とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 7-622

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匿名ユーザー

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年度末の月、3月。
 卒業式やら受験やら、学生達にはイベントが立て続けに発生する月。別れの月でもある。
 そんな3月も既に中旬頃、年頃の男女には重要なイベントが待ち構えているのだ。
 ホワイトデー。
 製菓会社の陰謀だとか言われてしまえばそれまでだが、1ヶ月前のバレンタインデーにチョコを貰った者が、贈ってきた者に基本三倍のお返しをしなければならない。義務付けられたわけではないが、程良い人間関係を形成する上では消化していった方が株価上昇するのである。

「………、さてと」

 早朝。とある学生寮の一室、浴槽で一人の男子高校生が携帯の画面で日付を確認する。
 何度見ても、3月14日と表示されているのは変わらない。
 彼の名は上条当麻。右手に幻想殺しを持つ不幸の星の下に産まれた旗建築一級士、もとい旗男。
 今までに建てたフラグは、自身のワックスで立てた髪の毛の本数より多いとか多くないとか。
 彼もまた、バレンタインデーに大量のチョコを頂いた。いや、贈りつけられた。一万個を容易に超える、ミルクやビター、カカオ100%なチョコの山。


 当然、一人で食べたら間違いなく糖尿病で闘病生活という、絶望がお前のゴールだったが、上条自身バレンタインにチョコを貰えると思ってなかったので(憎たらしいことに平気で言うのだ)、クラスの男子諸君に分け与えるという優しさに満ち溢れた行動をした。
 だが、それとお返しは別。
 チョコを受け取ったのは上条なので、総勢一万人以上の女の子にホワイトデーのお返しをしなければならない。先に言ったように、義務付けられたわけではないのだが、そこは上条。

「返さなければ絶望が俺のゴールだ……とほほ……」

 三倍返し×一万ともなると、上条家は崩壊する。

「さぁ、財布の中身を数えろ!」

 野口さんがひとーり。
 五百円玉がにまーい。

「………、」

 現在時刻、午前七時十七分。場所、とある高校の学生寮の一室の浴室。
 上条に課せられた任務は、今日一日中、バレンタインにチョコをくれた女の子に誰一人とも遭遇せずに逃げ回り、生きて明日の朝日を拝むこと。
 学生鞄に入れておいたカロリーメイトフルーツ味を頬張る。某破壊天使のパイロットとむっつりへの字口軍曹と、上条の味覚は馬が合うようだ。


 物音を起てぬように、浴室から居間へシノビダッシュ。同居人の銀色シスターは目覚めていない。そのまま、玄関を飛び出し、階段を駆け下りる。

「…っと、」

 陽向日陰に隠れる天草式の存在を、上条が忘れる筈がない。中腰になり、植木や電柱の陰に気を付け、自分もリアルメタルギアのゲームをスタートした―――。

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