3-306Episode 2Episode2.5 「ネルガルな日々」と続く大作の続きです。

Episode3 「夢の中へ」


夕日が差し込む電車の中、私はアキトさんから借りたメモ帳を読んでみました。
確かに、清書してくれたほうが読みやすそうで、解読不可能な文がいくつもあります。
メモ帳の文章解読に熱中していると誰かが私の名前を呼んでいます。でも、周りを見回しても話しかけていそうな人が居ません。
どこから話しかけられているんだろう?
有希「頭の中」
ルリ「うわっ!」
急に叫んだせいで周りの人が私に視線を向けてきます。
有希「声は出さなくてもいい」
(ああ、そうなんですか・・・じゃなくて。なんで私にテレパス能力があるんですか!?)
有希「違う、私が送っているだけ」
(変なことしない下さい! 私、普通の人間のままでいいですから)
有希「・・・」
(それで、何のようですか?)
有希「・・・電話。緊急事態。直にルリに代わってほしいと言われた」
(緊急事態・・・私に?)
有希「そう、代わる」
(代わる?)
翠「ルリですか!? 大変です! アス姉が!」
かなり取り乱した声が頭の中に響きます。
(翠さん? どうしたんですか、落ち着いてください)
翠「アス姉、が死んじゃうです~」
(えっ、死んじゃうって本当ですか!?)
翠「心が完全に死ぬです!そうなるともう絶対に目を覚まさなくなるです!」
(そんな、真紅さんや桜田さんはどうしたんですか?)
翠「それが、真紅もチビ人間もこの間nのフィールドに行ったきり帰ってこないですぅ。だからルリと有希の力を貸してほしいですぅ」
(わかりました。でも、有希姉は・・・)
有希「了解した」
(え、有希姉いいんですか?)
有希「姉妹は助け合うもの。この前、ルリから教わった。友人もまたしかり」
有希姉にしては珍しく話が噛み合ってますね。
(ありがとう、有希姉)
有希「そう」
翠「それじゃあ今からルリの家に行くです」
有希「(だめ、駅で待ち合わせ)」
(ちょ、ちょっと有希姉! 人の声で喋らないで下さい!)
翠「あ、はい、ルリ、わかったです。それじゃ」ガチャ
有希「・・・駅で」
(あ、ちょっとまだ話は終ってませんよ!)
 ・・・・・・・・・・
切られました。


駅の改札口を出るとそこには有希姉と翠さん、それにレイ姉までいました。
近づくと翠さんが私に気が付いて私のところまで走ってきます。
翠「遅いです!」
ルリ「ごめん、翠さん。それで、なんでレイ姉がいるんです?」
レイ「これは私にも関係あるわ」
ルリ「・・・そうですか?」
有希「惣流とレイ姉は友人」
 ・・・ライバルの方が適切に感じますけど。
レイ「これで、碇君は渚君から離れる」
と、レイ姉が呟いたのを私は聞き逃しませんでした。
 ・・・やっぱり、そういう裏があるんですね。
3人で話し込んでいると、翠さんが私の服の裾を引っ張ってきます。
あ、そうでした。
ルリ「それじゃ、行きましょう」

外は寒くて私はマフラーに顔をうずめます。翠さんも寒いらしく私に寄り添って来ました。
ルリ「翠さんは人形なのにやっぱり寒いって感じるんですね」
翠「そうです。だからもっとゆっくり歩けです」
ルリ「はい、はい」
なんだか私に妹が出来たようでうれしいです。
レイ「ずるい、2人でくっついて」
ルリ「レイ姉は有希姉とくっついてください」
レイ姉は有希姉のほうを見て頷いてます。
有希姉も頷き返しました。
何の合図ですか?
するとレイ姉と有希姉が私と翠さんのさらに横についてきました。
ルリ「何するんですか、他の人に迷惑です」
レイ「でも、暖かいわ」
ルリ「バカ」
傍らを見ると翠も嫌なようです。
翠「歩きづらいです、離れろです」
有希「問題ない」
翠「問題ありすぎです」
有希「・・・問題ない」
有希姉の声が寂しそうに聞こえました。
ルリ「翠さん、なんだったら抱っこしましょうか?そっちのほうが他の人の迷惑にもならないし」
翠「え? はい、ありがとです」
私は翠さんを抱き上げ、左右に姉たちを従えて歩き出しました。


病院に着いて、入口を抜けると傘立ての側で古泉さんがいつもの笑顔で立っています。
古泉「こんにちはどちらに行かれるんです?」
翠「ア、アス姉のところです」
翠さんは古泉さんが苦手のようです。
ルリ「何のようですか?古泉さん」
古泉「いえ、ちょっと今、涼宮さんが病室にいましてね・・・。まあ、これはたいした問題ではありません。それより、この間の事件以降、我々の機関内に不穏な事が起きてましてね。僕も評議会の保安諜報部に監視されているんですよ。困ったものです」
レイ「大変そうね」
レイ姉がそっけなく言います。
古泉「はい、それでですね、今日は惣流さんを助けてほしい事を言いに来たんです。私たちは何故か翠さんたちに関わってはいけない決まりがありましてね」
翠「そんな事言われるまでも無いです」
古泉「そうでしたね。あと、これは私個人のお願いなんですが、そこで何があったのか後で教えてほしいんです」
ルリ「何故です?」
古泉「なぜ、評議会が翠さんたちに関わるのを避けるのか・・・それが知りたいんです。どうやら何か裏がありそうですので・・・」
ルリ「でも、危険じゃないんですか?監視されているんですよね」
古泉「その事ならご心配なく。今頃、カヲル君が監視役の記憶を消しているでしょうから。まったく、彼にはいつも驚かされます」
ルリ「そうですか。わかりました」
古泉「ありがとうございます。この借りはちゃんと返しますよ」
そう、言うと古泉さんは去っていきました。
まったく、いつも私たちのことを監視しているようです。


