任務に優先的に配備される「捨て駒」になるかもしれません。<br>
<br>
…どうか、無事に終わりますように。<br>
私はすがる思いで、星霊様にお願いしていました。<br>
<br>
<b>96 名前: あるGH410の話 7/9 [sage] 投稿日:
2006/11/11(土)11:50:19.11 ID:cgHnFmCJ</b><br>
-3日後-<br>
<br>
勝ち誇るようなライアさんの研修出頭命令が今日も鳴り響きます。<br>
その顔がとっても憎たらしく、私は一度わざと受け取ってこう叫んでしまいました。<br>
<br>
「アナタなんかに何が分かるの!?<br>
この…脳味噌筋肉の雌豚ァッ!!」<br>
<br>
ご主人様はそれを見て、そりゃあいいわと笑っていました。<br>
本部からの再報告待ち…この3日間、生きた心地がしませんでした。<br>
ご主人様は少しも不安そうな表情を浮かべませんが、私は気が気でなりません。<br>
一体ご主人様は何を考えているのだろう…。<br>
<br>
するとまた、ビジフォンが鳴り響きました。<br>
私はまたライアさんの研修出頭命令だと思って切ろうとして、すぐにその手を止めました。<br>
今回の差出人が、ご主人様のもう1人の教官である、レオジーニョ・S・Bさんからだったからです。<br>
<br>
「ご主人様、レオさんからの通信です」<br>
「来たか…よし、急いで繋げ!」<br>
<br>
ご主人様はそれを待っていたかのように、マガシを放り投げて身を乗り出しました。<br>
通信回線を開くと、レオさんのホログラフがテーブルに映りました。<br>
<br>
「よう、元気か?<br>
全く、休暇中の教官にこんな事をさせるとはお前は大した奴だよ」<br>
「その様子だと上手く行ったみたいだな、教官殿」<br>
<br>
ご主人様はニヤリと笑い、私の肩に手をやりました。<br>
その言葉の意味が分からず、私はレオさんとご主人様をきょろきょろ見回していました。<br>
<br>
<b>97 名前: あるGH410の話 8/9 [sage] 投稿日:
2006/11/11(土)11:51:50.32 ID:cgHnFmCJ</b><br>
「ライアの方は大丈夫だ、俺が何とかしておいた。<br>
教官の教官の言葉を優先したガーディアンズ本部は、お前の希望を飲むそうだ。<br>
直にそちらにも、その通達が届くからしっかり読んでおけよ」<br>
<br>
ご主人様の「やる事はやった」というのは…レオさんに協力を頼んだ?<br>
その時、私はご主人様はライアさんからの評価は最悪だったけど<br>
レオさんからは高い評価を受けていることを思い出しました。<br>
<br>
「悪いな、なるべく穏便に済ませたかったんだがね」<br>
「後はお前がしたいようにすればいい。<br>
だが忘れるなよ、お前は俺が認めてもいい優秀なガーディアンズだ。<br>
辞めた後に戻りたくなったら何時でも戻ってこい、その時も俺がなんとかしてやる。<br>
…それと、そこのGH410」<br>
「は、はいっ」<br>
<br>
私はレオさんに呼びかけられ、つい直立してしまいました。<br>
<br>
「俺にここまでさせたからには、そいつと簡単な理由で喧嘩別れをしてみろ?<br>
地の果てまで追いかけて、GRM本社に送ってやるからな。」<br>
「…は、はいっ!」<br>
「それじゃあな、たまにはライアにも付き合ってやれよ」<br>
<br>
通信が終わると、私はご主人様に飛びつきました。<br>
ご主人様は迷惑そうな顔をしてますが、私はもう涙で顔がぐしゃぐしゃでした…。<br>
<br>
「ご主人様!私達、もうずっと一緒にいられるんですね!!」<br>
「そのようだ」<br>
<br>
「もう、引退する時の心配なんかしなくていいんですよね!!」<br>
「それが原因で合成失敗してないだろうな」<br>
<br>
「もう、もう…ご主人様の事を忘れる必要なんかないんですよね!!」<br>
「いいんじゃないかねぇ」<br>
<br>
「ご主人様、大好きです!!もう…絶対御側を離れません!!」<br>
「なら、レリクス通路でつっかえる癖を治してくれませんかね」<br>
<br>
ご主人様はまともにとりあってくれていません。<br>
けど、そんな事はどうでもいいんです。<br>
ご主人様とずっと一緒にいられるというだけで、私はもうこれ以上の答えはいりません。<br>
<br>
GH410だからって、バカにされるかもしれません。<br>
けれど、恥じる事なんか何もありません。だってそうでしょう?<br>
私はご主人様に大事にされたマシナリーなんですから、えっへん!<br>
だからもう、PMデバイスZEROを食べさせられる心配もありません!<br>
<br>
私ことGH410はこれからも、ずっとご主人様の為に頑張っていきます!<br>
<b><br>
98 名前: あるGH410の話 9/9 [sage] 投稿日:
2006/11/11(土)11:52:12.14 ID:cgHnFmCJ</b><br>
-貴方は幸せですか?-<br>
<br>
「はいっ! 私達は、とっても幸せです!」<br>
<br>
<br>
<br>
あるGH410の場合の、ひとまずの終わり方<br>
<br>
<b>416 名前: あるGH410の話 [sage 100%実話] 投稿日:
