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ただの金銀のようだ その4」(2007/12/09 (日) 17:11:29) の最新版変更点

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[[前へ>ただの金銀のようだ その3]] 「アカネさん、強かったわね」 「本当だよ……」 のび太は心の底から疲れたように言う。 実際に心の底から疲れていたのだ。 それを知ってか知らずか(間違いなく後者だろうが)、 しずかのイーブイはのび太の頭の上に座っている。 これならば、ただ単に仲がいいとしか思われないだろう。 少なくとも、しずかはそう思っている。 コガネシティのジムリーダー、アカネとの戦闘に二人は辛勝した。 特にのび太は道具を使いまくり、 周りからブーイングが巻き起こるほどだったのだ。 「しずちゃんが一緒でよかったよ」 そうでもなければ、ジムのトレーナーたちに何を言われたか分からない。 「何を言ってるのよ。そういうルールなんだから、気にすることないわ。  それに、のび太さんのポケモンも進化できたし、いいことだらけじゃない」 そう、先ほどの戦闘で、のび太のイトマルはアリアドスに進化を遂げた。 確かに今のところはいいこと尽くめなのだ。 「まぁ、そうだよね」 のび太は自分に言い聞かせる。 大丈夫、ぼくは今までちゃんとやっている。 何も心配することはないんだ。 だってぼくの側には、しずちゃんがいるんだから。 ----  ここはアサギシティ  遠く離れた異国に  最も近い港町 「あぁ、めんどくさい……」 ぶつぶつと文句を言いながら、 アサギの灯台からスネ夫が出てきた。 「何がアカリちゃん、だよ。まったく女って奴は……」 どうやらミカンに、タンバに行って秘伝の薬を取ってくるように頼まれたらしい。 アカリちゃんとは、ミカンが可愛がっている、 病気のデンリュウのニックネームだ。 「そりゃ、みんなが来るのを待つよりだったら、  ぼくが行った方が早いんだけどさぁ……」 スネ夫は、なぜこのイベントがカットされないのか、と疑問に思うのだった。 「まぁタンバにはどうせ行かなきゃいけないしね」 文句を言っていてもしょうがないことを悟ったスネ夫は、 薬ついでにジム戦もすることに決め、ヌオーに乗って海に出た。 ----  ここはエンジュシティ  昔と今が同時に流れる歴史の町 昔を思わせる建物と、 今を感じさせる建物とが建ち並ぶ町、エンジュシティ。 「のび太さん、お願いがあるの」 ここに着いたしずかは、いきなりそう切り出した。 しずかからの頼みなんて滅多にないことだ。 「あっちに山が見えるでしょう?」 しずかが指差した先には、大きくそびえ立つ山があった。 「スリバチ山って言うの。  あそこにね、とってもかわいいポケモンがいるんですって」 「へぇ……」 はっきり言って、のび太は行きたくなかった。 肉体的にも精神的にも疲れたから、休みをとりたいのだ。 するとしずかは、それに気付いてか気付かずか、 のび太の目を覗き込みながら、ふたたびお願いをする。 「捕まえに行くの、手伝ってくれないかしら?」 悲しいかな、もちろんのび太は二つ返事で引き受けた。 自分の心身よりも、最愛の人を優先したのだった。 ----  モーモー牧場  うまい搾り立てミルクをどうぞ! 「……と言うわけで、きみの持ってる木の実を分けてもらえないかい?」 恰幅のいいおじさんがそう尋ねているのは、 これまた恰幅のいい少年、ジャイアン。 ここは39番道路のモーモー牧場、おじさんはその牧場主だ。 ここでは乳牛として、たくさんのミルタンクを飼っているが、 最近、どのミルタンクも元気がないらしいのだ。 「ポケセン連れてきゃいいんじゃねぇの?」 ジャイアンはおじさんに言うが、おじさんは首を横に振る。 