はじめに
 このキャンペーンは、不定期かつフレキシブルに進行することを前提に設計されています。それぞれのハンドアウトには詳細な対人感情などが指定されていますが、これらはあくまでも「初期設定」であり、セッションの展開に応じて、プレイヤーの判断で随時変更して構いません。また、自分のPCの目的と他のPCの目的(もしくはキャンペーン全体の方向性)が合わなくなったと判断した場合は、途中で現在のPCをNPC化して、新たなPCとして参戦することを推奨します。また、展開によっては、五人目のPC(プレイヤー)を招聘する可能性もあります。

今回予告
 ヴァレフール反体制派の拠点である港町アキレスの南西に、タイフォンという名の小さな漁村が存在する。5年前、この村の領主の息子であるPC①(当時12歳)は、幼馴染のPC②(当時13歳)とPC③(当時10歳)、そして「通りすがりの魔法少女(下図)」を加えた四人で、村の近くの洞窟を探検した。
+ 通りすがりの魔法少女
 これは、PC②とPC③が、それぞれ大陸の魔法都市エーラムとサンドルミア辺境伯領に長期留学することが決まり、その前に最後の「思い出作り」をするためであった。その洞窟は「選ばれた者」以外を拒絶する結界が張られていると言われていたが、彼等は無事に洞窟の奥地へと辿り着き、そこに一本の「剣(PC④)」が封印された祠があることを発見する。皆で力を合わせてその剣を引き抜くと、その剣は一人の少女の姿へと変わり、以後、PC①に仕えることになった。
 それから5年が経過し、PC①は父の死に伴い領主となり、PC②はエーラムの魔法学校を卒業してPC①の契約魔法師となった。そして間も無く、PC③も留学先のサンドルミアから帰還しようとしている。これは、成長した「三人の少年少女」と「一本の剣」が紡ぎ出す物語。それは、混迷を極めるヴァレフールに吹き込んだ新たな風。そして、この地に吹き荒れることになる新たな嵐の前触れであった。

グランクレスト不定期キャンペーン「ブレトランド風雲録」第1話
「思い出の残照」
混沌(カオス)を治め、聖印(クレスト)に到れ!


ハンドアウト
※それぞれに下記とは別個の裏ハンドアウトが存在

PC①(タイフォンの領主 17歳 男性)
推奨クラス/スタイル:ロード/任意
プレイヤー:kvkv
 キミは、騎士団長ケネスの孫(ケネスの次女プリスの長男)だ。キミの父のレオンは漁村タイフォンの領主だったが、約半年前にテイタニアに出現した巨大な魔物との戦いでトイバル軍の一員として彼と共に命を落とし、その所領をキミがを引き継いだ。
 現在はトイバルの長男であるゴーバン(11歳)の教育係も任されており、ゴーバンが正式にヴァレフール伯爵となった後は、いずれキミが騎士団長になることが期待されている。
因縁:ゴーバン・インサルンド(主君 パニッシャー 11歳 男性) 推奨感情 メイン:尽力/サブ:任意
+ 裏ハンドアウト
 キミは密かにPC③に慕情を抱いている。身分的にはギリギリ結婚相手になりうる立場ではあるが、キミの祖父は現在、キミの主君であるゴーバンとPC③を結婚させることで、この分裂状況を回避しようと考えているらしい。キミが祖父や主君に従っている限りにおいては、君の恋心が成就するのは難しいだろう。
 なお、ゴーバンは生意気で腕白だが、正義感が強くまっすぐな気性の少年であり、キミに対しては兄貴分として、一定の信頼を寄せている様子である。

