邪気眼を持たぬものには分からぬ話 まとめ @ ウィキ 翼ある者 前編

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17.翼ある者 前編


"医療室"




――――カラン



と床に注射器が転がる
一本、二本と転がる注射器は増え 最後の一本も床に落ちた




「さすがは違法薬の専門J3… 体の痺れが治まったわ」


「これで限界だ。 オルドローズ、君の肉体は薬がないとまともに動くこともできない
 10人目なんてやめて、安静にしないと……」


「ありがとうドクター でもいいのよ
 ここで辞めたところで意味はないし…

 それにね 心を止めなければ、体はついてきてくれるのよ」


「…戦闘になれば、10分も持たんぞ」


「10分もあるの? 神様はこういうときだけ優しいのね」



魔女は理解していた
次の戦いは、勝っても負けても最後になる  と

わかっている だから



だから、"私"は笑ってみせた



―――――――――――――――……




夜の10時
箱庭の研究所の門が開く



それと共に一台の車が入り、研究施設の前で止まった
暗く、静かな空気が張り詰めるようだった



―――車から、一人の男が降りる
ロングコートを着た、長髪の男



「時間だ 俺の、魔女の」


乱暴に切りそろえられた前髪を弄りながら、その者は箱庭に向かう
昏い闇を踏みながら ただ 歩いた




―――――――――……




「最悪だ………」


魔女が出て行った部屋に残っていた氷仙は、憎むように言った
その手には封筒が握られている



「オルドは、相手が誰なのか知らない………
 でも、あいつは……」


くしゃ、と封筒を握り潰してベッドに投げ捨てる


「まだ、時間はある…
 少しでも可能性があるなら……」



決断をせねばならない時
行動するか、しないかと聞かれれば 彼女は迷わず行動する

全てが無駄になる前に 何かできることができれば  それがいい



「まだ、後悔するには早すぎるよ――――」



そう言って、氷仙は駆け出した

何も見えぬ 外へ