ブレトランド中西部に位置する「神聖トランガーヌ枢機卿領」は、かつてトランガーヌ子爵と呼ばれたヘンリー・ペンブロークが、アントリアに敗れて大陸へ亡命した後、聖印教会の中でも特に急進派と呼ばれる「日輪宣教団」と手を組み、世界中から集められた信徒達の力を結集した大兵団によって旧領の一部を奪還して建国された宗教国家である。
 日輪宣教団とは、聖印教会の中でも特に混沌を嫌う人々の集団であり、投影体や投影装備のみならず、邪紋使いや魔法師の存在すらも認めない、徹底した混沌排斥主義を掲げる組織である。指導者は、エストレーラ出身のイザベラ・サバティーニという女性であり、当初は辺境の一司祭に過ぎなかったが、その圧倒的なカリスマによって急速に支持者を増やし、今では次期教皇候補の一人と呼ばれるほどの地位にまで昇りつめている。
 「混沌の産物に頼る生き方を続ける限り、人は永遠に混沌から逃れることは出来ない」という彼女の主張が「正論」であることは、多くの者達が認めている。だが、それは「正論」であるが故に、現実に混沌に頼った生活をしている人々の心を動かすことは出来ない。そんな葛藤を抱えながらも、彼女達は反エーラム勢力の急先鋒として、世界中の魔法師や邪紋使い、そして彼等の力を利用する君主達との闘争を続けている。
 だが、そんな彼女達に支えられた神聖トランガーヌは今、一つの難題を抱えていた。一ヶ月前、国主であるヘンリー・ペンブロークが重病に倒れ、生死の境をさまよう中、未だにその後継者が定まっていないのである。彼には「聖印を継げる子供」が存在せず、その親族の中で有力候補とみなされているのはPC①とPC②の二人だが、いずれも決め手に欠ける状態であった。
 そんな中、領内東部に位置するエフロシューネ近隣における混沌被害の拡大という報を聞いたイザベラは、自身の子であるPC③を指揮官とした討伐隊を編成し、PC①とPC②にその補佐役を命じる。この背後には、PC③を二人のどちらかと結婚させることで新体制の基盤を強化しようとする彼女の思惑もあった。果たして彼等は無事にこの任務を果たすことが出来るのか? そして、この地の人々を導く重責を引き継ぐことになるのは、果たして誰になるのであろうか?

グランクレスト単発シリーズ「ブレトランドの光と闇」第2話
「日輪の輝き」

混沌を収め、聖印に至れ!


PC①
推奨クラス:ロード
 キミは、旧トランガーヌ子爵家の分家であるカーディガン家の末裔だ。現在行方不明の元子爵夫人ジェーンの甥or姪でもある。2年前に旧トランガーヌが滅ぼされた後、キミはヘンリーと共に大陸へと亡命し、そこで彼と共に聖印教会へと帰依した上で、彼の側近の一人となって、その後の逆侵攻を助けた。PC③に対しては亡命時代に出会って以来、密かに恋心を抱いている。
因縁:PC③(仲間 ロード 同世代 異性) 推奨感情 メイン:慕情/サブ:任意
+ PC①仮案
 ネロ・カーディガン 20歳男 セイバー 剣闘士
 技能:軽武器、乗騎
 スタイル特技:疾風剣の印3、双嵐剣の印1、光炎の印3、業炎の印3、聖痕の印1、鋭刃の印1、閃光刃の印(偉)
 ワークス特技:踏み込み1、武器熟練:長剣3、精神修養1、天運上昇1
 装備:ロングソード、レイピア、スケイルメイル、ブーツ、ウォーホース(乗騎)、気付け薬など
 出自:亡国
 経験1:裏切り
 経験2:質素
 信念:目的…人 禁忌…怯懦 趣味嗜好…名前を忘れない

 生来は心優しい性格。トランガーヌの一領地を受け継ぐ者として幼少期から剣術に触れていたが、2年前のアントリアによる侵攻の際は、他人に剣を振るうことへの抵抗を払拭しきれずに敗走、大陸へ亡命することとなった。その後聖印協会に帰依したものの、彼が抱いていた同じ聖印を持つはずの君主が自分に剣を振るうことへの強烈な違和感は、最終的には彼の中で「混沌の力に関わった不幸な被害者」のリストに「混沌の産物である聖印を持った君主」を加えるという、聖印を崇拝する協会の中ではかなり極端な思想を持つ形で落ち着いてしまった。そのことを心の中に隠しつつ、「人々を混沌による苦痛から解放すること」を彼の使命とし、今日も今日とて剣を振るう。
 なお、「聖印を持つ者の使命」の他に「人間らしく自由にのびのびと生きる」ことを彼は主張しているが、彼のあまりにも質素な食生活を彼自身が贅沢と称するせいで全く説得力がない。


