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『純愛』~あなたの幸せを、祈っています~

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匿名ユーザー

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10月の下旬の『とある日』
日が少し傾いたころ、一組の男女が向かい合っていた。

「わたしは、私は、アンタの事が……好き」

たった一言、
この一言を言うためにこの少女はどれだけ悩んだか、
思い、苦しんだ結果、覚悟と決意で前進することを選んだ。

男は、ただ驚いた顔をしていた。
普段の私達の関係は、そんなに仲がいいわけでなく、いつも彼女が突っかかっている感じで、見方が悪ければ、仲が悪く感じる関係だ。
特に、彼は恋愛沙汰には疎く、彼女の気持ちも気づかず、嫌われていると思っていたのだろう。
だからこそ、この告白に、驚いていた。


彼女の気持ちは伝えた。後は、彼の、上条答えを待つだけだ。
わずかな時間が永遠に感じられた。


彼は、しばらくして俯いたまま、

「………ごめん」
たった一言だけ言った。


その瞬間、御坂の頭の中が、すべて真っ白になった。

御坂の頭の中で、いろんな物が、思いが、駆けめぐる。

わかっていた、覚悟はしていた、
そのつもりだった。……こうなることも、
マンガや小説みたいに、うまくいくとは限らないことを、
でも、
現実は、あまりにも酷く、残酷だった。



足は震え、体全体をも小刻みに振る合わせながら、
それでも必死に耐えた。
(泣いちゃだめだ!泣いちゃだめだ!)
体に言い聞かせながら必死に耐えた。

何かしら答えなければと思い、
「そ……っか、」
やっとの思いで、一言だけ、口に出した。

笑おうとする。
違うこと、楽しいこと、必死に思い浮かべて『笑顔』のいう名の仮面をつけようとする。

顔を上げ、上条の顔を見ながら、『笑顔』で答える。
「そっか、………私、アンタに振られちゃったんだ」
必死に言葉を紡ぎ出す。

「こう言うことを言うのも何だけど、結構、真剣だったんだけどなぁ」
いつものように、軽口を叩くみたいに、
「まぁ、しょうがないっかぁ。それがアンタの気持ちだって言うだったら、………諦めるしかないかぁ」
笑いながら、それでいて、決して上条に何も言わせないように、

それでも、答えが返ってくる。


「御坂………」
上条の言葉が、体の中で響く。
御坂は思わず、奥歯を噛み締めた。

今、彼の言葉を言葉を聞いたら、泣き崩れてしまうだろう。
御坂は、必死になって上条の言葉を遮った。
「アンタに振られちゃったのはしょうがないとしても、
その、
これからも今まで道理で、友達として付き合ってくれんでしょ?」

もう、今まで道理に行かないと知りつつ聞いてしまう。

「………ああ」
上条の言葉が返ってくる。

その言葉に救われた気がした。
振られたとしても、それでもまだ、上条は、御坂にとって大切な人だから。

「それを聞いて安心したわ」

もう限界だ。これ以上耐えられなかった。

「それじゃ、もう、寮に帰らなくちゃいけないから………じゃあね!」

それを言うやいなや、御坂は、駆け出していた。
もう、これ以上彼の顔を見れない。

いつもまにか、全力で走っていた。
まるであの場から逃げ出すように、ただひたすら走った。




走った。時間を忘れて、無我夢中で走った。
日が傾き、辺りが暗くなり始めた頃、寮の前にいた。

時間を忘れ、無我夢中で走ったのにちゃんと寮に着いているのは、帰巣本能の一種かなぁ、と、ぼんやり思った。

寮の窓を見てみると、自分の部屋の窓に光が灯っていた。おそらく、黒子がすでに帰っているのだろ。

一瞬、寮に帰りたくない!そんな事が、頭によぎった。

だが、早くしなければ、門限に間に合わなくなってしまう。
もう、これ以上、誰にも迷惑は掛けたくなかった。



覚悟を決めて、いざ自分の部屋へ気持ちを抑え込むようにして
「あれ?帰っていたんだ、黒子」
いつものあいさつ
「あら、お姉様。今、お帰りになったのですの?」
いつものやりとり
「もうこんな時間かぁ、何か今日は疲れたなぁ」
そう言って、ゆっくりベットの上に腰を下ろす。
「今日はそんなに疲れることありました?
もう、そろそろお夕食ですが」

「んー、今日はいらないかな。
なんか、適当に言い訳しておいて」
静にそう言った。
「そうですか。では、そのように言っておきますね」
そう言って、部屋から出て行く。