病室に入るとベッドに横になっている惣流さんは空虚な眼で天井を見上げ、その傍らで顔に隈ができた涼宮さんが眠っています。
翠さんは私の腕から降りて、涼宮さんが寝ているのを確認するとポケットを広げて中を覗きこみました。
翠「スィドリーム、扉を開けるです」
すると、翠さんのポケットから小さな光の球が現れてそれが惣流さんの頭の上に灰色の渦を作り出します。
翠「さあ、掴まるです」
翠さんに私とレイ姉が掴まったんですが、有希姉が掴まろうとしません。
ルリ「有希姉、どうしたんですか?」
有希「あの空間転移門に入る事に対して情報統合思念体から非難勧告が出ている」
レイ「有希・・・無理しなくてもいいのよ?」
レイ姉が心配そうに言います。
有希「・・・問題ない。今、解除した」
そう言って有希姉は翠さんに掴まります。


翠さんは渦に向かって浮き始め、そのまま中へと進んでいきます。
最初は暗闇だったのですが、扉を抜けるともう、そこは病室ではありません。
足の下を見るとお花畑のようですがどうやらただの土に絵の具を塗ってあるだけのようで、その下には所々に笑顔で写っている惣流さんのビリビリに破かれた写真が見え隠れしています。
見渡すとほとんどが濃い霧に覆われ生暖かく、辛うじて見えるところは絵の具で土に描かれたお花畑が点在しているのだけです。
また、この世界はつど地面が揺れ、見上げると空は鉛色。そして、地面が揺れるたびに世界中に枡のようなひずみが出来ては消えていきました。
とにかく鬱で嫌なところです。
ルリ「ここが惣流さんの夢の中なんですか?」
翠「はい、でも少し変です。前はほとんどが真っ白で、こんなになっていなかったはずなのに・・・」
ルリ「それって悪化しているって事ですか?」
翠「違うです。こういう夢が見れるって事は本当だったらもっと回復しているはずです。とにかくアス姉の樹に行けばわかるです」
レイ「樹?」
翠「人がそれぞれ持っている心のことです」
そう言って翠さんは丘を登り始めました。隣でさっきから黙っている有希姉の眼を見るとどうやら困惑しているようです。
ルリ「有希姉、何かわかりましたか?」
有希「何も。この空間に入ってから情報統合思念体との通信が途絶えた。この世界は我々情報統合思念体にとって未知の世界」
ルリ「何もわからないんですか?」
有希「そう。しかし、私自身の情報処理能力に問題は無い」
ルリ「そうですか、少し安心しました」
翠「何してるですか!こっちです!」
上を見上げるとレイ姉と翠さんがこっちを見下ろしています。
翠さんはなぜか浮いています。
私と有希姉は翠さんのところへ登っていきました。


丘の頂上に着いて見渡すと、そこから天にも届きそうな黒い鉄の両開きの扉が向こうに聳え立っているのが見えます。
扉はここからでもわかるくらい外側から引き剥がされるように壊されていて、もう扉としての役割は果たしていません。
翠「樹があるのはあの扉の向こうです」
ルリ「あの、翠さん、なんで浮いているんですか?」
翠「ここは夢の中です。浮こうと思えば浮けるです」
隣を見るとレイ姉も浮いています。私も何度か試しましたが、どうも上手くいかずあきらめました。
私と有希姉は歩いて丘を降り始めます。
私は何度も転んでしまいそのつどレイ姉か有希姉の方に掴まりました。有希姉は地面がよく揺れるのにもかかわらず平然と歩いています。

扉に近づくにつれ濃い霧の中から石像が私たちの歩いている両側に現れ始めました。どの像も手が無かったり土台から崩れて横倒しになっています。そして、崩れた石像の中から何か布地が飛び出していました。どうやらサルの縫い包みが埋め込まれているようです。
ルリ「これはいったい・・・」
レイ「・・・弐号機。だけど、なぜ中に縫い包みが?」
レイ姉は石像に近づくと石像が動き出しました。
ルリ「何なんですか!?」
翠「わからんです!前はこんなやつ居なかったです!」
こっちに迫ってくる石像を前に有希姉が躍り出て呪文を唱えだしました。
「жШ▼Нⅱо」
すると、石像は有希姉の2メートル手前で光の壁に阻まれて、それ以上近づけずにもがきついに3メートルぐらい弾かれて砕け散りました。
やっぱり有希姉は凄い。
しかし、砕け散ったはずの石像はまたもとの形に戻り、襲い掛かってきます。石像たちの数もどんどん集まってきて取り囲まれそうです。
翠さんも如雨露を使って石像を太い樹に閉じ込めていきますが他の石像がその樹を壊していくのであまり効果がありません。
翠「さあルリ、扉まで走るです!有希は後ろで食い止めろです!翠星石は近くにチビ人間がいないからあまり力使えないです!」
有希「・・・了解」
翠さんが先頭に立ち、有希姉が殿を勤め私たちは扉のほうへと走り出します。
何対もの石像が立ちはだかりますがそれを翠さんが樹で押しのけて、左右や後ろから攻撃してくる石像を有希姉が重力波で弾いてくれます。
これなら扉にたどり着けそうですね。