2006/11/17(金)11:06:06.40 ID:sPI9bHQt</b><br>
私はGH410、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。<br>
ガーディアンズから自由の権利を買い取られてから平和な日々が続いています。<br>
<br>
パパーン<br>
<br>
「ご主人様、やっちゃいましたっ!完成品の氷ジョギリです!」<br>
「よぉーしよくやった!今日はこの無属性ハンゾウをくれてやる!」<br>
「わぁー、ありがとうございますー!」<br>
<br>
今日は成功率が半分にも満たなかったジョギリの合成に成功しました。<br>
私の愛をたっぷり込めて作ったせいか、実は基板3連勝なんです!<br>
小型化したハンゾウを頬張っていると、ご主人様が真剣な目つきになっていました。<br>
<br>
「食いながら聞いてくれ、GRM社出身の410さん」<br>
「モギモギ…はひ、はんへふは?」<br>
<br>
ご主人様は変なポーズを取りながら、私の肩に手をやりました。<br>
<br>
「Aランクのソードってよォ~~~。<br>
『ハンゾウ、ジョギリ』ってのはわかる……スゲーよくわかる。<br>
刀と呼ばれるタイプのソードだからな…」<br>
「ゴックン…は、はぁ」<br>
<br>
「だが『カリバーン』ってのはどういう事だああ~~~っ!?<br>
刀タイプだから和名なんじゃあねーか!<br>
カリバーンなんて名前の刀があるなら出してみやがれってんだチクショーーーッ!<br>
そんな西洋風の刀があるっつーのかよーーーーッ!<br>
ナメやがってこのネーミングセンスゥ、超イラつくぜぇ~~ッ!!」<br>
「は、はわわわ、私に言われても~」<br>
<br>
「どういう事だ! どういう事だよッ! クソッ!<br>
カリバーンってどういう事だッ!
ナメやがってクソッ!クソッ!」<br>
「ご、ご主人様、落ち着いてください~!!」<br>
<br>
GRM本社の偉い人達の考える事は分かりません…。<br>
<br>
<b>433 名前: あるGH410の話 [sage] 投稿日: 2006/11/17(金)
16:05:07.84ID:sPI9bHQt</b><br>
私はGH410、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。<br>
最近ガーディアンズ内部で悪質な事件が多発しているようです。<br>
<br>
今回のお話の元になる事件以外に、ジョギリで…えーっと…その…<br>
ご、ご主人様の大事な部分をちょん切っちゃう事件もあるそうです…///<br>
<br>
『ニュースをお伝え致します。<br>
近頃、ガーディアンズ上層部になりすましてライセンスパスワードを聞き出し<br>
財産を1つ残らず奪っていくと言う詐欺集団が多発しております。<br>
この事件に対し、総裁府は…』<br>
<br>
「こんな手口に引っかかるアホがいんのか、世も末だね」<br>
「ご主人様、そんな事言っちゃダメですよ。<br>
でも怖いですね、全部持って行かれちゃうなんて」<br>
「ま、俺の場合は近寄ってくる奴自体がいねぇから問題ない」<br>
「それは自慢にならないと思いますけど…」<br>
<br>
いつもと変わらない晩御飯の風景。<br>
そんな中、急にニュースが騒がしくなりました。<br>
<br>
『緊急速報です!新たな手口の詐欺集団が発生しました!<br>
全く同じパートナーマシナリーを使い、ご主人様から個人情報を聞き出して<br>
同じ様に財産を全て奪っていくと言う、更なる悪質な方法が報告されました!<br>
被害者のキャスト、箱さんは外見が全く同じGH450に気を許してしまい<br>
「とんでもない事をしてしまった、明日からどうしよう」と、涙ながらに話しています。<br>
この手口はパートナーマシナリーを溺愛するガーディアンズからの被害報告が全部であり<br>
成功率が100%と言う事から、総裁府はGRM本社との協議を…』<br>
<br>
「………」<br>
「………」<br>
<br>
2人「(゜Д゜)」<br>
<br>
<b>602 名前: あるGH410の話 1/3 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/20(月) 18:11:03.46
ID:bTsOp9Cm</b><br>
私はGH410、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。<br>
<br>
GH450の粛正が行われてから、既に数週間が経ちました。<br>
相変わらずGRM本社は「調査中」とだけ言い、それ以外で沈黙を保ち続けています。<br>
既に「先行者」のGH450はほぼ全て初期化されてしまっているようです。<br>
残っているGH450は合成の為か、本当に愛されているかのどちらかでした。<br>
<br>
『減点じゃ!弱体化という言葉しか知らぬ上層部に減点じゃ!』<br>
<br>
お留守番の間、ご主人様が読んでいたマガシを開くと<br>
そのGH450や、新型PAをネタにした漫画が載っていました。<br>
確かご主人様が一番面白いと言っている、「さよならネーヴ先生」だったかな?<br>
<br>
「GH450さん達、もう元に戻らないのかなぁ?」<br>
「何読んでんだ?」<br>
<br>