PC②(PC①の契約魔法師 18歳 女性)
推奨クラス/スタイル:メイジ/任意
プレイヤー:緋鶏
 キミは、騎士団長ケネスの孫(ケネスの長男マッキーの長女)だ。5年前に魔法師としての才覚を発現させたキミは、魔法都市エーラムで修行を重ねた上で、PC①の契約魔法師として、この国に戻ってきた(その間に父は病死し、母はその直後に行方不明となったらしい)。
 PC①はキミにとっては当初は弟のような存在だったが、いつの間にか彼に対して、それ以上の感情を抱いているような気がしなくもない。
因縁:PC①(幼馴染 ロード 17歳 男性) 推奨感情 メイン:慈愛/サブ:任意
+ 裏ハンドアウト
 キミには前々から気になっていたことがある。それは、キミの家族(両親&弟妹)は全員、瞳の色が「黒」であるのに対し、キミの瞳だけが「青」(他の色でも可)ということである。様々な可能性が頭をよぎる中、エーラムで出会った予言者(時空魔法師)が言うには、どうやらキミと「育ての父(マッキー)」は血が繋がっていないらしい(つまり、キミとPC①も血は繋がっていないことになる)。キミの本当の父親が誰なのかは、未だ不明である。
 なお、キミの母のネネは庶民出身で、当初はブラギスの正妻(ワトホート・トイバル兄弟の母)レオリアの侍女だったが、宮廷内でも随一の美貌の持ち主として有名で、騎士団長の息子であったマッキーに熱烈に口説かれて結婚したと言われている。

PC③(ヴァレフール伯爵令嬢 15歳 女性)
推奨クラス/スタイル:ロード/メサイア
プレイヤー:助動詞にいてんろく
 キミは、現ヴァレフール伯爵ワトホートの次女だ。姉のフィーナが行方不明のため、後継者の証の「風の指輪」を与えられている。5年前からサンドルミア辺境伯領に留学中だが、まもなく帰国の予定。既にロードの力に目覚めているが、現在は故あって聖印を持っていない。
 PC①とは幼馴染で、キミにとっては初恋の相手でもあるが、現在はワトホートとケネスの対立激化により、子供の頃のように接するのは難しい関係となってしまった。
因縁:PC①(幼馴染 ロード 17歳 男性) 推奨感情 メイン:慕情/サブ:任意
+ 裏ハンドアウト
 キミの正体は、レア姫の影武者を務めるミラージュの邪紋使いである。幼少期のレア姫は父譲りの病弱な体質だったが、そのことが知られると後継者問題でトイバル擁立論が高まる恐れがあったため、姫が体調を崩す度にキミが姫に変身して代役を務めてきた。そのことを知っているのは、姫の両親と数名の侍従の者達のみであり、日頃はキミも姫の侍女の一人として傍に仕えている。
 姫がPC①に恋心を抱いていたことは知っていたが、そんな姫の代役として何度も彼と同じ時を過ごすうちに、いつしかキミ自身も姫と同じ感情を共有するようになっていた(それが「本当のキミの感情」なのかどうかは、キミ自身もよく分かっていない)。なお、5年前の洞窟探検の際にPC①・②と同行していたのは、姫ではなく、キミである(姫自身は参加したがっていたが、さすがに危険すぎるということで、侍従の者達に止められた)。
 姫がサンドルミアに留学した際も、当然のごとく侍女として同行したが、その留学中に姫が混沌災害に巻き込まれ、巨大な混沌核に触れてしまった結果、姫の聖印は混沌核へと転換し、その身体は「人間サイズの二足歩行のイグアナ」のような姿に変わってしまった。「このままでは祖国に帰れない」と考えた姫は、自分の姿を元に戻す方法を探すために出奔し、キミに対しては「私が戻ってくるまで、私の代役を続けていてほしい」という置き手紙が残されていた。
 そんな状況で、ヴァレフールではブラギスが死去し、ワトホートが伯爵位を継いだことで、後継者としての姫の帰国を要請する声が高まった。キミはなんとか姫が戻るまで時間を稼ごうと、帰れない理由を色々とこじつけて先送りを続けてきたが、さすがにそれも限界に達し、姫の行方が分からないまま帰国せざるをなくなった。
 なお、現在キミが所有している「風の指輪(【感覚】を+2する指輪)」は偽物であり、本物は現在も姫が持っている筈である。