扉にたどり着くと、もう石像はもう追いかけてこなくなりました。
そして、濃い霧の中、壊れた巨大な扉私たちを見下ろしています。
扉の中を覗いてみると中は真っ黒で何も見えません。
翠「この中です」
翠さんは扉へ近づいていきました。
私も近づいて見ましたがやっぱり中は真っ暗です。
それに変な感じもします。ここは念のため有希姉に聞いておきましょう。
ルリ「翠さん、ちょっと待ってください。有希姉、中の様子ってわかりますか?」
有希姉はしばらく扉の中を凝視してからこっちを向きます。
有希「・・・この扉から向こうはまた違う空間に繋がっている」
翠「そんなはず無いです!今までここを抜ければ確かにアス姉の樹のところにいけたです」
レイ「その翠さんの見ていた樹って、本当に惣流さんの樹なの?」
翠「うっ・・・そう言われると・・・」
ルリ「他に道は無いんですか?」
翠「ここは夢の中です。道っていうもの自体無くて・・・どこに進めばいいのかわからんです」
どうしよう・・・。
と思ったら有希姉が扉に向かって右側に進みだしました。
レイ「有希、どこに行くの?」
有希「丘の頂上で付近を索敵した時にこの扉以外の建造物を確認した」
そう言って有希姉はどんどん歩いていきます。
私たちは他に選択肢もないので有希姉の後に着いていきました。


道を進むにつれて鉛色の空に黒いキラキラした亀裂が入り初めます。
惣流さんが危ないってことでしょうか?

更に進むと霧の中から病院が現れました。見たことの無いデザインで、空と同じように所々黒いキラキラした亀裂が入っています。
有希「こっち」
有希姉は正面の入り口に向かいました。
自動ドアが開き中に入るとそこはなぜかロビーではなく、真っ赤な空と芝生が一面に広がる墓地でした。
ルリ「ここで本当にいいんですか?」
有希姉に聞いてみましたが何も答えずにどんどん先に進んでいきます。
翠さんの方を見るとキョロキョロしています。
ルリ「翠さん、どうしたんですか?」
翠「・・・あの、さっきから誰かに見られているような気がして・・・気のせいかもしれないですけど・・・」
私もあたりを見回してみましたが特にこっちを見ているものは無く、こうしている間にも有希姉とレイ姉はどんどん先に進んでいきます。
しばらく歩いていると、向こうに何かがたくさん集まっています。
近づいてみると着ぐるみサイズの女の子の縫い包みでした。
縫い包みたちは何か話しています。
縫い包みA「かわいそうに」
縫い包みB「小さな娘を残して自殺するとは残酷なものだな」
縫い包みC「本当にかわいそうに」
どうやらお葬式をしているようです。
縫い包みの輪の中に女の子がいます。よく見ると惣流さんに似ていました。
私たちが輪の中に割って入ると縫い包みたちは去っていきます。
ルリ「惣流さんですか?」
惣流さん(小)は口を硬く閉ざし答えません。
翠「黙ってちゃ、わからんです!」
惣流さん(小)はさらに強く口を結んで俯きました。
すると、レイ姉が惣流さん(小)の前でしゃがみこみました。
レイ「あなた、名前は?」
惣流さん(小)は顔を上げます。
アスカ小「・・・アスカ」
レイ「どうしてこんなところにいるの?」
レイ姉に姉らしい事って出来たんだ・・・。
アスカ小「・・・ママがいなくなっちゃったの。でも私は一人でも大丈夫」
なんで、こんな簡単に聞き出せるんでしょう?
レイ「そう・・・私たち樹を探しているの。知らない?」
アスカ小「樹? それならこっちだよ」
そう言って惣流さん(小)は走り出しました。
ルリ「レイ姉、いつ子供のあやし方なんて覚えたんですか?」
レイ「・・・漫画」
ルリ「・・・そうですか・・・そうですよね」


惣流さん(小)の後を着いていくと何故かまた病院の中に戻っていて、私たちは廊下を走っています。
惣流さん(小)は廊下の突き当たりの病室の前で止まりました。
アスカ小「はやくはやく、ここだよ!」
そう言って惣流さん(小)は扉を開き中に入っていきました。
部屋の中は真っ黒で何も見えません。
アスカ小「こっちだよ。はやく!」
そう言ってますがやはり中は暗くて何も見えません。
私はレイ姉と翠さんが病室に入っていこうとするのを止めました。
レイ「どうしたの?ここのようだわ」
翠「そうです。急ぐです!」
ルリ「これは何か変です。さっきの鉄の扉と同じです」
翠「・・・そうですけど」
私は有希姉の方を見ました。
ルリ「有希姉、どうですか?」
有希「ここも違う空間に続いている」
レイ「・・・でも、ここに惣流さんが入っていったし」
翠「そうです」
ルリ「でも、あの惣流さん本物ですか?」
翠、レイ「・・・・・」
アスカ小「どうしたの?ここにあるよ?」
その声はやはり暗闇の中から聞こえます。
有希姉のほうを見ると隣の病室の扉を開け始めました。
有希「こっちは?」
どうやら翠さんに聞いているようです。
翠「私にもわからないです。でも・・・」
アスカ小「こっちに樹があるんだよ!」
一度惣流さん(小)が入っていった暗い病室を見てから。
翠「こっちのような気がするです」
レイ「そうね、行きましょう」
こうして、有希姉が開けた病室に入りました。


