ブレトランドと魔法都市・簡易版 - ラガドーン・タバーン

　動乱が続くブレトランドにおいて次々と名乗りを上げる新世代の君主達。だが、そんな彼等の中には、既に村や国を治める身でありながらも、未だ契約魔法師を持たぬ者達もいた。一方で、既に契約魔法師となるに足る実力を持ちながらも、未だ君主との契約を果たさぬ魔法師達もいる。これは、そんな彼等の「出会い」の物語である。

第1話「新興国家の契約事情」

	ランス・リアン ・メイジ／サモナー ・14歳 ・男性 ・実家は聖印教会の信者 ・自称「堕天使ヤマトゥ」
	ローラ・リアン ・メイジ／プロフェット[夜藍] ・15歳 ・女性 ・実家は女神ヘカテーを信奉する一族 ・基本的には苦労人気質
	ラナ・S・リアン ・メイジ／エレメンタラー ・22歳 ・女性 ・以前の契約相手は混沌災害で戦死 ・割と周囲に無頓着
	メーベル・リアン ・メイジ／アルケミスト ・22歳 ・女性 ・以前の契約相手とはセクハラ問題で破局 ・実質的なまとめ役
	エディ・ルマンド ・ロード／キャヴァリアー ・22歳 ・男性 ・トーキーの領主 ・マーチの領主セシルの従兄
	SFC ・プロジェクション／オルガノン ・24歳 ・女性 ・マーチの領主セシルの親衛隊長 ・正体は1990年代の地球の玩具

　アロンヌ西沖のクロノス島にて、君主と魔法師による契約相手探しのための「無人島合宿」が開催されることになった。魔法師側の参加者はリアン一門のメーベル、ラナ、ローラ、ランスの四名。一方、君主側の参加者はグリース傘下のエディとセシル（および保護者のSFC）、そしてアロンヌの地方領主ルイ（メーベルの元契約相手）とフィリップ（ルイの弟）であった。
　だが、彼等の到着と時を同じくして、島の周囲では急激に混沌濃度が高まり始める。これは、島の中央部で復活しつつある強大な「邪神」と思しき投影体の影響であった。更に、その「邪神」を倒すために、ラナの仇敵である巨大亀の投影体（およびその眷属の金槌亀）や、ローラやランスと因縁の深い聖印教会の過激派集団が島に乱入することで、状況は更に混乱していく。互いに相手の正体も目的もよく分からないまま疑心暗鬼の空気が広がる中、聖印教会の者達は魔法師達に討たれ、フィリップは逃亡し、ルイは虜囚となり、更には巨大亀が「邪神」に倒された後に、最終的にはグリース組と魔法師達が力を合わせて「邪神」とその眷属を倒すことに成功する。
　そして戦いを終えた後、エディとセシルが（SFCも交えて）協議した結果、セシルはメーベルを、エディはラナを自身の契約魔法師として迎える決意を固め、彼女達もそれに同意する。こうして、波乱万丈の無人島合宿は、無事に二組の魔法師契約を成立させて、幕を閉じるのであった。
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第2話「伝統国家の契約事情」

	グラン・マイア ・ロード／アーチャー ・18歳 ・男性 ・自力で聖印を作った青年 ・パンドラへの復讐を目指す
	ボリス・オクセンシェルナ ・メイジ／エレメンタラー[朽葉] ・18歳 ・男性 ・亡国の元君主 ・世界の真理を追い求める
	ヴェルナ・クアドラント ・メイジ／プロフェット ・19歳 ・女性 ・エーラム魔法学院の学生 ・常識を超越する味覚の持ち主
	フリック ・アーティスト／アンデッド ・23歳 ・男性 ・カナハの自警団の副団長 ・混沌を察知する嗅覚の持ち主

　ヴァレフールの新伯爵に就任したレアの祝賀会を名目とした、同国の君主達への契約魔法師斡旋の機会がエーラムの迎賓館で設けられることになった。君主側からはレアに加えて、リューベン、ダンク、ウォート、ラファエル、クリフト、ユイリィ（および護衛のフリック）、そして飛び入りでレアの従属君主となったグランが参加し、魔法師側からはランス、ローラ、ボリス、ヴェルナ、カナン、ルナ、ユニス、そして進行補佐役としてヴェルナの義弟のユタが同席する。しかし、このうちカナン、ルナ、ユニスの三人は偽物で、その正体は女神ヘカテーの従属神達であった。
　この世界におけるヘカテーには、かつてルシフェル（堕天使）という夫がいたが、息子のユタの出産後に二人は破局し、ユタはヘカテーによって人間の夫婦に託され、人間として育てられることになった。ルシフェルはそのユタの中に封印された邪悪な力を呼び起こした上で自らの傘下に置こうと企んで迎賓館に潜入し、従属神達はそれを防ぐために派遣されていたのである。最終的にはルシフェルは魔法師達およびグランとフリックの手で倒され、ユタの魔覚醒は阻止される。
　その後、ローラはラファエルと、ボリスはウォートと、そしてヴェルナはレアと契約を果たし、ユタはリューベンとユイリィから実地研修の招聘を受ける。そしてランスにはダンクから心の矯正を目的とした契約申請が出されたが、ランスの師匠によってその申請は断られたのであった。
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第3話「覇権国家の契約事情（前編）」