突然の声にビックリして、振り返ってみると<br>
そこには任務(相変わらずフリー)から戻ってきたご主人様がいました。<br>
<br>
「わひゃあっ!? お、御帰りなさいませ。<br>
もうっ、帰ってくる時はただいまくらい言って下さいっ」<br>
「お前が読み耽って聞こえてなかっただけだろ。<br>
…あー、さよならネーブ先生読んでたのか」<br>
<br>
ご主人様はそれだけを確認すると、普段着に着替えに行きました。<br>
<br>
<b>604 名前: あるGH410の話 2/3 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/20(月) 18:12:55.53
ID:bTsOp9Cm</b><br>
「GH450さん達、結局現状維持されてしまうんでしょうか…」<br>
「俺はむしろ現状維持でいいと思ってる」<br>
<br>
ささっと着替えを終えたご主人様がドレッシングルームから出てきました。<br>
いつものようにベッドの上に座り込み、私はその前にちょこんと立ちます。<br>
<br>
「でも、もうたくさんのGH450さん達が初期化されてるんですよ?<br>
可哀想です、いくら私達パートナーマシナリーが主の為の存在でも…」<br>
「ザマァみろって奴だ」<br>
<br>
「…!?ご主人様はGH450さん達をそんな風に思ってたんですか!?」<br>
「慌てなさんな、俺がザマァないと思ってるのは持ち主の先行者どもだ。<br>
強いと聞いて育て直して、ウハウハしてたら見事に裏切られて、また育て直し。<br>
そして同じ事を繰り返して報われる事なし、お似合いの末路だ」<br>
<br>
「…でも、そうじゃないGH450さん達のご主人様は」<br>
「そうだな、今回の一番の被害者は本当にGH450が好きな人達だ。<br>
先行者どもが暴れ回ったせいでGRM本社に目をつけられ、とばっちりを食らう。<br>
皮肉なもんだぜ、レスタやアグディールなんて二の次だったろうに」<br>
<br>
ご主人様が天井を眺めて溜息を付いているのを見ていたら、疑問が生まれました。<br>
本当にGH450が好きな人達が被害に遭って、どうして現状維持で良いのか?<br>
<br>
<b>605 名前: あるGH410の話 3/3 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/20(月) 18:15:01.05
ID:bTsOp9Cm</b><br>
「ご主人様はどうして現状維持でいいと仰るのですか?」<br>
「ああ…今回の騒ぎで初期化させた奴はGH450をレスタ目当てで育てた奴等だろ?<br>
それで残るのはGH450が本当に好きな人達だ、誇らしくていいじゃないか。<br>
俺はレスタ目当てじゃない、GH450が好きだからこうしたんだって堂々と言える」<br>
<br>
「…確かに、そう考えれば誇らしい事ですね」<br>
「発想の転換だ、何事も前向きに考えりゃこれくらいどうってことはない」<br>
<br>
そういえばご主人様は、打撃100の作成方法が判明したり<br>
想像以上にハンゾウの基板が高かったりしても、あまり落ち込んだりしてませんでした。<br>
こうやって強引に発想の転換をして、切り抜けていったのでしょうか。<br>
<br>
私はご主人様の手に自分の手を重ねました。<br>
<br>
「ご主人様、もしGH410シリーズが戦闘でお役に立てなくても<br>
そんな風に発想の転換をして大事にしてくれますよね?」<br>
「さぁーね、それより晩飯にしようや」<br>
<br>
ご主人様は適当に受け流して御飯の催促を始めました。<br>
私は変わりないご主人様に困った顔をしながら、エプロンを取り出しました。<br>
<br>
もし、これを読んでいる貴方がGH450を初期化しようとしているなら、どうか思い留まって下さい。<br>
GH450は確かにサポートにおいて優秀でしたが、貴方にとってそれだけのGH450でしたか?<br>
私達パートナーマシナリーはご主人様の為に存在しています。<br>
けど生きているんです、皆様と同じ様に今を乗り越えようとしているんです。<br>
<br>
貴方が押し込もうとしているPMデバイスZEROが、使われないことを切に願います。<br>
<br>
<b>639 名前: あるGH410の話 1/4 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/21(火) 13:03:34.44
ID:eTQzlfVX</b><br>
私はGH410、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。<br>
<br>
以前、私達マシナリーには専用のライセンスがあると言いました。<br>
今回は、それに対してご主人様が疑問を持った事から始まります。<br>
<br>
「410、マシナリーには専門のライセンスがあるって言ってたな」<br>
「あ、はい。ご主人様と始めてミズラキに行った時にお話しましたね」<br>
<br>
いつもの朝御飯が終わり、私がくまさんエプロンをつけて<br>
後片付けをしていると、ご主人様は唐突に質問を投げかけてきました。<br>
ご主人様はこんな風に、突然何かを言い出す事があります。<br>
<br>