すると今度は公園に居ます。
世界はモノクロで温かみは無く鉛色の空にはいる亀裂だけがキラキラと輝いています。
周りには惣流さんに似た子供たちとサルの縫い包みをもった女の子の縫い包みたちがそれぞれ1組になって遊んでいたり罵り合ったり殴りあったりしています。
こっちから近づいて話しかけても女の子の縫い包みも惣流さん(小)も何の反応もせずただただ同じことを繰り返していました。
ルリ「行きましょう」
レイ、有希、翠「・・・」
公園を出てしばらく歩いていくとトンネルがあり、その中を進んでいくと道が3つに分かれていて、分かれ道の前には沢山の人形の残骸と惣流さん(小)が座っていました。
惣流さん(小)は縫い包みを千切っています。
ルリ「あれもやっぱり偽者でしょうか?」
翠「わからんです。でも、さっきの公園のとは違う感じがするです」
有希「同意」
レイ「そう?」
ルリ「とりあえず、訊いてみましょう」
私は人形を熱心に千切っている不機嫌そうな惣流さん(小)に近づいていきます。
惣流さん(小)の方はこっちに気付きません。
ルリ「あの、何してるんですか?」
アスカ小「・・・」
これはやっぱり・・・
ルリ「レイ姉、お願いします」
アスカ小「どこへ行っても同じ」
急に惣流さん(小)が呟きました。
ルリ「あの、どういうことですか?」
アスカ小「私は独りで生きていけるの」
ルリ「・・・」
アスカ小「私は優秀な子なの」
惣流さん(小)の縫い包みを契る速度が上がります。
ルリ「・・・」
すると、レイ姉が惣流さん(小)に近づいてしゃがみこみました。


レイ「どうして寂しいの?」
アスカ小「私は寂しくない」
レイ「どうして、意地を張るの?」
アスカ小「意地なんて張ってない。私は、私特別な子なの」
レイ「もっと力を抜いていいのよ」
アスカ小「え?」
惣流さん(小)は縫い包みを千切る手を止めました。
なんだかやっとこっちに気付いたようです。
レイ「もっと甘えていいのよ」
惣流さん(小)はハッとしたようにレイ姉の顔を見ます。
アスカ小「・・・本当に?」
レイ「ええ」
レイ姉が優しい顔をしています。
アスカ小「そうななな・・・・・な・・」
惣流さん(小)が急に痙攣しだしました。
レイ「どうしたの」
アスカ小「・・・な、なんでもない」
惣流さん(小)が笑顔で答えました。
アスカ小「それより右の道へ行って、そこに樹があるよ」
レイ「本当に?」
アスカ小「うんん・・・・・ん・・・」
また痙攣が始まったかと思うと笑顔から表情が一変しあせったような顔になります。
アスカ小「・・・左の道へいって! 左が本物の道。そっちにいっててててて・・」
アスカ小「・・・わ、私が・・・、ファースト、真ん中の道へ行きなさいいいいいいいいいい・・・」
アスカ小「・・・違う、右へ・・・左へ・・・・」
惣流さん(小)はそのまま気を失ってしまいました。
レイ「・・・」
ルリ「・・・あの、それでどの道にしますか」
翠「左ですか?」
ルリ「有希姉、何かわかりますか?」
有希姉の方をみると3つの道を見ながら悩んでいるようです。
有希「不明、この付近に来てからセンサーが使えなくなった」
ルリ「それじゃあ・・・」
レイ「真ん中」
レイ姉が断言します。
ルリ「どうしてですか?」
レイ「なんとなくだけど、真ん中っていったのが一番、惣流さんに似た言い方をしていたから」
翠「そうですね、たしかに」
ルリ「そうですか、レイ姉と翠さんが言うなら」
私たちは真ん中の道を進んでいきました。


すると、私たちは石畳の道の上に立っていました。
さっきと同じように空は鉛色で黒いキラキラした亀裂が入っていて、石畳の道以外は荒涼とした大地が広がっています。
そして、道の両脇には電柱の代わりに空から伸びている縄に首を吊っている女の子の人形が等間隔に並んでいました。
翠「ひぇっ!」
翠さんはレイ姉にしがみ付いてます。
ルリ「どうやら合ってるみたいですね」
レイ「・・・」
有希「・・・」
有希姉が歩き出そうとするとまた地面が揺れました。鉛色の空に黒いキラキラした亀裂が入りそれが今の揺れで太くなりました。
翠「危ないです。アス姉がもう危険な状態なんです。急がないと私たちも夢の中に閉じ込められてしまうです」
私たちは道を急ぎました。


