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[[前へ>セカンド その6]] #スネ夫サイド ドクロッグの攻撃を受け、無様にも捕えられた僕はギンガ団のアジトに連行されていた。 相変わらず、腹部が焼けるように痛い。 そのせいか、この先どうなるかなんて考えもしなかった。 「ほら、さっさと来い」 下っ端に先導され、僕は乱暴に奥の部屋へと連れて行かれた。 「コイツか……我々の邪魔をしたのは」 奥の部屋に居たのは、ギンガ団ボスのアカギだった。 僕は痛む腹部を押さえながら、アカギを見据える。 「……なるほど、バッジを六つも持っているのか」 いつの間にか僕のバッジはアカギの手のひらの上に置かれていた。 僕は眉を顰めてそれを見る。 「……少年……スネ夫と言ったか」 アカギはバッジを机に置き、腕を組んで言った。 僕は少し虚ろになった目で相手の表情を伺う。 すると、アカギは唐突に切り出した。 「……少年、君にはギンガ団に入ってもらおう」 ---- 「え……」 いくらなんでも唐突すぎるだろ……常識的に考えて。 大体僕がギンガ団なんかに入るわけないじゃないか。 そんな僕の心中を知ってか知らずか、アカギは続けた。 「君はギンガ団にとって必要な人材だ。恐らく幹部クラスの実力だろうからね」 僕が幹部クラスか……。 少し嬉しいような気もするが、ギンガ団には入りたくなかった。 「嫌だと言ったら?」 とりあえず聞いておく。 「もし君が断ったら……君達の仲間は潰させてもらう。 ギンガ団の戦闘員の数を持ってすれば容易いことだ」 アカギはそっけなく言い放つ。 僕が反応する前に次の言葉が耳に入った。 「……だが……もし、君が私とバトルをして勝つことが出来れば、見逃してやろう」 その言葉を聞いた僕は、心の中でガッツポーズを決めた。 「今の言葉、後悔しないでね」 僕は無言でその場を後にするアカギに着いて行った。 ---- 少し歩いて着いたのは、何も無い閑散とした部屋だった。 「……バトルには最適な部屋だろう?」 そう言うなり、アカギは僕の反対側の方向へと移動する。 僕は一つのモンスターボールを取り出し、ギュッと握り締めた。 「……では始めよう。いけ、マニューラ」 「出て来い、クロバット!」 アカギのポケモンはマニューラ。 かなり部が悪い。 けど、クロバットのスピードなら一撃は与えれる筈……。 「クロバット、怪しい光だ!」 「マニューラ、冷凍パンチ」 だが、僕の予想は見事に外れてしまう。 クロバットが怪しい光を放つ前に、マニューラの拳がクロバットを捕えたのだ。 「レベルの差があるようだな……」 嘲笑混じりにアカギは言う。 僕はそれを無視し、次のボールを放った。 「いけ、ゴウカザル!」 出来れば、ゴウカザルは切り札として最後まで取っておきたかった。 だけど、今は出し惜しみ出来るような状況じゃない。 それは今しがた相手の力量を知った僕が一番良く分かっていた。 ---- 「ゴウカザル、マッハパンチ!」 刹那、ゴウカザルの拳がマニューラの顔面にヒットする。 それを受けたマニューラは虚しく倒れた。 「なるほど、先制技を使って一撃で仕留めるとはな……」 今のところ失っているポケモンは両方一体。 なのに、アカギは完全なる余裕を見せつけていた。 「次は……コイツだ!いけ、ギャラドス」 咆哮を上げながら現れたのはギャラドス。 この広い部屋の中でも、その威圧感はひしひしと伝わってきた。 動揺する僕を見て、アカギは言い放つ。 「もう……君に勝ち目は無いよ」 それから程無くして、僕はバトルに負けた。 僕は結局あのギャラドスを倒せなかったのだ。 何とも言えない無力感が僕を襲う。 「今のバトルで君の力量が把握出来たよ。 君の実力は間違い無く幹部クラスだ。 後で歓迎会をしよう……それまで休んでいてくれ」 アカギはそう言うと、俯く僕を他所に去っていった。 ---- 「なんか変わり映えしないね」 そう漏らす僕の前には、三人の幹部が居た。 今はいわゆる歓迎会の途中なのだ。 