投稿日:2010/11/03(水) 16:40:59
律が風邪をひいた。
「今日の練習どうします?」
人一倍、元気で明るい律。
だけど、その実アイツは身体が弱い。
だけど、その実アイツは身体が弱い。
「りっちゃんいないとつまんなーい」
「じゃあ、今日はお休みにした方がいいかしら。澪ちゃんもあんな状態だし」
「今日は澪ちゃん、心ここにあらず! って感じだったもんね」
「唯先輩、その言葉の意味分かって言ってますか?」
「失礼な。それぐらい私にだって分かるもん!」
「じゃあ、今日はお休みにした方がいいかしら。澪ちゃんもあんな状態だし」
「今日は澪ちゃん、心ここにあらず! って感じだったもんね」
「唯先輩、その言葉の意味分かって言ってますか?」
「失礼な。それぐらい私にだって分かるもん!」
特に、こんな寒い日。
どこか、心がセンチメンタルになるような、こんな日。
どこか、心がセンチメンタルになるような、こんな日。
「……結局、中止になっちゃったな」
『澪ちゃん、これりっちゃんに持っていってあげてね』
―――えっ。みんな来ないのか?
『律先輩にとっての一番の元気の源は澪先輩ですから』
『それに、みんなで行ったらりっちゃんも落ち着けないだろうし』
『澪ちゃん、りっちゃんによろしくー!』
『それに、みんなで行ったらりっちゃんも落ち着けないだろうし』
『澪ちゃん、りっちゃんによろしくー!』
そういえば、一人で帰るのは久しぶりだな。
いつも隣に喧しい奴がいたからな。
いつも隣に喧しい奴がいたからな。
そんなことを考えているうちに、目の前には田井中家。
勝手知ったる第二の私の家。そう言っても過言ではないだろう。
勝手知ったる第二の私の家。そう言っても過言ではないだろう。
けど、親しき仲にも礼儀あり。
お邪魔しまーす。と、一言。
お邪魔しまーす。と、一言。
「あれ、澪姉」
「よ、聡。早いな。部活は休みか?」
「ああ、今日は父さん遅いからさ。姉ちゃんの看病をしようと思ってサボってきた」
「そうか。お姉ちゃん思いだな。聡」
「いや……まあ、あんなんでもたった一人の姉ちゃんだしな!」
「よ、聡。早いな。部活は休みか?」
「ああ、今日は父さん遅いからさ。姉ちゃんの看病をしようと思ってサボってきた」
「そうか。お姉ちゃん思いだな。聡」
「いや……まあ、あんなんでもたった一人の姉ちゃんだしな!」
聡のこういうところはよく姉の律と良く似ている。
正面からの素直な褒め言葉には弱いのだ。
ふふ、何だか微笑ましいよな。
正面からの素直な褒め言葉には弱いのだ。
ふふ、何だか微笑ましいよな。
「けど、澪姉が来てくれたなら大丈夫だね。俺、今からでも部活行ってくるよ!」
「ああ。いってらっしゃい」
「ああ。いってらっしゃい」
少しドタバタと忙しなく部活へ行く準備をする聡。
それだけ、部活が好きなんだな、というのが伝わってくる。
それだけ、部活が好きなんだな、というのが伝わってくる。
でも、そんな部活をサボってでも看病をしようとした聡は、
本当に姉のことが好きなんだろうな。
本当に姉のことが好きなんだろうな。
トントントン……。
階段を静かに上がって、律の部屋の目の前まで来た時。
『みおー?』
どこか気だるそうな、そんな声が聞こえた。
「超能力者か」
「分かるよぉ。澪の足音は」
「……このやり取り、一年前にもやったよな」
「んー?忘れた」
「おい」
「分かるよぉ。澪の足音は」
「……このやり取り、一年前にもやったよな」
「んー?忘れた」
「おい」
まだ体調が本調子じゃないせいか、重たそうな瞼を半開きにしながら、
疲れの抜けていない表情をしていた。
疲れの抜けていない表情をしていた。
「よく寝れたか?」
「……いや、少しも寝れなかった」
「……いや、少しも寝れなかった」
……そんなことだろうと思ったよ。
それから少し、他愛のない話をした。
「みんな心配してたぞ」
「ん、そっか。悪いことしたな」
「だから、しっかり寝て早く治せよ。今日、泊まってってやるから」
「ん、そっか。悪いことしたな」
「だから、しっかり寝て早く治せよ。今日、泊まってってやるから」
「……みおー?」
「ん?」
「へへ、呼んだだけ」
「りつ、」
「なに?」
「呼んだだけ」
「……へへへ、そっか」
「そうなの」
「ん?」
「へへ、呼んだだけ」
「りつ、」
「なに?」
「呼んだだけ」
「……へへへ、そっか」
「そうなの」
「……なあ、澪?」
「何だ?」
「……キス、して」
「何だ?」
「……キス、して」
い、いきなり何を!
「あ、風邪移っちゃうかもだから、今のなし! 忘れてくれ!」
「……」
「み、みお? んっ…」
「これでいいか?」
「お…おう。ばかみお…」
「……」
「み、みお? んっ…」
「これでいいか?」
「お…おう。ばかみお…」
リクエストに応えてやったのに、馬鹿と何だ、馬鹿とは。
わ、私だって恥ずかしいんだぞ。ばかりつ。
わ、私だって恥ずかしいんだぞ。ばかりつ。
「さ、キスしてやったんだから少し寝なさい」
「へへ、澪、お母さんみたい」
「……馬鹿なこと言ってないで寝ろ」
「はーい、澪お母さん」
「ばか」
「ん、ちょっと寝るわ」
「そうか、おやすみ」
「おやすみー」
「へへ、澪、お母さんみたい」
「……馬鹿なこと言ってないで寝ろ」
「はーい、澪お母さん」
「ばか」
「ん、ちょっと寝るわ」
「そうか、おやすみ」
「おやすみー」
数分もしないうちに、すうすうと静かな寝息。
くしゃ、とカチューシャのない前髪を撫でる。
甘えたい時には、甘えて、寂しい時には、私を頼ってくれよ。
りつ、そこがお前の悪い癖だ。自分の弱いところは見せない。
甘えたい時には、甘えて、寂しい時には、私を頼ってくれよ。
りつ、そこがお前の悪い癖だ。自分の弱いところは見せない。
起きたら、少し叱ってやらなきゃな。
「………ん…、み、お」
寝言、か。
ったく、ばかりつ。
ったく、ばかりつ。
さて、夕食の準備でもしますか。
……あ、そうそう、言い忘れてたよ。
律―――。
「あいしてる」