しばらく走ると前に大きな木の扉が現れてました。しかし、その前には身長が優に5メートルはあるネグリジェを着た女の人が立塞がっています。
これがボスって事でしょうか?
キョウコ「一緒に死んでちょうだい」
そう言って女の人は座った眼でこっちに笑いかけながら私たちを捕まえようと手を伸ばしてきました。
伸ばしてきた手は有希姉の重力波によって弾かれてしまい、彼女はうめき声を上げて手を引っ込めました。
しかし、諦めそうにありません。
キョウコ「一緒に死ねば怖くないわ」
そう言ってまた手を伸ばして来ます。
また重力波に阻まれますが、今度はそのまま手で重力波を押し続けています。
するとだんだん重力波が歪み出しました。
有希「避けて、重力波が消滅する」
ルリ「え?」
そう言うが早いか重力波は消滅し有希姉は跳躍しました。
私はレイ姉に助けられ空に舞い上がります。
女の人の腕はそのまま石畳を突き破りました。
こんなの受けたらひとたまりもなかった・・・。
有希姉はというと女の人の右腕に着地しそこからまた跳躍して、女の人の顔めがけて飛びました。しかし、女の人が頭で有希姉を叩き落としてしまいました。
有希姉は地面に叩き付けられます。
有希姉は立ち上がろうとしますが立てません。見ると、どうやら左足を傷めたようです。
倒れて動けない有希姉に女の人が近づいていきました。
絶体絶命です。
しかし、途中で足が止まりました。足を見ると樹が絡まっています。
翠「有希!やれです」
空に浮きながら如雨露を振るった翠さんもこれが精一杯のようで力を使うのが苦しそうです。
有希姉は倒れた状態で呪文を唱えたかと思うと体が赤色に光だしました。
赤い球になった有希姉はそのまま宙に浮き、急に速度を上げてそのまま女の人の右目を突き抜けました。
キョウコ「ギャァァァーーーーーーー!」
そう呻き声を上げて女の人は手で顔を抑えながらうつ伏せに倒れ動かなくなりました。
ルリ「ふぅー・・・ありがとう、レイ姉」
レイ「・・・ルリ、重い」
ルリ「バカ」


倒れた女の人は光り輝きだし、光の粒となって消えていきます。
どうやら倒したようですね。
光が消えるとそこには右目に穴の開いた女の子の縫い包みだけが残りました。
レイ姉と一緒に地面に降りて赤い球に近づきます。
赤い球から元に戻った有希姉に近づくとなぜか右腕がなくなっていました。
ルリ「どうしたんですか!?」
有希「体を変換、再構成する際に右腕の構成物質を使った」
どうやら血は出ていないようです。
有希姉は立ち上がり、女の子の縫い包みを拾おうとすると、とたんに人形が消えてしまいました。
有希「・・・」
ルリ「倒したんでしょうか?」
有希「わからない」
ルリ「ありがとう、有希姉」
有希「いい、姉妹は助け合うもの」
ルリ「そうでしたね」


巨大な木の扉を有希姉が軽々と開けて中に入ると、そこには枯れた芝生の中にある、腐った池の中の島に小さな樹が生えていました。
レイ姉に掴まって私と有希姉は島に上陸します。
その樹の周りには蔦が絡まっており、まるで樹を絞め殺そうとしているようです。
蔦は所々黒いキラキラした線が入っていてとても不気味です。
有希「・・・」
レイ「枯れているわ」
ルリ「これが惣流さんの樹ですか?」
翠「これであってると思うです」
皆が有希姉方を見ると有希姉は樹に近づいて蔦に触れようとしました。
翠「気を付けて、黒い所には毒があるです」
有希「そう」
有希姉は黒くない部分を触る。
しばしの沈黙の後有希姉が口を開いた。
有希「これは、情報統合思念体の処理システムでは取り除けない」
翠「そんな・・・」
レイ「どうにもならないの?」
有希「待って、試したいことがある」
そう言って私とレイ姉の方に顔を向けます。
ルリ「何ですか?」
有希「許可を」
ルリ「私たち、キョンさんじゃありませんよ」
有希「・・・今は仕方が無い」
レイ「やっちまえ」
レイ姉、あなたって人は・・・。
ルリ「どうぞ」
有希「・・・そう」
と、言うと何かの力を使っているのでしょうか。蔦がどんどん消えていきます。
翠「凄いです。有希は庭師になれるです」
翠さんも喜んでいるようで・・・。

―ピシッピシッ―

いきなり辺りに閃光が走って一瞬眼が眩みました。
眼を開けてみると有希姉が倒れています。
ルリ「有希姉。大丈夫ですか?」
レイ「有希!」
肩を揺すると有希姉が目を覚ましました。
ルリ「大丈夫ですか?」
有希「問題ない」
よかった。でも、樹を見るとまだ蔦が樹に絡まっています。
レイ「まだ蔦が残ってるいわ」
有希姉が樹に近づこうとすると今度は今までにないぐらいに地面が大きく揺れ始めました。
立っていることもできません。
見上げると鉛色の空に入った亀裂がどんどん広がっていき上からガラスのような破片が落ちてきます。地面にも亀裂が入り惣流さんの樹がその亀裂の隙間に落ちていきました。
翠「ああ!アス姉の樹が!」
そう言って翠さんは亀裂の中に飛び込もうとしましたが、それを私が引き止めました。
翠「行かせろです!」
ルリ「ここはもう脱出するべきです」
翠「でも・・・このままじゃアス姉が」
渋る翠さんにアス姉が近づいて言いました。
レイ「翠さんまで居なくなっちゃったら涼宮さんが悲しむわ」
翠「うう・・・はい」
翠さんは泣く泣く如雨露を使って葉っぱを出しました。
翠「直に・・・乗ってください・・・と、飛ばします・・・」
葉っぱに乗り込むともの凄いスピードで空を駆け抜け暗闇を抜けて行き、いくつもある扉の1つを潜ったかと思うと、もう、そこは惣流さんのベッドの中でした。