「ポケモンセンターじゃダメなんだ」 「じゃあ木の実でもダメなんじゃねぇの、ふつうは」 はぁ、とおじさんが溜め息を吐く。 「そうなんだよ。おかしいんだよなあ。  ポケモンセンターの治療はなんの効果もないのに、  木の実を食べると元気になるんだよ。まぁ一時的になんだけど」 ミルタンクを見回しながら力なく話すおじさん。 するとジャイアンはいきなり立ち上がり、こう叫んだのだ。 「てめぇらいい加減にしやがれッ!」 ---- 「な、何を……」 おじさんもこれには流石に驚いた。 ミルタンクたちも突然の大声に、ただただびっくりしている。 「おっさん、分かんねぇのか?  ……こいつら、木の実ほしさに仮病使ってんだよ」 この事実に、おじさんはさらに驚く。 「な、なんだってー! 本当なのか少年!」 「そうだよなぁ、お前ら?」 ジャイアンの言葉に、ミルタンクたちは申し訳なさそうに目を逸らす。 「たぶん甘やかしてたせいだと思うぜ」 必要以上に甘やかされると、ろくな奴にならない。 ジャイアンにもそんな友人が約一名いるが、まぁそれはおいといて。 「じゃあな、おっさんにミルタンク」 ジャイアンが牧場から出ようとすると、一匹のミルタンクが付いて来た。 「な、なんだよ」 慌てて追い払おうとしても、すり寄って来るばかりだ。 「どうやらきみに懐いたみたいだね。  ……よし、そのミルタンクはきみに譲るよ」 おじさんの太っ腹発言に、今度はジャイアンが驚く。 「え、いいのか?」 「いいよ、気にしないでくれ。ほんのお礼だよ」 実はジャイアン、懐かれたどころか惚れられたのだが、 それに気付く人はこの場にはだれもいなかった。 ----
[[前へ>ただの金銀のようだ その3]] 「アカネさん、強かったわね」 「本当だよ……」 のび太は心の底から疲れたように言う。 実際に心の底から疲れていたのだ。 それを知ってか知らずか(間違いなく後者だろうが)、 しずかのイーブイはのび太の頭の上に座っている。 これならば、ただ単に仲がいいとしか思われないだろう。 少なくとも、しずかはそう思っている。 コガネシティのジムリーダー、アカネとの戦闘に二人は辛勝した。 特にのび太は道具を使いまくり、 周りからブーイングが巻き起こるほどだったのだ。 「しずちゃんが一緒でよかったよ」 そうでもなければ、ジムのトレーナーたちに何を言われたか分からない。 「何を言ってるのよ。そういうルールなんだから、気にすることないわ。  それに、のび太さんのポケモンも進化できたし、いいことだらけじゃない」 そう、先ほどの戦闘で、のび太のイトマルはアリアドスに進化を遂げた。 確かに今のところはいいこと尽くめなのだ。 「まぁ、そうだよね」 のび太は自分に言い聞かせる。 大丈夫、ぼくは今までちゃんとやっている。 何も心配することはないんだ。 だってぼくの側には、しずちゃんがいるんだから。 ----  ここはアサギシティ  遠く離れた異国に  最も近い港町 「あぁ、めんどくさい……」 ぶつぶつと文句を言いながら、 アサギの灯台からスネ夫が出てきた。 「何がアカリちゃん、だよ。まったく女って奴は……」 どうやらミカンに、タンバに行って秘伝の薬を取ってくるように頼まれたらしい。 アカリちゃんとは、ミカンが可愛がっている、 病気のデンリュウのニックネームだ。 「そりゃ、みんなが来るのを待つよりだったら、  ぼくが行った方が早いんだけどさぁ……」 スネ夫は、なぜこのイベントがカットされないのか、と疑問に思うのだった。 「まぁタンバにはどうせ行かなきゃいけないしね」 文句を言っていてもしょうがないことを悟ったスネ夫は、 薬ついでにジム戦もすることに決め、ヌオーに乗って海に出た。 ----  ここはエンジュシティ  昔と今が同時に流れる歴史の町 昔を思わせる建物と、 今を感じさせる建物とが建ち並ぶ町、エンジュシティ。 