PC②
推奨クラス:ロード 推奨性別:PC①と同性
 キミは、旧トランガーヌ子爵家の分家であるウェルシュ家の末裔だ。父親が聖印教会の信者であったため、子供の頃に教皇ハウルの元へ修道士として留学し、その地でPC③と出会って以来、彼女のことを慕い続けている。ヘンリーの大陸への亡命時には、彼と日輪宣教団との橋渡し役を担当し、その後の逆侵攻にも加わり、彼等と共にブレトランドへ帰還することになった。
因縁:PC③(仲間 ロード 同世代 異性) 推奨感情 メイン:慕情/サブ:任意
+ PC②仮案
リーベック・ウェルシュ 20歳男 パニッシャー 吟遊詩人
 技能:混沌知識、聖印、芸術:女装
 スタイル特技:破邪の印5、幻光の印1、聖弾の印1、破混界の印1、壊混の印1、聖連弾の印2、衰混の印1、壊輝光の印(偉)
 ワークス特技:心奪う芸術3、技能鍛錬:混沌知識、抗い難き言葉1、天運上昇
 装備:ダガー、ソフトレザー、華美なる装飾、専門書(混沌知識)、化粧セット、チュニック、気付け薬とか
 出自:騎士
 経験1:学究
 経験2:お忍び
 信念:目的…自由 禁忌…破約 趣味嗜好…異性装

基本的に穏やかな性格。混沌の殲滅に関しては容赦はしないが、冷静に状況判断してから事を構えるタイプ。参謀ポジ(になりたい)。かつて諜報のためとあるミラージュを捕まえようとしたところ、逆に嵌められてからかい半分に女装させられてしまった…のだが存外楽しかった上に諜報にも使えるということで趣味になってしまい、それ以来夜には時折町娘に扮してこっそりと外に出かけている。今のところ秘密を知っている人は彼の専属お手伝いさんくらいしかいない。(ちなみに女装時にはレベッカと名乗る。)PC①とは幼馴染で、しばらく離れていたが逆侵攻の時に久々に再開した。今も良き友人だと思っている。

見習い時代に混沌に侵された土地を遍歴しており、そこで様々に暮らしている人を見て以来ずっと聖印と混沌の存在について考えている。だが、幼い頃から聖印教会の修道士としての考えを刷り込まれているため、教会の信義に疑問を持つことは彼自身が許すことは出来ず、その矛盾を「裏の自分」として昇華させているのだとか。

混沌の力を得てしまうことは罪ではない、それが許されざる力であることを知りながら用いることが罪なのだという考え。邪紋使いであっても、聖印を持つ者に自ら浄化を願い出れば、神の教えに殉じた高潔な人物として死後神の国に導かれると考えている。そのため、『邪紋使い=不幸な者達だが、神の国に近い幸運な者でもある』『投影体=ただの混沌、祓うのみ』『魔法師=混沌の力を知りながら悪用する許し難い悪魔の手先』という認識で、魔法師を最も敵視しています。




PC③
推奨クラス:ロード 推奨性別:PC①の異性
 キミは、日輪宣教団の指導者であるイザベラ・サバティーニの息子or娘だ。キミの父は、キミがまだ幼い頃に、エーラムの魔法師が引き起こした混沌災害で命を落としている。現在、イザベラはブレトランドと大陸の教皇庁を行き来する生活を続けているため、ブレトランドではキミが母の名代を務めることも多く、周囲の者達はいずれキミが母の後継者となることを期待している。
因縁:イザベラ・サバティーニ(母 ロード 37歳 女性) 推奨感情 メイン:尊敬/サブ:任意
+ イザベラ・サバティーニ
+ PC③仮案
“導きの聖女”ブリジット・サバティーニ
 19歳女 パラディン 貴族B
 技能:軽武器、聖印
 スタイル特技:庇護の印1、光盾の印3、盾攻撃の印1、盾連携の印1、聖痕の印1、不倒の印1、治癒の印4、光壁の印or城塞の印、
 ワークス特技:武器防御、オーソドックススタイル1、教会の支援1、走破訓練1、礼儀作法1、技能鍛錬:聖印知識1
 装備:バスタードソード、タワーシールド、サーコートメイル、ポイントアーマー、あと気付け薬とか
 出自:聖印教会(任意)
 経験1:後継者
 経験2:予言
 信念:目的…世界救済(混沌を消す)禁忌…気丈(弱音を吐かない)
 趣味:ぬいぐるみ集め(特にきもかわいい系。投影体がモデルになってても、かわいければ集める!タワーオブザサンとかブドーカンとかのぬいぐるみはもってるw あとはゴリラとか)