ベッドから這い出て惣流さんを見ると夢の中に入る前と同じようにやっぱり天井を見上げています。
有希姉を見ると、既に腕は元に戻っていました。
翠「・・・もう、アス姉は目を覚ますことはなくなったです」
レイ、ルリ、有希「・・・」
ハルヒ「うぅん・・・」
こんなときに涼宮さんが起きました。
ハルヒ「あれ?翠に有希、それにルリちゃんにレイ。どうしてここに?」
翠、レイ、有希「・・・・」
ルリ「あ、あのお見舞いに来たんです。でも、涼宮さんが寝ているから帰ろうとしていたところなんですけど」
ハルヒ「そんな気にしないで、もっと居てくれて良いのよ。アスカもきっと喜んでると思うから」
そう言って涼宮さんは惣流さんを見ますが、やっぱり天井を見上げたままです。
レイ、ルリ、有希「・・・」
翠「うぅ・・・」
翠さんは病室を飛び出していきました。
ハルヒ「ちょっと!翠!?ねえ、翠に何かあったの?」
レイ、有希「・・・・」
ルリ「・・・翠さん、今日何だか体調が悪いみたいで・・・私たち、翠さんを家に送りますね」
ハルヒ「そう、ありがとね」
ルリ「それじゃ、さようなら」

外はもう暗くなっていて冷たい風が体を冷やします。
病院の中を探すと花壇の側で丸くなっている翠さんを見つけました。
ルリ「翠さん、帰りましょう」
翠「・・・」
レイ姉が翠さんの前にしゃがみこみます。
レイ「帰ろ」
翠「・・・(コクリ)」
翠さんはレイ姉の服の袖を掴んで私たちの後についてきました。
レイ姉も元気が無いらしく肩を落としています。有希姉も何だか歩き方がぎこちないです。
翠さんの家との分かれ道のところに来ても翠さんはレイ姉を離そうとはしません。
なんだかいつの間にか翠さんがレイ姉に懐いていますね。
レイ「一緒に家でご飯食べる?」
翠「・・・(コクリ)」
私たち4人は元気なく家にたどり着きました。


家に着くと翠さんとレイ姉と有希姉は炬燵に入りに居間に行きました。
私が鞄を部屋に置いて居間に戻ると、翠さんは落ち着いたようですがまだ沈んでいて、その隣で有希姉は本を読んでます。
レイ姉が私に気付きました。
レイ「ルリ、お腹がすいたわ」
有希「同意」
ルリ「・・・そうですね。翠さんは何が食べたいですか?」
翠「・・・」
ルリ「そうだ!アキトさんからレシピのメモ帳を貸して貰ってたんでした。それで何か温かくて美味しいものを作りますね」
翠「・・・(コクリ)」
有希姉が私を見て何だか驚いているようです。
レイ「ありがとう、ルリ、それじゃお願い」
ルリ「あ、はいレイ姉」


アキトさんの料理はいつも美味しいから食べれば少しは翠さんも元気になるでしょう。
私は部屋に戻って鞄の中からメモ帳を取り出して中を見ました。
ルリ「あれ?」
電車の中で読んだ最初の部分以降に続くページがなぜか白紙になってます。捲っても、捲っても何も書いてありません。
これって・・・。

―ガタッ―

物音で後ろを振り向くと有希姉が立っていました。
ルリ「有希姉これ見てください。私、今日アキトさんからメモ帳を貸してもらったのに電車で読んでいないところが全部白紙なんです。これってもしかすると」
有希「そう」
有希姉が私の言葉をさえぎるように返事をしました。
ルリ「『そう』て、他に言うことが・・・!」
言葉が続きません。だって有希姉の右手には本ではなく包丁が握られているんですから。
ルリ「・・・有希姉ですよね?」
有希「・・・」
有希姉らしき人が微笑みながらこっちに近づいて来ます。
これは明らかに有希姉ではありません。
ルリ「あなた、誰ですか!?」
?有希?「迂闊。メモ帳の隠蔽を忘れた」
ルリ「そんな喋り方止めてください」
?有希?「ふふ、そう」
偽有希姉が包丁で切りかかってきました。私はとっさに避けたのですが、鞄に躓いて仰向けに転んでしまいます。
偽有希姉がゆっくりと微笑みながら近づいてきます。
?有希?「もう少しで上手くいくところだったのに」
そう言って、包丁で私の左肩を刺しました。
ルリ「うあっ!」
?有希?「失敗、今度は外さない」
そう言って包丁を肩から引き抜き、再度、振りかぶります。
今度は何とか包丁を避け、私はそのまま部屋の外に飛び出そうとしました。
しかし、その拍子で足がもつれ転んでしまいそうになりました。すると、頭上を何かが通り抜け、廊下の壁に刺さりました。
包丁です。