「ボス、何でこんな奴を幹部に? こんな奴にギンガ団の素晴らしさは分からないわよ」 憎々しげな顔をしてそう吐くのは、ギンガ団幹部のジュピター。 以前、僕に負けた事をまだ根に持っているようだった。 「……黙れ。私に逆らう事は許さん」 啜っていた紅茶を置き、一喝するアカギ。 ジュピターはしぶしぶ黙りこくった。 次に喋ったのは、もう一人の女幹部……マーズだった。 「……あなた、本当に強いのかしら?ギンガ団の幹部クラスの実力があるの?」 そう言って、キッと僕を睨む。 僕も負けじと言い返した。 「……じゃあやってみるかい?僕が勝つだろうけどね」 「何ですって……?」 「いい加減にしろ、お前達」 僕達の煽り合いは、またもアカギの一言によって収まった。 「スネ夫は以前にジュピターを倒している……実力は確かだ。お前達はもう戻って良いぞ」 アカギが言い終えると、ジュピターを先頭に三人の幹部が部屋を後にした。 それを見送ったアカギは僕の方を一瞥する。 「最初は慣れないだろうが……じきに慣れてくる筈だ。 これからはギンガ団の為に働いてくれ」 そう言って、部屋を出るアカギ。 僕は傍にあった椅子に座ると、ヤレヤレとばかりに溜息をついた。 ---- #のび太サイド 「何だって?出木杉の奴が裏切りやがったのか……」 ポケモンセンター内にジャイアンの声が響く。 今、僕達はポケモンセンター内で話をしていたのである。 勿論、スネ夫と出木杉は居ない。 「……スネ夫さんと出木杉さん、二人がギンガ団側についたのね」 静香ちゃんが不安そうな表情をする。 そして、しばしの沈黙。 重い空気をぶち破ったのはジャイアンだった。 「とにかく!この後、俺達はアジトに乗り込む筈なんだ。今からでも行かないか?」 今からって……いくら何でも早すぎやしないか? 僕が反論しようとしたが、先に口を開いたのはドラえもんだった。 「待ってよ!僕達は誰一人としてここのジムバッジを持っていない。 それに……この状態で行くのは無謀すぎる!もっと戦力をアップさせないとダメだ!」 その言葉に頷く僕。 ジャイアンは机を叩きつけ、言い返す。 「こうしている内にもスネ夫は何されてるか分からない!そんな悠長な事言ってられっかよ! スネ夫は……俺のせいでギンガ団に捕まっちまったんだ……。 だから!この俺が一刻も早く助けに行かなくちゃならねぇんだよ!」 ---- ドラえもんも負けじと弁論する。 「戦力の足りない今乗り込んでも、返り討ちにされるのがオチだ! 十分な戦力を蓄えてから乗り込むのが最良の選択なんだよ!」 その言葉に、ジャイアンは遂にキレた。 「うるせえ!もしそれが手遅れだったらどうすんだよ? そうなったらそれこそ終わりだ!」 もう見ていられない。 絶えない口喧嘩を止めさせるべく立ち上がったのは、他でもない……僕だった。 「ドラえもんもジャイアンも落ち着いてよ! スネ夫がギンガ団に連れ去られたって事は、多分何かに利用する為なんだ。 だとしたら殺される事は無いよ。殺すならあの場でやる筈だし……。 だから、僕はドラえもんの意見に賛成だ。 今は戦力を十分に蓄えてから……満を辞して乗り込むべきだと思うよ」 たちまち辺りが静まった。 「そうだな……確かにのび太の言う通りだ。そうするぜ」 ジャイアンはそう言うと、ポケモンセンターを出ていった。 おそらくジム戦でもやりにいったのだろう。 時計を見ると、丁度九時五十分だった。 幸いまだ寝る時間じゃない。 「じゃあ、僕も行ってくるよ……」 そう言い残して、僕はポケモンセンターを出た。 ---- 僕がジムに着いた頃、丁度ジャイアンがジムから出てきた。 ラムパルドの力押しで余裕だったそうだ。 僕は「行ってくるね」と一言言うと、肌寒い夜風に吹かれながらジムの中へ入っていった。 ジムの中は外とは違って明るい。 けれど、寒いのは変わらなかった。 「え?またチャレンジャーなの?」 奥に居るジムリーダーの女の子が草臥れた様子で言う。 よく見るとミニスカだった。うほっ。 「私、ジムリーダーのスズナ。早速始めましょ!」 