邪気眼を持たぬものには分からぬ話 まとめ @ ウィキ 闘劇の箱庭 中編

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6.闘劇の箱庭 中編




一人になった。

フラーテルが最近気付いたことだが、兄もちょくちょく外出しているようだった
おおよその見当はついているが

番号はわからない が、女の実験体のところに行っているということは確か。
そういうところも人間らしいと言っていいものか フラーテルは悩む



兄の行動にとやかく言うつもりは無い
それに今は夜だ



優先すべきことがある



来るなと言われても、元から自分は聞き分けの良い方ではない




「…オルドローズ……」

魔女が何なのか  もっと知りたい



・・・・・・・・・・



―――――――――箱庭に着く


フラーテルは音をたてず、箱庭に立つ"二人"を見つめた



スゥ……


吹き抜ける風に、会話がかき消されて聞こえない
もう少し 近づけれ    ば



そう思った時 地面の異変に気付いた





黒い    いや、"暗い"。




――――――――――――――――――――――…






私はこの男を見たとき、驚いた

全身を隠すように黒い布を身に纏っている
まるで宗教上の理由で肌を見せられない女性のようだ



私から見えるのは目と首くらいか




「そろそろ  いいと思うが」

黒い布の男は言った
今度は今までの能力者とは違うオーラのようなモノを感じる


「そちらは痺れを切らして もう準備をしてしまったようだけど?」

私は先ほどから波打つ足場
夜に出来る物とは違う"闇"が足元全体に広がっている



…なるほど 納得がいった



「"暗闇のオルフェウス"か」

その名はあまりにも有名であった

J3には所属していないが、能力者認定Sランクの男だ。
能力は  『影』



「いかにも 我が名はオルフェウス  一時だけだが、J3に依頼を受けて戦うこととなった」


ここに来て組織は本腰を入れてきたみたいだ

だが、有名であるということは 手の内がわかっているということ




「七人目に、あんたの名前を刻むよ」

短刀を構える




「紅の魔眼……"深紅(クリムゾン)"ッ!!」

私の眼の発動と共に、目に見えぬサークルを作り出す
今この空間には、目に見える"闇"と目に見えぬ"感"が発生した



「いかに深紅の魔女といえど、我が暗瞑眼の能力は破れることはない」



オルフェウスの言葉を無視して短刀を投げる
私の"感知"の力を合わせれば 相手に向かって飛んでゆく




ストッ



しかし短刀は地面に刺さっている




「潜った… 闇に…!」


どうやら考えが甘かったようだ
彼の能力は、影に潜ることができるというものだと解ってはいた

ただ影からの攻撃ならば私も簡単に感知できる


しかし、オルフェウスは 夜の闇全体を"影"とし 溶け込んでいる


「これではどこから来るのかも…っ!?」


急に痛みを感じた
右足から血が流れる


……相性が悪い
目に見える敵なら、すぐに燃やしてやれるのに



「…なんて言っても仕方ないわね」

とにかく動き始める。

「でも… どうしてかしら」

これだけの隠れながら攻撃できる術を持っているのに
急所や首を狙ってこないのか


思っている間に、今度は左足にも血が流れた

武器は自分と同じ ナイフのような物だろう



「とにかく、相手がその気になってないのか知らないけど…
 考えないと。」


増える足のダメージに、表情を歪まされる


「なかなか耐えるものだ」

暗闇から、オルフェウスの声が聞こえた
こういうことを楽しむような奴には見えなかったけど……


「…"浄炎"。」

声の場所で攻撃を当てるなんて不可能だ
常に闇の中を移動しているだろう相手に、それは隙を見せるだけだとわかる。


そこで私は、"足場全体に"炎の膜をかぶせた


周囲の数本の木にも火がつく



「無駄だな 本当に」


ザッ



今度は右肩を斬られた
影となる地面を塞いでも、攻撃は来た


足ばかりを攻撃していたオルフェウスが、何故肩を狙ったかはわからなかったが…



いや、わかった
何故なら、私の後ろには木があったからだ




「中途半端に知ってると、逆に戦いにくいものね」

足からの出血が酷い
あまり長引くと危険だ



「辛いだろう  諦めれば楽になる」


本来ならば絶望するであろう状況だが
私はようやく理解した





「いいえ、オルフェウス。 あなたは、あと三回の行動しか残されていないわ
 今のうちに言うけれど   諦めた方が楽よ」



魔女は地面に刺さっていた短剣を拾う




この光景を見ていたフラーテルにしかわからなかっだろう

魔女は    笑っていた