「―――くっ!」

ぶぉん!

―――とっさに身を屈めた俺の頭の直ぐ上、
さっきまで俺の頭のあった位置を、風を引き裂く音を立てて槍斧(ハルバード)が通り過ぎる。
屈むのが一瞬遅ければ今頃、俺の頭の上半分が宙を舞っていた所だろう。

ギィン!

「っ!」

直ぐ様、俺は相手に向けて反撃と、剣を突き出すが、
素早い反応で繰り出された槍斧の柄の部分に弾かれ止められる。
舌打ちをしつつ剣を引くと経験と感に従って、俺はバネ人形の様に後ろへ飛ぶ。
――刹那!

ズ ガ ン!

烈風の如き速さで振り下ろされた槍斧によって、先程俺が居た辺りの地面が粉砕された。
………危なかった。

「………なんてこった」

目の前の強敵を睨みつけ、剣を構え直しながら俺は1人ごちる。
……『強敵』……その一言が俺の頭の中で響いた。

「ふむ、今までの人間に比べて、汝は若さの割に中々やるようだな」
「…………」

間合いを離す俺へ追撃する事無く、
僅かに焦りが滲み始めた俺の顔を端麗な表情で見据えながら涼やかな声で話掛ける相手に対し、
俺は無言で返した。

「ふむ、つれぬものだな」

その俺を、金色の瞳で見つめながら子供の体重ほどはあるだろう巨大な槍斧を、
まるで竹ざおを扱う様に軽やかに旋回させ、構え直した。

――今、俺が戦っている相手は人間ではなかった。
見た目は、年の頃20代の軽鎧(ライトメイル)を着た、長身の黒髪の女、なのだが、
その長い艶やかな黒髪の間からは雄雄しい角が生え、背には竜の翼、そして後ろ腰からは竜の尾が生え緩やかに振られている。
そして鎧の隙間や服の裾から見えるその皮膚も、体の内側を除いた殆どが蒼く滑らかな鱗に覆われていた。

竜人
擬人化の法を用いて人へと変化した竜族を祖先に持つ亜人種。その能力は人の物を軽く凌駕する、
竜の圧倒的な体力と強靭な腕力、竜の鱗の強固な防御力、そして長き刻を生きた経験と知力、
それらを駆使する彼等の力は、まさに一騎当千!
その代わり、彼等の個体数は決して多くは無く、出合う事すら稀な種族と言える。

………だが、俺はその竜人に出会ってしまった、それもよりによって敵として、だ。

俺は傭兵だった、そして竜人の女も傭兵だった。
そして俺と相手はそれぞれ敵対し合う勢力に雇われていた。
ある日、作戦行動中にはぐれた俺は、ある街道で彼女と鉢合わせになった。
只、それだけだ。

だが、それだけでも戦うのには充分過ぎる理由だった。

「我は汝を愚弄しているのでは無いぞ。汝は、我が今まで相対した人間と比べても相当な使い手といえる。
……ここで出会う事が無ければ、我とは良き戦友となっていただろうに」
「けっ、お世辞はいらねぇよ!」

強がりを言いつつ、俺はじりじりと間合いを取りながら竜人の女の出方を窺う。

………厄介な相手だ、
下手に攻撃したとしても確実に槍斧で受け止められ、
万が一、攻撃を当てられたとしても、生半可な一撃では鋼よりも硬い鱗に弾かれ傷一つすら付けられない。
だが、鱗に覆われていない人間の物と同じ皮膚に当てられれば話は違うだろうが、
それを竜人の女が許してくれる筈も無い。
対して、竜人の女の攻撃は、その殆どが必殺と言っても良い威力を持つ。
下手にその一撃を剣で受けよう物なら、あっさりと剣が打ち砕かれ、そのまま体が両断される事だろう。
おまけに、迂闊に後ろを取ろうとすれば、漏れなく強烈な尾の一撃が待っている。

剣術と体術を組み合わせた戦い方が得手な俺にとって、
目の前の相手は相性の悪い相手だった。

………はっきり言って、この強敵を前に俺は攻めあぐねていた………

何とかしてあの槍斧の間を潜り抜け、急所に一撃を与えられれば勝機はあるだろう、
だが、逆に言えば今の俺には勝機はそれだけしか無かった。


―――だったら、何時来るか分からない勝機を見出すのでは無く、作り出すまでだ!

