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週刊朝日 06.12.29」(2006/12/18 (月) 19:43:25) の最新版変更点

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*石原都知事親子への裏献金疑惑 水谷建設元会長が確信証言 **裏献金疑惑の中心に座を占める、あの巨額脱税事件で摘発された中堅ゼネコン・水谷建設元会長の水谷功被告(61)が本誌の直撃取材に重い口を開いた。水谷元会長といえば「平成の政商」と言われ、脱税でつくった裏ガネを政界などにバラまいていたとされる人物だ。その証言の内容とは――。ジャーナリスト 時任兼作+本誌・小泉耕平 三男・宏高衆議院議員の選挙は会社を挙げて応援し、50万円も・・・ 選挙後の例の祝宴では、「みんな上機嫌だった。(都知事や宏高氏は)感謝してたわな」 「(みんな)都合のいいお方や」   水谷元会長はそう吐き捨てたのち、こう続けた。 「ウソが多いですな」   石原慎太郎都知事(74)、その三男の宏高衆議院議員(42)に対する「裏献金疑惑」について本誌が水谷元会長を直撃した際のコメントである。   本誌は前号で石原親子と糸山英太郎元衆議院議員(64)、水谷元会長らが料亭で行った会合の模様と金銭授受、その前後の経緯について、一部始終を知るキーマンの証言をもとに報じた。これに対し、石原親子も糸山氏も会合の事実は認めたものの、金銭の授受などは否定したのだった。   双方の主張は肝心な部分ではまったく食い違っていたわけだが、今回の「水谷証言」はどういう意味を持つのか。証言の詳細を明らかにする前に、これまで報じてきた概要を、便宣上キーマンをA氏と記しておさらいしておこう。  会合が行われたのは、昨年9月14日。石原親子と糸山氏らが東京・銀座の超高級料亭「吉兆」に集まった。3日前に衆議院議員に当選した宏高氏のお祝いをするためだ。この会合には、宏高氏の選挙を会社を挙げて応援した水谷元会長と、埼玉県の石材会社社長らも出席していた。   A氏によれば、この会合の席上、糸山氏から石原都知事に対して、2千万円の現金が渡されたというのだ。この2千万円のうち、1千万円は糸山氏自身が負担。あとの1千万円は水谷元会長と石材会社社長が糸山氏に頼まれ、それぞれ500万円ずつ「出資」したという。   だが、石原親子の政治資金収支報告書には、これらの金銭についての記載はなかった。つまり、A氏の話が事実ならば、この2千万円は裏献金であり、石原親子には政治資金規制法違反の疑いがあることになる。   A氏は、本誌の取材に対し、会合やその前後の様子について次のように語った。 「会合の前日に糸山氏の秘書に500万円出すように言われ、水谷建設の分を私が秘書に渡した」 「現金は1千万円ずつ焼酎『森伊蔵』の箱に入れて、会合の席で糸山氏から石原都知事に手渡された」   これらの疑惑に対し、石原親子と糸山氏の3人は完全に否定したのだが、今回、A氏はさらにこんな証言を寄せた。 「宏高氏の決起集会で水谷氏が50万円を宏高氏の秘書に手渡した。『領収書を送ってくれ』と頼んだが、送られてこなかった。後に宏高氏の政治資金収支報告書を調べたが、このときのお金が載っていなかった」   さて、この新たな「疑惑」に加え、今回、さらに衝撃的な証言がなされた。それこそが、水谷元会長の確信証言である。以下、一問一答の形で再現していこう。()内は編集部注、<>内はA氏の解説である。 >※ ※ ※ ――そもそも石原都知事、宏高氏との出会いはいつ、どこで、どんな状況でのものだったのでしょうか。 (宏高氏とは)Aさんに言われて(宏高氏の選挙期間中に行われた)決起集会で初めて会った。慎太郎さんとは(吉兆で開かれた)宴席。 ――糸山氏とは?ご本人は昨年9月の宴席で初めて会ったと言っていますが。   糸山さんが何を言ってるか、わしゃ知らんよ。でも、もっと前に会ってる。 <水谷元会長と糸山氏は会合より約1ヶ月前の昨年8月に韓国・済州島で知り合っている。宴席後も糸山氏が水谷元会長の地元を訪ねたり、東京・向島の料亭で遊んだりと親密に交際していた。水谷元会長は一時期、糸山氏を非常に尊敬し、自分の息子を糸山政経塾に行かせようと考えていた> **ピン札で50万円  祝儀袋に入れて ――宏高氏の選挙を応援するようになった経緯を教えてください。   Aさんに言われて、Aさんの顔を立てるためや。 ――宏高氏への選挙応援について、資金協力、運動員手配など具体的な応援内容を教えてください。   Aさんに言われたとおりに、すべてを用意した。 <水谷建設グループを総動員し、選挙運動・応援を行い、資金面でも応援した> ――「宏高氏の秘書に選挙中、激励金として祝儀袋に入れた現金50万円を手渡し、領収書を求めた」との証言がありますが、そのとおりですか。   ・・・・・・いや、Aさんが渡した・・・・・・。 ――Aさんは「祝儀袋にピン札で50万円を入れて用意し、それを水谷会長のポケットに入れた。その後、水谷元会長が手渡した」と言っているが?   