『芸術および文学、文化的創造物の保護に関する法律』

(略称:文化的創造物保護法)

[第二次案]
 ※現在の芸術・文学・文化の保護と表現規制の撤廃を求める運動は文化的創造物保護法を改良した芸術作品保護法([第一次案])の制定を求めるものになっていますが、これまでに作成した文化的創造物保護法[第二次案]も参考資料として公開します。
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[詳細]
 第二次案の[詳細]は2011/3/30を持ってフィックスしました。
 [詳細]の内容は今後は誤字・脱字を除いて修正しません。

  1. 「芸術作品」と「ポルノ・猥褻物」、その他「ポルノ・猥褻物ではない創造物」と「ポルノ・猥褻物」を区別する。⇒詳細
    (芸術的、文学的、文化的な価値があれば、猥褻性(又はポルノであること)は否定されるものとする。)
  2. 芸術的、文学的、文化的な価値がある創造物についてはポルノ・猥褻物の発表・公開・作成を禁止した法律、その他創造物の発表・公開・作成そのものを禁止した法律の規制を受けないものとする。⇒詳細
  3. 芸術的、文学的、文化的な価値がある創造物を作る行為は猥褻行為にはあたらないものとし、猥褻行為(公然猥褻など)を禁止した法律の規制も受けないものとする。⇒詳細
    (そもそも公開しても猥褻物・ポルノにあたらないのであれば、根本的に公開・非公開を問わず、その行為を行っても猥褻行為にはあたらないものとする。)
  4. 行政による創造物に対する干渉を原則的に禁止する。⇒詳細
  5. 青少年(15歳未満)に対しても原則的に全ての創造物を自由に公開してよいものとする。⇒詳細
  6. その他、創造物の保護体制を作る。⇒詳細

1.「芸術作品」と「ポルノ・猥褻物」、その他「ポルノ・猥褻物ではない創造物」と「ポルノ・猥褻物」を区別する。


 文化的創造物保護法では「芸術作品」と「ポルノ・猥褻物」、その他「ポルノ・猥褻物ではない創造物」と「ポルノ・猥褻物」を区別します。
 そして、芸術的、文学的、文化的な価値があれば、猥褻性(又はポルノであること)は否定されるものとし、「ポルノ・猥褻物」とは性表現が用いられた芸術的、文学的、文化的な価値のない創造物であるものと定義します。
 性表現が用いられている創造物の全てを「ポルノ・猥褻物」とは定義しません。
 いかなる性表現が用いられた創造物であったとしても芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物は「ポルノ・猥褻物」ではないものとします。

 尚、これらにより「ポルノ・猥褻物」は文化的創造物保護法では保護されないことになります。
 文化的創造物保護法は芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物を守るための法律です。
 「ポルノ・猥褻物」の定義は性表現が用いられた芸術的、文学的、文化的な価値のない創造物です。
 芸術的、文学的、文化的な価値のある「ポルノ・猥褻物」なるものは論理的に存在しません。
 芸術的、文学的、文化的な価値があったとしたら、それは「芸術作品」か又は「ポルノ・猥褻物ではない創造物」です。
 そのため「ポルノ・猥褻物」は文化的創造物保護法では保護されません。
 むしろ、「ポルノ・猥褻物が保護されない」と言うより「保護されない創造物がポルノ・猥褻物である」と言った方が正確です。

 その他、芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物の定義などについては以下を参照してください。
  1-1.原則的に全ての創造物が「芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物」であるものとする。⇒詳細
  1-2.一部の創造物については芸術的、文学的、文化的な価値があることを明確化する。⇒詳細

1-1.原則的に全ての創造物が「芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物」であるものとする。


 文化的創造物保護法は芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物を守るための法律です。
 文化的創造物保護法では保護の対象となる創造物(メディア)を下記のように定義し、原則的に全ての創造物が「芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物」であるものとします。

1.絵画
2.彫刻
3.写真
4.小説
5.映画
6.ドラマ
7.アニメーション
8.漫画
9.ビデオゲーム
10.その他

 文化的創造物保護法はイロイロな創造物の文化的な価値を皆で認めて、皆で守っていこうという法律です。
 明確に「芸術的、文学的、文化的な価値がない」と言える創造物以外は「芸術的、文学的、文化的な価値がある」ものと見なして保護の対象とします。
 尚、創造物に芸術的、文学的、文化的な価値があるかないかを判断する最終的な権限は裁判所にあるものとします。
 行政とクリエイターとの間で意見が割れた場合などは最後は法廷で決着をつける事になります。