「残念だ、ここで汝と敵対する事になった事を我は残念に思う」
「そりゃあ俺も残念……だ!」
「―――!」

手段を思いついた俺は軽口を叩いた後、直ぐ様行動に移る
地を蹴り、竜人の女に向けて駆け出す。
俺の動きに、直ぐに反応し槍斧を構えるその相手の顔目掛けて、俺は地面を蹴り上げ土を掛けた。

卑怯と言う事無かれ、これも立派な戦法。
それに相手が強敵である以上、使ってもバチは当るまい………多分。

「ぐっ!?」

目に土が入ったのか、動揺と驚愕の声を漏らす竜人の女。

―――今だ!―――
その勝機を逃さず、身を低く屈めつつ一気に距離を詰めて俺は切りこんだ!

ガッ

チッ、浅い!
腹部を裂く筈の一撃は、黒髪を揺らして僅かに身を引いた竜人の女の軽鎧を浅く裂くだけだった。
ならばと俺は返す刃で相手の喉元目掛けて剣の突きを繰り出すが

ギィッン!

目が見えない筈の竜人の女が振るった槍斧によって、突き出した剣が弾かれる。
見れば、竜人の女の目は視力を失っていなかったらしく、その金色の瞳で確実に俺を見据えていた。

―――拙い!―――

攻撃に失敗し、勝機を失った俺は剣を引き、間合いを取り直すべく後ろへ飛び退こうとしたが、
それを相手が見逃してくれる筈も無く

ドゴォッ

「―――がふっ!?」

横合いから放たれた、彼女の『尾』の強烈な一撃が、俺を強かに打ち据える
横っ腹に凄まじい衝撃、その一撃によって俺は剣を取り落とし、勢い良く吹き飛んで地面に転げる。
幸い、気絶こそしなかったが、ダメージは大きく、最早俺は立ち上がる事が出来ない。

………闘いの勝敗は、決した………


「どうやら、ここで詰みのようだな」
「…げほっ、がはっ……ぐっ……………!」

片手で顔についた土を振り払いつつ、
地面へと転がり、体をのたうって咳き込みながら反吐を吐き出す俺へ、槍斧を突き付ける竜人の女。
その端麗な表情には疲れている様子どころか汗の一つすらも見えなかった。
………立ちあがる事すら出来ない俺に対して、なんてたる余裕だ………

「どうする?素直に降伏するか?それとも飽くまで抵抗を試みるか?」
「………ふぅ、降伏するよ、こんな状態で抵抗した所で死ぬだけだ」

相手の問い掛けに対して、
仰向けに倒れたままの俺は一息つくと、素直に両手を上げて降伏の意を示した。

「ふむ、中々良い判断だ………ならば、早速、我は勝者の権利を行使をするとしよう」
「………は?」

言葉の意味が分からず、俺が間抜けな声を出して首を傾げる間も無く、
竜人の女は地面に槍斧を置き、倒れたままの俺の横にしゃがみ込むと俺の履くズボンに手を掛け、

ビリィッ!

一気にズボンごと下着を引き裂き、股間の肉棒を顕わにさせた。

「ちょっ、ちょっと待て!何をするつもりだアンタは!?」
「何を?……我が快楽を得る為に、今から汝を犯すだけだ、それ以外の理由は無い」

混乱する俺に、抑揚の無い声で答えつつ竜人の女は俺の肉棒を触る。

「ちょ、冗談じゃないぞ!!なんだってそんな事を!!」
「ならば、汝は、我に殺された方が良いと言うのか?」
「………ぐ………」
「殺されたくないのならば素直に従え、それが敗者の義務と言うものだ」