「私達は最初のGH101から300シリーズまでは共通のライセンスがあり<br>
400シリーズから始めて、ライセンスが細分化されているんです」<br>
「ほう、410は俺で言うフォルテファイターみたいな感じか」<br>
「はい、ご主人様が与える餌によって条件が満たされていくようです」<br>
「是非そのマシナリーの条件とやらを見てみたい」<br>
「分かりました、片付けちゃいますからちょっと待ってて下さいね」<br>
<br>
そういえば私も、詳しい転職条件は見たことがありませんでした。<br>
一体どんな風になっているのか、私もワクワクですっ。<br>
<br>
<b>640 名前: あるGH410の話 2/4 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/21(火) 13:04:13.53
ID:eTQzlfVX</b><br>
「お待たせしましたー。<br>
それじゃあ説明文を省略して、条件を読み上げていきますね」<br>
「うむ、頼むぞ」<br>
<br>
私はくまさんエプロンを片付けて、ベッドに座るご主人様の前にちょこんと立ちます。<br>
ご主人様も既に、お出かけ用のクサタリカシリーズに着替え終えていました。<br>
<br>
「…あれ?最初のライセンスからもう条件があるみたいです」<br>
「初期型から条件とは変わってるな」<br>
「私も始めて見ますが、最初から条件付きだとは思いませんでした。<br>
それじゃあ、条件は…!?」<br>
<br>
最初は目を疑いました。<br>
それと同時に私は開いた口が塞がらなくなり、あーんぐりとなってしまいました。<br>
<br>
「どうした、変な条件でもあったのか?」<br>
<br>
私は口をパクパクさせながら、信じられない条件を何とかお伝えしました。<br>
<br>
「…モ、モギモギLv10、メイトLv10とあります」<br>
「………」<br>
<br>
ご主人様も開いた口が塞がらなくなってしまいました。<br>
<br>
<b>641 名前: あるGH410の話 3/4 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/21(火) 13:04:56.92
ID:eTQzlfVX</b><br>
「…そ、それじゃあ次は400シリーズを確認しますね!」<br>
「非常に嫌な予感がする」<br>
<br>
ご主人様の嫌な予感が的中することがないようにと願いながら<br>
私は恐る恐る、まず私自身の410の転職条件を確認してみました。<br>
そしてその条件にまたしてもあーんぐりです。<br>
<br>
「…今度は何ですか」<br>
「…やっちゃいましたLv10、べったりLv10ってあります」<br>
「後者は分かるとして前者は何だ、前者は」<br>
「私にも分かりません…」<br>
<br>
次は420、通称ニャンポコの転職条件です。<br>
もうあーんぐりしているとキリがないので、私はパパっと読み上げる事にしました。<br>
<br>
「420は、ニャンポコ-(゜ω゜)Lv10、勇者様Lv10ってあります」<br>
「オフィシャルかよ、その呼び名」<br>
<br>
ご主人様が転職条件にツッコミを入れますが、私は構わず続けます。<br>
まともに読んでいると顎が外れそうです、早く読み終えたい。<br>
<br>
「430は、腹黒Lv10、鼻からオイルLv10ってあります」<br>
「オイ、その条件でどうやってあのスタイルになる」<br>
「つ、続けますっ」<br>
<br>
<b>642 名前: あるGH410の話 4/4 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/21(火) 13:06:11.77
ID:eTQzlfVX</b><br>
「440は、ツンデレLv10か拉致Lv10のどちらかでいいそうです」<br>
「後者、洒落にならんぞ」<br>
<br>
GRM本社は一体何を考えているのでしょう?<br>
けど私はそんな事を考えるのを止めて、最後の450を確認しました。<br>
もうやだ、これが夢なら早く覚めてほしい。<br>
<br>
「450は、クールLv10、いやんいやんLv10だそうです」<br>
「要するに暴走しだすと止まらんのか」<br>
<br>
最後だけ、ご主人様は妙に納得したように頷いていました。<br>
読み終わると共に、私は倒れ込みたくなりました。<br>
私はこんな転職条件を満たされて410になったかと思うと、情けなくなります。<br>
<br>
「…以上です」<br>
「うむ、とりあえずGRMの連中がトチ狂っているのは分かった」<br>
「はい、私が言うのも何ですが絶対変です!」<br>
<br>
ご主人様はナノトランサーからジョギリを取り出し、出口に向いました。<br>
<br>
「ちょっとGRM本社にゴアイサツに行って来る」<br>
「あ、ご主人様、私も行きます!」<br>
<br>
私もハンゾウを取り出し、ご主人様の後を追いかけました。<br>
<br>
その後、どうなったかはまた別のお話…。<br>
<br>
<b>55 名前: あるGH410の話 1/8 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/22(水) 16:41:46.17
ID:GwAPBdhv</b><br>