 かつて、母イザべラとともに(魔法師が原因とも言われている)混沌災害に巻き込まれ、父を亡くす。その後母は聖印に目覚め、聖印教会に入信。ブリジットも聖印教会にて生活を始める。その中でブリジットはこの世界や聖印、混沌について学び、人々を救うことについて思いをはせる。そんな祈りが通じたのか、9歳の時に自力で聖印を覚醒させる。その際、教会の中枢からきた偉い人に「この子は世界を救う存在となる」というような予言をされ、イスメイアにてしばらく修行を行った。(その際にPC2と出会い、PC2を通じてPC1とも知りあう)
 ブリジット自身は、最初から過激派の思考だったわけではないが、混沌と自然律、世界の理について深く学んだ結果、「全ての混沌は浄化しなければならない」という結論に達する。その後は、色々な場面で母の名代も積極的にこなすようになった。
 ブレトランドでの自分の立場もわきまえているつもりであり、「正当な行動をする君主を尊重し補助する」という立場に徹する。しかしまあ当然「聖印教会的な正当」なので、混沌を浄化する君主や、混沌に屈していない(=魔法師、邪紋使いを排除している)君主のみが正当=ブレトランドにおいては神聖トランガーヌのみ、という理屈です。
 ちなみに、ブリジットの混沌を浄化する姿勢を見た一般民衆や、聖印教会内部の信者などから、いつの間にか“導きの聖女”というように呼ばれるようになった。

 9歳からの超厳粛な生活があったから当然なのですが、純粋な普通の女の子の生活に憧憬を覚えつつもそれを押し殺している心理状態のため、それをカワイイぬいぐるみを集めることで昇華させています。

 【行動スタンス】混沌=浄化すべきものという考え方ではあるが、現実を完全に無視することはない。魔法師や邪紋使いについては、「不幸にもその力に触れてしまった被害者」という考え方をもっており、「積極的に力を行使しないのであれば寿命が尽きるまでは待てる⇒その後で聖印により浄化すればよいから」程度の妥協はできると思っている。だがさすがに投影体は不可かなぁ……。