いや、・・・・・・Aさんが用意して・・・・・・。 ――水谷さんが渡した?   そうだったかなあ・・・・・・。そうかもしれん・・・・・・。まあ、どっちでもええわ。 ――宏高氏への選挙応援について、石原都知事はどの程度、把握しているのでしょうか。   わからないけど、(宴席では)「このたびはお世話になりました」とは言われた。 ――宴席の連絡やお祝い金についてのやり取りなど、具体的に詳しくお聞かせください。   直接はやってない。Aさんが用意してた。 <水谷元会長は私が500万円の祝い金を用意していたところは見ている。その後、指定の時刻に間に合うように「吉兆」を訪れ、宴席に主賓のひとりとして参加した> ――宴席での様子についてうかがいます。この席上、糸山氏から石原都知事に対して焼酎「森伊蔵」の箱に入れた2千万円の現金が渡されたと言う証言がありますが、事実ですか。   その話は聞いた。 <それぞれの箱には1000万円の束八つを下から詰めていき、最後に二つをアーチ状に丸めて押し込んだと聞いている。その2箱を宴席の場で石原都知事に渡していた> ――そのお礼として、石原都知事は水谷さんに深々と腰を折り、誠意を伝えたと聞きましたが?   そりゃ、感謝してたわな! ――この場で現金のほか、漆器のお盆などの物品も石原親子に渡されたとの証言がありますが、ご承知ですか。   Aさんが会場に持ってきていた。 <漆器のお盆は私が用意した。石原親子はそれを受け取り、持って帰った> ――宴席の席上、どのような会話が交わされたのでしょうか。   糸山さんの自慢話とつくばの土地の話。 <「つくばエクスプレスが開通したので、あの沿線は土地が上がる。家を建てれば儲かりますよ」と石原都知事が水谷元会長に話しかけていた>   それと石に関する商売の話。 <糸山氏が石材業者を石原都知事に紹介し、「東京都の事業でよろしく」と言うと、石原都知事はうなずいていた。水谷元会長は祝宴後、「糸山さんと石材業者にとってはこの会合、大成功だったのとちゃうの?ま、わしゃ糸山さんにいいように利用されただけやな」と漏らしていた> ――会合後の様子は?   みんな上機嫌だった。 <とくにお酒の入った石原都知事は陽気で、頬に(料亭に呼んだ)芸者のキスマークをつけ、スーツの胸には芸者の(名刺のように源氏名が記され、シール状になっている)千社札をべたべたと貼り付けて、「よいよい」なんて言いながら、浮かれて公用車に乗り込むので、警護するSPもびっくりしていた> **石原親子ら再び 疑惑を完全否定 ――全体を振り返って、いまどう思っているか?   (みんな)都合のいいお方や。ウソが多いですな。 ――ほかにも何かあれば。   慎太郎さんが迷惑する・・・・・・かわいそうだなあ、と。 >※ ※ ※   以上が直撃の内容だ。言葉は少なく、石原親子に対し情緒的な反応も見られたものの、献金や選挙応援の事実については前号のA氏の証言を裏打ちする形で認めている。   そこで、本誌は3者に事実関係について再度ただした。回答は以下のとおりである。   まず、石原都知事側は本人に代り、会計責任者が電話でこう答えた。 「金銭の授受や請託は一切ない。何度取材しても答えは一つです。宴席のおみやげなんて覚えていない。先方がお盆や『森伊蔵』を渡したと言うなら否定しないが、だいたいお盆なんてもらっても邪魔なだけでしょう。お金が入ったものはもらっていません。請託もそんなところでわざわざしないでしょう。宏高氏のお祝いなのに都知事にお金を渡すのは矛盾しているし、証言者の発言もメディアによって詳細が変わっている。夏ごろには、私の所に右翼が会合の写真を持って脅しに来ている。そういう人たちがメディアに写真を売るためにストーリーを考えているんでしょう」   次に、宏高氏は本人が電話でこう回答した。 「拡大連絡会議(決起集会)の当日には800人くらい人が来たので、水谷さんや水谷建設の人が応援に来ていたかはわからない。秘書に聞いたがお金は受け取っていないし、水谷さんにも会った記憶がないと言っている。『領収書をくれ』という問い合わせも一切来ていない。『森伊蔵』については、私はもらっていないし、知事に渡されたかどうかも覚えていない」   糸山氏はこう答える。 「水谷氏と済州島で会ったのは確かなので初対面というのは訂正するが、名刺交換しただけ。宴席をセットしたのは秘書とAさんで、私は呼ばれただけだし、焼酎を渡したのは慎太郎氏が帰る時で、2人きりになった時ではない。秘書とAさんの間でどうなっているか知らないが、私の所にはお金なんて来ていないし、見てもいない。嘘をついてるのはどっちなんだと言いたい」   だが、水谷元会長からカネを手渡されたと指摘された宏高氏の秘書の名刺が水谷元会長側に存在していた。そして、この秘書は10月に個人的な理由で辞表を提出しており、今月いっぱいで退職するという。   退職について宏高氏は「この件とは関係ない」と強く主張するのだが・・・・・・。真実がひとつであることは依然変わりない。

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