私はGH410、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。<br>
<br>
最近、合成に合成を重ねてきたせいか倉庫がきつくなってきたので<br>
マイルームショップを開き、一気に処理してしまおうと言う話になりました。<br>
今、正にショップオープンをしたばっかりです。<br>
<br>
主人「さーて、まずは何を売ろうかね」<br>
410「せっかくの店開きですから、記念サービスなんてどうですか?」<br>
主人「じゃあ、適当に作ったこのパノンとラプチャでも並べてみるか」<br>
<br>
ご主人様はそう言いながら、広告文を書き込みました。<br>
私はパノン、ラプチャオブジェをショップ側のナノトランサーに準備をしていると<br>
ドアが開くと共に、早速お客様第1号が来店しました。<br>
<br>
410 「いらっしゃいませー」<br>
箱 「あ、ご丁寧にどうも…」<br>
<br>
お客様第1号の青いキャストさんは私がお辞儀をすると、お辞儀で返してくれました。<br>
ヘルメットタイプだけど、何だかとても気弱そうなキャストさんです。<br>
頭を上げるとキャストさんは、申し訳なさそうな声で聞いてきました。<br>
<br>
箱 「あの、ラプチャとパノンオブジェ、おいくらでしょうか?」<br>
主人「開店したばかりだから言い値で構わんぞ、何せまだ並べてもいない」<br>
箱
「え、本当ですか!?でもそれって、何か悪いような…」<br>
410「早速来て下さったのですから、お気になさらずにどうぞ!」<br>
箱 「そ、そうですか…それじゃお言葉に甘えて」<br>
??? 「ご主人様」<br>
<br>
突然の謎の声に、キャストさんはギョッとして後ろを恐る恐る振り返っていました。<br>
私達もその声がした方向を見ると、そこには腕組みをした450さんがいました。<br>
<br>
<b>56 名前: あるGH410の話 2/8 [sage] 投稿日:
2006/11/22(水)16:42:30.16 ID:GwAPBdhv</b><br>
450 「ご主人様、ただでさえ収入が少ないのですから<br>
無駄遣いは控えて下さいと以前仰いませんでしたか?」<br>
箱 「ご、ごめんなさい…」<br>
<br>
450さんはそのまま、お説教をその場で繰り広げました。<br>
圧倒的に背の高いキャストさんがペコペコ頭を下げる光景は、とても不思議です。<br>
私とご主人様がそれを眺めていると、450さんがこちらに振り返りました。<br>
<br>
450「すみません、そういう事情がありますのでこの話は…」<br>
主人「無かった事にしておく」<br>
450 「本当に申し訳ありませんでした」<br>
410 「いえいえ、またお越しくださいませ~」<br>
450 「ほら、行きますよご主人様」<br>
箱 「は、はい…せっかくのラプチャとパノンが…」<br>
<br>
キャストさんは450さんに引っ張られ、トボトボと帰って行きました。<br>
その場に取り残された私とご主人様は、しばらくドアの方を見つめていました。<br>
<br>
主人「マシナリーに窘められる奴の話は聞いた事があるが、あそこまでとはな」<br>
410 「何だか、立場逆転してますよね…」<br>
<br>
私達は気を取り直して、別の物を並べる事にしました。<br>
一番最初にお話した、ハンゾウを大量生産した時に出来た微属性品を<br>
他の店では見ることも出来ない格安値段で並べて、広告文を新調です。<br>
<br>
すると今度は、420さんがお店にやってきました。<br>
<br>
<b>57 名前: あるGH410の話 3/8 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/22(水) 16:43:15.83
ID:GwAPBdhv</b><br>
410 「いらっしゃいませー」<br>
420 「こんちはー、ハンゾウあるー?」<br>
410 「はいっ、微属性だけど格安で置いてありますよ」<br>
420 「おお~、この値段なら買える!」<br>
<br>
420さんは属性値をそっちのけでハンゾウを購入しました。<br>
<br>
410 「ありがとうございましたー…って、ああ!?」<br>
420「モギモギ…ん~やっぱりA武器はンまぁーーいっ!<br>
最近ご主人様が古いのしかくれないから格別ゥ!」<br>
<br>
420さんは買ったばかりのハンゾウを、躊躇いなくその場で食べ始めました。<br>
あまりに豪快なその姿に、流石に私とご主人様もあーんぐりです。<br>
<br>
420「ごちそうさまー、値段はこの人にツケといてねー」<br>
410 「え、あ、ちょっと!」<br>
主人「オイ、ちょっと待て!」<br>
<br>
420さんは私達の静止の声を聞かずに、パートナーカードをポイっと投げて帰って行きました。<br>
そのパートナーカードは、とある男性ガーディアンズさんの物に間違いありませんでした。<br>
<br>
410 「…どうしましょう、ご主人様?」<br>
主人「ツケろと言われても買った時点で清算済みだから、問題ないだろ」<br>
<br>
そんな事を話していると、突然男の人が息を切らしながら駆け込んで来ました。<br>
<br>