御坂は、後輩が部屋を出るの確認する前に、枕に顔を埋めた。
枕を炊きしめ、泣き出した。

今まで我慢していた分、すべてを出し切るかのように溢れ出す涙。

今は、誰も見ていない。後輩にも、アイツにも、誰にも………。

「我慢したんだから、もう、いいよね?」

誰に確認するわけでなく、ただ、こもった声で聞く。
そして、
静に、すすり泣く声がベットの上から聞こえた。



不意に、部屋のドアが開く音がした。
「お姉様」
黒子の顔は暗かった。
「えっ?黒子どうして……」
あわてて涙を拭き、顔を上げる。
「お姉様、今日何があましたの?」

「なにも、」

「何があましたの?」

「だから、」

「お姉様」

白井の言葉が静に、御坂を追いつめていく

「…………………………」

「…………………………」

長い沈黙、まっすぐ見つめる白井の目。
もう、これ以上言い逃れは出来ない。そう思った。


「今日、あのバカに告白した。」
御坂は、俯きながら静に語り始めた。
「でも、ふられちゃった。結構真剣だったんだけど、それでも、ふられた」
白井は、ただ黙って聞いていた。
普段、御坂への執着が強い白井であるが、それを忘れるかのように、ただ静に御坂の方を見つめて黙ってた。
「まったく、最低だよね、アイツ。せっかく、この美琴先生が恥を忍んで告白してやったのに!」

御坂は、顔を上げ、笑っていた。でも、その目は、必死に涙を堪えている、悲しい笑顔だった。
「だからね、さっさとアイツのことなんか忘れて、他に言い奴見つけないと!」
御坂は、それでも笑って答えた。でも、
「だから、だからね…、………」
もう、これより先の言葉が出させなかった。
我慢していた涙が静に落ちてゆく。
言葉がだんだん小さくなって、聞こえなくなる。
残ったのは、御坂のすすり泣く声と、時折聞こえる嗚咽だけだった。



静かな部屋に、御坂の泣く声と、嗚咽が木霊していた。

最初に、口を開いたのは、白井だった。
「お姉様,今日ぐらい、無理をせずに、いっぱい泣いていいでのではありませんか?
たくさん泣いて、
それで明日から、元気に頑張ればよろしいのでは、
それがきっと一番いいのではありませんか?」
白井は、優しく御坂を諭す。
「えっ?…………」
御坂は、驚きながら白井を見る。
「だから、たくさん泣いてください。今日見たことは全て忘れますから、だから、無理をせずに、
泣いてください」
御坂を優しく包むように包容し、囁く。
「…………うん」
御坂は、小さく答え、何も隠すことなく泣き出した。大きな声で



朝。
まだ、日が出ていない頃、突然、携帯のバイブ音が鳴り響いた。
最初は自分のものかと思ったが、電源を切っているので違っていた。
しばらくすると、バイブ音が鳴りやみ、隣で何か話している声が聞こえる。

「お姉様、朝早くからすいませんが、ちょっと風紀委員(ジャッジメント)で呼ばれたので行ってきます。なるべく朝食前までには帰れると思いますので」
それだけ言うと静に消えた。
御坂は、わかったと、言うように頷いた。


朝7時半
昨日はいつもより早く寝たため、目覚めは悪くなかったが、良くもなかった。
「もう、朝か」
隣を見ると、黒子はまだ帰ってきていない。
朝食前までには帰ると言ったのに、少し遅い。

イヤな予感はする。
もしかしたら、まだ仕事が終わっていないかもしれない、でも、とてもイヤな予感がした。
「まさか!?いやでも………」
それはないと思いつつ考えてしまう。



朝8時
すこし遅くなったが、やっと仕事に片が付いて、今すぐ寮に帰って寝たい!と思った。
それに今日は日曜日だから、少し休んで午後にでもお姉様とデート(買い物)に行こう、そう思った。
だが、
そんな楽しい気持ちが一瞬で消えた。むしろ、怒りと、憎しみに変わった。
たった1人の人物によって。


「あなたは、たしか殿方さんではありませんか」
それは、偶然だった。
「ん?お前は、たしか、白井だったけ?」
向こうもこちらを気づいたみたいだ。
「ちょっとお話があるのですがよろしいですか」
「まぁ、朝早いから、そんなに遅くなければいいが」
まだ朝早いこともあって、特に気にせずそう答えた。


そして、
少しずつ運命は加速してゆく



御坂は、走っていた。
こんな朝早い時間にアイツが起きて、どこか出かけているとは考えられないが、何とも言えない不安があった。

そして、この不安は、見事的中してしまった。

しばらく走った後、ようやく上条を見つけた。
そして、
そこにいたのは、上条と白井の二人の姿だった。
なんらかしら話しているがここからでは、よく聞こえない。

少し、やりとりをしてからどこか別の場所に行くようだ。
気になった御坂は、ばれないように二人の後をこっそり追うことにした。




着いた場所は、少し広めの裏路地だった。
普段の上条ならまず近づかないような場所だろ。
なぜなら、そう言ったところに行けばかなずトラブルに巻き込まれる、そう言った場所だからだ。