1-2.一部の創造物については芸術的、文学的、文化的な価値があることを明確化する。


 下記の創造物については保護される事と保護されるとは限らないことを明記します。

1.「差別を目的としない創造物」は保護される。
 いかなる差別表現が用いられた創造物であったとしても、それが物語の演出などであり、差別を行う事そのものを目的としていない創造物は文化的創造物保護法により保護されます。
 尚、「差別を目的とした創造物」が文化的創造物保護法により保護されるかされないかは不明確なものとします。

2.「犯罪行為の扇動を目的としない創造物」は保護される。
 いかなる犯罪表現が用いられた創造物であったとしても、それが物語の演出などであり、犯罪行為の扇動を目的としていない創造物は文化的創造物保護法により保護されます。
 犯罪を誘発する恐れがある創造物であったとしても、犯罪行為の扇動を目的としていない創造物は保護対象です。
 尚、「犯罪行為の扇動を目的とした創造物」が文化的創造物保護法により保護されるかされないかは不明確なものとします。

3.「社会公益を損なわない創造物」は必ずしも保護されるとは限らない。
 「社会公益を損なわない創造物」であったとしても、芸術的、文学的、文化的な価値のない創造物は保護されません。
 芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物とは必ずしも「=社会公益を損なわない創造物」ではないものと定義します。
 また、芸術的、文学的、文化的な価値のない創造物とは必ずしも「=社会公益を損なう創造物」でもないものと定義します。

2.芸術的、文学的、文化的な価値がある創造物についてはポルノ・猥褻物の発表・公開・作成を禁止した法律、その他創造物の発表・公開・作成そのものを禁止した法律の規制を受けないものとする。


文化的創造物保護法により芸術的、文学的、文化的な価値がある創造物についてはポルノ・猥褻物の発表・公開・作成を禁止した法律、その他創造物の発表・公開・作成そのものを禁止した法律の規制を受けないことにします。
文化的創造物保護法と他の法律との関係は下記をご覧ください。

1.文化的創造物保護法による創造物の保護は創造物の作成・発表を規制した法律(児童ポルノ禁止法、刑法175条(わいせつ物頒布罪)など)に自動的に優先します。
 そのため、芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物については上記二つの法律の規制を受けないことになります。

2.文化的創造物保護法による創造物の保護は特定、又は不特定の創造物の作成・発表を抑制する事を目的とした法律に自動的に優先します。
 直接的に創造物の作成・発表を規制する訳ではなく、間接的に特定、又は不特定の創造物の作成・発表を抑制する事を目的とした法律についても文化的創造物保護法は自動的に優先するものとします。

3.文化的創造物保護法による創造物の保護は特定の人物の名誉を棄損することを禁止した法律には優先しません。
 文化的創造物保護法ができたとしても誰かの名誉を傷つける行為は認められません。

4.文化的創造物保護法による創造物の保護は特定の創造物を独占的に発表することを認めた法律(著作権法、肖像権法など)には優先しません。
 文化的創造物保護法ができたとしても特定の創造物を独占的に発表する権利は認められます。

5.文化的創造物保護法による創造物の保護は創造物の出演者、作成スタッフの労働条件を定めた法律には優先しません。
 文化的創造物保護法は基本的には創造物の自由な作成を認めた法律ではありますが、作成過程における出演者、作成スタッフの労働条件には制限がかけられる事になります。
 尚、創造物の作成過程において、出演者、作成スタッフの労働条件を定めた法律に違反する行為があったとしても創造物の作成を中止させること、作成された創造物の発表を規制する事はできないものとします。

6.文化的創造物保護法による創造物の保護は公共放送のルールを定めた法律には優先しません。
 公共の電波を用いた放送の内容に法的な規制をかけるべきか否か、あるいはその規制の内容をどのようなものにするか、その種のあらゆる問題に対し、文化的創造物保護法は一切関与しないものとします。

7.文化的創造物保護法による創造物の保護は伝統の保護を目的とした法律(条例)には優先しません。
 文化的創造物保護法により保護される創造物については行政がどうこう口を出す事ができなくなります。
 しかし、伝統を守ることを目的としている場合については例外的に行政が口を出しても良いものとします。