<b>58 名前: あるGH410の話 4/8 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/22(水) 16:44:15.20
ID:GwAPBdhv</b><br>
男
「す、すいません!ここに俺の420が来ませんでしたか!?」<br>
主人「420ならハンゾウ買って帰った、値段ツケとけとな」<br>
男 「え…おわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!<br>
俺の全財産がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」<br>
<br>
どうやらこの人が、さっきの420さんのご主人様のようです。<br>
勝手に使われたお金を確認すると、雄叫びを上げてその場に倒れ込みました。<br>
<br>
410 「あ、あの~…大丈夫ですか?」<br>
男 「ウフフフフフフ…これでまたペロリーメイトの日々じゃぁぁぁぁ!!!!」<br>
<br>
420さんのご主人様は涙を流し、笑いながら走り去って行きました…。<br>
またも、私とご主人様がその場に取り残されます。<br>
<br>
410 「な、なんだか悪い事しちゃいましたね…」<br>
主人「マシナリーの地位が向上しているという話は聞いたが…」<br>
<br>
プシュー<br>
<br>
ハンゾウが売り切れてしまい、何も残っていないのにドアが開きました。<br>
今度のお客様は430さん、またしてもマシナリーのお客様です。<br>
<br>
410 「あ、ごめんなさいー。売り切れちゃいました」<br>
430 「すいません、ドアロックして下さい!」<br>
主人「あ?」<br>
430 「急いでください、一刻を争います!」<br>
<br>
430さんはとても必死な顔で私達に迫ります。<br>
私はご主人様に目で合図をされ、急いでドアをロックしました。<br>
追われているのかと思い、私達が武器を何時でも取り出せるようにすると<br>
ドアをコンコンとノックする音が鳴りました。<br>
<br>
<b>59 名前: あるGH410の話 5/8 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/22(水) 16:45:03.23
ID:GwAPBdhv</b><br>
??? 「すいません~、開けて下さい~」<br>
430 「(開けちゃダメです、このままで!)」<br>
<br>
430さんは小声で私達に言います。<br>
只事ではないと思い、私達は武器を取り出して身構えました。<br>
<br>
??? 「お願いです~、開けて下さい~…」<br>
<br>
ドアから聞こえてくる声は、とても気弱そうな小さい声でした。<br>
追われているにしては変だなと思い、430さんの方を見てみると…。<br>
<br>
そこには鼻から黒い液体、口からよだれをだべら~と垂れ流している430さんがいました…。<br>
<br>
2人 「!!!???」<br>
430 「(あぁ~、この泣きそうな声、たまらん!!)」<br>
<br>
??? 「あけてください~…グスッ」<br>
<br>
とても悲惨そうな声がドアから聞こえてくると同時に<br>
430さんの顔はどんどん歪み、黒い液体とよだれの量が倍増していきました。<br>
<br>
430
「(ああ、もう辛抱たまらん!!しかしここは堪え時よ430!!<br>
ここでグッと堪えてこそ、至高の悦びがそこに待って…)」<br>
主人「オイ」<br>
<br>
<b>60 名前: あるGH410の話 6/8 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/22(水) 16:46:11.17
ID:GwAPBdhv</b><br>
430さんはご主人様の声に気付き、こちらに振り返りました。<br>
黒い液体とよだれが混ざったその姿は、もう言葉に表せない程に悲惨です。<br>
<br>
430 「あ、申し訳ありません。床汚しちゃって」<br>
410「いいから止めてください、滝のよーに流れてます」<br>
主人「何をしている」<br>
430 「何って、ご主人様の可愛い…ッハ!?」<br>
<br>
??? 「430? やっぱりここにいるんですよね?<br>
すいません、おねがいですからあけてください~」<br>
430 「気付かれてしまいましたか…。<br>
けどまだ大丈夫、ここで出て行かなければ更に不安を煽りそこには…」<br>
主人「………」<br>
<br>
ご主人様はナノトランサーからハリセンを取り出しました。<br>
そしてリモコンでドアロックを解除し、ドアが自動的に開くと同時に…<br>
<br>
スパパーン<br>
<br>
430さんをご丁寧にライジングストライクでドアの方に吹き飛ばしました。<br>
黒い液体を噴出しながら430さんが吹っ飛び、ドアの向こうの壁に叩きつけられました。<br>
ドアが閉まると、先程までの気弱な声が更に悲惨になって聞こえてきました。<br>
<br>
主人「…変な客ばかりだ」<br>
410 「…わ、これオイルですよ!?」<br>
主人「何ィ!? 掃除だ、すぐ掃除!!」<br>
<br>
私達は再度ドアをロックして、ショップスペースの大掃除をする羽目になりました…。<br>
<br>