「なぜ?あんなことをしたのですか」
最初に口を開けたのは、白井だった。
「あんなことって、お前に何かしたか?」
当然の疑問を投げかける
「私ではありません!お姉様のことです」
白井の口調が自然と鋭くなった。
「御坂のことか。
お前には関係なく………ないか」
昨日の事だ。ある程度の予想はついていた。いや………むしろこうなることを予期はしていて覚悟はしていた。

白井は、御坂のことを慕っていたから余計に。
昨日の御坂は、必死に隠していたつもりだろうが、今にも泣き崩れてしまいそうなほどだった。
鈍感な俺だって解るぐらいだ、白井なら簡単に解るだろう。おそらく、それについて俺に聞きたいことがあるんだろう、そう思った。



白井は、さらに口調が強くなった。
「なぜあなたが、お姉様を傷つけるようなことするのですか?」

「ごめん」
それに対して、上条は、ただ一言だけ言う。
「ごめんじゃありません!
あなた知ってますか?昨日、お姉様が泣いていたことを!
声を抑えながら、必死にみんなに心配かけまいとしていたことを!」
相手に、罵詈雑言を浴びせるかのように。

「本当に、ごめん」
上条は、ただ頭を下げて謝罪をする。




そんな上条の姿を見て、白井は、
「私は、あなたを許さない!例え、お姉様が許したとしても、絶対に!」
もう二度と御坂には、会わせない!そう言っていいるかのように、まるで汚いような物を見るような目で上条を睨んでる。


沈黙が支配する
もう、アナタにこれ以上話すことはない!そんな表情し、この場から離れようとした時、
「白井は、御坂のことを本当に大切に思っているんだな」
そんな言葉が上条の方から聞こえた。
「当然です。お姉様は私にとって大事な人です」
何を今更、そんなことを聞いているのです?と、言った感じ振り替えにもせずに答える。

「だから、………だよ」

「えっ?」
上条は、自分の右手を見ながら、
「この右手『 幻想殺し(イマジンブレイカー) 』っていうだけど、あらゆる超能力及び異能の力を打ち消すことできるんだ。
それが、例え、御坂のレールガンや、白井のテレポートであっても例外なく。
それだけならある意味無敵かもしれないが、
その分、『不幸』が訪れる」

「不幸って言うだけで!?」
当然の疑問を上条に投げかける。

「それが、子供の時に苛められたり、包丁で刺されたこともあったとしてもか?」

苦笑いしながら、それでいて、どこか悲しそうな目で上条は答えた。
「…………それは、」
白井は言葉を失う。


「御坂を巻き込みたくないんだ」
上条は強く言う。
「それは、推測にすぎないでしょ」
それでも負けずに、白井は、言い返す。


だが、上条の言葉が、白井の思いを、遮る。

「かもな。でもな、白井」

上条は、頬を掻きながら、テレ臭そうに、でも、それでいて、

「俺はただ、好きになった奴には、幸せになって欲しいだけだ」

ただ、まっすぐ、

「こんなとこで、不幸だとかそんなバカな事を言っている俺には無理な話だが、
どっかで普通の奴と、普通に生きていって、それで、幸せになって欲しい」

飾り気のない言葉。

「ただ、……それだけだ」

だからこそ、伝わる本当の気持ち、彼の思い。




上条と別れた後、白井はしばらくその場を動けなくなていた。

「あなたって言う人は、本当にバカで最低な人ですわ」

結局、大好きな美琴を誰にも取られたくない、それだけしかなかった。
だが、心のどこかで、認めていた。
美琴のことを、少なからず、幸せにしてくれるだろうってことを、
だからこそ、美琴を泣かせた時は、心の底から怒った。

『なぜ?あんなことをしたのですか』
『私は、あなたを許さない!例え、お姉様が許したとしても、ぜったいに!』

その言葉は、心の叫びだった。
結局それこそ、白井の嫉妬だった。



(わかっていましたわ。私のお姉様が最低な奴に惚れるわけないってことぐらい。

わかっていましたわ。彼が何より、大事に思うのは、お姉様の幸せになって欲しいだけだって事ぐらい。

わかっていましたわ。お姉様は、そんな彼の優しいところに惹かれたことぐらい。
本当は解っていました。

でもシャクじゃないですか。
………だから、気にくわない!………気に、くわない………)


感情と気持ちが全く違う。

(だから、わたしにできることをします。
さっきからそこの影で、聞いていた人に、一歩でも前に進んで頂くために)

「全く、なんて最低な人なんですかあの殿方は、これぽっちも乙女心も全く解ってませんわ。
でも、……………好きなでしょ?そんな彼に、惚れたのではありませんか?