この時、抵抗する術の無い俺は竜人の女に従うしか他が無かった。


「じゅる……べちゃ…んじゅ………」
「く……ぅ………」

仰向けの俺の横にしゃがみ込んだ竜人が、表情を変える事無く俺の肉棒を咥える。
人間の物より遥かに長い竜人の舌が肉棒に巻きつき、唾液を擦り付けていく。
時折、舌の先の二股の部分が亀頭を舐り、その刺激に俺は口から呻き声を漏らす。

「ちゅぼ………ふむ、頃合か………」

肉棒から口を離し、先走りの液を漏らし大きく怒張した肉棒を眺めて竜人の女は呟きを漏らす。
そして、竜人の女はそのまま俺に跨ると、股布をずらしてその内側を顕わにする。
周囲に何ら毛の無い秘裂は僅かにピンク色の内側を見せていた。

「さて、これから汝は、子種をここに注いでもらう」

そう言って外側を鱗に覆われた指で指差すのは、性器では無く不浄の窄まり
その指で秘裂を軽く弄り愛液で指先を濡らすと、窄まりを解す様にして触り粘液で濡らしていく。

「お、おい、ちょっと待て!なんで其処でやるんだよ!じょ、冗談じゃ……」
「敗者を陵辱するのに性器を使う必要は無い、と我が判断したまでだ。
それに、中の物の排出は戦いの前に済ませている………」

ぐぬっ

「……うっ」

俺が抗議の言葉を言い切らぬ内に、涼やかに返した竜人の女は指で亀頭の先端を窄まりへと誘導し腰を下ろす。
そして肉棒の先端が窄まりの周りのプックリと膨れた柔らかい肉に触れ、俺は小さく体を震わせる。

「ま、待て待て待て!い、幾らなんでも初めてがこれじゃ……」
「汝よ、それも貴重な経験だ、気にするな。……さぁ、挿れるぞ……んっ……」

にゅぐ…ぐぬぐぬぐぬ………

「う、うあぁ………」

竜人の女は肉棒を窄まりへ更に押しこみ、力を抜く為に息を吐くと一気に腰を下ろす。
本来は排泄のみに使われる窄まりの肉を掻き分けて、肉棒がズブズブと挿り込んでゆく、
その中の熱い直腸のぬめった粘膜の感触が出迎え、俺は何とも言えぬ声を漏らす。
竜人の女の方はと言うと窄まりの中へ異物が入る感触を感じているのにも関わらず
僅かに頬を赤らめているだけで端麗な表情は全く崩れていなかった。

「うむ、全部挿った様だ……汝、気分は如何だ?」
「……う、ぐっ……き、きつい……このまま引き千切られそうだ……!」

秘裂を自分の指で弄りながら涼しい表情で俺へ問い掛ける竜人の女に対し、
俺の表情は苦悶に歪んでいた、それも当然だろう

竜人の女の窄まりが中の異物を追い出すべく肉棒の根元を括約筋できつく締め上げているのだ。
細い縄で肉棒の根元を絞められている様な、痛みに近い感覚、
恐らく肉棒はこれまでに無い位に鬱血していることだろう。
だが、その反面、根元以外の部位はその全体に熱い粘膜がやわやわと纏わり付き、快感を与え始めていた。
天国と地獄、この状況を言い表すとすればこの一言に尽きただろう。


「さて………動くぞ、汝は何秒持つ?………んんっ」
「っ、うぐっ、ぐぁっ、ぐぉっ!!」

ぐぶっ!ぬぶっ!ぐぼっ!ぶぶっ!ぶじゅっ………

竜人の女の腰が上がり、粘った音を立てつつ粘液に塗れた肉棒が姿を見せ
抜けそうになる直前、再び腰を下ろされ、粘った音を立てて窄まりの中に肉棒が沈みこむ。
それが何度も繰り返され、その度に何とも言えない快感が俺の脳に突き刺さり、悲鳴に近い呻き声を出してしまう。
今まで女性経験なんぞ皆無だった俺へ射精感の限界が訪れるのは直ぐの事だった。

「で、出る………けど、出そうで…出ないっ!!」

しかし、射精感が幾ら押し寄せようとも、ぎゅうぎゅうに絞め付ける窄まりの所為で押し留められ
抑制される苦痛によって俺の額に油汗がにじみ、苦悶の表情の濃さの度合いを増してゆく。
そんな俺の様子を、竜人の女は秘裂を弄りながら見下ろし