さっきの草臥れ様が嘘のようにハイテンションになるジムリーダー、スズナ。 繰り出されたのはユキカブリだった。 「氷タイプ……ならギャロップだ!」 僕が選んだのは炎タイプのギャロップ。 必殺の大文字でユキカブリを焼き尽くす。 「やっぱりユキカブリじゃ無理ね……」 瀕死のユキカブリをボールに戻すスズナ。 そのまま次のボールを取り出す。 「じゃあ次は……この子よ!」 スズナの二番手、チャーレムが現れた。 ---- 「ギャロップ、大文字!」 大の字の形をした炎がチャーレムにヒットする。 「チャーレム、反撃の飛び膝蹴り!」 今度はチャーレムの反撃。 ヨガパワーを備えたチャーレムの攻撃を受け、ギャロップは倒れてしまった。 やはりジムリーダーだけあって強い。 「次はドラピオンだ!」 ついさっき進化したドラピオンを出す。 「まずは毒びしを撒け!」 チャーレムの周囲に毒びしが撒かれる。 それを見たスズナはチッと舌打ちをした。 「早めに決めるわ。飛び膝蹴りをお見舞いしなさい!」 勢い良く仕掛けるチャーレム。 だが、堅い装甲を持つ僕のドラピオンには大して効いていない。 「今だドラピオン、燕返し!」 ドラピオンの尾が、チャーレム目掛け振り下ろされる。 「チャーレム、見切り!」 ギリギリの所で攻撃を避けるチャーレム。 だが、僕の考えはもう固まっていた。 「ドラピオン、剣の舞だ!」 ---- 一度舞ったドラピオンの攻撃力は凄まじい。 見切りを失敗したチャーレムを、燕返しで一撃の下に仕留めた。 「やった!」 ガッツポーズを取って喜ぶ僕を見て、スズナは薄ら笑いを浮かべた。 「これが最後のポケモン……でも負けないわ。出番よ、ユキノオー!」 現れたのは巨大なモリゾー。 ユキカブリの進化系らしき姿をしている。 「相手は毒状態……一気に畳み掛ける!燕返しだ!」 ドラピオンの燕返しで相手のユキノオーは中々のダメージを負った。 その後反撃の吹雪が放たれるも、ドラピオンはギリギリ持ち応えている。 「よし、僕の勝ちだ!トドメの……え?」 最後の指示を出そうとした僕だったが、言葉が詰まってしまった。 ドラピオンは既に倒れていたのだ。 「氷のつぶて……先制技よ」 瀕死のドラピオンを眺めながら、スズナは言う。 そういや、確かそんな技があったっけ。 僕はドラピオンを戻し、次のポケモン……ライチュウを出した。 ---- 「ふうー、やっと勝てたよ」 ジムから出た僕は誰ともなしに呟いた。 結局、敵の切り札ユキノオーは最後に出したライチュウの一撃で沈んだ。 何と言うか、終わってみればあっけない。 僕は一刻も早くこの寒気から逃れる為に、ダッシュでポケモンセンターへ戻っていった。 ポケモンセンターに戻ると、皆はもう寝ていた。 いつの間にかかなりの時間が過ぎていたらしい。 「僕も……寝ようか」 枕を置き、布団の中に入る。 センター内に皆が居るからか、どこか暖かい感じがする。 そう言えば、ここに来るまではずっと一人だったっけ。 道理で妙に安心してしまうわけだ。 今日は、久々に心地良く眠れそうだな……。 皆の手持ち のび太   ライチュウLv43、ヨルノズクLv41、ギャロップLv42、ドラピオンLv40 ドラえもん ムクホークLv44、ムウマージLv43、ヌオーLv41 静香    エンペルトLv46、ミミロップLv43、ロズレイドLv44、パチリスLv40 ジャイアン ラムパルドLv45、マスキッパLv43 ---- #スネ夫サイド ギンガ団に入って一日目の夜が過ぎた。 空はまだ少し夜の面影があり、淡い紫と薄いオレンジとで綺麗に彩られている。 こんな空を見るのは初めてだろうか。 だが、これだけ綺麗な空を見ても僕の気分は晴れなかった。 一つはアカギに負け、ギンガ団に入ってしまった事。 そして、もう一つは……昨日の就寝前に遡る。 昨日の就寝前―― 「お、お前は……!」 僕は寝る前に、アカギにある人物と対面させられた。 それも、僕の良く知っている人物。 ソイツの顔は以前と全く変わっていなかったが、どこか違う雰囲気を醸し出していた。 「やあ。