PC④(PC①が所有する剣 ?歳 女性)
推奨クラス/スタイル:投影体/オルガノン
プレイヤー:ありす
 キミは、PC①が所有する「剣の擬人化体(オルガノン)」だ。タイフォンの近くの洞窟で何者かによって造られた祠で封印されていたが、5年前にPC①・②・③の手でその封印を解かれ、PC①の所有物となった。なお、その祠に封印される前の記憶は残っていない。
 三人の中でPC①を所有者に選んだのは、彼に対して「何らかの特別な感情」を抱いたからだが、その感情の正体が何なのか、今のキミにはまだ理解出来ない。
因縁:PC①(主人 ロード 17歳 男性) 推奨感情 メイン:幸福感/サブ:任意
+ 裏ハンドアウト
 キミは剣のオルガノンだが、キミはこれまで他のオルガノン達と出会う度に、彼等と自分では「何か」が違う、という違和感を感じてきた。PC①の祖父ケネスの契約魔法師の召喚魔法師(投影体召喚の専門家)であるハンフリーからも「お前からは投影体の気配がしない」と言われたことがあるが、その言葉の真意を確かめる前に、彼は先日、パンドラの手で殺されてしまった。
 また、キミの封印が解かれた時、キミはPC①に対して「一目惚れ」に近い感情を抱き、彼の所有物となったが、それとは別次元で、なぜかPC②に対しては、キミの封印が解かれた直後から、彼女の近くにいる時には不思議な「安心感」を感じる。それがなぜなのかは、今はまだ分からない。

資料集
+ 本シリーズから登場予定の新キャラ
+ 家系図(横長注意、PCでの閲覧推奨)
+ ヴァレフール伯爵領の現状
 ヴァレフール伯爵領は、英雄王エルムンドの長男シャルプを祖とするインサルンド家が統治するブレトランド南部の大国であり、伝統的にはブレトランド三国の盟主的な存在であった。国際的には、大陸南西部のハルーシアを盟主とする幻想詩連合に所属している。
 現在の国主は先代伯爵ブラギスの長男ワトホート(PC③の父)であるが、彼には父ブラギスの暗殺疑惑があり、騎士団長ケネス(PC①・②の祖父)はそれを理由にワトホートの継承の正統性を認めず、「ワトホートの弟トイバル(故人)の長男ゴーバンこそが正統な後継者である」と主張し、ヴァレフール東部諸侯がそれに同調して「反体制派」と呼ばれる勢力を形成することで、実質的な分裂状態に陥っている。
 この国を支える重鎮である七人の男爵のうち、現時点で明確に「ワトホート支持」を明言しているのは、ヴァレフール騎士団の副団長グレンと、その縁戚に当たるファルクの二人である。いずれも聖印教会(混沌を「魔法」や「邪紋」という形で利用することに否定的な「聖印至上主義」に基づく宗教結社)とのつながりが深いため、聖印教会を基盤とする神聖トランガーヌとの不可侵条約の締結を主張し、一方で対アントリア戦においても(幻想詩連合との関係が薄いため)あまり積極的ではなく、和睦による解決が最善であると考えている。
 それに対して、反体制派の男爵は、上述の騎士団長ケネスとその縁戚のガスコインの二人である。彼等は大陸の幻想詩連合諸国との関係が深いため、大工房同盟所属のアントリア(およびそれを支援する大陸北部の海洋国家ノルド)への敵対心は強く、また聖印教会とも不仲のため、神聖トランガーヌとの折り合いも悪い。
 残りの三男爵(ロートス、ユーフィー、イアン)は、未だその方針を明確に定めぬまま、ひとまず消極的にワトホートの継承を認めながらも、両派の和解を探っている、という状態である。