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  • 同じ卓を囲んで下さった皆さん、いいセッションをありがとうございました。PLとしてかなり大変でしたが、ロールプレイの幅を広げる意味でいい経験になりました。 いずれネロ君が本当に自分の弱さを克服したならば、聖印教会の教えを捨て去り、トランガーヌのために混沌と戦う者を拒むことなく受け入れるでしょう(まだまだ遠い先のことでしょうが)。セッションの趣旨とはずれるかもしれませんが、ライトスタッフのフラッグを掲げたネロ君の行きつく考えはこれだと思っています。 -- (K.*) 2016-04-24 17:57:23
  • おとんさん、K.*君、そしてY武さん、楽しいセッションをありがとうございました。自分の中でこれを超えるものはないってくらいに充実したセッションでした。リーベックの、日輪教会(というかリーベック自身)への反発に対し、糾弾するのでは無く、受け入れ克服するという道を見つけることができたのは、PCとしてのリーベックにとってもPLとしての私にとっても非常に意味の有ることでした。今後、ブリジット姫は共に自分の覇道を支えてくれる大切な伴侶として、そしてネロ君はいつか自分が道を踏み外した時はそれを正し、彼が迷った時には自分が背中を押せる唯一無二の親友でありライバルとして、接していくことになると思います。 -- (まち) 2016-04-24 12:20:44
  • こちらこそ本当にありがとうございました!一年分の充実感をもらえました。大変お疲れ様でした。 ついでにブリジットの考えの追記を一つ。リーベックは神聖トランガーヌやブレトランド小大陸程度の枠に縛られる存在ではない……そう思って「日輪宣教団の後継者」という、より自由に行動できる立場に居て欲しかったというのも思惑としてあります。皇帝聖印を目指す以上、アトラタン全ての混沌を消す道を進む事になるだろうし、手始めに各地の聖印教会員の聖印を従属させるだけでも、リーベックの覇道の助けになるとも考えてました。 長文連続ごめんなさい。また次の機会でも遊べたら幸いです! -- (O-Ton) 2016-04-24 11:43:39
  •  コメント、ありがとうございます。これのおかげで、小説リプレイの執筆はかなり楽になりました。他の皆様も、この度は色々な意味で面倒くさいシナリオにお付き合い頂き、ありがとうございます。  ブレトランドでは、聖印教会(特に日輪宣教団)はずっと悪役的なポジションだったので、彼等にも彼等の正義があるということを、今回のセッションを通じて(私ではなく)皆さん自身に表現して頂けたことは、ブレトランド・サーガ全体にとっても、非常に大きな意義のあることだと思います。  私個人としては色々と反省点も残るセッションではありましたが、ある意味で一つのターニングポイントとなるこのセッション、皆さんのおかげで無事に終えることが出来たこと、非常に嬉しく思います。また今後とも、どうかよろしくお願いします。 -- (Y武) 2016-04-24 10:14:32
  • ブリジットの信念は、民のために全ての混沌を消し、皇帝聖印を現出させ、神の幸福な治世を生み出すこと。それが世界の救済と信じている。 リーベックを選んだ一番大きな理由は、その、皇帝聖印に至るという確固たる覇道を共に歩みたいと思ったから。 小さな理由としては、自分の中に押し殺した「乙女心」を、色んな意味で引き出してくれたから。(泣いたり照れたりといった感情をそのまま発現させられるというだけで得難い存在です) 神の使徒として、聖女としての立場からしか物を考えられず、発信もできなかった他の場合と違って、自分が自分のまま側に居られると確信できたから。 また、彼が万が一混沌に飲み込まれた場合、それを浄化するのが自分の役割なんだと認識させられたから。 また、政治的理由でも、ただ自分がリーベックの従属騎士になってみせるだけより、より明確に日輪宣教団がまとまれるだろうとも考えたから。 ついでに、ぬいぐるみ集めという、ブリジットの唯一の趣味についても、眉をひそめず受け入れてくれているから(笑) つまり、信念始め様々な意見の一致、政治的思惑、自分の乙女心、自分の人間らしさを引き出したいという思い、彼の覚悟に対する責任感……といった、あらゆる要素で、彼と婚姻を結ぶ他ないと確信してしまったのでした。 帰りのタレイアでのリーベックの告白の時、訳が分からなくなって泣いたのは、自分の中にあったその全ての考えがぐちゃぐちゃにでてきて、どうしようもなくなったから。これを全てひっくるめて、「神の導き」との言葉だけで説明していいのかどうかすら、ブリジットの中でまとまらなかったのです。 対してネロについては、「後ろでブリジットが支える」ではなく、「みんなで支える」という形の方が、ネロのためになると思ったゆえのあの形です。以下ブリジットの手記。 自分の弱さを自覚し、その弱さゆえに他の人々の事を考え受け入れられる強さにつなげたネロ。そんなネロだからこそ国をまとめるのに相応しいと感じました。 ネロは私に、タレイアで、「支えて欲しい」と言ったけれど、その言葉を聞いたとき、私が一人であなたを支えるなんて、できないと思ってしまった。だから私に好意を持ってくれていた事は嬉しいけれど、婚姻はできないと思ってしまった。 だから、ごめんなさい。となりました。ネロには、私よりももっと相応しい伴侶がいるはず。共に考え、悩みを分かち合い、支え合えるようなそんな人が。 -- (O-Ton) 2016-04-24 00:55:17
  • 二人ともありがとうございます。そういうことならブリジットは好意を寄せられていることに気付くアンテナ感度は高目にしつつ、立場で無理やりスルーする感じで行こうかな。内心は恋したくて堪らないけど押し殺してます、みたいな。 -- (O-Ton) 2016-04-20 20:21:26
  • ネロ君はブリジットに対しては挙動不審というかギクシャクした感じになるかな。そばにいて欲しいという気持ちと、うっかり聖印協会員として重大な失言をこぼすかもしれない恐怖のはざまで揺れます。 -- (K.*) 2016-04-20 05:58:19
  • リーベックはブリジット嬢に対しては、表向きは幼馴染みに対してフレンドリーに接するような感じでRPするようになると思います。何か焚き付けられるようなことがなければそこまで情熱的なアピールをすることは無いですが、半歩前を歩いたり階段で手をとったり、といった紳士的な所作を意識してやってみたりはするかも。 -- (まち) 2016-04-20 01:16:11
  • プレイヤーのお二人に質問。ネロとリーベックは恋愛は積極的?消極的?ブリジットは聖職者とか諸々の立場的にスルースキル高目にするか、ガチ鈍感にするか、それとも恋に恋してるだけのマジ初心にするか悩んでます。お二人に合わせて考えようかなーと(笑) 折角のラブコメセッションだしね! -- (O-Ton) 2016-04-20 00:00:22
  • 精神修養を下げて天運上昇にしました。本気を出しても4R戦えるのでご安心を。 -- (K.*) 2016-04-11 06:25:46

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最終更新:2016年04月14日 13:30