お姉様はどうします?
私には、全く関係のない話ですからなにも言いません。
でも、
私だったら、
私が、心から好きな人ならば、自分の正しいと思う事に、最後まであきらめずに進みます」



御坂は、聞いていた。上条の言葉を、本当の気持ちを、
聞いていて自分が恥ずかしくなっていた。アイツは、私のことを大事に思ってくれて、わざと嫌われ役まで演じているぐらいなのに、自分はいったい何しているんだろう。
ただ、アイツにふられたのがショックでただ泣いていた自分が恥ずかしくなってきた。

(私は、アイツの気持ちに答えなくてはいけないの?)

(私は、………私は、………いったい、どうすればいいの?)

涙が、自然と御坂の目から零れ落ちてくる。

(わかんない、わかんないよ…………どうすればいいの?教えて、当麻ぁ)


『全く、なんて最低な人なんですかあの殿方は、これぽっちも乙女心も全く解ってませんわ。
でも、……………好きなでしょ?そんな彼に、惚れたのではありませんか?

お姉様はどうします?
私には、全く関係のない話ですからなにも言いません。
でも、
私だったら、
私が、心から好きな人ならば、自分の正しいと思う事に、最後まであきらめずに進みます』

後輩の、黒子の言葉が、御坂の胸に響いた。

御坂は、黒子の言葉を聞き、歩き始めていた。いや、すでに走っていた。

(ごめん、ごめん、………私は、アンタの気持ちに、思いに答えられない!!)

(私は、最低だ。アンタの気持ちも、思いも、解っているのに、ひどくわがままで、傲慢で)

(でも、私は、どうしても、アンタを諦めたくない!!)



10分も掛からずに、上条の姿を見つけた。
アイツに声を掛けようとして、一瞬迷ったが、『いつもの』あいさつをすることにした。

「こっち向けやコラァアアア!」

いつものあいさつ、いつもの電撃、いつもの反応、これまで、何十回繰り返してきた、『日常』
少し変わってる、でも、楽しい思い出。

上条は、いつものように打ち消し、黙って、御坂を見ていた。

「私は、それでもアンタが好き!」
御坂は、まっすぐこの思いを告げた。

振られた。
アイツの気持ちも知っている。
でも、もう、止められない、この感情、この思い。

「アンタは、私を巻き込みたくないっていうならいうなら、わたしを守って、幸せにしなさい!
そうしたら、私が、アンタを不幸の中から救ってあげる!
それが出来ないって言うなら、アンタのその右手で、そんなつまらない幻想を打ち破りなさい!
それが、アンタでしょ?それが、上条当麻って男でしょ!
他人に押しつけるんじゃんないわよ!最後まで、責任とって、よっ!」

御坂の目から涙がこぼれ落ちてゆく。

「もう、……………これ以上、私を悲しませで、………当麻ぁ」

涙が、止まらない。




「…………御坂はそれでいいのか?」

上条は、静に聞く。

「私は、アンタ以外の男に興味はない!」

何を今更聞くの?と言った感じで答える。

「はぁ、なんていうか、わがままなお嬢様だ」
上条は、あきれた口調で言った。

「なんか文句ある?」
御坂は、少しふくれた口調で、でも、少しだけ笑った。

「いいえ、ごさいません」
上条も御坂の笑顔に合わせるかのように、少し笑った。



そして、
「御坂、いいか、
俺は、お前を泣かせない自信はない。
たぶん、お前を悲しませると思う。
でも、ぜったいにお前を笑顔にしてみせる。最高の笑顔に!!」


「だから、美琴」


「こんな俺でよろしければ、付き合ってくれませんか?」


ただまっすぐ、彼らしい告白。そして、彼女にとって、なによりも欲しかった言葉。

だけど、

御坂は、いたずらすることにした。こんなにも、私を悲しませたんだから。

「もし、イヤだって言ったら?」


その嘘がすぐにバレたのは言うまでもない。
なぜなら、その時の御坂の顔は、最高の笑顔だからだ。

それに対して上条は、少し困った感じで、でも、優しく微笑んで、御坂を抱きしめた。

御坂は、この幸せを噛み締めるように上条の背中に手を回した。

(やっと、……やっと捕まえた、この幸せ
もう、二度と離さない!!)

御坂は、顔を真っ赤にしながら、この思いを笑顔に乗せて、2人は誓った。

この誓いは、2人の永久の別れが訪れるまで、破られることがないだろう。
なぜならば、その姿は、まるで神父の前で誓う『あの時』の姿と、そっくりだから。


Happiness to these two people.!!
(2人に幸あれ!!)

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