私は足を縺れさせながらも居間に駆け込みました。レイ姉と翠さんはテレビを見ていましたが私が急に入ってきたのでこっちを見て眼を丸くしています。
レイ「どうしたの!?」
ルリ「有希姉は偽者です!」
翠「え!?」
2人が驚いている中、偽有希姉がぎこちない足取りで居間に入ってします。
?有希?「せっかく私の世界が完成するはずだったのに」
そう言うと今度はレイ姉に襲い掛かろうとしました。それを翠さんが如雨露で樹を生えさせ壁を作ります。偽有希姉はマリオネットのようなぎこちなさで跳躍して樹の壁から離れました。
?有希?「迂闊だった」
翠「捕まれです!」
そういって翠さんは如雨露を振ると樹の壁が偽有希姉目掛けて伸びて生きます。偽有希姉はそれを腕だけを振り回し包丁で切り刻んでいきました。
翠「往生際が悪いです!」
翠さんはさらに力を出して攻撃します。今度は偽有希姉も樹を全て切り払えず捕まりました。
?有希?「クソッ、離せ!」
偽有希姉はもがきますがもう逃げられないようです。
翠「ルリ、どうしますか?」
ルリ「翠さん、そのまま潰しちゃってください!」
翠「はいです!」
すると樹がどんどん偽有希姉を包み込みだしました。そして、包み込んだ状態で強引に幹を縮めました。
樹の中から悲鳴と嫌な粉砕音が響き渡り静かになります。
わたしって残酷でしょうか?
しばらくすると偽有希姉を潰した樹が光り輝きだし、輝きが消えたかと思うとそこには右目に穴の開いている女の子の縫い包みだけが残りました。持ってみると、今度は消えずに砂のように崩れてしまいます。
どうやら今度は倒したようです。
翠「うぅ・・・」
翠さんが倒れてしまいました。
ルリ「翠さん!ああ、力を使いすぎたようですね」
翠「はい・・・。でもなんでです?」
翠さんはどうやら立て無いだけの様で意識ははっきりしています。
レイ「ルリ、これは、どういうことなの?」
ルリ「・・・どうやらここはまだ夢の中のようなんです」
翠「え?」
ルリ「さっきアキトさんから借りたメモ帳を見たんですけど、私が電車の中で読んだ部分以外が白紙になっているんです。これは私が記憶していなかったから起きることです」
レイ「でも、テレビの番組を見ているけど私これ一度も見た記憶が無いわ」
ルリ「ああ、これなら、昨日私がレイ姉が居ないときに見ていた番組です」
そう話していると急に地面が揺れだし家の壁に黒いキラキラした亀裂が入りました。
レイ「どうやら、本当のようね」
レイ姉が翠さんを抱き上げます。
翠「それで・・・どうするですか?」
ルリ「とりあえず、病院に行きましょう」
私とレイ姉と翠さんは玄関から外に出ました。
外は生暖かく濃い霧が立ちこめていて、周りの建物は全て絵の具で描かれた花園に覆われ、亀裂の入った鉛色の空からはガラスのような破片がとめどなく降り注いできます。
私たちはとにかく病院に向かいました。


病院の入り口に入ると景色が一変し目の前には蔦が絡まって枯れている小さな樹と有希姉、
それにタキシードを着たウサギが立っていました。
有希「・・・」
有希姉には右腕がありません。
ルリ「有希姉ですよね?」
有希「そう」
と、有希姉は無表情のままで言いました。どうやら本物のようですね。
私は有希姉に近づきました。
ルリ「有希姉、今までどこに居たんですか?」
有希「樹の側にいた。途中で消失したのはレイ姉とルリの方」
そう言って、有希姉は私の肩の傷を直してくれました。
ルリ「ありがとう、有希姉」
有希「いい、私の責任」
ルリ「そんなことないですよ」
有希「・・・」


ラプラス「おめでとうございます!みなさん。」
今まで、黙って私たちを見ていたウサギが高らかに言い放ちました。
翠「ラプラスの魔!何故ここにいるですか」
ラプラスの魔とか言うウサギは笑みを浮かべて言います。
ラプラス「疑問はつきません。答えが出てもまた、疑問は生まれる」
翠「ちゃんと答えろです!」
レイ姉の腕の上で翠さんがあらん限りの力で言いました。
ラプラス「私はつまらないことには首を出しません。切られるのは悲しいですから」
と、わけのわからないことを言います。
ルリ「この樹に蔦を仕掛けたのはあなたなんですか?」
ラプラス「いいえ、お嬢さん。これは哀れなモノが残したモノ。私はそれをオカシクしただけです」
ルリ「全然、可笑しくありませんでしたよ」
ラプラスの魔は微笑みながら言います。
ラプラス「ふふ、それは残念。しかし、私は面白い発見をしました」
そう言うとラプラスの魔は有希姉のほうを見ます。
何があったんでしょうか?
ラプラス「流れの中で人はもがいています。いえ、踊らされているのか・・・それは人それぞれ。大きな流れは大きなものを流していきます。ご注意ください」
有希「・・・・」
どうやら有希姉に言っているようですが意味がわかりません。
レイ「何を言っているの?」
ルリ「・・・」
翠「ラプラスの魔、これからどうするつもりなんです?」
ラプラス「ふふ、今日は楽しいものを見せてもらいました・・・よって大サービス!」
そう言うとラプラスの魔がステッキを振りました。すると、いとも簡単に樹に絡まっていた蔦が消え、枯れていた樹が蘇りました。
また、鉛色の空に光が差し込み始めます。
翠「やったです!これで、アス姉が治るです」
レイ「良かった」
有希「・・・」
ルリ「ラプラスの魔、あなたは何者なんですか?」
ラプラスの魔はこっちを見て笑みを浮かべました。
ラプラス「ふふ、お嬢さん、それはたいした問題ではありません。大きなモノの前に小さなモノは無力」
ルリ「どういうことですか?」
ラプラスは微笑むだけで答えてくれません。
ラプラス「それではさようなら皆さん、お帰りはウサギの穴から・・・」
ラプラスの魔がお辞儀をすると同時に急に地面に大きな穴が開き、私たちは暗闇へと吸い込まれていきました・・・。