「のび太さん、お願いがあるの」 ここに着いたしずかは、いきなりそう切り出した。 しずかからの頼みなんて滅多にないことだ。 「あっちに山が見えるでしょう?」 しずかが指差した先には、大きくそびえ立つ山があった。 「スリバチ山って言うの。  あそこにね、とってもかわいいポケモンがいるんですって」 「へぇ……」 はっきり言って、のび太は行きたくなかった。 肉体的にも精神的にも疲れたから、休みをとりたいのだ。 するとしずかは、それに気付いてか気付かずか、 のび太の目を覗き込みながら、ふたたびお願いをする。 「捕まえに行くの、手伝ってくれないかしら?」 悲しいかな、もちろんのび太は二つ返事で引き受けた。 自分の心身よりも、最愛の人を優先したのだった。 ----  モーモー牧場  うまい搾り立てミルクをどうぞ! 「……と言うわけで、きみの持ってる木の実を分けてもらえないかい?」 恰幅のいいおじさんがそう尋ねているのは、 これまた恰幅のいい少年、ジャイアン。 ここは39番道路のモーモー牧場、おじさんはその牧場主だ。 ここでは乳牛として、たくさんのミルタンクを飼っているが、 最近、どのミルタンクも元気がないらしいのだ。 「ポケセン連れてきゃいいんじゃねぇの?」 ジャイアンはおじさんに言うが、おじさんは首を横に振る。 「ポケモンセンターじゃダメなんだ」 「じゃあ木の実でもダメなんじゃねぇの、ふつうは」 はぁ、とおじさんが溜め息を吐く。 「そうなんだよ。おかしいんだよなあ。  ポケモンセンターの治療はなんの効果もないのに、  木の実を食べると元気になるんだよ。まぁ一時的になんだけど」 ミルタンクを見回しながら力なく話すおじさん。 するとジャイアンはいきなり立ち上がり、こう叫んだのだ。 「てめぇらいい加減にしやがれッ!」 ---- 「な、何を……」 おじさんもこれには流石に驚いた。 ミルタンクたちも突然の大声に、ただただびっくりしている。 「おっさん、分かんねぇのか?  ……こいつら、木の実ほしさに仮病使ってんだよ」 この事実に、おじさんはさらに驚く。 「な、なんだってー! 本当なのか少年!」 「そうだよなぁ、お前ら?」 ジャイアンの言葉に、ミルタンクたちは申し訳なさそうに目を逸らす。 「たぶん甘やかしてたせいだと思うぜ」 必要以上に甘やかされると、ろくな奴にならない。 ジャイアンにもそんな友人が約一名いるが、まぁそれはおいといて。 「じゃあな、おっさんにミルタンク」 ジャイアンが牧場から出ようとすると、一匹のミルタンクが付いて来た。 「な、なんだよ」 慌てて追い払おうとしても、すり寄って来るばかりだ。 「どうやらきみに懐いたみたいだね。  ……よし、そのミルタンクはきみに譲るよ」 おじさんの太っ腹発言に、今度はジャイアンが驚く。 「え、いいのか?」 「いいよ、気にしないでくれ。ほんのお礼だよ」 実はジャイアン、懐かれたどころか惚れられたのだが、 それに気付く人はこの場にはだれもいなかった。 ----  タンバシティポケモンジム  リーダー シジマ  うなる拳で語る男 「ユンゲラー、テレポートで避けるんだ!」 海を渡り、秘伝の薬を手に入れたスネ夫は、 タンバシティジムに挑戦していた。 オコリザルのパンチが当たる前に、ユンゲラーの姿が消える。 対するシジマは、オコリザルになんの指示も出さない。 このバトルが始まってから一度たりとも、である。 「ユンゲラー、今だ!」 オコリザルの死角に現れたユンゲラーは、サイケ光線を食らわせた。 効果抜群の技を受け、オコリザルは戦闘不能になる。 「手持ちに指示を出さないなんてね……ぼくをあんまりナメるなよ」 「……確かに」 スネ夫の言葉に、シジマは初めてその口を開いた。 「わしは少しお前を甘く見ていたようだ。  ……ここからは本気で行かせてもらう」 シジマは続いてニョロボンを繰り出した。 