8.他、文化的創造物保護法による創造物の保護は創造物の作成・発表を規制している訳ではない法律には優先しません。

3.芸術的、文学的、文化的な価値がある創造物を作る行為は猥褻行為にはあたらないものとし、猥褻行為(公然猥褻など)を禁止した法律の規制も受けないものとする。


 文化的創造物保護法による保護は猥褻行為(公然猥褻など)を禁止した法律・条例に優先します。
 芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物は猥褻物ではないというのも、この法律の主旨の一つです。
 猥褻行為と言うのは創造物ではないですが、文化的創造物保護法により、公開しても猥褻物に該当しない行為=猥褻行為ではない行為と言う事になります。
 そのため、文化的創造物保護法は猥褻行為(公然猥褻など)を禁止した法律・条例に優先することになります。

4.行政による創造物に対する干渉を原則的に禁止する。


文化的創造物保護法により創造物に対する行政の介入を原則的に禁止します。
詳細は下記をご覧ください。
これについても文化的創造物保護法に違反する行政の介入が行われた場合、裁判所が行政に対して中止命令を出す事ができるものとします。

1.文化的創造物保護法により行政機関がクリエーター、出版社、書店などに対し、行政指導を行うなどして、
 「特定または不特定の創造物を作成・発表・販売するよう直接的な圧力をかけること」
 「特定または不特定の創造物を作成・発表・販売しないよう直接的な圧力をかけること」
 が禁止されます。
 この規定に違反し、行政機関がクリエーター、出版社、書店などに直接的な圧力をかけた場合、その行政機関の関係者は処分の対象となります。
 また、文化的創造物保護法はクリエーター、出版社、書店などに対し圧力をかけることを目的とした運動に政機関が協力すること、そう言った運動を政機関が支援する事も禁止します。
 (文化的創造物保護法が優先しない法律(条例)に定められている事柄については行政機関がクリエーター、出版社、書店などに対し、圧力をかけても良いものとします。)

 尚、行政が主催する発表会などについては行政機関が好きなように口を出しても良いものとします。
 また、行政機関が税金を出資している場合などは、その税金の使い方については好きなように指定しても良いものとします。

2.文化的創造物保護法により行政機関が追放運動を行うなどし、特定または不特定の創造物の排除・追放を目指す事を禁止します。
 この規定に違反し、行政機関が追放運動を行うなどした場合、その行政機関の関係者は処分の対象となります。
 また、文化的創造物保護法は特定または不特定の創造物の排除・追放を目的とした運動に政機関が協力すること、そう言った運動を政機関が支援する事も禁止します。
 (文化的創造物保護法が優先しない法律(条例)に定められている事柄については行政機関が行動を起こしても良いものとします。)

 尚、文化的創造物保護法は行政機関が特定または不特定の創造物の排除・追放を目指す事を禁止しますが、
 逆に行政機関が特定または不特定の創造物の振興を目的とした行動を起こす事は禁止しません。

3.文化的創造物保護法により公務員が特定または不特定の創造物の排除・追放を目的とした運動に参加する事を禁止します。
 この規定に違反し、公務員が特定または不特定の創造物の排除・追放を目的とした運動に参加した場合、処分の対象となります。
 (文化的創造物保護法が優先しない法律(条例)に定められている事柄については公務員が参加しても良いものとします。)

 尚、文化的創造物保護法は公務員が特定または不特定の創造物の排除・追放を目的とした運動に参加する事を禁止しますが、
 逆に公務員が特定または不特定の創造物の振興を目的とした運動に参加する事は禁止しません。

4.文化的創造物保護法により行政機関にはクリエーター、出版社、書店などに対する中立を義務付けます。
 行政機関が発表会などを主催すること、税金を出資するなどすること、創造物の振興運動を行う事は認められますが、
 それ以外の点においては行政機関は全てのクリエーター、出版社、書店などを平等に扱う事が義務付けられます。
 この規定に違反し、行政機関が特定のクリエーター、出版社、書店などに対して、恣意的に肩入れした場合、恣意的に冷遇した場合、その行政機関の関係者は処分の対象となります。
 (文化的創造物保護法が優先しない法律(条例)に定められている事柄についてはこの規定から除かれます。)