関連リンク
【ブレトランドの英霊】第6話
 上記のヴァレフールの主要人物の大半が登場したセッションであり、実質的に本キャンペーンとの繋がりが最も深いエピソード。
周辺諸国に関する情報
 現在のブレトランドにおける四つの国家(ヴァレフール、アントリア、神聖トランガーヌ、グリース)に関する基礎情報(+勢力変遷図)。
+ 「英雄王エルムンドの叙事詩」
七つの聖印携えて
六つの輝石の加護を受け
五つの銀甲身に纏い
四つの異能を従えて
三つの令嗣に世を託し
二つの神馬の鞍上で
一つの宝剣振り翳し
全ての希望を取り戻す
かの者の名はエルムンド
ブレトランドの英雄王

 上記は、400年前にブレトランドの混沌と戦い、現在の三王国の基礎を築いた「英雄王エルムンド」を讃える叙事詩の最初の一節である。次節以降では、エルムンドが「七人の騎士」と「一人の名を伝えられていない魔法師」と共に「大毒龍ヴァレフス」を倒すまでの英雄譚が語られているが、その伝承の詳細は地方ごとに異なっており、どれが真実なのかは分からない。ただ、どの地方の伝承においても、この最初の一節だけは一字一句変わらない。

 「七つの聖印」とは、エルムンドに仕えた七人の騎士(マルカート、パウザ・ディ・ネラ、ブレーヴェ、フェルマータ、トレブル・クレフ、バス・クレフ、トライアード)を意味していると言われているが、彼等の実態については、未だに謎が多い(彼等の詳細は【ブレトランドの英霊】シリーズを参照)。

 「六つの輝石」とは、エルムンドが所有していた「身体や感覚を研ぎ澄ませる力を持つ石」を指す(その力の根源は混沌ではなく、聖印に近いものらしい)。彼の死後、それらは別個の装飾具となり、現在は以下のような形で各地に伝わっている。
  • 火の腕輪(ブレスレット):アントリア子爵ダン・ディオード
  • 雷の耳飾り(イヤリング):(150年前に盗難により紛失)
  • 風の指輪(リング):ヴァレフール伯爵令嬢レア・インサルンド
  • 陰の額冠(サークレット):バランシェ神聖学術院学長ミリシード・メディア
  • 山の髪飾り(バレッタ):(旧トランガーヌ崩壊時の混乱の中で紛失)
  • 林の首飾り(ネックレス):フォーカスライト大司教ロンギヌス・グレイ

 「五つの銀甲」とは、エルムンドが装備していた銀色の装備(兜、鎧、小手、長靴、盾)を指していると言われているが、いずれも現存していないため、その実在を疑う声もある。

 「四つの異能」に関しては、明確な記録が何も残されていない。「名を伝えられていない一人の魔法師」に関することなのではないか、とも言われているが、詳細は不明である。

 「三つの令嗣」とは、エルムンドの三人の子供である長男シャルプ、次男カシオス、長女(末子)ソニアのことを指す。三人はそれぞれ、ヴァレフール伯爵家、トランガーヌ子爵家、アントリア子爵家の開祖となった。

 「二つの神馬」とは、エルムンドの乗騎として名前が伝わっているエンディミオンとアルマークという二頭の馬の通称である。平時にはエンディミオン、戦時にはアルマークを愛用していたと言われており、前者の子孫がポーター村の、後者の子孫がティスホーン村の産駒達である(両村はいずれも旧トランガーヌ地方。現在は、前者はアントリア領、後者はグリース領)。

 「一つの宝剣」とは、エルムンドが用いていた宝剣ヴィルスラグのことを指す。この宝剣は代々ヴァレフール伯爵家に伝わっており、現在はワトホート・インサルンドが所有している。闇を祓う特別な力を持つと言われているが、近年は実戦で使われることは殆どなく、式典の際に用いらる程度である。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2016年07月09日 01:39