	ジーク・サジタリアス ・ロード／マローダー ・15歳 ・男性 ・カレ村の領主 ・魔法師時代はウィザード候補
	ラーテン・ストラトス ・メイジ／サイキック ・21歳 ・男性 ・アントリア預かりの未契約魔法師 ・実は幼少時代のランスとは面識がある
	スュクル・トランスポーター ・メイジ／プロフェット ・31歳 ・男性 ・クワイエットの領主ファルコンの契約魔法師 ・実は元召喚魔法師
	レイン・J・ウィンストン ・ロード／セイバー ・21歳 ・女性 ・白狼騎士団の軍楽隊の指揮官 ・マージャ村の領主
	ティリィ・アステッド ※飛び入り ・アーティスト／レイヤーヒロイック ・15歳 ・女性 ・白狼騎士団軍楽隊員／マージャ孤児院の院長 ・前回の音楽祭の優勝者の一人

　アントリアのマージャ村を長年苦しめていた魔境が消滅したことを機に、この地で「大工房同盟会議」「第三回国際音楽祭」「契約魔法師斡旋会」が同時開催されることになった。エーラムからはランス、オラニエ、ヒルダなどが先行来訪し、アントリア国内からはジーク、ミネルバ（および保護者のスュクル）、マルグレーテ、マリベル、そして再就職先を求めるラーテンなどが早目に現地入りした上で、領主であるレインの主導でささやかな歓迎会が開催されることになった。
　だが、その頃、村の近辺では音楽関係者が次々と行方不明になる事件が発生しており、その調査をしていたティリィは、オラニエの影の中に不気味な混沌の気配が眠っていることに気付く。その混沌の正体は「音楽と相撲を愛する悪魔」であり、音楽関係者の失踪事件を引き起こしていたのは、その悪魔が歪んだ形で投影された「音楽を憎み、相撲を愛する悪魔」であった。レイン達は前者の悪魔の協力を得た上で後者の悪魔を倒し、行方不明だった人々の救出にも成功する。
　そして再開後の宴の席で、マリベルとラーテン、ジークとオラニエ、マルグレーテとヒルダの契約が発表された。一方で、レイン、ミネルバ、ランスなどはこの場では明確な契約意思を表明せぬまま、まもなく来訪予定の大工房同盟諸侯や、エーラムから追加で参加予定の魔法師達を加えた上で改めて開催される「新人魔法師のお披露目会」にて、改めて契約相手を探すことになった。
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第4話「覇権国家の契約事情（後編）」

	ヒュース・メレテス ・メイジ／サモナー ・21歳 ・男性 ・グリース魔法師団の筆頭魔法師 ・ランスにとっては大先輩
	ヴェルディ・カーバイト ・メイジ／サイキック（山吹） ・11歳 ・女性 ・ウリクル村の領主の契約魔法師 ・最近実家からの難民を受け入れた
	ボニファーツ・ヴェッセルス ・アーティスト／レイヤーヒロイック ・27歳 ・男性 ・スパルタ村の沿岸警備隊長 ・非公認カニミソ大使
	プロキオン　※開始直前飛び入り（データ有） ・アーティスト／ライカンスロープ ・18歳 ・男性 ・ウィンザレア遠征軍部隊長 ・変身後の姿は秋田犬
	リッカ（白神陸華）　※開始後飛び入り（データ有） ・プロジェクション／地球人 ・26歳 ・女性 ・エルマ村の酒蔵の番人 ・祝い酒の運び屋その１
	ベアトリス・バランカ　※開始後飛び入り（データ無） ・ロード／パニッシャー ・21歳 ・女性 ・エルマ村の領主 ・祝い酒の運び屋その２
	ミレーユ・メランダ　※開始後飛び入り（データ無） ・アーティスト／ライカンスロープ ・16歳 ・女性 ・ロザン一座の歌姫 ・エンディングフェイズのみ登場

　大工房同盟会議を前日に控えたマージャに、各国の代表者や音楽家達が続々と来訪する。その中には、同盟会議出席者の護衛として随行したプロキオン、音楽祭出場者の護衛として同行したメーベルやボニファーツ、師匠の極秘生誕祭のために来訪したヒュース、先代領主の遺児を探しに来たヴェルディ、祝い酒の配達を依頼されたリッカとベアトリス、といった面々も含まれていた。
　各国の女性首脳陣が集まった同盟会議では、クリフォード子爵領の加盟承認などの決定が下され、その日の夜に開催された新人魔法師のお披露目会では、エーラムの高等教員カルディナが「特殊な本の力で召喚される異界の魔法師達」を「新カーバイト一門」として紹介する。彼等の正体はカルディナが元パンドラの魔法師から奪い取った投影体であり、お披露目会の最中に彼等を奪い返そうとする元の持ち主からの襲撃を受けるが、出席者達の尽力により難なく撃退し、新カーバイト一門の魔法師達（を呼び出す本）は、それぞれに「新たな主人」の手に託された。
　翌日の音楽祭では、飛び入り参加のミレーユ達の奮闘もあり、激戦を極めるが、最終的にはティリィ率いるマージャ少年音楽隊が二連覇を飾り、その一員であったビート（ヴェルディが探していた遺児）は魔法師修行のためにリアン一門への入門を決意する。そしてランスはレインの契約魔法師として迎えられることになり、ここに長きに渡る彼の就職活動は幕を閉じるのであった。
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