「んふっ、汝よ、どうやら限界の様だな……くふっ…緩めてやる、出せ」

その言葉と共に絞め付けていた窄まりの力が緩まる。
―――刹那

「うぐぁぁぁ†※♯#あΔ∴∀♯ゑβ♀∞っっ!!!!」
「………んんっ」

今まで抑制されていた物が一気に解き放たれ、
俺は奇声の様な悲鳴を上げ、竜人の女の直腸中へ白濁を暴発させた!
直腸へ叩き込まれる精の感触に、竜人の女は僅かに体を震わせる。

「ふぅ……出した様だな、汝のモノ、結構良かったぞ?」
「う……くそう………」

射精が収まった後、ぬぼっ、と言う音を立てて肉棒を窄まりから引き抜くと、そのまま竜人の女は立ち上がる。
先程まで異物がが出入りしていたにも関わらず、彼女の窄まりはきゅっと締り、白濁を一滴垂らしただけだった。

それに対して、俺は精液と粘液で塗れた肉棒をぐったりとさせて、身を起こす事すら出来なかった
何故なら、激しい戦闘とそのダメージ、そしてその後の陵辱によって、既に体の疲労はピークに達していたのだ、


「くそ………屈辱だ………!」
「ふむ、悔しいか………まあ、そうだろうな」

残った力を振り絞り、俺は竜人の女を睨みつけ、怒りの言葉をぶつける
だが、彼女は涼やかに言葉を返すと、股布を元に戻しつつ置いてある槍斧を手に取る、

―――トドメを刺される!?―――

俺の体全体に緊張が走る。
最早、今の俺はダメージと疲労によって逃げる事はおろか意識を保つ事すら困難になりつつある。
はっきり言って状況は最悪だった。

ならばせめて、最期の時まで相手を睨んで逝こうと俺は覚悟を決めるが………

「………勘違いをするな、我は汝の命を奪うつもりは無い。
その若さで、一瞬でも我を追い込んだその強さ、磨けば汝の実力は伸び続ける事だろう。
そう、我は今、汝を殺すのを惜しいと思っているのだ」
「……なん……だと?」

竜人の女の言葉に、動揺を隠せない俺は疑問で返した。

「汝よ、この雪辱を晴らしたいと願うなら強くなれ。若い汝ならそれが出来る筈だ。
そして、汝が、我を倒せると感じたその日、また我へと挑むが良い………その日を待っているぞ?」
「………………」

言い終わると、竜人の女は踵を返し、立ち去ろうとする。
俺は暫くの間、黙って去りゆく彼女の背を眺め………

「………俺の名はクレイ、クレイ・バークマンだ!憶えておいてくれ!」

俺自身、何故、竜人の女へ自分の名を名乗ったのかが分からなかった、
だが、この時、名乗っておかなければと思ったのだ。

「………我の名はラグナディウスだ。クレイよ、我の名、その心に刻んでおくと良い」

竜人の女は足を止め、振り向く事無く自分の名を告げると、
ゆっくりと尾を左右に振りながらその場を歩み去っていった。

「あー、畜生、完敗だ………気持ち良いまでに完敗だっ!クソッタレ!!」

彼女の背が道の向こうへ消えていった後、
俺は大きく背伸びをしながら空に向けて叫ぶ。

俺の視界に映る彼女の鱗と同じ様に蒼い空へ白い雲が緩やかに流れていた。

―――何時か、この雪辱は必ず晴らす。
―――その日まで、ラグナディウス、俺はその名を忘れたりしない!

その決意を心に秘めつつ、俺は沸き上がり始めた眠気に身を任せたのだった………。

尚、この後、俺は通りかかった傭兵仲間に助けられたのだが、
その傭兵仲間に下半身が丸出しな事に指を差して笑われ、
暫くの間、傭兵仲間の間で笑い話として語られることになるのは余談だ。
………どちくしょう


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最終更新:2007年11月04日 01:43