ジュルノ=ジュバァーナ・ⅩⅧ
「昔、ミスで相棒を死なせたって話したろ。
……あれはオレが殺したんだよ」
……あれはオレが殺したんだよ」
ジュルノ=ジュバァーナ・ⅩⅠ
あれはオレが11の頃、冬のイギリスで、魔術兵の圧倒的火力に追いつめられていた時だ……。
むこうは日没が早いからな、4時にはもう真っ暗さ。
むこうは日没が早いからな、4時にはもう真っ暗さ。
気がついたら相棒がいなかったんで、心配になって陣地を捜し回っていた時、休憩している戦闘班主力の方から悲鳴が聞こえた……!
現場へ駆けつけたら、オレの相棒がナイフを振りまわして暴れてたんだ。
精神操作系の眼か魔術で操られているのは明白だった。
精神操作系の眼か魔術で操られているのは明白だった。
オレはどうしていいか分からずに立ち尽くした。
まだ健在だった右腕には得意の狙撃銃を提げていたが、こいつを相棒に向けるなんて考えられないことだ。
まだ健在だった右腕には得意の狙撃銃を提げていたが、こいつを相棒に向けるなんて考えられないことだ。
そうこうしている内に1人死んだ。
周囲からは殺せという声や取り押さえろという声が入り交じり、前に出ようとする士官、報告に走る兵、腰を抜かす者……。
また1人死んだ。
また1人死んだ。
そして相棒はオレを見つけると、狙撃の腕を知っているようにオレへ飛びかかってきた。
相棒と眼が合った時、自分に殺意が向けられた時、初めて現実感が湧いてきた。
身の危険を考えるより早く、オレは相棒の震える腕について考えた。
身の危険を考えるより早く、オレは相棒の震える腕について考えた。
…………。
ナイフが届くギリギリ、オレは相棒の心臓を射ち抜いていた。
ジュルノ=ジュバァーナ・ⅩⅧ
柄にもなく、少し泣きそうになったが、月を眺め続けることで涙が落ちることを制御した。
「……成るほど、ね。
…不可抗力だよ、それは」
…不可抗力だよ、それは」
「不可抗力……果たしてそうかな?
オレがもっと精神的な強さを持っていれば、取り押さえることも可能だった。
オレがもっと精神的な強さを持っていれば、取り押さえることも可能だった。
……そこまで行かずとも、『仲間殺し』にさせる前に殺してやることは出来た。
彼の尊厳を護ることは出来た。
彼の尊厳を護ることは出来た。
この事態、オレのせいでなくて誰のせいだ。
オレはあいつの相棒だったんだよ」
オレはあいつの相棒だったんだよ」
「…雅さんの話と、重ねてるのかな」
「仮に自分が操られたとして、解放された時、仲間を殺している事実を知ったらどうだ。
誰も怨めない、仲間殺しは自分の意識の中で死ぬまで付いて回る。
誰も怨めない、仲間殺しは自分の意識の中で死ぬまで付いて回る。
オレァ、君がそんな目に遭うかもしれないのが怖いよ。
到る理由はどうあれ、責任は持たなきゃいけないしな。
到る理由はどうあれ、責任は持たなきゃいけないしな。
嗚呼、君の云った通りだ。
本当に月が綺麗だな……」
本当に月が綺麗だな……」
より深く過去に浸るかのように、ゆっくりと目を閉じる。
「……僕は、たぶん大丈夫だよ。
僕は確かにソラのことを第一に考えてるけど…絶対に君を不愉快にさせるような事だけはしない。
……君の親友として、約束するよ」
僕は確かにソラのことを第一に考えてるけど…絶対に君を不愉快にさせるような事だけはしない。
……君の親友として、約束するよ」
オレの額をレオナが撫でる。
「……ああ、本当に綺麗だね、……綺麗だ」
いつの間にか、オレも彼女も目の端に涙を溜めていた。
「そうか……。
安心したよ、レオナ」
安心したよ、レオナ」
レオナ曰く、オレが瞼を下ろすと、普段からは想像もできないくらい穏やかな顔だという。
その表情が涙を零し、安らかに眠りへと落ちた。
その表情が涙を零し、安らかに眠りへと落ちた。