しばらく落ちたかと思うと急に光が戻り、地面に腰を打ちました。さらに私の上にレイ姉と有希姉が落ちてきます。
苦しい。
這い出て周りを見るとそこは惣流さんの病室です。
ルリ「戻ってきたん・・・ですよね?」
有希「戻った」
そう言った有希姉を見ると右腕が再構成されていきます。
どうやら本当に戻ってきたようですね。
ハルヒ「うぅん・・・」
涼宮さんが目を覚ましました。
ハルヒ「あれ?翠に有希、それにルリちゃんにレイ。どうしてここに?」
これをデジャビューって、言うんですよね。
翠「ハル姉!」
翠さんが涼宮さんに抱きつきました。涼宮さんは急なことで驚いています。
ハルヒ「どうしたの、翠?」
涼宮さんがこっちを見ました。
ルリ「あの、たいしたことじゃないです。私たちはお見舞いに来たんです。でも、涼宮さんが寝ているから帰ろうとしていたところなんですけど」
ハルヒ「そんな気にしないで、もっと居てくれて良いのよ。アスカもきっと喜んでると思うから」
そう言って涼宮さんは惣流さんを見ると、惣流さんがこっちを見ています。


アスカ「・・・うるさい」
静寂が病室を包みました。皆の視線が惣流さんに集まります。
アスカ「な、何よ?」
ハルヒ「アスカ!?良かった、気が付いたのね!」
翠「アス姉~~、良かったです!」
そういって涼宮さんと翠さんは惣流さんに抱きつきました。
ハルヒ「本当によかった!」
涼宮さんと翠さんが涙を浮かべて喜んでいます。
惣流さんは何だか戸惑っているようで眼を白黒させています。
翠さんが惣流さんから離れて眼を擦りながら言いました。
翠「・・・アス姉、今までずーっと料理当番さぼってたですから、退院したらみっちり働いてもらうです!」
涼宮さんも眼を擦りながら言います。
ハルヒ「そうね!ついでに掃除当番も」
アスカ「そんな・・・私は病人よ? もっと気遣ってよね・・・」
翠「黙れです!」
ハルヒ「そうよ、黙らないと罰金だからね!」
涙がぶり返したようで2人はまた眼を擦り始めました。
どうやらあの元気すぎる3姉妹が久しぶりに戻って来たみたいです。
翠さん、良かったですね。

私が3人を眺めているとレイ姉が耳元で囁きました。
レイ「帰ろ」
ルリ「そうですね」
有希「同意」
私たちはそっと病室を出ました。
邪魔者は退散です。


外に出ると夢のときと同じようにというか当たり前のように寒い風が吹いてます。
私たちは寄り添いあいながら家に帰りました。
家に帰る途中、私は有希姉に聞きました。
ルリ「有希姉?」
有希「何?」
ルリ「ラプラスの魔と何を話たんですか?」
有希「・・・家に帰ったら話す」
ルリ「・・・そうですか」
そういえばまだこの間の事件についても話してくれてないな。まあ、良いですけど。
ふと、レイ姉を見ると何だか上機嫌です。
あの3姉妹のことでしょうか?
ルリ「でも、良かったですね。向こうの3姉妹が元に戻って」
レイ「え?」
ルリ「いや、レイ姉はそのことを喜んでいるんじゃないんですか?」
レイ「いいえ、これで、碇君も少しは私に・・・ふふ」
レイ姉が黒い笑みを浮かべました。でも・・・。
ルリ「あの、レイ姉? 惣流さんが復活となるとまたライバルが戻ってくるってだけで余計に会う時間が減るかもしれませんよ」
レイ姉が立ち止まりました。どうやらそのことに気付いていなかったようです。
抜けてますね、レイ姉。
しばらくするとレイ姉はまた歩き出しました。
レイ「ルリ、アキトさんからのメモ帳って何が書いてあるの?」
ルリ「え?レシピのメモとかですけど・・・」
話が変わりましたね。何だか嫌な予感がします。
レイ「見せて」
やっぱり。
ルリ「ダメです」
レイ姉が悲しい顔をしてます。でも・・・。
ルリ「ダメったらダメです」
レイ「・・・ルリの意地悪」
有希「意地悪」
有希姉まで拗ねました。いえ、有希姉は便乗しているだけですね。
レイ、有希「・・・」
 ・・・はぁ、仕方ない。
ルリ「元気出してください。今日はアキトさんから貸してもらったレシピで温かくて美味しいもの沢山作りますから」
レイ「期待してるわ」
有希「量は多めに」
とたんに元気になりました。なんででしょう?もしかして嵌められましたか?
ま、いいです。
家の姉妹はこんな感じですから。





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