まさか君が来るとはね……骨川君」 僕の目の前に居る人物……出木杉が言った。 想像だに出来ない光景に、僕は絶句する。 状況が状況なので、中々考えが纏まらない。 ただ一つ分かる事は、出木杉がギンガ団に加担しているという事―― その後、出木杉はアカギに何かを告げてアジトを出ていった。 聞く所によると、ある任務らしい。 僕は暫くの間壁にもたれかかっていたが、いつの間にか眠っていた。 そして今に至る。 ---- 僕が部屋を出たのは、空が完全に明るくなった頃。 向かうは、組織の食堂。 表向きは普通のビルだが、やはり大きな組織のアジトだけあって設備が凄い。 僕は恐る恐る食堂の扉を開けた。 「ようこそ!幹部様!」 僕が入った瞬間、下っ端達が立ち上がって僕に敬礼する。 「あ、あぁ……」 突然のことで戸惑う僕。 幹部ってこんなに待遇受けるモンなのか? 疑問に思って見ると、他の幹部達もそれなりの待遇を受けていた。 出木杉とアカギは居ない。 「では、皆一緒にいただきます!」 下っ端の一人が大声で言い、各自食べ始める。 今日の朝食はギンガパン、ギンガ汁、ギンガ牛乳らしい。 ……とはいっても、一見するとただのパンと味噌汁と牛乳。 何でもギンガつければいいってもんじゃねーぞ! 心の中で悪態をつきながらも、僕はギンガパンを手に取った。 ---- 「ふう、食った食った」 先程悪態をついた事などすっかり忘れ、満足げに呟く僕。 味は意外にも悪くなかった。 「よし……戻るか」 僕がそう言った時、急に一人の下っ端が僕の方へ駆けつけて来た。 「幹部様……ボスがお呼びです」 「ボスだって?」 こんな朝っぱらから何の用だろう。 僕はとりあえずアカギの部屋へと向かった。 「来たな……スネ夫」 暗い部屋のデスクに座っているアカギが僕を見据える。 「朝っぱらから何の用?」 僕が聞くと、アカギは懐から黒い手帳を取り出した。 そしてアカギは言う。 「ボスである私に対して敬語を使わないとは頂けないな。 ……まぁそれはともかく、今からお前に任務を言い渡す」 「任務……だって?」 捕えられて次の日から早速任務なのか? 心の中で狼狽する僕を他所に、アカギは話を続ける。 「これを見てみろ」 アカギが懐から手帳を出し、開く。 手帳にはギンガ団ブラックリストと記述されていた。 ---- 「これは……静香ちゃんじゃないか!」 アカギが指さす所には、静香ちゃんの写真と情報が書かれていた。 「今回の任務は、この女を捕える事だ。 今までの数々の任務の障害になっているからな。 ……ただ、データによるとかなりの実力者らしい。 幹部のお前が直々に出向く他無いのだ」 僕が静香ちゃんを捕える……だって? そんな事出来るわけが無い。 でも、もう僕はギンガ団の一員になってしまったんだ。 断ればジャイアン達の命も危うい。 僕はアカギを見据え、言った。 「分かりました、ボス」 ---- キッサキシティに居る下っ端からの情報によると、静香ちゃんは雪原でトレーニング中。 それも単独行動をしているらしい。 任務を遂行する上で最適な条件だ。 「……行くか」 クロバットに乗り、朝の日差しを受けて飛び立つ。 向かう先はキッサキシティ付近の雪原。 そこで静香ちゃんと戦う事になる筈だ―― 「よし……ここら辺かな」 クロバットを戻し、雪原に降り立つ僕。 視界は良くなかったが、何とかやれる状況だった。 僕は耳を澄まし、人の気配を探る。 「……あそこか!」 やがて、僕は前方に静香ちゃんとエンペルトを見つけた。 トレーニングの真っ最中なのだろうか。 ……とにかく、もう後戻りは出来ない。 僕は意を決して、雪原の中を進んでいく。 この先どうなるかなんて、考えていなかった。 気がつくと、静香ちゃんの目の前に立っている僕が居た―― 皆の手持ち スネ夫 ゴウカザルLv44、クロバットLv43、ビークインLv43 静香  エンペルトLv47 他不明 出木杉 不明 [[次へ>セカンド その8]] ----

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