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MDR(モラルジレンマリゾルブ)

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MDRはモラルジレンマを局所適用したナノクフィクションのためのしかけである。
ローレンス・コール・バーグ教授が1960年代に提唱したこの手法は、参加者をある道徳上のジレンマに陥らせつつ、対話をこころみる方法であり、ナノクフィクションでは登場人物の意思決定において利用される。留意点は本家のモラルジレンマと同じである。

「第一にどちらの選択肢をとってよいのかわからないような資料を選ぶこと。第二に、それがあくまでも道徳的価値観の葛藤の問題であること。第三に最後に解答を示さないオープン・エンドであること。第四に議論が白熱する面白さを持っていること。」

もう1点の留意点としては当事者の利害に関わるような内容でないほうが、明確な効果が出る。本家と同じく、ここでは「何を選んだか」が重要でなく、「なぜ選んだか」ということに焦点が当たるようにする。この選び方はジャンピアジェの発達心理学をベースに3水準六段階にグレード分けされている。

「第一段階は、罰を避けることや力のある人には従うことが正しいとされる罰と服従の志向の段階です。第二段階は、役に立てば正しいという道具主義的相対主義志向の段階です。この二つの段階は慣習以前の水準にあります。
第三段階は、周囲からよく思われる判断をする良い子志向の段階です。第四段階は、法と社会秩序を維持することが絶対に正しいとする法と秩序の志向の段階です。この二つの段階は慣習的水準にあります。
第五段階は、法とて人間のためにあるのであって、不備があるなら合議を経て修正できるという社会契約的法律志向の段階です。第六段階は、法で定められているかどうかは問題ではなく、より普遍的な倫理原理に基づいて道徳的判断の理由付けを行う普遍的倫理的原理の志向の段階です。この二つの段階は慣習以降の水準にあります。 」

MDRは軽音楽でのテンションリゾルブも参考にしている。あるジレンマの解決方法には理由があり、それはいくつかのパターンに分けられる。パターン化されたからといって自由意志が損なわれるわけではなく、その中で無限に近いバリエーションがある。

例)ハインツのジレンマ

「ヨーロッパで一人の婦人がたいへん重い病気のために死にかけていた。その病気は特殊な癌だった。彼女が助かるかもしれないと医者が考えるある薬があった。それはおなじ町の薬屋が最近発見したラジウムの一種だった。その薬の製造費は高かったが、薬屋はその薬を製造するのに要した費用の10倍の値段とつけていた。かれはラジウムに200ドル払い、わずか一服分の薬に2000ドルの値段をつけたのである。病気の婦人の夫であるハインツはあらゆる知人にお金を借りに行った。しかし薬の値の半分の1000ドルしかお金を集めることができなかった。かれは薬屋に妻が死にかけていることを話し、薬をもっと安くしてくれるか、でなければ後払いにしてくれるよう頼んだ。だが薬屋は『だめだ、私がその薬を発見したんだし、それで金儲けをするつもりだからね』と言った。ハインツは思いつめ、妻のために薬を盗みに薬局に押し入った」。

※これはモラルジレンマの局所的な利用であり、教育上の効果を期待するわけではない。あくまでフィクションのしかけとして流用する。また、このパターン化、状況設定により当事者意識や事象への共感が薄れてしまう。そういった効果を必要とする場合はロールプレイコンフェションも参考のこと



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