5.文化的創造物保護法により行政指導に対する反論権が認められるようになります。
 文化的創造物保護法に違反した行政指導が行われた場合、損害賠償を請求できるようになります。

5.青少年(15歳未満)に対しても原則的に全ての創造物を自由に公開してよいものとする。


 文化的創造物保護法による創造物の保護は未成年者(18才未満)の健全育成を目的としたゾーニングとレーティングの在り方を定めた法律(条例)に優先します。
 文化的創造物保護法では青少年の定義を15歳未満とした上で、15歳以上には全ての創造物を自由に公開しても良いものとします。
 また、15歳未満の青少年に対しても原則的に全ての創造物を自由に公開して良いものとします。

 だだし、下記の創造物については例外的にその扱いについて文化的創造物保護法では言及しないものとします。

1.青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認める内容の図書類
2.構造又は機能が、青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるがん具類
3.構造又は機能が、青少年又はその他の者の生命又は身体に対し、危険又は被害を誘発するおそれがあると認める刃物

 上記に該当しない創造物については青少年(15歳未満)に対しても自由に公開(販売)してもよいものとします。
 尚、上記に該当する創造物についても「有害図書指定」「有害玩具指定」を行う権限は行政にはないものとします。
 「有害図書指定」「有害玩具指定」を行う権限は裁判所にのみあるものとし、行政に行うことができるのは裁判所に対して有害図書指定を行う事を求める事までとします。

6.その他、創造物の保護体制を作る。

 その他、文化的創造物保護法にはより以下のよう創造物の保護体制を作ります。

 6-1.創造物における正当防衛の概念を導入する。⇒詳細
 6-2.性表現の用いられていない芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物も保護する。⇒詳細
 6-3.芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物に該当しない創造物の扱いについては文化的創造物保護法は一切言及しない。⇒詳細
 6-4.創造物に対する差別・妨害を禁止する。⇒詳細
 6-5.訴訟支援制度を導入する。⇒詳細

6-1.創造物における正当防衛の概念を導入する。


 文化的創造物保護法の根本は創造物における正当防衛の概念を導入する事にあります。 
 第一次案においては、これを「法的な表現規制を特別に免除され、公権力による干渉も受けない創造物の聖域を設ける」と表現しています。

 芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物を作成・発表すると言う行為は、この創造物における正当防衛にあたるものとし、法的な規制を免除され、公権力による介入も受けず、あらゆる表現を用いてもよいものとする。
 これが文化的創造物保護法の根本です。

6-2.性表現の用いられていない芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物も保護する。


 文化的創造物保護法は芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物を保護するための法律です。
 文化的創造物保護法では、「ポルノ・猥褻物」と「芸術作品」、「ポルノ・猥褻物」と「ポルノ・猥褻物ではない創造物」を区別し、性表現の用いられている芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物を保護しますが、それだけではなく性表現の用いられていない芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物についても文化的創造物保護法は保護します。

 尚、文化的創造物保護法は「ポルノ・猥褻物」(性表現の用いられた芸術的、文学的、文化的な価値のない創造物)を保護しませんが、性表現の用いられていない芸術的、文学的、文化的な価値のない創造物も保護しません。

6-3.芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物に該当しない創造物の扱いについては文化的創造物保護法は一切言及しない。


 文化的創造物保護法は芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物を守るための法律です。
 芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物に該当しない創造物の扱いについては文化的創造物保護法は一切言及しないものとします。

6-4.創造物に対する差別・妨害を禁止する。


文化的創造物保護法により創造物に対する差別・妨害を禁止します。
詳細は下記をご覧ください。

1.文化的創造物保護法により芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物については特定の創造物を作成・発表した事を理由とした差別が禁止されます。
 特定の創造物を作成・発表した事を理由とした差別を受けた場合、差別者に対して損害賠償を請求できるようになります。

2.文化的創造物保護法により芸術的、文学的、文化的な価値のある創造物については、その作成・発表に対する妨害行為が禁止されます。
 創造物の作成・発表を妨害された場合、妨害者に対して損害賠償を請求できるようになります。

6-5.訴訟支援制度を導入する。


 文化的創造物保護法により訴訟費用負担制度を導入します。
 クリエイタ―が裁判を起こす際などに必要となる訴訟費用が一定額まで国により負担されます。

最終更新:2011年10月29日 18:45