「ニョロボン、頭突き!」 強力な頭突きがユンゲラーを襲った。 その威力にユンゲラーは怯む。 「爆裂パンチを食らわせてやれ!」 爆裂パンチは命中率の低い技だが、相手が動けないのなら話は別だ。 ニョロボンのパンチは奇麗に決まり、ユンゲラーは倒れた。 ----  スリバチ山  中は大滝の洞窟 「ほんとにこんなとこに、かわいいポケモンなんているの?」 のび太がそう言うのももっともだった。 スリバチ山は真っ暗、かつ湿った空気が漂っている。 それらから判断すれば、かわいらしさとはまるで無縁の場所である。 実際、ズバットばかり飛び出して来る。 「えぇ、そうよね……」 しずかも少し疑ってしまうほどだった。 「のび太さん、付き合わせちゃってごめんなさい」 「いや、全然気にしてないか……ん?」 のび太の視界の端で、青くて丸いポケモンが歩いている。 「ねぇ、しずちゃん」 もしかしてあのポケモンのことなの、 のび太がそう尋ねるのよりも早く、しずかもその存在に気付く。 「あれだわ!」 マリルって言うのよ、と言いながら、 しずかはクサイハナを繰り出し、マリルに仕掛ける。 「クサイハナ、眠り粉をお願い!」 クサイハナの眠り粉が当たると、 マリルは途端に目を閉じて眠りに落ちた。 しずかはすぐさまモンスターボールを投げ、マリルの捕獲に成功した。 「やったわ!」 「おめでとう、しずちゃん!」 喜ぶしずかと祝うのび太。 その声がスリバチ山内に響き渡るほど、 大きなものになってしまったことに二人が気付くまで、 あとちょっと。 ---- 「……行け、キュウコン」 一方スネ夫は、ニョロボンとは相性の悪いキュウコンを出した。 シジマも首を傾げたが、大方の予想はついていた。 「キュウコン、妖しい光だ」 (やはり、キュウコンの状態異常技で攻めるつもりか……) そのような挑戦者は今までいくらでもいた。 力で敵わぬのならば、技で攻めようと言うらしい。 シジマは別に、その判断が卑怯だなどと咎めるつもりもない。 ただ、ほんの少し残念な気持ちになる。 「ニョロボン、波乗り!」 なんとか攻撃できたニョロボンの技に、キュウコンは他愛なく沈んだ。 「出番だ、ワタッコ」今度はワタッコか、 と思っているうちに、ニョロボンが毒の粉を食らった。 「ニョロボン、受け取れ!」 シジマはニョロボンになにかを投げやった。 スネ夫には、それがなにかすぐにわかった。 「毒消しの実か……」 スネ夫の呟きを聞いているのかいないのか、 シジマはまた、ニョロボンに苦い木の実を与えた。 「これで元通りだな」 シジマがそう言うのを見て、スネ夫は悔しそうな顔をした。 ---- 「……ッ!?」 実際には、そういった顔をしただけで、 心の中ではほくそ笑んでいたのだが。 「なッ……ニョロボン!」 気が付けば、ニョロボンはすでに地に伏していた。 「気付かなかった?  キュウコンの呪いとワタッコの宿り木の種にさ」 言われてみれば、スネ夫は少しばかり不自然な動きをしていた。 それを気に留めなかったのはシジマのミスだ。 「あんたは見るからに体力系だし、  状態異常で攻める奴って結構いるだろ?  それなのになんの対策も練らないはずないからね」 スネ夫は気付かれにくく、 かつ回復させづらい技を覚えさせていたのだ。 「……わしの負けだ。いつの間にかわしは自惚れていた。  状態異常なぞ回復すればいいだけと甘く見ていたんだ。  お前に目を覚まさせてもらったよ」 感謝する、と言われ、スネ夫はバッジと技マシンを渡された。 出て行こうとすると、ああ、と呼び止められる。 「お前、カントーのほうに行ったことでもあるのか?」 「……? いや、ないけど?」 「そうか……ならなんでもない。気にするな」 首を傾げつつ、スネ夫はジムを後にした。 ----

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