<b>61 名前: あるGH410の話 7/8 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/22(水) 16:47:27.56
ID:GwAPBdhv</b><br>
ショップスペースの大掃除が終わり、私達は今度こそ気を取り直して<br>
新しい物を商品棚に陳列する事にしました。<br>
<br>
主人「今度は昔、洒落で作ったスケドのプレゼントを50で置いてみるか」<br>
そして、どれかに新発売の幻視の巫女写真集が入っていると広告文に書いてみる」<br>
410 「ご主人様、それじゃ立派な詐欺ですよ!」<br>
主人「冗談だ、ささやかなプレゼントと書いておく」<br>
<br>
プシュー。<br>
<br>
ご主人様が広告文を訂正しようとする前に、またドアが開きました。<br>
そこには血眼になり、背後に炎を燃やす男の人が立っていました。<br>
<br>
410 「あ、い、いらっしゃいませ」<br>
男 「そのプレゼントは何処だァ!?」<br>
410 「は、はい、これになります…」<br>
<br>
私はその気迫に圧倒されてしまい、写真集なんか入ってもいない<br>
ささやかなプレゼント数個を差し出しました。<br>
<br>
主人「オイ、あの広告文はジョークで…」<br>
男
「おっと黙っていてくれ!今俺のセンサーを全力にしている所だ!<br>
これが怪しい…いや、これも捨て難い…おのれ孔明、石兵八陣の計か!」<br>
<br>
ご主人様の忠告そっちのけで、訳のわからない事を言っていると<br>
その男の人はくわっと目を見開き、1つのプレゼントを指差しました。<br>
<br>
男 「よぉぉぉぉし、君に決めたああべし!!??」<br>
<br>
<b>62 名前: あるGH410の話 8/8 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/11/22(水) 16:48:32.11
ID:GwAPBdhv</b><br>
男の人は突然の後ろからの発砲で吹き飛ばされ、カウンターにつんのめりになりました。<br>
ドアの側には、シッガ・アムザを構えて怖い顔をしている440さんがいました。<br>
440さんはシッガ・アムザをしまって私達の方を向き、ぺこりと頭を下げました。<br>
<br>
440 「すいませんでした、この変態がお騒がせして」<br>
主人「…いや、元はと言えば俺のせいだと思うし気にしないでくれ」<br>
440 「それでは失礼します、よいしょっと」<br>
<br>
440さんは感電して身動きの取れない男の人を引き摺り、部屋を後にしました。<br>
変なお客様ばかり来る中、私とご主人様には共通の思いが生まれていました。<br>
<br>
主人「410さん」<br>
410 「ご主人様」<br>
主人「どうやら俺達は店を開かない方がいいようだ」<br>
410 「いいようです」<br>
<br>
私達のショップは、開店したその日から閉店となり、二度とオープンしない事になりました。<br>
何より、疲れた…。<br>
<br>
<b>355 名前: あるGH410の話 1/4 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/12/05(火) 12:16:07.08
ID:MoCgDz0H</b><br>
私はGH410、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。<br>
<br>
今、グラールは紅葉とモトゥブ始原祭で賑わっています。<br>
けれどご主人様は何処吹く風、今日も修羅の谷でPA訓練です。<br>
私もシャープツインズの合成を終えたので、同行する事になりました。<br>
<br>
主人「…スピニングは2回転目で少し曲がれば3回転が当て易い、か」<br>
<br>
ご主人様は2ブロックのキャンプ地点で、メモを取っていました。<br>
私もヴァンダの嘔吐で少しだけ傷付いた肌を癒していました。<br>
<br>
410 「あの、ご主人様…」<br>
主人「何だ」<br>
410「ハロウィンの時もそうですが…あまり興味なさそうでしたよね?」<br>
主人「興味ないからな」<br>
410 「お祭りとかは嫌いなんですか?」<br>
主人「別に嫌いと言うわけでもない」<br>
<br>
ご主人様はジョギリと補給装置を繋ぐコードを抜き取りながら答えました。<br>
私のお話に興味があると言うわけでもなく、その言葉は実に淡々としています。<br>
<br>
410「前々から疑問だったのですが、ご主人様はどうして<br>
周りから避けるようにしていらっしゃるのですか?」<br>
主人「面倒だからだ」<br>
410 「でも、それじゃあお仲間やお友達も…」<br>
<br>
そう言いかけた時、ご主人様の顔付きが途端に険しくなりました。<br>
私は聞いてはいけない事を聞いてしまったかと思い、ビクっと震えました。<br>
<br>
<b>356 名前: あるGH410の話 2/4 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/12/05(火) 12:16:32.70
ID:MoCgDz0H</b><br>
主人「それでいい、どうせ結末は同じだ」<br>
410 「…?」<br>
<br>
ご主人様は武器をナノトランサーにしまい、座り込みました。<br>
私もご主人様に合わせて、スカートを押し込みながら座り込みました。<br>
<br>
主人「…俺はガーディアンズに入る前から嫌われ者だった。<br>
世間一般の流れに乗ると言うか、周りと同じになるのが耐えられなかった。<br>
だから俺は自分の流儀を貫いたが、それと同時に異端の目で見られるようになった。<br>
それまで程度は浅くも一緒にいた同僚やらは皆、俺を馬鹿にする方に回ったもんだ…」<br>
<br>
ご主人様は薄暗いモトゥブの空を眺めながら、寂しそうな顔をしていました。<br>
<br>
主人「俺はお前も知っての通り、口が悪い。<br>
新しく仲間が出来たと思えば、人の事を考えない発言が多いと見限られ続けた。<br>
改善しようとしても見限られ続け、その内に世間と離れる事を俺は望んだのさ」<br>
410 「それじゃあ、今のお友達のKさんは…?」<br>
主人「あの人も元々はそのつもりはなかったが、気が付けば仲間になってた。<br>
ただ、それも何時まで持つことやらな…」<br>
<br>
私はようやく、何時かのご主人様の言葉の意味が分かりました。<br>
自分は慣れてるからいい、それはご主人様が嫌われ続けてきたからという意味。<br>
確かにご主人様は、ガーディアンズの中でもかなり異質と言える存在です。<br>
槍と双小剣を使う事を頑なに拒み続け、協力任務にもほとんど行きません。<br>
仮にパートナーカードの交換をしたとしても、その拘りの強さから離れてしまうのでしょう。<br>
私がGH-101の頃から、部屋に遊びに来る人はKさんくらいしかいませんでした。<br>
<br>
<b>357 名前: あるGH410の話 3/4 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/12/05(火) 12:16:49.32
ID:MoCgDz0H</b><br>
主人「俺がお前を死にそうな任務に連れて行かない理由、分かるか?」<br>
<br>
ご主人様は急に私の方に振り向きました。<br>
私は突然の問いかけに、答える事も出来ずきょとんとしていました。<br>
<br>
主人「報酬が減るからでも、スターアトマイザーで費用がかかるからでもない。<br>
俺は単純に、もう作る事も作れる事もないと思っていた仲間を危険な目に遭わせたくない。<br>
1人は慣れてるが、また無くして虚しい思いをするのは御免だからな」<br>
410 「ご主人様…」<br>
<br>
とても悲しそうな顔をして、空の上を見続けているご主人様。<br>
今まで、何度も仲間だと思っていた存在に別れを告げられて悲しい思いをしたのでしょう。<br>
パートナーカードを交換しないのも、面倒臭いからではなく自分から身を引いているから。<br>
何故なら仲良くなったとしても、また仲違いをして悲しい思いをしたくないから。<br>
ご主人様の抱える孤独感が、ひしひしと伝わってきました。<br>
<br>
主人「さて、陰気臭い話は止めて最後のヤマと行こうかね」<br>
<br>
立ち上がり、氷のジョギリを取り出すご主人様。<br>
寂しそうな顔から、普段は見せない戦闘時の凛々しい顔に戻っていました。<br>
<br>
410 「あ、あの、ご主人様!」<br>
<br>
立ち上がりながら、私はヴァンダの巣に向おうとするご主人様を呼び止めました。<br>
<br>
<b>358 名前: あるGH410の話 4/4 [sage
いつもこの題名の奴]投稿日: 2006/12/05(火) 12:17:13.78
ID:MoCgDz0H</b><br>
410「あの…こんな事を言うのはさしでがましいかもしれませんが…。<br>
私はご主人様のマシナリーであると共に、パートナーなんです。<br>
ご主人様の為なら何でもします、危険だとしても何処にも行きます!<br>
私はご主人様が喜んでくれるなら幸せですから、見限るなんてとんでもないですっ」<br>
<br>
私はまた、涙を零し始めてしまいました。<br>
こういう事になるとすぐ泣いちゃうのが私の悪い癖。<br>
ご主人様が嫌がるのに、どうしても涙が頬を伝っていってしまいます。<br>
<br>
410 「だから…だから私の事をもっと信用して下さい。<br>
頑張って死なないようになりますから、もっと合成も頑張りますから…」<br>
<br>
ぽん、とご主人様の手が私の頭の上に乗りました。<br>
私が見上げると同時に、ご主人様はわしわしと私を乱暴に撫で回し始めました。<br>
<br>
410 「い、痛い。痛いです、ご主人様」<br>
主人「お前に言われなくても、大金払わせたからには壊れるまでコキ使ってやるから覚悟しろ?」<br>
<br>
ご主人様は意地悪っぽく笑いながら、手を離しました。<br>
私はくしゃくしゃになった髪を整えながら、ご主人様につられてくすっと笑いました。<br>
相変わらず素直じゃないけど、これがご主人様なりの優しさなんだと。<br>
<br>
主人「よし、最後の仕上げと行くか」<br>
410 「はいっ」<br>
<br>
<br>
<br>
ドゴォォォォン チャラララーン<br>
<br>
主人「で、信頼した結果がこれなのかね?」<br>
410 「ごめんなさい…」<br>
<br>
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